翡翠の海賊   作:カズサ

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そういや、ラブーン。性別設定あったっけ?


05.クジラは老人を生む

グランドラインを目指して、リバースマウンテンを飛び越えた私達の前に巨大な何かが現れた。その正体は頭に不気味なドクロの文様がある、巨大なクジラであった。それを前にして私はただ震えることしか出来なかった。くっ、なんて無力なのだ、私はっ。

 

「そち、いい加減にせよ」

「む、どうした。イレーナ」

「どうしたではない。そろそろ、着地の準備じゃ」

「おっと、もうか。早いねー。よーし、じゃ行ってくる」

 

そう言って、さっと船から飛び降りる。うーん、そこそこ高い高さなのに、あのクジラ、めっちゃ大きいな。……なんか、こっち見てるな。襲ってきたりしないよね?まあ、そんなことよりだ。船の着地点を目掛けて、先程から集めておいた風を放つ。本来はこういう使い方じゃないんだけどね。

 

「――他津間帰(たつまき)!」

 

の柔らかバージョン!これ防御技だから、全力だと着地どころじゃないし。私が放った風の塊が海面付近で止まり、爆ぜる。そして、周りに風が放出され回りだし、巨大な竜巻が作られた。竜巻の外縁は船を覆っても余りあるほど大きく、その中心部にも隙間なく風が吹き荒れている。本来の竜巻とは違うが、これ技だしね。

 

船は巨大な竜巻の中心に入り、中の風により落下速度が落ちてゆく。ゆっくり、ゆっくりと落ちていく船は水面を大きく揺らしながら着地を完了する。船が無事着地したので他津間帰を解除し、風を自由にする。そして、先程までゆっくり回っていた巨大な竜巻はさらに速度を落としながら、消えていった。ふー、やったぜ。これ、全部手動なんだよねー。

 

本来ならこれほどの風を一瞬で集めるのは、まだ出来ない。だから、リバースマウンテンの頂上を通る時に集めておいた。あそこはレッドラインの頂上。高度も高く、風は吹きまくり。集め放題のいい場所だった。おかげで空の旅も楽しめたし、やっぱ良いね。頂上。

 

「それにしても、このクジラ…なんだ?なんか、さっきから見てるけど…」

「アイランドクジラじゃ、だが、ウエストブルーやグランドラインの一部の海域にしか生息しないはずじゃが…なぜこの様なところに?」

 

クジラを眺めていたらイレーナがこちらに飛んできた。便利だねー、その能力。で、アイランドクジラ?がなんでこんな場所にいるんだ?

 

「ふむ、聞いてみるか。おい、クロッカス!おるか?」

「イレーナ?」

「隊長、船に何の問題もなく、部下達も皆無事です」

 

あ、ルッツ。君も飛んできたのか。ルッツに礼を言って船の方を見れば、ライラが寂しそうにこちらを見上げていた。連れてきてやれよ。部下達は呑気に手を振っている。さっきまでの情けない悲鳴は何だったのやら。

 

「あの……隊長?イレーナ嬢は何を…?」

「さあな。私にもわからん」

 

さっきから近くを飛び回りながら何かを叫んでいるが…一体何だ?そうやって疑問に思っていると、ルッツが突然何かをつぶやく。何だ?なにか気づいたのか?

 

「なるほど、そういうことでしたか……」

「どうした、ルッツ?」

「隊長、分かりました。イレーナ嬢がどうしたのかを」

「っ本当か!ルッツ、教えてくれ」

「ええ、勿論です。隊長、よく思い出して下さい。イレーナ嬢は古くからあの島に住んでいらっしゃったのですよ?つまり…相当な歳なんです!」

「はっ、まさか!?」

「ええ、そのまさかです。イレーナ嬢ほどの歳なら、突然何かを叫びだしてもおかしくないんです!」

「そうだったのか…!くっ、これからは会話にも気をつけるべきだな」

 

何ということだ…。ルッツがこんなにも面白いことを言うとは……!ふっ、成長したな、ルッツ!

