閲覧してくれた方々、コメントやお気に入り、評価をしてくださる方々、本当にありがとうございます。
遅筆ではありますが、これからも頑張りますので応援よろしくお願いします。
小説はなるべく行間など空けているのですが、もし行間が一切空いてない文章詰め詰めの作品が上がっていた場合はご一報いただけると幸いです。
エクスカリバー。カラドボルグ。ゲイ・ボルグにバルムンク。
どれも数多ある物語の中で主人を支えてきた名高い武器達である。戦場で猛威を振るい、土地に豊穣をもたらし、時には土地をゼロから生み出す。
『グリダヴォル』はそんな武器達と比べると知名度的にも功績的にも劣るだろう。
『グリダヴォル』──それは、ロキの罠にハメられた雷神トールが敵の巨人の館に『ミョルニル』や『メギンギョルズ』といった武器を取り上げられた状態で向かうことになった際に、親切な女巨人のグリーズから防具と共に貸し与えられた杖の名前である。
ゲイルロズの娘の嫌がらせによって氾濫した川を渡る際にはそれを地にしっかりと突き立てて渡り切ることに成功し、ゲイルロズの館でゲイルロズの娘たちに天井と椅子で圧殺されそうになったトールがつっかえ棒としてグリダヴォルを使用したことで九死に一生を得た、とされている。
で、あるならば。
私(黒服)に手渡され、彼(シュウ)が受け取った同名の銃も同等の機能、もしくはそれに類似した何かがあって然るべきだ。
以上、黒服の手記より抜粋。
───────────────────────
「来たあ!いただきまーす!」
「ひ、ひとりにつき一杯⋯⋯こんな贅沢してもいいんですか?」
「アビドスさんとこのお友達だろう。替え玉が欲しけりゃ言いな。」
ムツキとハルカの嬉しそうな声と柴大将の気遣いが身に染みる⋯⋯
「こんなに美味しいのにお客さんがいないなんて。」
「場所が悪いんじゃない?廃校寸前の学校の近くだし。」
背を向けて厨房に戻っていった柴大将を他所に、私の嘆きに近い呟きとムツキの冷静な分析がテーブルの上を行ったり来たりする。
私──鬼方カヨコと便利屋68の面々は柴関ラーメンに昼食を取りに来ていた。
目の前で湯気を立てているラーメンにはシャキシャキのもやしとツヤツヤのゆで卵、それに分厚いチャーシューがこれでもかと載せられている一品。
丼の縁ギリギリで波打っているスープは海辺のように煌めき、モヤシの下に隠れる歯ごたえの良い麺はまるで財宝のよう⋯⋯見ているだけで口内に涎があふれてくる。
「まあ、美味しいから良いけど。それじゃ、いただ「⋯⋯じゃない。」ん?」
「友達なんかじゃないわよぉ───ッ!」
勢いよくテーブルを叩いて立ち上がると、グラスの中の氷がアルの叫びに反してカランっと軽やかな音を立てて転がる。
突然のアルの奇行にハルカどころかムツキですらも肩を跳ね上げて驚いている。突然どうしたの⋯⋯?
「わわっ!?」
「わかった!何が引っかかってたのかわかったわ!問題はこの店、この店よっ!」
「どゆことっ!?」
「私たちは仕事しにこの辺りに来てるの!バードボイルドに!アウトローっぽく!なのに何なのよ、この店は!お腹いっぱい食べられるし!あったかくて親切で!話しかけてくれて、和気あいあいで、ほんわかしたこの雰囲気!」
⋯⋯良いところしかあげてなくない?
確かに柴関ラーメンは金欠の私達に明らかに値段に釣り合ってない大盛りラーメンをワンコインで作ってくれたくらいには親切だけど⋯⋯
「ここにいると、みんな仲良しになっちゃう気がするのよ!」
⋯⋯それは確かにそう⋯⋯かな?アルが絆されやすいだけじゃ?
