【悲報】錬金術師ロールプレイするつもりでVRMMO始めたのに、現実の才能を反映したスキルが【魅了】だったんだが。しかもこのスキルなんかリアルの女友達にも効いてるけどバグ? 作:ひきさん
空が、赤く染まる。
もちろん、夕焼けではない。ゲーム内の時刻はまだ昼前だ。
木々の隙間から覗く空の色が、遠くから順々に、赤く塗られていく。
そして――
――熱い。
まだ何も起きていないはずなのに、皮膚が、じりじりと、熱い。
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<警告!>
エピックモンスター:≪ファイアドラゴン≫が飛来した!
受験者たちは備えよ! この竜は、森を燃やす!
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「……何をどう備えろと?」
「そんなこと言ってる場合じゃない! 【縛りプレイ:流動限定】!【流動地面】!」
気付けば、森の向こうから火が伝わってくる。
遠くで巨木がメラメラと燃えているのが、木々の隙間から視認できる。
ものすごい高さの炎の壁が、こちらに向かって凄まじい速度で広がってきている。
そして――その炎の壁の上空を、巨大な竜が飛んでいた。
まるで、城。
キンググリフォンが豪邸だとしたのなら、あれは城だ。
赤い鱗が炎の光で輝いて、広げた翼の下は、赤く燃えている。
――あれがエピックモンスター、≪ファイアドラゴン≫……
「【流動地面】!」
ひどく焦った様子の火咲が、なにかをしている。
二度目の【流動地面】で、やっと火咲がやっていたことが分かった。
二つの線が、森の中に走る。
どろどろと溶け落ちた地面が、二本の塹壕となって、炎の壁の目の前に二重線を引く。
「ちょっと手段選んでる場合じゃない! 配信をつけるっ!」
と、火咲は俺たちの了承も待たず、配信機能を起動した。
自動でサムネイルとタイトルが生成される、簡易配信機能だろう。
すぐさまこの間のバズでチャンネル登録していた視聴者たちが集まってきたようで、火咲のエピックスキル【観客】の効果で【縛りプレイ】のバフが増幅される。
――森に走る二本の線が、太く、鋭く、そして速くなった!
炎の壁は辺り一面を飲み込んでいくが、火咲の二本の塹壕が間に合い、大きく円を描いて俺たちが無事でいられるフィールドを作り上げた。
なんとか、命が繋がる。
「ベル! 【流動地面】で木に空白を作りなさい! 【鎧猪】は倒せる木を倒して回ってベルを手伝う! キョウスケはラミアを召喚解除! こいつが死んだらこの戦い、たぶん詰むっ!」
「幸せの鐘を鳴らしますぅーっ♡ 【妖精鐘:タロットベル】♡――からのぉ【妖精の踊り】♡」
「今回もいいところ見せちゃいますよ♡」
「わたしが一番活躍して、褒めていただきます♡」
「【流動地面】♡」
「【流動地面】♡」
「【流動地面】♡」
「【流動地面】♡」
「【流動地面】♡」
相変わらず2体は初動でサボっているが、残りの5体が火咲の作った二本の塹壕の内側の領域で、木々を【流動地面】で倒したり移動させたりして、簡単に火が延焼しないようにフィールドを作っている。≪鎧猪≫も、硬い身体の突撃で木を倒して、わずかに貢献する。俺は言われた通りラミアを召喚解除する。
――そして、竜が、降りてきた。
とんでもない大きさの巨木が、竜の重みでめきめきと音を立てて傾いて――そのまま、炎に変わる。
あの竜は、触れただけで、木を燃やしてしまう。
鱗そのものが、とんでもなく熱せられているのだろう。
「【数値移動:頑丈】!」
頑丈をベルからもらっておく。頑丈値44も気休めに過ぎない気はするが――
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<警告!>
≪ファイアドラゴン≫は【灼熱咆哮】を唱えている!
強靭な精神を持たぬ者はその場で理性を失う!
凄まじい熱波が周囲全体を襲う!
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王と同じやつか? いや、熱波の攻撃が追加されているようだ。
「【縛りプレイ:思考停止】!」
火咲の詠唱と、竜の咆哮は、ほぼ同時だった。
「ぎゅおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
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≪ファイアドラゴン≫の【灼熱咆哮】!
≪ひさきちゃんねる≫は強靭な精神でレジストした!
≪キョウスケ≫は強靭な精神でレジストした!
≪ツキト≫は【恐慌】+200%に陥った!
≪森狼≫は【恐慌】+1000%に陥った!
≪鎧猪≫は【恐慌】+1000%に陥った!
≪ベルフェアリーガール≫は強靭な精神でレジストした!