 

「そちら、聞こえておるぞ」

 

ルッツの成長に喜んでいるとイレーナが戻ってきた。いや、別に私はイレーナが歳で頭がイッたとか、思ってないから。あくまでルッツの推測だから。まったく、ルッツは女性に対するデリカシーがないんだからな!なっ?イレーナもそう思うだろ?

 

「はあ、まったくもう良い。それより、ほれあそこじゃ」

「うん?あそこ?」

 

イレーナが指した方向を見たが、クジラしか居ない。どういうこと?まさか、さっきはクジラと話していたというのか?これもしかして、ルッツの推測通り……。

 

「隊長。やはり、イレーナ嬢は…」

「くっ、みたいだな。これから接する時、気をつけなくちゃ」

「たわけ!そうではない。ほれ、もうすぐ出るぞ。まあ、妾も少々予想外の場所で驚いたがのう」

 

でる?出産か?と適当なことを考えながら見てると、クジラの頭から人が出た。???

 

グランドライン、マジ意味わかんねぇ……

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

なるほど。そういうことだったのか…

 

ざっくり話すと、先ほどクジラが出産したおじいさん。クロッカスさんはこの双子岬の灯台守だそうだ。クロッカスさんはどうやら昔――イレーナ曰く、少し前――グランドラインに遊びに行った時にクロッカスさんが乗っていた船に数日乗せてもらったことがあって、その時知り合ったらしい。グランドラインって遊びに行く場所なの?

 

クロッカスさんを産んだこの巨大なクジラは、名前がラブーンというらしい。そのラブーンは昔ある海賊団の連れ子だったが、グランドラインは危険なのでこの双子岬に託児をした。だが、実はそれは託児ではなく、置き去りだったのだ。

 

そして、ラブーンを置き去りにした海賊団は完全犯罪を為すためにカームベルトの横断を試した。それを知ったラブーンは自分を置き去りにした海賊団を捕まえるためにレッドラインに頭をぶつけて破壊を試すが、悲願ならず傷だけ増える日々だった。そんなある日、双子岬にとある海賊団が現れラブーンにこう言った。「父親に、おれはなる!」と。それを聞いたラブーンは「彼は私の父になってくれるかもしれない男だ」と感じ、レッドラインへの破壊行為をやめる。そして、海賊はラブーンに自分の象徴を刻み、それを親子の証として、グランドラインへ旅立ったのだ。

※少しの意訳があります。

 

ふー、いい話じゃねぇか。先ほど不気味な文様と言ったのは取り消さなきゃな。あれはその海賊とラブーンの絆と言える文様。不気味なんて言えるわけがない。

 

「なるほど…そういったことでしたか。先程は失礼なことを言ってしまいましたね。後でイレーナ嬢に謝らなくては」

「ああ、それがいいだろう。いくら何でも、女性に対して老いてイッてしまったなど、失礼にも程がある。ちゃんと、謝っとけよ」

「はい、勿論です」

 

ルッツは頭が硬すぎて思考がカタカタしてしまい、真顔で変なことを言う時があるんだよね。まったく、私みたく常に柔らかい頭をして欲しいものだよ。

 

イレーナは今、クロッカスさんの引っ越しを手伝ってあげている。どうやら、彼はラブーンがレッドラインに頭突きをするたび、中から直接麻酔薬を刺すことで落ち着かせていたらしい。だが、今はラブーンも頭突きをやめたので、岬の家に戻るらしい。それでイレーナは幽霊使用人を率いて手伝いをしている。彼奴等、物理干渉出来るんだ…。

 

手伝おうかと聞いたが、荷物は少ないので人手はそんなに要らないらしい。なので、私達は終わるまで船で待っている。老人2人で積もる話もあるのだろう。

 

「むう」

「ふふ、どうしたの?ライラ」

「別にぃ、むう」

 

くっ、可愛いじゃねえか。どうやら私達が空で話していたのが寂しかったようだ。拗ねて可愛いね。

 

「今度からはライラも連れてってあげるから、機嫌直して?」

「むう……ほんとう?」

「勿論だよ、約束する。次から絶対にライラも一緒」

「…じゃあ、ゆるす」

 

フッ、チョロいね。まったく、ルッツが初めから連れてきてくれれば良かったのにねー。ちらっ。

 

「申し訳ございません、ライラ嬢。配慮が足りませんでした」

「うん、そうだね。次からは気をつけてね?」

「はい、勿論。次からは必ず連れていきます」

 

これでめでたしめでたしだね!