「それに何か問題ある?」
「ダメでしょ!メチャクチャでグダグダよ!私が一人前の悪党になるには、こんな店は要らないのよっ!私に必要なのは冷酷さと無慈悲さと非情さなの!こんなほっこり感じゃない!」
「いや、それは考えすぎなんじゃ⋯⋯」
⋯⋯それを店内で言っちゃうのはどうなんだろ。
ムツキのツッコミにも興奮冷めやらぬ様子で、どんどんヒートアップしていくアル。
そろそろ止めないとかな⋯⋯
「それって⋯⋯こんなお店はぶっ潰してしまおうってことですよね、アル様?」
「⋯⋯へ?」
突然物騒なことを言い出したハルカがスッと何かを取り出す。
「良かった、ついにアル様のお力になれます。」
「起爆装置?なんでそれを⋯⋯」
⋯⋯起爆装置?
「ハルカ、ちょ、ちょっと待っ⋯⋯」
私が止めに入る間もなく、グッとスイッチを押し込むハルカ。
「⋯⋯へっ!?」
アルの素っ頓狂な声と共に視界が白んでいき──
鼓膜を打ち付ける破裂音と全身を打ち付ける莫大なエネルギーの塊が、私の意識を刈り取った。
─────────────────────
「セリカちゃん、遅いですねぇ⋯⋯」
同刻、アビドス学園の一室におっとりとした女子生徒の声が静寂を破った。
各々がスマホをイジったり、銃の手入れをしていたりする中で視線をスマホと教室の扉に行ったり来たりさせていた十六夜ノノミがあげた声だ。
クリーム色の長い髪と蛍光グリーン色のヘイローが特徴的なお嬢様。白いシャツの上から羽織った黄色いカーディガンがトレードマークだ。
「ん。「私を助けて怪我した男性が退院するから、また何かトラブルに巻き込まれないように」って言い訳しながら出かけていった。」
表情を変えずにそう言うのは灰色の髪に狼のようなケモミミが特徴的な砂狼シロコ。水色のマフラーと、これまた水色の髪留めがトレードマークの女の子だ。
「まあ、セリカちゃんなら大丈夫です!ね、先生。⋯⋯先生?」
“⋯⋯あ、ごめんね。ちょっと考えごとしてた”
『先生』に呼び掛けたのは黒髪ショートに赤いフレームの眼鏡をかけた少女・奥空アヤネ。エルフのようなとがった耳が特徴的である。
対して、びくっと肩を震わせて俯いていた顔を上げたのは『先生』と呼ばれる成人男性。まだ幼さと未熟さが残る顔と、灰色のスーツが特徴的な人物だ。
そんな『先生』が思考の中心に据えているのは、今まさに話題に出ていた男性のこと。
自分達が柴関ラーメンを訪れた日がバイト初日で、そのバイト初日にセリカを助けて怪我をする。
『先生』として生徒を助けてもらったことへ感謝の意を述べようと面会を希望すると、看護師を通して面会を謝絶される。
容貌からしてキヴォトスに元からいた人間だとは考えづらい。ならば自分と同じような外から来た大人?
セリカを助けたことから考えるに生徒に危害を加えるような大人ではないと思うが、もしもセリカを助けたことが彼の仕組んでいたことだとしたら?