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鼓膜が痛むが、63の精神値のおかげでなんとか耐えきった。
≪森狼≫と≪鎧猪≫が悲鳴を上げて暴れ出そうとして、火咲が即座に二体を召喚解除した。
そして、ツキトは――微笑んだまま、オーブを取り落としていた。
だが――
今なら、直せる!
「【生命錬金:肉体正常化】!」
≪ディル草≫をアイテムボックスから取り出し素早く掴んで、覚えたばかりの回復魔術を使う。
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≪ツキト≫の【恐慌】が正常化されました!
≪ディル草≫を消費しました!
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「ありがとう……今のはなかなか怖かった」
「錬金術師らしい活躍がやっとできたな……」
キンググリフォン戦で半壊した原因を、俺はきちんと潰していた。
その成果がちゃんと発揮されたというわけだ。
――もっとも、戦いは始まったばかりだが……
竜が首をもたげ、喉が内側から赤く光を放つ。
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<警告!>
≪ファイアドラゴン≫は【灼熱吐息】を唱えている!
この炎は灰も残さない!
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「【流動地面】♡」
「【流動地面】♡」
「【流動地面】♡」
「【流動空気】♡」
「【流動地面】♡」
「【流動空気】♡」
「【妖精占い】♡」
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<妖精占いの結果が出ました!>
2秒後、壁の中に飛ばないと死にます!
3秒後、【灼熱吐息】で妖精が全員死にます!
55秒後、周囲のすべてが炎に包まれて全員死にます!
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「……はっ! とんでもねぇなぁっ……!」
「ご主人様、左へジャンプです♡ 灰になっちゃいますよっ♡」
言われた通り、即座に左へ跳ぶ。
つい一瞬前まで俺がいた場所が、真っ白な炎で包まれた。
もはや、炎ですらなかった。光である。光が、空間を、木も地面も関係なく蒸発させている。
「また来世、ご主人様っ♡」
「さようなら♡」
「大好きですっ♡」
「わたしが一番大好きですよっ♡」
「いいえ、わたしの方が大好きですっ♡」
「わたしの恋は、もっともっと熱いですっ♡」
「これしきの炎で死なないくらい、強くなってみせますっ♡」
空を浮いてフィールドを調整しにあちこちに飛んでいたベルたちは、俺たちを守る壁を優先したせいで、全員死亡してしまう。
「熱すぎでしょっ! 【縛りプレイ:常時浮遊】!【流動空気】!」
火咲が宙に浮いて、燃える地面から足を離し、ベルが残した壁に入り込む。その手から暴風が発され、炎が少しだけ横へそれる。
「いいねっ! 【観客】がすごい効いてる! 何コメントされてるのか見る暇もないけどっ!」
確かに、前に見た時より、火咲の動き、火咲の魔術はより鋭く速かった。
――竜が、ゆっくりとこちらに歩き出す。
踏みしめた地面が、燃えて溶けていく。
「愚かなニンゲンよ! 我は、我を倒すことが出来た者のみに従う! 我の試練を受けてみよっ!」
――喋ったっ!
ベルや≪ラミア≫も喋っているから今更ではあるのだが、このゲームのNPCやモンスターは意思を持っているらしい。
「【物質射出】【位相転移】」
ツキトの石の槍が、竜の言葉を受けて上に発射され、ぐるぐると回転し始める。
「【速度倍増】【魔術反復】【魔術反復】【魔術反復】」
ツキトは、言わなくても俺たちであれば連携してくれると信じているようで、一人で切り札を詠唱し始めた。
「キョウスケっ! 絶対にツキトを守るっ! 30秒、稼ぐよ!」
ツキトのあの魔術は、魔力量的に30秒が限界性能らしい。
おそらく、フルスペックでいかないと、あの灼熱竜を討伐することは難しいだろう。
「【流動地面】!」
火咲が、竜の足元をどろどろと溶かす。
――が、竜は翼をはばたかせただけで宙に浮き、回避される。
「【暗殺風刃】!」
火咲の次の一手が放たれ――感知不能な見えない刃が、空を切った。
空を飛ぶ竜の翼が、裂けた。
「浅いかっ!」
竜は、今の攻撃で飛びづらくなったのか、俺たちの真ん中に降りる。
次の瞬間、轟音をたてて爪が襲いくる。
「風王剣で受けて!」
火咲の指示に、俺は風王剣を抜く。ここまで使いどころがなかった、キンググリフォン戦の戦利品だ。
王を殺して得た剣が、竜の爪を受ける。
火花が立つ。
頑丈44、力29のステータスで受けてなお、腕の骨がみしみしと悲鳴を上げる。
これは、受け切れない――
――から、受けるのをやめて、振りぬいた。
風王剣のスキル【真空王刃】が俺の意思を受けて発動し、竜の爪すら真っ二つにする一撃を放つ……!