 

「どうやら、そちらも話が終わったようじゃの」

「あ、イレーナ。戻ったのか」

「うむ、待たせてすまぬのう。こちらの用事は終わった、出航しても構わん」

 

岬の方を見ればクロッカスさんがこちらを見て軽く手を振ってくれた。こちらも振ってあげよう。

 

「よーし。じゃあ、出航だ!目標はっ……」

 

どこだっけ?イレーナの方を見る。やめてそんな目で見ないで。

 

「まったく、そちは…ほれ、ログポースじゃ。これがあればグランドラインでも次の島が分かる」

「おおー!これが。なるほど、方角は…あちらか。じゃあ、改めて。野郎共、出航だ!」

『オォー!!!』

 

こうして双子岬を去り、初めての島へ向かう航海が始まった。が

 

「船長ー!波がヤバいです!」

「キャプテン!海からでっかい魚が!」

「センチョー!空から豪雨がー!」

 

うーん、慣れるまでには時間がかかりそうだな。この能力のおかげで天気予報は誰よりも得意なんだけどねー。なんとか能力を使い嵐の影響を最小にしているが、なにせ波がヤバいからね……。まっ、慣れるだろ!ワッハッハー!全速前進だー!さっさと嵐の領域から抜けるぞー!

 

「隊長、嵐の中で遥是は…!危険…過ぎます!」

 

ルッツがなんか言ってるが気にしない。さあ、往くぞ。グランドライン!

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

そうして、嵐の中を突っ切りようやく抜けたその先。

 

「あー、ここでかー」

「おー、壮観ー」

「くっ、これは……!」

「ほう、なかなかの数じゃな」

 

嵐を抜けたその先、晴れた空の下には、海軍の艦隊が私達を待ち構えていた。

 

 

 




原作キャラの再現は難しいんですよね。なので、直接の登場はありませんでした。代わりにラブーンの話はできる限り原作のイメージを崩さないよう注意しました。

改めて、主人公の設定。ミドルネーム周りは今度話す。
エルツ・J・ユリウス(Erz Julis Julius)
異名:エルツ・『ジェイド』・ユリウス
役職:船長
年齢:20歳
体格:180cm・72kg
外見:金髪・翡翠色の瞳・気品のある顔
イメージカラー:翡翠・金
出身海:サウスブルーのジェイドリア王国
武装:ヴィリディス - 大業物
能力:悪魔の実 超人系 カゼカゼの実
備考:元ジェイドリア王国王族。

ヴィリディス
種類はカトラス、等級は大業物
王国の国宝。鞘と鍔に翡翠の飾りが施されている。
海賊になる時、国王からのプレゼント。

アルス・ユリアナ
ユリウスが王国固有の剣術を自己流に改変した剣術。
剣と能力を同時に使うユリウス固有の剣術。
※最初のお披露目以外は大事なシーンだけ付ける

ユリウスには剣術の才能はあるが、ワンピース作中に出る一流の剣士には及ばない。
ユリウスはそれを能力で補っている。
例えばゾロは純粋な剣術と腕力で斬撃を飛ばすが、ユリウスは能力を使い飛ばす。
故にゾロより早い時期から飛ぶ斬撃を使う。

過舞立(かまいたち) 鎌鼬
アルス・ユリアナ――過舞立
風を剣術に乗せ飛ばす巨大な斬撃。
威力は高いが、使うには風を少し溜める必要がある。溜めてる途中、戦闘に影響はない。

刃矢天(はやて) 疾風
アルス・ユリアナ――刃矢天
小さく速い斬撃を飛ばす技。過舞立より威力は低いが、素早く複数の斬撃を飛ばすことが可能。
使うのに溜めが必要なく、ほぼユリウスの基本技ポジション。
故に作中では初披露時以外は技名をあまり叫ばない。

御威加是(おいかぜ) 追い風
補助技。風で移動速度を上げる技。斬る動作に風を乗せ威力を上げる事も可能。
技名は設定上だけ存在し、作中では出る場合は殆ど無い。
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