【アリスルール・オンライン】18歳童貞だけど現実の才能で決まるスキルが【魅了】だった件。しかもこのスキルなんかリアルの女友達にも効いてるけどバグ? 作:ひきさん
「そういえば、【数値移動:頑丈】を発明する前に、普通に【生命強化】で頑丈にバフをかけようとしてたんだけどさ、これ、数値移動と組み合わせたらかなり強い気がするんだよな」
「あれ、それ発明の材料足りなくない? たぶん頑丈の種使ったよね? 己の魔石も足りない気がする」
火咲に言われるまで気付かなかったが、【生命強化:頑丈】も同じ材料を使うから、現時点では22に上げた頑丈を+100%で44にするプランは取れないようだ。
「同じ材料を使うわけだし、発明前にもうちょい目立つように警告してくれよな」
「ご主人様は、わたしとの初めてに大切なものを使ってくれたんですねっ♡」
「ヘンタイっ……!」
「誤解だ」
馬鹿妖精はともかくとして、頑丈44プランは将来の強化目標といったところだろう。
「ところで、火咲の方はどんな魔術を発明したんだ?」
「縛りプレイだよっ!」
「……はい?」
思わずきょとんとしてしまう。
「ゲーム初日から縛りプレイしてるわけ?」
「魔術名だよっ! 【縛りプレイ】! 変な誤解しないでよっ!」
詳しく話を聞くと、火咲が発明したのはレアスキル【縛りプレイ】らしい。
一回の魔術行使につき、自分へ一つ制約を課し、その代わりに制約に応じた自己バフを得る契約魔術である。
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レアスキル【縛りプレイ】
《式》術者の行動一種類を制限し、その代償を指定した能力の強化へ変換する。
《媒介》鉄環。
《代償》指定した行動の禁止。
《効果》制約一つにつき、制約に対応する能力一種類を制約の強度に応じてバフする。制約を破った場合、デバフに変わる。
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「さっき部屋が騒がしかったのはなんだったんだ?」
「【縛りプレイ】で常時移動って制約を試してたら、狭い部屋だから転んじゃって鉄環同士がぶつかって凄い音鳴っちゃったんだよね」
「またアホなことを……」
「うるさいうるさい! 一刻も早く実験するには、部屋の中で走るのが最適解だったんだよ! わたしは合理主義だからねっ!」
「節約してはいけないものを節約するタイプだよな、お前」
「ご主人様、わたしも【縛りプレイ】してほしいです♡」
「ヘンタイっ……!」
「誤解だ」
はぁ、ため息をつきたくなる女しかいない……
「まあ、お互い魔術も発明したし、実戦で試してみるか?」
俺が話を逸らすのも兼ねてそんな提案をしてみると……
「それなら、一緒にPVPやろうよ! 初級闘技場、近くにあるよ!」
と思わぬ返しが来た。
結局、俺は流されるがまま、初級闘技場まで移動することになったのだった。
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初級闘技場は、アリスルール・オンラインにおけるPVPの最初の登竜門である。
もっとも、このゲームはまだサービス開始初日であり、現状は当然初心者しかいない。
その割に勝利報酬はそこそこ美味しく、魔術研究の材料なども出るので、クローズドβプレイヤーの中にはチャンスだと思って今の内に対戦している人も多そうだと火咲は言っていた。
勝利条件は、対戦相手を死亡、行動不能、降参、場外のいずれかに追い込むこと。
ちなみに、アリスルール・オンラインにHPゲージはなく、攻撃を受ければ肉体が実際に傷つき、致命傷を受ければそのまま死亡する。痛覚は激痛については多少カットされるようだが、平和な日本に暮らす人間にとってはかなり痛いらしい。
さて、辿り着いた初級闘技場では、百人以上のプレイヤーが集まって、順番待ちや賭けなどをしながら観戦しているようだ。
「これなら【観客】のスキルで+100パー以上は見込めるね!」
「わりとチートスキルだよな、それ」
「鏡介に言われたくないけどねっ! とりあえず、せっかくだし2対2のデュオに出ようか」
「おー、そんなのもあるんだな」
俺と火咲は2人で出場受付をした。デュオはちょうど対戦相手が来たところだったらしく、次の対戦は俺たちということになった。
待ち時間の末、対戦相手と闘技場で対面する。
相手は、女性の前衛と男性の後衛という配置で立っていた。
「【魅了】はなしね! 目立ちすぎるし実験にならないし!」