――そのまま竜の前腕まで刃が入った。
「ぎゅおおおおおおおおおおっ……!」
赤い血が噴く。
その血は、めらめらと燃えていた。
結論として、風王剣は、竜にも通るっ……!
「よしっ!」
「やるじゃんキョウスケっ!」
だが次の瞬間――尾が来た。
視界が揺れて、頑丈44の身体が木っ端のように吹き飛んだ。
幹に叩きつけられて、げふっ、と口から血を吐き出す。
燃えている。
尾を受けた、背中が、燃えている。
「ぐぅ……【生命錬金:肉体正常化】……」
回復効果、火傷治癒効果のある薬草を使って、なんとか身体を回復させる。
竜を、見る。
竜は、俺を見ていなかった。
宙を飛び回る火咲を、その長い首で追っている。
吐息が発される。
火咲が消えたとしか思えない速度で避けて、その先の巨木が根元から溶け消える。
俺も、まだまだ仕事をしなければ。
幸い、この剣は竜にも通る。
通るなら、気を惹くことだってできる。
もしかすると、勝つことすらできるかもしれない。
なら――やることは、決まっているだろう?
「火咲っ! あと何秒だ!?」
「15秒……!」
「【速度倍増】【魔術反復】【魔術反復】【魔術反復】」
「【縛りプレイ:被弾禁止】!」
思考停止。常時浮遊。流動限定。被弾禁止。
4つの鉄環を着けた少女の姿が、宙で、消えた。
「ラミアの魔眼で気を惹いて!」
「おう!」
残された火咲の声に、俺はラミアを召喚しなおして、灼熱竜を魅了させる。
「ふふっ、あの生意気な竜を従わせればいいのね? 【魔眼】♡」
俺は、風王剣を構えた。
15秒、耐えきって見せるっ!
「こっちだよっ!」
俺は、竜の足元へ素早く近づく。
燃える地面を、踏む。足が、焼ける。焼けるが――頑丈値のおかげで、走れるっ!
そのまますれ違いざまに、風王剣を、後脚へ叩き込む。
燃える血が噴き出す。
竜の首が、俺へ向いた。
爪が来る。
風王剣で、受ける。
肩が、砕ける音がした。
「があっ……!」
視界が、黒く染まる。
だが――まだ、立っている……!
喉が、赤く光る。俺へ。至近距離。
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<警告!>
≪ファイアドラゴン≫は【灼熱吐息】を唱えている!
==========
ラミアが、俺をラミアの横にあった壁へ引き倒し、自らも壁に隠れる。
白い光が、俺のいた場所を通って、その辺り一面をすべて蒸発させた。
竜が翼を広げる。俺の姿が視界から消えて、魔眼が切れたらしい。
「飛ばれるっ!」
「【流動地面】!」
火咲の声。四本の脚が泥に沈む。物凄い威力の流動魔術に、腹までが沈み切る。―
「【生命強化】!」
俺は、近くの木の根に生命魔術を使った。
学生寮ほどもある巨木の根が、竜の身体に絡みつく。根は燃えるが、竜は飛べなかった――
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<警告!>
≪ファイアドラゴン≫の【灼熱竜鱗】!
全身の鱗が赤熱する! 触れたものはすべて燃えて消える!
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竜の全身が、赤く光った。根があっという間に燃えて消える。
竜が首をツキトへ向けた。吐息っ!
「【流動地面】!【流動空気】!」
ツキトの前に、火咲の作った土の壁と空気の壁が広がる。
だが白い光がそれを削り、壁は音を立てて爆発する――
――白い光が、止まった。
「【暗殺風刃】!」
その隙を見逃さず、火咲の暗殺刃が竜の右目を傷つける。
「ぐぁあああああああああああああ! おのれニンゲン! 赦さん赦さん赦さん赦さんっ……!」
そこに、俺はもう一度、剣を叩き込みにいく。今度は前脚。再び燃える血が噴き出す
竜の眼が、今度は俺を見た。
強烈な爪の一撃が来る――今度は、剣ごと吹き飛ばされる。
左腕が、変な方向に曲がった。
いてえ! 痛すぎるっ!
だが、まだ立てるっ!
