ヒロアカ世界に(変則)トラック転生した 作:全作未完成
「そう考えていた時期が、ボクにもありました……なんてね」
「?、今何か言いました?」
「いや、なんでも。ほらほら、そんなことより周りを見なきゃ」
ボクの後ろに続く彼にそう促しながら、二人で街の中を前後に並んで歩いていた。
現在いるのは商店街。ボクらはヒーロー活動としてパトロールしている最中だ。
「は、はい!わかりました!」
「かたいなぁ、もう……ま、油断してるよりは良いけどね」
慌てて返事をする彼の声に、ボクはくすりと笑ってしまう。口元以外を黄色いヒーロースーツで包んでいる彼は、かなり緊張しているようだ。
そりゃそうか、雄英生とはいえ一年生で、初めてのインターン活動なんだから。と、ボクはそう納得する。
それに、ウチの事務所はライオンヒーローのシシドさんだものね、肉弾戦の武闘派で、かつ荒々しい野性味あふれる感じの人だ。本人はああ見えて常識人だけれど、まぁ怒らせたら普通に怖い。喉からがるがる鳴るし、手抜き扱いで怒られたい相手ではない。
「う、すいません……」
おっと、お小言に聞こえてしまったようだ。ちらり、と振り返れば、筋骨隆々の体を委縮させて、少し肩を落としてしまっていた。
「あぁ、ごめんごめん。叱りたいわけじゃないよ。ただ、ヒーロー活動っていうのは臨機応変が基本なんだ。突然
「ゆるさ、ですか……?」
「そそ。そりゃあ緩み切ってて対応できませんでした!ってなればヒーロー失格だけど、だからって杓子定規な対応だけじゃあ、想定外が起これば手が足りなくなるし、たとえ対処出来たとしても市民の信頼は勝ち取れない」
ボクは少し早口でそう言って、先の言葉を取り繕った。これで彼にトラウマを植え付けた、なんてことになったら減俸モノ……げふんげふん。
「信頼……」
「ん。信頼。結構本質だよー?……ま、圧倒的な実力や実績があれば別だけども……ボクや
「緩く余裕を、なるほど……?」
んむ、もう一押しか?
ボクの言葉に首をかしげて思案し始めたその顔を見逃さない。一応ボクだって事務所近くの見回りの程度とはいえインターン生を預かってるわけだし、少しくらいは助言も良いだろう……良いよね?
「そ。視野も体も何事も。硬くなりすぎれば相手を見失う。だから余裕をもってキチンと見て、そうして何をすべきか?何が出来るか?を考える……これは
「な、なるほど……さすがです!」
「んっふふ!それほどでもー……つって、これシシドさんからの受け売りだけどね!」
「えっちょっ、なんすかそれ……ははっ……」
んーよしよし。笑ってくれた。よかたー。若干勢い任せだったけどいい感じに
ここで彼……原作キャラの
……うん、まぁ言うまでもないかもだけれど、僕の後ろにいるのは
原作ヒロアカで主人公が所属する一年A組の生徒であり、まごうことなき原作キャラの一人。
糖分を消費して筋力を上げるという、単純ながら扱いやすいアタリの『個性』を持つ男の子だ。発動系の近距離パワー型はいいよね、ロマンがある。
つい昨日入ってきて、今日が初仕事なんだけどめちゃくちゃいい子。ボクみたいなサイドキック相手にも敬意をもって接してくれるし。昨日持ってきてた差し入れのお菓子美味しかったし。他のインターン生達とも仲良いし。突っ走るような危なげもないし。
うん、総評:良い子だね。まぁただ、いっしょにインターンに来た
ので、ボクが評価できるのは今の所
「ヒーローたるもの余裕は常に……っと、おや?」
「?、人だかり……何かあったんですかね?」
周囲に目を向けながら砂藤くんと話しつつ進んでいれば、そろそろ事務所が見えてくる所まで戻ってきた。
すると事務所の入り口あたりに、十数人ほどの人だかりが出来ている。やや斜め後ろについていた砂藤くんも気付いているらしい。
騒ぎになってる様子はないので、トラブルというわけでもなさそうだ。ボクはじぃ、と目を細めて人の中心に目を向けた。
「んー、あ、れ、は……?」
うんん、見えない。今世のボク身長低いからなぁ……と、その場でぴょんぴょん跳ねていると、砂藤君が何かに気付いたらしい。
「あ、尾白だ……何してんだ?」
と、そんなことを言い出した。ボクが彼の目線をたどってみると、その先にいたのは両手と尻尾を使って四つのクラブをジャグリングをしている
