ヒロアカ世界に(変則)トラック転生した 作:全作未完成
「今日もご指導ご鞭撻のほど。よろしくお願いいたしますぞ!」
「んん、今日もいい挨拶!よろしくね、ジェボーダン!」
ボクは耳が少しキーンとなりつつ、目の前で深々お辞儀をしている
本日はインターン五日目である。インターンシップの予定真ん中あたり、折り返し手前だね。
ここまで何やってたかって?インターン生につく担当を交代しつつパトロールしたり、出来ない日は合同で訓練したりよ。
この辺他にも事務所があるから、毎日ボクらだけが日中パトロールするわけじゃないのだ。深夜担当の日は流石に無理だからね。
さてさて、今日のインターン生割り振りは、シシドさんが
そしてボクは目の前にいる
……ん?サイドキックとインターン生だけで訪問活動とかするのかって?
そーなー、まぁ普通はあんまりしません。プロヒーローの資格を持ってたとしても、独立前のサイドキックだけで動いたりとかは少ない。と、思う。近所の事務所でそういうことしてる所は見たこと無いし。他の地方は知らにゃい。
ま、でもシシド事務所の中でも経験豊富で信頼も高めなボクやアクロバティカとかは、単独のお仕事とかを任されたりとかするのです。
とはいえ、流石に引率しながらっていうのは初の試み。事前に色々用意はしてきたけれど、結構ドキドキしている感じ。
ただ不安や緊張なんてものは、子供たちや後輩なんかに見せちゃいけない。これでもプロヒーローの端くれなので、そんな諸々は抑え込んで、不敵に笑ってお仕事をします。
「ん、んんっ!さて、ジェボーダン。これからボクらは二人でお仕事になるわけだけど、今日気を付けることは分かっているかな?」
目的の幼稚園の目の前に到着し、園の先生に到着を伝えて待っている間に、ボクは
「む……そうですな。やはり幼子相手、という所と、大人数という所でしょうか?これはヒーロー免許試験で学んだ部分なのですが、『個性』に慣れきっていない子供なんかは、遊びや癇癪などの
「お、おぉ……すごいねジェボーダン。ほとんど完璧な答えだ。花丸あげそうだったよ」
ちょろっと聞いただけなのに、ここまで的確に返答してくれるとは。過去のこの頃の自分と比べると、立派すぎて恥ずかしくなってきたな。全能感満載のクソガキ時代が、うごごご……!
とまぁそんな羞恥は置いておき、ハキハキ答えてくれた宍田くんを褒めておく。
しかしボクの言葉を聞いた宍田くんは、耳ざといみたいだ。少し眉毛の両端を下げて、首を傾げた。
「殆ど、ですかな?」
「んー、ほぼ満点なんだけどね。もう一つあるのさ。ヒーローとして大事なところがね?」
「それは一体―――」
宍田君が真剣な顔でボクへ答えを尋ねようとした瞬間、園の方から「あっ、本日受けてくれたヒーローの方ですか?お待たせいました、どうぞお入りください」と、そう呼びかける声が聞こえてきた。
両肩をキュッとして振り返れば、園のゲートを開きながら、ボクらへ手招きをするエプロン姿の女性がそこにいた。
ボクはさっと片手を胸にあて、ぺこりと頭を下げた後に口を開く。
「どうもこんにちは、お出迎えありがとうございます。シシド事務所から来ました、
「ど、どうもこんにちは。同じくシシド事務所から来ました、ジェボーダンと申します!本日はよろしくお願いしますぞ!」
ボクに続いてすぐに、宍田くんも彼女へと挨拶を行う。うわお綺麗に45度。お手本みたいなお辞儀してる……ボクより堂に入って見えるんですけど。なんかいいとこ出っぽい……雄英だったわ、いいとこだ。
と、そんな事をほややんと考えつつ、園の中へ案内してくれる彼女……
ぱたぱた、たこたこ、のすのす。木製の廊下を、スリッパの音が、乾いた靴音と重そうな足音を連れて進んでいく。
なんだか静かだなと思って聞いてみれば、
今は先生たちにとって、静かに作業ができる貴重な準備時間とのことだ。まぁどれだけ子供好きでも、四六時中フルパワーには付き合えないか。
そして、ボクらの出番はこの後お昼寝から覚め、そんな元気いっぱいフルチャージになった彼ら彼女らの遊び相手を遂行する事。今日が充実した日になるかどうかを決める、責任重大な役割だ。そわそわしちゃうね。
「ん、ぬぅ。やはり皆さん小さいですな……私、少し心配ですぞ……」
「あはは、ヒーローの方でもそうなんですね。私も一緒でした。あんなに小さい子たちを、ケガさせたら……って、心配になっちゃいますよね」
「そうですな。それに私こんな風体ですので。怖がらせてしまわないか、というの気になりますな……」
「んー、気にしないでいいと思うけどな。子供はヒーローって聞けば結構物怖じせずに来てくれるものだよ?」
と、そんな風にこしょこしょ、よりは少し大きい程度の声量で宍田君の弱音を聞きつつ廊下を進んでいくと、突き当たった部屋へと通された。
白く照らされた部屋はなかなかに広い。中央に床に座って使うタイプの長机がコの字形で配置されていて、机の置かれていない側の壁際に、吊り下げ式のスクリーンが垂れている。
天井には今は動いていないが、プロジェクターがあるので、視聴室とでもいう部屋かもしれない。
そして並んだ机の上には幾つかの紙資料が置いてあった。「どうぞ、こちらへ」と促されるままボクと宍田くんは並んで座る。プロジェクターは今回使わないらしい。それはそうか。二人だけのために動かすのもったいないし。
ペラリペラリ。手元の資料を流し見てみれば、今日の催しの段取りなんかが書いてあった。お世辞抜きにこういうの助かる。勿論事前に事情と予定は聞いているけど、現場とのすり合わせって大事なのだ。本当に。
分かってくれるだろうって前提の企画って大体上手くいかないからねぇ……ははは。
苦い思い出は底に沈めて、ボクは
「ええと、では香先生、お手数ですが、今日の予定をお聞かせいただけますか?」
「はい、では資料の一ページ目から説明しますね。一枚ずつ進めますので、質問があれば次のページに進む前に―――」
あーだのこーだの、これはどうなのと言葉を交わし、そうしてみっちり十五分、ボクらは香先生とのすり合わせを行ったのだった。
これならまぁ、よほどがない限りは成功間違いなしでしょう。
おそらく。きっと。めいびー……あっ!そうだ、
ヒーロー名鑑(外)
○○○幼稚園職員、
平均的な身長の女性。子供が好きで、子供のお世話が好きだったので幼稚園の職員になった。
年齢は■■歳で、最近異性との出会いがないことにちょっと焦りがある。
個性は、自分の周囲の空気にエッシャンシャルオイルの香りを混ぜて拡散させる『森林浴気分』。
虫よけになることに気づいてからは、給与がちょっと上がったくらいには有難がられている。