俺は、≪ブルリア草≫を、右手で掴んだ。
「【生命錬金:肉体正常化】!」
無事、ダメージと火傷が回復する。
そこに、ついに――
「【位相変換】」
終わりの合図は、突然だった。
後光が、消える。
ラミアが、全力で俺を引っ張った。
――ミサイルでも着弾したような、凄まじい衝撃。
その衝撃が、爆風となって全てを吹き飛ばした。
巨大なキノコ雲が、竜を爆心地に広がっていく。
あまりの爆音に、耳が、聞こえない。煙と、灰と、熱だけがすべてを満たす。
――煙の中で、何かが動いた。
竜が、立ちあがろうとしていた。
竜の片翼が、根元から千切れている。身体の鱗が大きく剥がれて、肉体が抉れ、燃える血が滝みたいに流れている。
それでも――立っていた。
「……嘘だろ、おい」
振り返ると、ツキトが倒れていた。
オーブが、転がっている。魔力が尽きたか。
それでも、倒れたツキトは微笑んでいた。
「参った……僕の全力で、これか……」
キンググリフォンを消滅させた一撃でも、この灼熱竜は死ななかった。
「ぎゅおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
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<警告!>
≪ファイアドラゴン≫は【竜王炎舞】を唱えている!
竜王は真の姿を現し、暴れ回る!
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竜の全身が、真っ赤に光り輝く。
――終わったか。
そう思った瞬間――
「まだ、わたしがいるっ!」
宙から、声が落ちてきた。
「【縛りプレイ:一撃必殺】!」
5つ目の鉄環が、火咲の首に巻き付く。
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【一撃必殺】
制約:一つの敵につき一度しか直接攻撃できない
バフ:力+300%
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火咲が、拳を握りしめ、飛んでいく。
だが、間に合わず、竜の全身が、燃える赤い光で包まれる。
火咲は――熱すぎて近づけず、一回逃げたっ!
視界全体が、白くなった。
爆発したような熱風。熱、熱、熱――
次に目を開けたとき、驚くべき光景が俺の目の前に広がっていた。
――美しい、女がいた。
先ほどの赤竜を彷彿とさせる、真っ赤な露出度の高い衣装に身を包んだ、踊り子の女。
とんでもない美女が、俺を見て――にこりと微笑んだ。
――死!
瞬間、死ぬ、と思った。
なんだあれは――
化け物じゃないか――
先ほどまでの戦闘が児戯に思えるほどの、圧倒的な力の奔流。
あれが、あの竜の、真の形態だとでも言うのか――
――いや、待て。
大事なことを見落としている。
――あれは、何の姿をしている……?
であれば、やることは、決まっている……!
「【魅了】!」
俺の唯一にして最大のストロングポイント……!
いかにも【魅了】が効きそうな姿をしているじゃないか……!
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<チャンス!>
≪ファイアドラゴン≫がテイムを要求しました!
テイムしますか?
≪はい≫ ≪いいえ≫
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俺は、うっとりと魅了された様子で俺を見つめることしかできなくなっている踊り子の美女に、≪はい≫を押した。
「勝った、ってこと?」
火咲が、こっちへ飛んでくる。
火咲は止まらない。
俺は、燃える地面の上で、火咲の抱擁を受けた。
強く、強く抱きつかれる。焦げた髪の匂いに、果実のような女の子らしい匂いが混じっている。
「やっぱ協力ゲームってのは、こうやって喜ぶものなんだよねっ!」
「……知ってるよ」
いつだったか、初級闘技場でPVPをしたときに聞いた台詞である。
あの時は、火咲一人で勝ったようなものだった。
今日はしっかり、三人と何匹かで、あの灼熱竜に勝利した。
竜だった踊り子が、やがて俺に一礼した。
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≪ファイアドラゴン≫は、あなたを主と認めた!
<≪ファイアドラゴン≫のテイムに成功しました!>
<エピックイベント:≪上級への飛び級試練≫クリア!>
エピックモンスターを従えし者たちに祝福を!
チーム全員が、上級魔術師に飛び級合格しました!
行動範囲が第100層まで拡張されます!
中級魔術師になったことで【パッシブマジック】の魔術研究が可能になりました!
上級魔術師になったことで【カウンターマジック】の魔術研究が可能になりました!
≪魔術研究素材セット:中級≫が3つ手に入りました!
≪魔術研究素材セット:上級≫が3つ手に入りました!
≪灼熱竜の鱗≫が3つドロップしました!
≪灼熱竜の翼≫がドロップしました!
プレイヤーポイントが+5されました!
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「……英雄は、遅れてくるものなんだけどね――」
ツキトが、静かに微笑んだ。
「――どうも今日は、前座だったみたいだ」
「ははっ、そりゃずいぶん派手な前座だな」
俺たちは、喜びを噛み締めながら、UIの表示を見つめていた。
「……あ」
と、突然火咲が何かに気付いた声を上げる。
「どうした」
「配信が……」
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エピックスキル【観客】
現在の観客数:1,193,657人
バフ増幅率:304%
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「……なんか、いつもより効いてるって、思ったんだけどね」
――どうやら俺がドラゴンを魅了する様子は、100万人に届いていたらしい……