(考えすぎかな⋯⋯。一応、後でアロナに調べてもらおう。)
そう結論づけ、俯いていた顔を再び上げる。
「前方、半径10km内にて爆発を検知!近いです!」
「10kmってことは⋯⋯市街地?まさか襲撃!?」
日常を裂く知らせがアヤネから飛び出し、次いでシロコも可能性を口にする。今まで散々ヘルメット団からの襲撃があったのだ、襲撃の可能性も考慮しなくてはアビドスでやっていけない。
「衝撃波の形状からするとC4爆弾の連鎖反応と思われます。砲撃や爆撃ではないですね⋯⋯もう少し確認してみます!」
アヤネの解析と並行してノノミとシロコはいつでも飛び出せるようにと銃や装備を整えていく。
「爆撃地点確認。市街地です!正確な位置は⋯⋯柴関ラーメン⋯⋯!?柴関ラーメンが跡形もなく消えてしまいました!」
「戦略拠点でもなく、重要な交通網でもないのに。一体誰が⋯⋯ううん、憶測は後でも遅くない。まずは何か手を打たないと!」
「そうですね!今はそれどころじゃありません!向かいましょう!」
「ホシノ先輩とセリカちゃんには私から連絡します、出動を!」
教室から情報通信をするアヤネを残し、教室を飛び出していく2人の後を追って『先生』も教室を飛び出す。
その手に携えられたシッテムの箱が、光を受けて輝いた。
────────────────────
木っ端微塵になった柴関ラーメン。
木っ端微塵とは言え木材の破片などはまだ残っている。
傷を負わないように、それでも手遅れになる前にと杖と生徒達の手を借りて店内にいた人達の救出を行っていた。
作中では柴大将と便利屋68の面々以外描写されていなかったが、今はカタカタヘルメット団の子達も働いているのだ。たかが2週間ほどの交流、されど2週間の交流。
一度仲良くなった子たちに無事でいて欲しいと願うのは傲慢ではないはずだ。
まだ黒煙の立っている柴関ラーメンの敷地に押し入り、倒れているヘルメット団の子たちを助け起こす。
誰も彼も煤だらけ。傷らしい傷は負っていないが、病院には連れて行ったほうが良いかもしれない。
「兄貴っ!大将さんがいたッス!」
「容態は!?」
「少し怪我してるけど生きてるッス!」
少し離れた所から聞こえるサラの声を頼りに黒煙を掻き分け進み、煤だらけで呆然としている柴大将の元にたどり着く。
セリカもサラの声を聞いて猛スピードでこっちに接近してきていた。
砂埃を上げながら突進してきたセリカは柴大将の数センチ手前で足に急ブレーキをかける。
「柴大将、大丈夫ですか?何があったかとか分かります?」
「柴大将、無事なのよね!?」
「あ、ああ。厨房で足りない具材の仕込みをしていたら、突然客席のほうが光って⋯⋯」
爆発した、と。
『客席にいた便利屋68の一員であるハルカがアルの言葉を曲解し、持っていた大量のC4で店を爆破した。』という作中の流れは同じなのだろう。
「真宮と新島、柴大将をお願い。柴大将を避難させたら救出に加わってくれると助かる。黒見さんと九は他に人がいないか確認しよう。」
「わかったわ!任せなさい!」
「了解ッス!」
「了解、です⋯⋯」
「任せて」
力強い返事を聞きながらセリカとサラを伴って付近に倒れているヘルメット団の子たちを起こしていく。
マヤはヘルメット団のリーダーだけあって、助け起こした子達に指示を出す姿がよく似合う。「動けるなら周囲にまだ倒れている人がいないかの確認」「動けないならその場に留まって動ける人を待つ」。緊迫した状況下でこのどちらかを的確に指示できるのはやはり経験則なのだろうか。
「俺も負けてはいられないな。」
気合を入れなおして地面に倒れている木材を杖に引っ掛け、テコの要領で持ち上げるとそこには見覚えのあるバッグが落ちていた。
「このバッグは⋯⋯」
セリカの何かを思案するような声が耳を打つ。俺も何処かで見た覚えがあるので脳の記憶域から記憶を引っ張り出す。
投げて爆破させる、中に何が入っているのか不明なバッグ。便利屋68の一員、浅黄ムツキの持ち物だ。
これがあるということは近くに⋯⋯
誰かが、黒煙の向こう側でムクリと起き上がるのが見える。
「ゴホン、ゴホン⋯⋯う、うああ⋯⋯」
「⋯⋯アルちゃん⋯⋯マジで?マジでぶっ潰しちゃったの?」
「え⋯⋯え?」
「情にほだされるからって、あんなに優しくしてくれたラーメン屋さんを吹っ飛ばしたの?やるじゃーん!?これぞまさに、血も涙もない大悪党!そんじょそこらのザコには到底できない鬼畜の所業!悪人中の悪人じゃん!」
⋯⋯分かっている。これは『ブルーアーカイブ』という物語を進めるために避けては通れないストーリー。
