【悲報】新作VRMMOで錬金術師ロールプレイするはずが、固有スキル【魅了】で曇らせハーレムを錬金してしまう 作:ひきさん
その後、中級試験当日までの時間は、地道な自己強化に励んだ。
具体的には、集めた素材と購入した≪巨大肉≫や≪香草≫などを使って、≪魔物寄せの香草肉≫をいくつか作り、それを≪満腹の罠:魔物寄せの香草肉≫に錬金していった。
その後、魔術の開発を試そうと思ったが、面白い魔術を作ろうと思うと持ってない魔法材料や≪式≫がどうしても必要になるという壁にぶつかり、悪戦苦闘していた。
なんとか持っている材料と≪式≫の範囲で新しく作れた魔術が――
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≪式≫:≪「肉体」を「【生命錬金】」で「異常」から「正常」に変える≫
≪媒介≫:≪「肉体」≫
≪代償≫:「薬草」
≪魔術意図≫:「肉体の傷や病、状態異常などを生命錬金術で正常に変える魔術」
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という式によって出来た魔術――【生命錬金:肉体正常化】だ。
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レアスキル【生命錬金:肉体正常化】
代償:薬草
使用した薬草の効能に合わせて、肉体の傷や病、状態異常などを生命錬金術で正常化する。
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これにより、俺は錬金術師でありながら、薬草を消費してヒーラーとしての役割も持てることになる。
キンググリフォン戦では【王威咆哮】の【恐慌】状態だけでパーティが半壊した。それも、【恐慌】を直せる薬草さえあれば、もう怖くはないのだ。
おそらく、別行動のツキトや火咲も引き続き自己強化や素材集め、≪式≫集めに励んでいることだろう。
たぶん、俺たちはプレイヤー2000万人のなかでもかなりスタートダッシュを切っている方だと思う。
中級試験は、成果が期待できそうだ。
そんなことを考えながら色々と活動しているうちに、俺たちは中級試験の当日を迎えていた。
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中級試験の会場は第11層≪魔の森≫であり、試験日には第1層≪学園都市ガーデン≫から直通のワープポータルが用意されるそうだ。
俺たちがそのワープポータルの設置がアナウンスされた魔術大学の第2キャンパスに辿り着くと――
――ものすごい人数のプレイヤーが、集まっていた。
並んでいる。
ものすごく並んでいる。
ワープポータルは人数一杯に載せれば100人くらいは載ると思うのだが、にもかかわらず凄まじい長蛇の列が出来ている。
「いやーすごいね! これが初日プレイヤー数2000万人のゲームかぁ……」
火咲もさすがにここまで大規模に人数の多いゲームは初めてのようで、興奮した様子でその光景を眺めている。
「人数制限とかないよな?」
「ないない! 中級試験は誰でも受けれて、人数制限もなし! ≪魔の森≫はめちゃくちゃ広いからねー」
「これ、何人が受かるんだい?」
「βだと、中級試験の合格基準は決まってたね。テイムしたモンスターの点数が上位1割に入る。それがシンプルな中級試験の合格方法だよ」
「1割か、結構厳しいな。それにしても、みんな3人チームをちゃんと組んできてるのか?」
「そうじゃない人はランダムマッチングで参加だね。もっとも、そんな野良チームでクリアできるほど甘いゲームじゃないけどね」
俺たちは順当に3人チームで参加申請を済ませ、やがてワープポータルの番が来た。
そうして訪れた魔の森は――
巨大な、巨大すぎる木々が支配する、薄暗いおどろおどろしい森だった――
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<第11層≪魔の森≫>
深き昏き森には、数多くの魔物が棲まう。
樹冠を渡る翼、地を這う鱗、夜闇に光る無数の眼。
踏み入る者は、彼らの獲物を探す目に己もまた映ると知るがいい。
時には勇気を奮い立たせ挑むことが、新たな友を見出すことに繋がるやも――
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辿り着いた森の中の広場には、物凄い数のプレイヤーたちが集合していた。人数から見るに、どうやら全員が同じ場所からスタートではないようだが、それでも意味が分からないくらいの人数だ。
見ると、プレイヤーたちは本当に多種多様で、多くの外国人と思しきプレイヤーがオーバーリアクションで楽しそうに喋っている。
中にはテイムしたモンスターを連れているのか、大きな蜥蜴に跨っている奴、肩にカラスを乗せている奴、空を泳ぐ大きな魚を釣れている奴などがいて、本当に面白い光景が広がっていた。
これが――アリスルール・オンライン。
その広すぎる世界の一端を感じる光景に、知らず知らずのうちに胸が高まる。
広場の向こうには、見たこともないほど太く高い木々が並んでいた。
