アリスルール・オンライン~現実の才能がスキルになる魔導師特化型VRMMOで、俺の固有スキルは【魅了】だったんですが?~ 作:ひきさん
高校三年生の夏。
ついに成人した俺、篠森鏡介《しのもりきょうすけ》は、ずっと遊びたかったVRMMOゲームがどれでも遊べるようになった。
昨今、めちゃくちゃ面白そうなVRMMOでも、レーティングが18+なことが基本になっていた。まあ、現実そのまま異世界に行くようなゲームだ。実質的に
なんにせよ、俺は18歳。これで思う存分遊べる。
さて、どのVRMMOを遊ぼうか。
情報収集と機材のセッティングに夏休みの1日を割いていた俺に、一通のメッセージが届いた。
「新作VRMMO『アリスルール・オンライン』本日全世界リリース! あなたの才能がスキルになる魔導師の塔『アリスルールの巨塔』で、魔導師の頂点を目指そう! 無料招待キャンペーン実施中!」
丁寧にURL付きのメッセージに、なんだいきなり宣伝か? と思った俺だったが、追加でこんなメッセージが来た。
「よ、鏡介。成人したんでしょ? わたし前からずっとこのゲーム楽しみにしててさ、一緒に遊ぼうよ~」
俺は黙って通話ボタンを押す。
「おまえ招待ボーナス欲しいだけだろ、火咲《ひさき》」
「えええ、まさかわたしの企みを読み切るとは!? さてはキョウスケ、エスパー!?」
通話に出たのは、いわゆるハムボと呼ばれるジャンルの可愛らしい声。
クラスメイトの、有賀火咲《あるがひさき》だ。
こいつとは一年の頃からなぜか毎回クラスが一緒で、そのせいかすっかり腐れ縁になってしまった。
まあ明るくて面白い奴だし、容姿もロリ系で可愛らしいのだが、陰キャの俺にとってはやや陽の気が強すぎる相手でもある。
「お前ごときの考え、エスパーどころかハムスターでも読めるわ」
「うえええ、わたしはハムスター以下ってことぉ!? おいこら! せめてチワワくらいにしてよ!」
ハムスターがダメでチワワはOKという火咲の基準はあまりにも突っ込みどころが多かったが、まあ無視しておこう。
「……まあちょうど、どのVRMMOを遊んでみようか悩んでたから、遊ぶの自体はいいけどな。どんなゲームなんだ?」
「……『アリスルール・オンライン』はねー、魔導師特化型VRMMOなんだよ。世界中の魔導師が集まった魔導師の巨塔『アリスルールの巨塔』の頂点を目指すゲームなんだって!」
「魔導師特化ねぇ……それ、面白いのか? 剣士とか、盾持ちとか、僧侶とか、そういうのがいないってことだよな?」
「わたしは実はクローズドβ参加したんだけどねー、マジで遊べば分かるよっ! 凄まじい神ゲーで、遊びつくせる気がしなかったっ! PVEもPVPもしっかりしててねー、本当魔導師の人生になり切れる感じで、マジ面白いよー」
「へぇ、お前がそこまで言うなら、面白いんだろうな」
この火咲、こう見えてとんでもないガチゲーマーで、4月に誕生日があるのを良い事に、すでに大人向けVRMMOゲームを遊びまくり、別タイトルで早くも公式大会で優勝したりしているらしい。喋り方は馬鹿っぽいが、かなり有能な女の子なのだ。
火咲は高校卒業したらプロゲーマーになる予定らしく、おそらく今回『アリスルールの巨塔』に誘ってきたことにも意味がある。
彼女が新作をやりたがるということは、この新作が流行してメジャータイトルに進化するという確信があるのだ。彼女はその先陣を切ろうとしているのだろう。
「しかもねー、固有スキルっていうのがゲーム始めた時にもらえるんだけど、これが自分の脳をスキャンして現実の自分の才能で何がもらえるか決まるんだってっ! すごいよねっ!」
「……それは確かに面白そうだな。キャラ性能に現実の才能が関係するのか」
「そうそうっ! その固有スキルを見てから、キャラメイクできるんだよねー」
「わかった。やってみるわ。ありがとな」
「ちゃんとさっきのURLから始めてね! 招待ボーナスがお互いに入るからっ!」
「オッケー」
俺はそうして、初めてのVRMMOでアリスルール・オンラインの世界に入ることを決めた。
そして数時間後、俺は叫ぶことになる。
「おめでとうございます! あなたの才能から、固有スキルとしてエピックスキル【魅了】を獲得しました!」
「おいぃいいいいい! 人聞きが悪すぎて火咲に見せたら爆笑されること間違いなしなんだがぁあああああ!?」
魔導師ロールプレイをする気満々で来た俺は、【魅了】ロールプレイとかいう恥ずかしすぎるプレイスタイルに切り替えることを強いられていたっ!
いったいどうなってるんだこのゲーム!? おい、火咲ぃいいいいいいいっ!?