実際、柴関ラーメンが爆破されなければアビドス側が知り得ない話だってあっただろうさ。
だけど、たった1日しか働いていなかったとは言え職場を吹き飛ばされて、それをやったグループの一人が爆破したことを嬉しそうに言及していたら誰だってイラッとするだろ。
現に、俺の隣のセリカも拳を握りしめてプルプルと震えている。
「その言葉、本当か?」
気づけば俺は口を挟んでいた。
弾かれたように振り向く赤に近いピンク髪の少女──陸八魔アルと白い髪を黒い髪留めで結んだ少女──浅黄ムツキ。
よく見ると、その後ろに白と黒の斑の髪が特徴的な鬼方カヨコや紫色の髪にオドオドした雰囲気の伊草ハルカもいるようだ。
「だ、誰!?」
「この店の従業員。──で、店を爆破したのは貴女達で間違いないんだな?」
『グリダヴォル』を向けなかったのは、まだ俺の理性が冷静だったからだろう。『この程度』で理性が飛んでいたらこの先やっていけないというのもあるが⋯⋯
「⋯⋯え、ええそうよ!私達が爆破したわ!冷徹無比!情け無用!金さえもらえれば何でもオッケー!それがうちのモットーよ!」
「そういう事だったのね⋯⋯!」
地獄の底から響くような、地を這う低い声が隣から聞こえてきた。
俺どころか、なんとかアウトローを気取ろうとしていたアルですらも「ひっ⋯⋯!」と息を呑んでしまうほどの威圧感がある声。
セリカだ。作中では叫んでいた覚えがあるのだが、今のセリカは我慢に我慢を溜め込んだ火薬庫みたいな印象を受ける。
「あんたたち⋯⋯!よくも、よくもこんなひどいことを⋯⋯!」
目元に陰が落ち、赤い瞳がぎらりと輝く。
嗚呼、既に火薬庫には火の手が回っていたらしい。
「あんたたち、許さない。ぜーったいに、許さないから⋯⋯ッ!」
─────────────────
「黒見さん、落ち着いて。」
「な、なんで止めるのよ!」
怒りに薪をくべているセリカを片手で押し留める。
俺もキヴォトスに来て最初にお世話になった飲食店なのだ、怒り心頭とまでは行かないもののまだ冷静になりきれていない。
⋯⋯ストーリーで爆破することは知っていても、心の準備ができてなかったってのもあるけど。
だが、この後の展開を考えるとここで便利屋と事を構えるのは避けたいのだ。
「俺達の目的はあくまで巻き込まれた人達を助けること。ここで戦闘を始めたら巻き込まれた人を助けられないどころか、一度助けた人を巻き込むかもしれない。」
「そ、それは⋯⋯確かに。」
理由はそれだけじゃあない。
多少のズレがあるにしろ、この後アビドス対策委員会が駆けつけてくることは確実。
間違いなく、その中には『先生』も混じっていることだろう。何が悲しくて退院直後に『先生』に会わねばならんのだ。
だが、まあ。その理由はこの子達の前で明かす必要は無い。言葉にした理由も言葉にしていない理由も、どちらも嘘偽ざる俺の本心なのだから。
「許すかどうかは黒見さんが決めることだけど、今は怒りを収めて。大丈夫、多分この後すぐに怒りを発散する機会は訪れるから。」
「え、それって⋯⋯?」
「はい、落ち着くまで深呼吸。吸って、吐いて。」
失言に言及される前に深呼吸させることで落ち着かせる。
まだゲヘナ風紀委員会が介入してくるとは限らんし、介入してきたとしてそれを事前にバラすのは流石に怪しまれるからな。
改めて便利屋68に向き直る──所で、視界の端に金の髪の束が跳ねているのが見える。
「兄貴、セリカちゃん、救助終わったッス!みんな大した怪我はしてなかったんで、大将のとこに向かってもらったッスよ!──およ、便利屋のみなさんじゃないッスか!」
サラだ。
ポニーテールをぴょこぴょこさせながら駆け寄ってくるその姿は、「ボール取ってこい」と投げたボールを口に咥えて戻ってきた大型犬を想像させる。
「そうか、新島──というか、カタカタヘルメット団は便利屋と面識あったのか。」
「はいッス。アビドスを攻めた時に雇われたんで。」
「そう言えばそうだったわね⋯⋯」
便利屋側も気づいたのか、お互いに「そんな事もあったな⋯⋯」みたいな雰囲気が流れる。
そんな事してる場合じゃないんだけどね。
「とりあえず、便利屋を──『セリカちゃん!?』うぇ⋯⋯?」
ノイズ掛かった声が辺りに響く。
便利屋の方を見ても何も知らないようで同じように辺りを見回しているし、サラも何も知らないようだ。
ということはまさか──
「え、アヤネちゃん!?」
「ん。私とノノミもいる。」
「爆発が起きたと知って、慌てて来ちゃいました〜♪」
“セリカ、大丈夫だった?”