幹の周囲を何人で囲めば一周できるだろうか。その根元には人が入れそうな洞があり、頭上の枝葉は重なり合って、森の奥を薄暗くしている。
これが、第11層≪魔の森≫。
今は受験者として入れてもらっているだけだが、合格すれば第30層まで行動範囲が広がるらしい。
ミナエルの待つ、第200層までは、遥か遠い。
だが、俺はそれを目指すと決めた。
まずは、この試験を最速で勝ちあがる。
「こっち! わたしたちは東部第86区画だって!」
火咲に呼ばれ、案内表示に従って歩く。
受験者たちは次々に別の道へ振り分けられていた。どうやら、同じ森のあちこちで試験を行うらしい。
俺たちが案内された場所には、すでに何組ものパーティが集まっている。
「おー、みんな強そうだねっ!」
「嬉しそうだな」
「そりゃそうだよ! 強いプレイヤーに勝つのが、一番気持ちいいんだから!」
火咲は実に分かりやすいバトルジャンキーだった。
今の内に、俺も持ち物を確認する。
風王剣。作り足した罠。餌にする料理。採集した薬草たち。
今回は、俺の錬金術師らしいところを、真の錬金術師たる所以を、しっかり見せつけてやろうじゃないか。
「それでは、規則を確認してください」
試験官らしいローブ姿の女性が告げると、視界に表示が現れた。
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<中級試験:≪魔の森のテイム試験≫>
3人一組で、魔物をテイムせよ!
制限時間:90分
この区画の100組中、得点上位10組が合格!
同じ種類の魔物は何体捕まえても1体分としかカウントされない。
終了時に生存し、契約が継続している魔物を採点する。
魔物を殺した場合、その配点分を減点する。
持ち込んだテイムモンスターは採点対象外。
本試験中、テイムモンスターの同時召喚数は3体となる。
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「殺すと減点、か」
「そう! 剣の扱いには気を付けて!」
俺は思わず、腰の風王剣を見下ろした。
せっかく手に入れた格好いい剣なのに、個の試験では使いどころが難しいようである。
「ツキトの魔術は絶対使えないな」
「ふふっ、あれをここで使ったら、何点引かれるんだろうね?」
ツキトは笑いながら、試験の配点表を開いた。
俺も同じものを見てみる。
森狼が10点、鎧猪が30点。ほかにも、知らない魔物の名前がずらずらと並んでいる。
そして、ベビードラゴンは150点だった。
「やっぱりベビードラゴンの点数はβ通り高いねっ!」
「狼十五頭分か。そりゃ、上位がみんな捕まえてたって言われるわけだ」
「とはいえ、いきなり狙って彷徨っていても仕方ないからね。まずは、僕たちの戦術がどれくらい使えるか、手ごろな魔物で試してみよう」
ツキトの提案に、俺も頷いた。
やがて、試験官が合図した。
「それでは――開始!」
受験者たちは、一斉に動き出した。
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「いた。あの倒木の向こうに、二頭」
ツキトの示した先で、灰色の獣が動いていた。
狼だ。
ただし、普通の狼よりも一回り以上大きい。木の根を跨ぎ、鼻を地面へ近づけながら、こちらへ横腹を見せて歩いている。
「≪森狼≫だね。鼻も耳もいいから、すぐ逃げるよ」
「……それ、どうやって近づくんだ?」
「近づかなくていいんだよっ!」
火咲が、にやりと笑った。
「キョウスケ、そこに罠置いて。餌もね」
「了解」
木の根の間の平らな場所に、≪満腹の罠:魔物寄せの香草肉≫を置く。
中には、昨日焼いたばかりの香草肉。
包みを開いた途端、思わず腹が減ってくるような匂いが漂い始めた。
「わたしも食べたくなってきちゃいました♡ ご主人様、あーんしてください♡」
「召喚解除っと」
ベルと漫才をしている間に、火咲が、森狼と俺たちの間へ手を向ける。
「【流動音響】」
次の瞬間――
ざっ、ざっ、と、足音が聞こえた。
俺たちのいる場所からではない。
狼たちを挟んで、向こう側の茂みからだった。
森狼の耳が、音の方へ向いた。
二頭とも、俺たちのいない方をじっと見つめている。
「今のうちに下がって! 人が来たと思わせて、あっちを警戒させるから」
見ると、火咲は足音を鳴らすように木の葉の上で足踏みしている。
俺たちは木々の陰へ後退する。
火咲の足音は、狼の向こう側で、ゆっくり近づいているように聞こえた。
姿の見えない相手を警戒した森狼が、唸りながら、少しずつ後ろへ下がる。
と、肉に気付いたようだ。
まず二頭が一斉に、こちらの地面へ鼻先を向ける。
匂いを嗅ぎながら、一歩、二歩。
俺は木の陰で、思わず息を止めた。
森狼が、大きく口を開ける。
そして――
一頭ががぶり、と香草肉へ食いついた瞬間、地面に寝かせてあった鉄輪が跳ね上がった。
「ガゥッ!?」
胴を抱え込まれた森狼が、足をばたつかせて転がる。
「掛かったっ!」
思わず声が出た。
もう一頭が危機を察して逃げ出す。だが、捕まった方は暴れながら動けずにいる。
「よし! キョウスケ、押さえて!」
「おう!」
俺は飛び出し、暴れる狼のそばへ膝をつく。
牙が見えた。でかい。近くで見ると、なおさらでかいっ!