「あー、あの子テイルマン?てことは……いこ、シュガーマン。多分アレ、ボクら待ちだ」
「へ?あ、うわっちょ……!?」
言うが早いか、ボクは佐藤くんの手を掴み、人だかりの中心へ向けて歩き出す。
恐らく、というかほぼ確定だけど、あの中心にいるのは尾白くんと、その引率をしていたサイドキックだ。
「―――さぁ!次はこのまま彼と、アタシで超高速8本クラブパッシングを……」
「へいへい、すとーっぷ!ボクらも返ってきたよ!」
尾白くんが何やら新しい見世物を始めさせられようとしていた所に、少し大きく出したボクの声を割り込ませた。
すると人だかりの中心にいた二人の内の一人、片手逆立ちでジャグリングをしていた……曲芸ヒーロー『アクロバティカ』はその手を止め、こちらに目をやる。
そしてボクらを認めると、彼女は「お~っとお時間のようです!ではでは皆さま!お付き合い頂きありがとうございました!また次回!」と声を張りつつ観客たちに解散を促した。
「……むぅ、いいところだったのに」
見物人も掃けた後、アクロバティカはぷぅ、と片頬を膨らませてボクに不機嫌そうな目を向けてそう言ってきた……いや、普通に立とうよ。止めたんだから。逆立ちで言われるとなんか怖いよ。
「それはゴメンだけども、後輩まで巻き込まないで上げようよ……あ、遅れてごめんね。こんなんに付き合わさせちゃって。パトロールお疲れ様、テイルマン」
「あぁ、いえ。色々と不慣れだったけど、見られるって言う良い経験でしたし!そちらこそお疲れ様です」
アクロバティカへ呆れを向けつつ尾白くんに声をかければ、慰労の声を返してくれた。そのあと砂藤くんからも二人にお疲れ様を言って、尾白くんも砂藤くんへ言葉をかけていた。
いい子達だなホントに。ヒーローに憧れてる子って、ヒーローとして見てもらうことには憧れつつ、こういう地味な挨拶や活動は
「んむんむ、シュガーマンもテイルマンも、良い後輩してて偉いゾ!さ、事務所に戻って、報告書つくろっか!」
インターン生二人に向かってにこやかにウインクをしながら、ボクは先を歩いて事務所へ入った。良いトコをちゃんと褒めるのって大事、古事記にもそう書いてあるし、シシド事務所の心得にも書いてある。
ボクの言葉に、尾白くんと砂藤くんは何ともむずがゆそうな顔をしながら後をついてきた。初々しくて良き。
アクロバティカは、なんか先輩風吹かせてんナーコイツ……みたいな顔しながら付いてきた。顔がうっさい。
ま、いいや。とにかく初日のインターン、パトロールには問題無し。あとは報告書を書いて、シシドさんが戻ってくるまで砂藤くんや尾白くんに、プロヒーローの普段のお仕事を教えてあげよう。
インターン初日は、そんな平和な感じで幕を開けたのだった。
にっき。
インターン初日は大成功と呼んでよさそう。
パトロール中に変な事は起きなかったし、子供特有の勇み足とかもなかった。気になったのは何かを警戒しすぎてるくらいかな?なんだろう、犯罪者に襲撃とかされた経験あるとか……?
いや、無いか。初仕事だからでしょう、たぶん。それに、声をかければそれもすぐに解れたし、やはり将来有望。きっといいヒーローになると思う。
あと、シシドさんが戻ってきた後に、インターン生を交えた格闘訓練に駆り出された。
不甲斐ない結果にはならなかったからそれ自体はいいんだけどさ。
インターン生強くね?あの子ら高1じゃなかったっけ?
危うくハンデ忘れて
とりあえずは警戒の心構えや制圧の小技を教えつつ、全戦全勝で終わらせたので威厳的なものは見せれたかな。
見せれてるといいな。
ぴー・えす
報告書作成みんなボクより上手かったんだが?ちょっとヘコむ。
ヒーロー名鑑(外)
曲芸ヒーロー・アクロバティカ
体のしなやかな女性ヒーロー。本名は
ピエロっぽさの施された黒スパッツ短めスカート+燕尾服風ヒーロースーツを身にまとい、クラブやナイフ。フックロープやリングを用いて活動しているシシド事務所所属のサイドキック。
個性は、自身の体や、自身が仕事を与えた物体(片手で投げられる大きさ・重さの非生物に限る)が落ちる方向を誘導できる『落下誘導』。年齢は■■歳で、近々地方での独立を考えている。