「おー、まあ負けそうになるまでは封じとくわ」
火咲の言う通り、いったん魅了なしで戦闘してみることにする。
さて、試合開始だ。
「【縛りプレイ――接触禁止】」
「【縛りプレイ――常時移動】」
「【縛りプレイ――被弾禁止】」
「【縛りプレイ――流動限定】」
火咲が素早い口調で4連【縛りプレイ】を詠唱する。
火咲の両手両足に鉄環が装着され、4つの縛りが火咲を縛った。
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【接触禁止】
制約:術者が敵へ触れることを禁止する。
バフ:魔力+100%
【常時移動】
制約:常に移動状態を維持しなければならない。
バフ:素早さ+100%
【被弾禁止】
制約:敵の攻撃を受けてはならない。
バフ:身体操作+100%
【流動限定】
制約:流動魔術以外の使用を禁止する。
バフ:魔術制御+100%
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さらに、火咲のエピックスキル【観客】がそれらの強烈なバフを増幅する。
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エピックスキル【観客】
現在の観客数:115人
バフ増幅率:+103%
増幅結果:
魔力+206%
素早さ+206%
身体操作+206%
魔術制御+206%
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「【数値移動:頑丈】」
俺も今の内に、頑丈をベルから吸っておく。
「【式理解析】! うわ、どちらもすごいバフ魔術だ! 警戒しろ!」
男性前衛は、式理魔術を使ったらしく、こちらの魔術を解析したようだ。
「代わりにあの女は俺たちに触れない! 流動魔術しか使えない! しかも一発でも攻撃を当てれば止まるはずだ!」
「了解! 【物質射出】!【物質射出】!」
女性の前衛が、火咲に向かって走りながら、鋭く土の弾丸を2つ飛ばす。どうやら何戦かしているようで、なかなか手慣れた動きだ。
1つは素早さの低い俺に見事命中したが、頑丈22はかなりの耐久のようで、軽く殴られた程度のダメージしか感じなかった。
もう1つは――
「止まって見えるねっ!」
とんでもないバフの力で軽々と回避した火咲は、【常時移動】の制約通り、ジグザグと移動しながら次々と流動魔術を放っていく。
「【流動地面】【流動地面】【流動空気】【流動空気】!」
前衛と後衛ともに足元がドロドロになり、そこに暴風が押し寄せて派手に転ぶ。
「【流動地面】!【流動地面】!」
そこに、さらなる全力の【流動地面】で思いっきり泥が二人を押し流し、二人とも場外まで出てしまう。
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<バトル勝利!>
《魔術材料箱》3つを手に入れました!
10DPを手に入れました!
初級PVP初勝利達成! プレイヤーポイントが+1されました!
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初戦は結局、火咲だけで完勝した結果となってしまった。流石にプロゲーマーを目指しているだけあって、容赦ないプレイスタイルだ。参考にはならなそうだったが。
戦利品については、《魔術材料箱》はランダムに魔術材料が1つ手に入るらしく、DPは貯めると景品と交換できるポイントらしい。プレイヤーポイントもたまって、俺のPPは6になった。そろそろ真面目にボーナスの使い道を検討してもいいかもしれない。
「勝ったね! やったぁああああ!」
と、驚くべきことに、火咲が常時移動で止まれないまま俺に近づいてきて、そのまま衝突――いや、抱き着いてくる。
「馬鹿お前、なにして……!」
「協力ゲームってのは、勝った時はこうやって喜ぶものなんだよっ!」
陽キャ過ぎて知らない文化に染まっているっ!
思いっきり抱きしめられたことで、火咲の無いようで意外とある胸の感触とか、髪の毛から漂ういい匂いとか、そんなものたちをありありと感じられて、このゲームの想定を超えるリアルさに驚かされた。
しかし、ベルは相変わらずの平常運転っぷりを見せており――
「4か所も縛られたままご主人様に抱き着くなんて、大胆な子っ♡」
「ヘンタイっ……!」
「誤解だ」
俺の誤解が解ける日は、当分やってこなさそうである。