「こいつ、本当にテイムできるんだろうな!」
「もちろん!」
噛まれないように横へ回り、鉄輪を地面へ押しつける。
狼は首を捻って俺に牙を向けようとしたが、その鼻先へ火咲が残りの肉を差し出した。
「はいはい、まだあるよ。美味しかったでしょ?」
唸り声。
それから、鼻を動かす音。
森狼はしばらく俺と肉とを見比べた末に、結局、肉の方へ口を伸ばした。
よし、俺より肉の方が美味そうだと思ってくれたらしい!
火咲が契約魔術を唱える。
狼の身体を光が包み――
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<≪森狼≫のテイムに成功しました!>
≪森狼≫:10点
チームの暫定得点:10点
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「よしっ!」
「やったねっ!」
火咲と、思わず顔を見合わせる。
作った罠が、ちゃんと役に立った。
目の前で本物みたいに牙を剝いていた狼が、俺の作った道具で捕まり、今は火咲の手に鼻を擦りつけている。
まずは順調な成功に、俺は一息をついた。
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――と、俺たちが最初の成功に喜んでいた、その時だった。
木々の向こうから、大きな羽ばたきが聞こえた。
「……ん?」
反射的に身構える。
太い幹の間を、赤い翼が横切った。
竜だ。
大人の人間よりも大きな竜が、枝を揺らしながら、低く飛んでいる。
「……ベビードラゴン!?」
火咲が声を上げた。
竜の下を、灰色の獣たちが走っていく。
森狼が、三頭。
追われているのだ。
その逃げた先で、突然、地面がせり上がった。
突然現れた土の壁を避けようとして、狼たちが横へ向きを変える。そこには、張り渡された大きな網があった。
「入った! 押さえて!」
知らないプレイヤーの声が飛ぶ。
網に絡まった狼たちへ、二人の魔術師が駆け寄った。
そして、竜の背から、一人の女性が降りてくる。
「そのまま。そのままね。火は吐かないで」
女が首を撫でると、竜は従順に頭を下げた。
……もう、テイムされている。
「あの竜、持ち込んだのか?」
「いや、ベビードラゴンは初心者の階層には出ない。もうテイムしたんだね」
「あれは、β組かな……」
火咲は、さっきまでとは違う真剣な顔で、その光景を見ていた。
俺は、そこでようやく気付く。
竜を捕まえれば、それだけで150点。
だが、それで終わりではない。
あのチームは、その捕まえた竜を使って、今度はほかの魔物まで追い立てる助けにしているのだ。
「この試験、得点した分だけ、戦力も増えるのか……!」
「そう。この試験、後から追いつくのはだんだん難しくなる。いわゆるスノーボールするゲーム性なんだよ」
火咲が配点表を開き直した。
「次は、わたしたちの得意な方法で捕まえられて、捕まえた後にも活躍できる魔物。そういうのを探そう」
なるほど。それなら俺たちにも――
そう思って一覧を眺めていた俺の目が、一つの項目で止まった。
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≪ラミア≫ 100点
人の女性に似た上半身と、強靭な蛇の下半身を持つ魔物。
高い知性を持ち、言葉を理解する。
獲物を魔眼で引き寄せ、長い尾で絡め取り、決して逃がさない。
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「……火咲」
「なに?」
「これ、俺ならいけるんじゃないか?」
火咲が、俺の開いた項目を覗き込む。
それから、俺の顔を見る。
「……あー」
そして、もう一度、説明文へ視線を戻した。
「なるほど。キョウスケの
俺の固有スキルは、【魅了】――
まさしくこういう時のためにある、テイム特化スキルである。
「ご主人様っ♡ 捕まえても、あくまで正妻はベルですよねっ♡」
「お前は勝手に出てくるな」
妄想たくましい鐘妖精を再び召喚解除しつつ――
「んじゃ、
俺たちは次の一手を打つのだった――