ヒロアカ世界に(変則)トラック転生した   作:全作未完成

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『(変則)トラック転生した。のよん』

七日目。

 

何がであろう、インターン期間である。

 

ついについに一週間だ。正真正銘の折り返しだね。次の日曜で四人とはいったんお別れかと思うと少し寂しい気がする。やっと付き合いが深まってきたと思うのになぁ。

 

いや年下相手にそういうこと考える大人やばいかな?でもいい子たちだったんだよね。後輩として週二とかでバイト来てくれないかな。

 

ないか。ないわ。

 

ヒーロー事務所で募集されてるバイトって事務くらいだからね、基本ヒーロー志望の子は来ない。時間とって事務所で作業しつつ空気感を感じるくらいなら、ヒーロー科の授業受けてたほうがいいからね。

 

 

まぁ今から寂しがっても仕方がない。残り一週間、ここからは先輩ヒーローらしく気合い入れてしごいていくぞ!

 

 

 

 

 

 

 

と、意気込んでみたは良いのですが。

 

 

キョロキョロと、ボクは首を左右に振って周囲の様子を見まわした。

 

ここは戦闘用の訓練場。その床上には四人の若者たちがぐったりと倒れている。

 

 

一人目は砂藤くん(シュガーマン)。いつもにこやかに笑っている彼だが、今はうつぶせに倒れてその表情はうかがえない。右手の人差し指だけを動かして、床の上に横一文字と縦に直線をなぞる動きを延々としている。

 

二人目は尾白くん(テイルマン)。まじめで冷静、けれど実は熱い心の男の子。そんな彼は横向きに倒れてだらりと体を投げ出している。普段はよく動く尻尾が、今はピクリともしていない。

 

三人目は庄田くん(マインズ)。常に丁寧な言葉遣いの、自分の役目に実直な彼。しかし現在は普段のような質実剛健さは微塵も見えないほどに疲労しているようで、青天のポーズで大の字になってぼんやりしている。

 

 

四人目は宍田くん(ジェボーダン)。元気で快活ながらも優しく温和な性格の男子。どこか特徴的な口調でいつでも明朗活発なタフさを持っているのだが、顎を突き出すように床に乗せた恰好でうつ伏せになって動かない。

 

 

 

 

 

傍から見たなら死屍累々。そんな感想の似合う風景だった。

 

 

「……気合い入れてやり過ぎちゃったかな?」

 

「いや、ちゃったかな?じゃなくてね。どう考えてもやりすぎだよT/T(ティー・ティー)

 

「あてっ」

 

 

コンッと、ボクの頭がジャグリング用のクラブで軽く叩かれた。下手人は歪曲さん(アクロバティカ)だ……いやまぁボクが悪いんだけども。

 

でもさぁ、本気でやったげるから全員でかかっといで?って挑発した手前、手を抜くのは四人に失礼だし、それに結構やるものだからもうちょい強めにやっていいかな?って思ってさぁ。

 

ボクがそうやって内心言い訳しつつ、歪曲さん(アクロバティカ)の言葉に反論できずにいると。

 

 

「お゛いT/T(ティー・ティー)。お前俺に個性使用の許可とった時のこと忘れたか?なぁ?」

 

 

そんなドスのきいた声が背後から聞こえてきた。ボクの背筋がビシッと伸びて、しらず気を付けのような姿勢になる。

 

振り返ってみれば、いつの間にかシシドさんが立っていた。ギロ、という音が聞こえてきそうなほど鋭い瞳がボクを貫いている。怖い。質問してくるときのシシドさん、大声で怒鳴るより怖い気がする。

 

 

「う、いやぁ。ほら、なんか一応先輩ヒーローだし、『個性』活用の見本を見せるなら少し本気をって思っ……」

 

「それでインターン生全員叩きのめすのが先輩ヒーローかぁ!!?あ゛ぁ!!?」

 

「ハイ!ゴメンナサイ!思ったより四人の連携が良くて加減間違えましたぁ!!」

 

 

前言撤回、普通に怒鳴られるほうが怖い。肌がビリビリするような感覚の中で、ボクは自身の非を大きな声で認めるハメになった。

 

でもでもだってさぁ!本当に良い連携だったんだよぉ!