──俺が外の世界でついぞ見ることのなかったホログラム技術。それに加えて3人の乱入者。
ホログラムに映し出されたのは奥空アヤネで、駆けつけてきたのは砂狼シロコと十六夜ノノミ、それに俺が一番会いたくなかった『先生』か。
セリカの周りを囲んでセリカの安否を確認している3人。
それに加えて成人男性が1名。
どこか頼りない、二十代前半といった見た目の灰色のスーツ姿の男性はセリカ達と和気あいあいと談笑し始めている。
いや、談笑というかセリカをからかって、それにセリカが反応して噛み付いているだけか。
学生の頃に感じた疎外感のようなものを感じて胸の奥あたりがズキンと痛む。
俺もあんな青春を送れたら、ここまで捻くれた人間にならずに済んだのだろうか。
⋯⋯いや、考えても詮無き事だ。それよりも今は次に起こることへの対処が先だろう。
杖として持っていた『グリダヴォル』の石突の部分を握り、バットの要領でだらりとぶら下げる。
「⋯⋯何をする気?」
沈黙を貫いていたカヨコがこちらを射抜くように見つめ、俺はそれに答えずジッと空を仰ぐ。
──刹那、腹に響く振動と音が辺り一帯を包み込んだ。
視界の真ん中に捉えた丸くて黒い飛翔体。それに向けてグリダヴォルをバットを振るときのように体を捻り、振り切る直前で両手を離す。
ブーメランのように回転しながら宙を舞う『グリダヴォル』は飛翔体と激突し、飛翔体は一瞬の閃光と共に黒煙を上げて空中で爆散した。
一方のグリダヴォルは弧を描いて俺の手元に戻ってくる。
⋯⋯これ、杖とか銃じゃなくてブーメランとしても使えるのか。思いつきでやってみたが、案外いけるね。
「うっわ!?今度は何なのさ!?」
「これは⋯⋯!」
「何⋯⋯?」
「この音は⋯⋯」
「砲撃です!3kmの距離に多数の擲弾兵を確認!50mm迫撃砲です!標的は私たちではなく便利屋の方みたいなのですが、もう少し確認を⋯⋯」
様々な動揺混じりの声が響く中、アヤネのノイズ掛かった声が響きわたる。
キヴォトスに来てから交流はないが、ゲーム内で散々聞いたこの声を聞き間違えるものか。
「⋯⋯当然だ。」
「ど、どういうことッスか!?兄貴!」
俺の呟きを聞き逃さなかったサラが問い返してくる。
「⋯⋯そもそもの話、便利屋68はゲヘナで指名手配されるような組織だ。そんな彼女らがアビドスにあるお店を爆破したと分かれば出張ってくるのはどこの組織だと思う?」
「それは⋯⋯まさか!」
サラの声に被さるようにノイズ掛かった声が響く。
「兵力の所属確認できました!ゲヘナの風紀委員会!一個中隊の規模です!」