氷菓くん短編集   作:氷菓くん

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2025 12/23 領域展開

「呪術廻戦の「領域展開」って知ってる?」

「いやごめん分かんない」

「必殺技みたいな物なんだけど。領域っていうのを展開して、その中に入ってる敵にいろんな攻撃をするのよ。で、領域それぞれに名前が付いてて、それがめっちゃカッコイイんだよね」

「ほう〜。つまりお前、呪術廻戦にハマってるんだな」

「そういうこと。で、ハマったからには俺も領域展開してみたいわけ」

「なるほど?」

「でも無抵抗な相手に一方的に必殺技を撃つのってなんか嫌だろ? だからお前の方にも、領域展開をやり返してほしいんだけど」

「いや俺分かんないのよ呪術廻戦」

「適当でいいからさ! 領域展開をぶつけ合って、先に倒れた方が負けってことで、一つ付き合ってくれよ。なっ?」

「はぁ……。まぁ適当でいいならいいけど」

「よし、じゃあ行くぞ。領域展開! 無量空処!(むりょうくうしょ)」

「おぉ、それはどんな攻撃?」

「これは領域内の相手の頭の中に無限の情報量を送り込むことで、思考回路をパンクさせて動けなくさせる技だ」

「あ、じゃあ俺は今、思考回路パンクして動けなくなってるんだ?」

「そういうこと」

「ポカ-ン……」

「あっすごい効いてる感じ出してくれてる。ノリいいなコイツありがとな」

「ポカ-ン……」

「……あ、うん、ありがとなだけど、そっちも撃ち返してくれる約束だったじゃん? もしもーし」

「あ、そうか。よっしゃ、じゃあ俺からも領域展開するわ」

「おう、来い!」

「領域展開! ……なんだっけさっきの名前」

「え?」

「ポカーンってさせる領域の名前」

「あ、無量空処?(むりょうくうしょ)」

「それだ。じゃあこっちは、領域展開! 有料車庫!」

「どんな領域それは?」

「都内の有料車庫の高すぎる請求金額で、相手の思考回路をパンクさせる領域」

「フンフフーン♪ 今日のライブ面白かったなぁ〜♪ さ〜て帰るか♪ …………えっ(ポカ-ン)」

「よっしゃ効いた!」

「ハッ!? なるほどな、なかなかやるじゃねぇか。今のところ引き分けだな」

「よく分かんねぇけどそうみたいだな。……呪術廻戦にハマった男の力とやらはその程度かぁ!?」

「こいつめっちゃノリいいな? よっしゃ、なら次だ! 領域展開! 自閉円頓裹!(じへいえんどんか)」

「それはどんなやつ?」

「これは領域内にいる相手の魂の形を変えることで、別の生物にしてしまう能力。しかも一度変えた魂の形は、二度と元に戻すことができない!」

「えっ。じゃあ俺は今、人間じゃなくなったってこと?」

「そういうこと」

「具体的には何になったの?」

「え?」

「いや、別の生物にするって言うから」

「あー。それはなんかあれだよ、適当に、動物とか」

「四足歩行の?」

「うん」

「草食?」

「うんそれでいいや」

「日本に住んでる?」

「アキネイターか!? なんでもいいんだよ適当に動物になっとけよ!」

「いやその前に、こっちも領域展開! ……名前なんだっけ?」

「自閉円頓裹(じへいえんどんか)です」

「領域展開! 紙幣全取っ替え!」

「なんだそれは!?」

「お前の財布の中身を全て別の形に変えた。そしてそれはもう元に戻らない」

「……あぁ! 俺の帰りの電車賃が、全部タイのお金「バーツ」になってる! トゥクトゥクにしか乗れねぇ……!!」

「いやタイにも電車あるよ」

「あぁごめんそういうことじゃなくて」

「日本のトゥクトゥクは円じゃないと乗れないし」

「そういうことでもなくて」

「……あっ。……トゥクトゥクにしか乗れない体にされた気持ちはどうだぁ〜!?」

「ノリの良さが戻ってきた! くっ……貴様よくも……! けどそっちだって何らかの動物になってるんだから、また勝負は引き分けだぜ!」

「いや俺まだアキネイターにしかなってないから」

「アキネイターだったらセーフなの!? じゃあ引き分けは引き分けでも、そっちにアドバンテージ付けとくわ」

「サンキュー」

「ありがとうそれで納得してくれて。ってことで行くぞ、領域展開! 伏魔御廚子!(ふくまみづし)」

「今度はどんなのだ!?」

「この領域は、範囲内の相手をシンプルに斬り刻む!」

「あっ、じゃあ俺もう斬られてんの?」

「そうだ! ブシュッ!」

「ぐああああ!」

「しかもこの攻撃は、相手が倒れるまで終わらない! ブシュッ! ブシュッ! ブシュッ!」

「ぐあああ! ぐあああ! ぐあああああ!! こ、このままじゃやられる。こっちも領域展開! ……えーと」

「伏魔御廚子(ふくまみづし)です」

「領域展開! 高級御寿司!(たかいおすし) 俺が今食べたいお寿司の支払いを、相手に強制する!」

「なにぃ!?」

「うに! 時価!」

「ぐああああ!」

「いくら、時価! 大トロ、時価! もう一個大トロ、時価時価!」

「ぐあああ! ぐあああ! ぐあっぐああああ〜!! シャケシャケみたいに言いやがって〜!」

「そして家族の分もテイクアウトだぁ〜!」

「ぎゃああああ! こ、こいつ、俺は今バーツしか持ってないっつってんのに! どうやって支払えばいいんだ〜!? チ-ン(死)」

「ふっ、敵を倒して家族で食う寿司は旨いぜ」

「いやちょっと待てよ。お前だってさっきだいぶ斬り刻まれたんだから、普通死ぬだろ。引き分けだよ引き分け」

「あ、それは大丈夫。俺、反転術式使えるから」

「いやしっかり呪術廻戦知っとるやないかい」

 

 

 

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