 

広く重たい攻撃が得意な宍田くん(ジェボーダン)と、乱打と一撃のどちらも威力の高い砂藤くん(シュガーマン)の二人が前について、前後や左右で挟みつつ隙の少ない苛烈な攻めを担当。

 

素早く正統派な武術を持ってる尾白くん(テイルマン)と身軽で妨害もこなせる庄田くん(マインズ)を遊撃に使って、こちらの動きを牽制して退路や動きを狭め、足止めや妨害中は前の担当に息を吸わせる。

 

かといって一辺倒な役割ばかりじゃなく、前の二人が力強い肉体や体躯を生かして拘束や仲間の移動の補助をしたり、遊撃の二人も機会があれば痛打になる一撃や初動の潰しを狙う。

 

全員が仲間と一緒に戦う意味を知っている。これが本当に厄介だったんだよね。中でもやっぱり砂藤くん(シュガーマン)の高速高火力の連撃とか庄田くん(マインズ)のツインインパクトが面倒で……!

 

 

―――なので連携を崩すため無理やり距離を取らせて孤立させたり、気力を削ぐ為に気絶させる必要があったんですね!」

 

「だぁからって全員のしてんじゃねぇよこの脳筋バカがぁ!!」

 

「いだぁぁぁぁぁあ!?」

 

 

のべつ幕なしに理由を語っていたボクだったが、シシドさんから割と本気の頭突きを食らった。すっごい痛い、元から低い身長がさらに縮みそうだから止めて欲しい。

 

 

「はぁぁ……まったくよぉ。全員暫く休憩だ!15分後に今の振り返りと個性訓練!!どうせこれ以上の組手は無理だからな!!……アクロバティカは、出てすぐの床にクーラーボックスがあるからそれ引いてこい。T/Tはケアバッグごとでいいから全部持ってこい。ジェボーダンとテイルマンのケアは普通のじゃ無理だ」

 

「あいあいさー」

 

「了解でーす」

 

 

 

 

 

返事をしてから数分。ボクが氷嚢やスプレーや固定用の包帯やらの入ったケアバッグを持って帰ってきたらば、インターン生たちも少しずつ動けるようになったみたいだ。大体みんな壁際にもたれて、ペットボトルをあおりつつ休んでいた。

 

もう動けるようになったんだ。ちょっと加減間違えてゴメンねー?と皆にケア道具を配りつつ声をかけてみれば、お礼を言って受け取ってくれた。優し過ぎるな本当に。もうちょい恨み節出していいのよ?

 

とか考えていたら、近くに座っていた庄田くんがボクへ声をかけてきた。なんじゃろ?

 

 

「T/Tさん。言いそびれていましたが、手合わせありがとうございました。やはり先輩ヒーローとの稽古は良い経験になりますね……ただ僕はもう今日はあまり動けないようです。他の方々とも組手稽古をしたかったのですが。己の実力不足が恨めしい」

 

 

いやホントごめんじゃん。それは。

 

 

「……ですが、ええ。得るものは大きかった。少しは自信のあった連携を以てしても、全く歯が立たちませんでした。まだまだ改善点が見つかりそうで嬉しいです!次回はもう少しT/Tさんに食らいつきたいと思います」

 

「ぅぐぅ!!……そ、そっかぁ、それなら楽しみにしてるね……!」

 

 

上昇志向の庄田くんの言葉がボクの胸に突き刺さる。罪悪感感じちゃうよね。これが嫌味とかじゃないから余計に。

 

光属性の若人を見て自己嫌悪が募り始めた時、休憩終わりィ!!集合しろ!!というシシドさんの声が響く。

 

 

全員で集合して始まった反省会。そこではシシドさんが、なぜ負けたのかパッと考えて答えろ。と言ってまずは尾白くんを指さした。

 

それに尾白くんは自身の決定力不足を上げた。シシドさんはフン?と鼻を鳴らして、次、お前と砂藤くんを指す。

 

砂藤くんの答えは自分の命中率。次の宍田くんは突出癖と視野。最後に庄田くんは自分の連携の至らなさを上げた。

 

それら全てを聞いたシシドさんは、すぅ、と大きな息を吸って。

 

 

 

「お前らの敗因は格上相手の出し惜しみだバカ共がぁ!!!」

 

 

 

と、そう吠えたのだった。

 

 

 




ヒーロー名鑑(外)

トリックヒーロー・T/T(ティー・ティー)
少しちんまい女性ヒーロー。本名は理摂(りせつ) 宝図(ぽーず)
頭に傾けて乗せた小さなシルクハット、銀色チェーンのモノクル、胸下丈の留紺色のマントとホットパンツ。片手に短いT字ステッキを持った、どこか怪盗風のヒーロースーツを身にまとうシシド事務所所属のサイドキック。こんな見た目だが肉弾戦特化。上げ底の5cmロングブーツを履いているぞ。
個性は、自分の体勢を瞬時に両手を左右にまっすぐ広げ、頭から両足までを一直線に伸ばした形のT字ポーズにする『Tポーズ』。例えどんな状態であっても瞬時に完璧なTポーズを取るぞ。




ようやく使えるかなぁ。次回があればだけど。
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