Ce n'est pas encore fini‼︎   作:6つ目

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Le chien malhonnête(不義理な猟犬)

「…ところで、一つ……あんたにお願い事があるんだが」

 

「…お願い事だ?」

 

「あぁ、嫌なら嫌でいい。」

 

「…聞くだけ聞く。やるかは知らんが」

 

「…ついてこい、」

 

今度は射撃場の反対…対面側にある少し高そうな木造りの扉。

客間か?

そこを開けると工房と違い高級そうなホテルの廊下のような景色が広がっていた。

スメラギって思ってるより稼いでる企業なのか?

一部のホテルより全然綺麗だぞ?ここの廊下だけでもよ。

 

「ここはうちの客室だ、ベットもある。」

 

「へえ?なんでここを?」

 

「とりあえず入れ」

 

一室の扉を開け、中に入る。

全体的に木造りの質素な作り。

ベットは奥の部屋の中心に置かれていて、普通に安眠できそうな上物のようだ。

入口から左にある2つの扉はトイレと風呂か?

ずいぶんちゃんとした部屋だ。

客人をもてなすには十分以上の設備と言える。

そこら辺の格安ホテルに泊まるより、全然こっちの方がいいんじゃねえか?

 

「んで、依頼なんだが。」

 

「報酬はこの部屋。内容としてはスメラギのライバル企業ジョウラクを潰してきてくれ」

 

「それと、やつらに、奪われたスメラギの資料もと、りかえしてほしい。」

 

「…依頼と言われればやるが。いいのか?ライバル企業を直接攻めるような暴挙」

 

「…始まりはあっちだ。問題ない」

 

奪われた資料とやらが、発端か。

深入りする必要もない。この場所はゲヘナの調査で使いやすい。

ドクターのかかりつけになるのにも向いてるしな。

隠れ家としては申し分もない。…決まりだな。

ライバル企業のジョウラクとやらには申し訳ないが。

こっちも仕事なんだ。潰させてもらおうか。

 

「その依頼引き受ける。場所を教えてくれ」

 

「ああ、場所はだな───」

 

 

───ゲヘナ貧民街・闇市(ブラックマーケット)───

「ここか。」

 

「ジョウラク、その名は聞いたことあるぜ」

 

「知識自慢なら他所でやってくれ。あたしはスクロール派だ」

 

ブラックマーケットに続く道の手間。

つい今までは静かだったあいつが、いきなり口を開く。

名前を聞いたことあるなら依頼の時点で出てきて欲しいもんだ。

今の今まで忘れてたのか?もう歳なんだな。

 

「ジョウラクにはえげつない強さの傭兵部隊がいるらしい。」

 

「ネットワーク…電子の海で最近手に入れた情報によれば……名を猟犬部隊(ハウンズ)と言うらしい」

 

ハウンズ…猟犬たち。

そういえば昔、今は廃校になったSRT特殊学園には学年ごとにエース部隊がいた。

3年、名をFOX小隊…カイザーコーポレーションの不正暴露に始まり狐坂ワカモの投獄等々…その名は有名だ。

1年、rabbit小隊…こっちはすぐに廃校になったこともあり、あまり情報がないが。

空が赤くなったあの日。先生を助け出してシャーレを奪還したのは彼女らの功績だとか。

……そして2年。名も存在も秘匿され、独自の指揮官を持つ秘匿された存在。

その存在は噂としてしか存在していない。ただ言われているのは…狼の如く凶暴で、猟犬のように指揮官に従順であるということだけ。

……まさかな。

 

「んで、稀代の最強00(ダブルオー)さんはどうするつもりだ?」

 

「……まずは下見だ。教えてもらった場所に行かないとな」

 

闇市(ブラックマーケット)…スケバンにヘルメット団は当たり前。

脱獄犯やら停学中のやつ。

どんな人間相手でも素性は聞かず、誰でも商売する。

そして、ミレニアムじゃ違法なJHP弾…どの学園でも使用が禁止されているDura(放射性劣化ウラン)弾。それすらもここじゃ無法だ。

購入者にすべての責任があり、それはすべての人間が了承し…ここへ来ている。

 

「そこの姉ちゃん!ジョウラクの最新品、見ていかないか?」

 

「……ジョウラクだって?」

 

「ああ!うちはジョウラクと業務提携していてな。最新の品々ほかより早く入荷して販売してるんだ。」

 

「いくらか見せてくれ。それとジョウラクについて、色々聞かせてくれ。」

 

こんな絶好の機会。願ったりかなったりだ。こういうやつは口が緩い。

極秘情報は言わないだろうが、噂と金に弱い。

ちょっと買えばいくらか良い情報にありつけるだろうよ。

 

「そうだな。この9連装ラピッドローダーをいくつかくれ。それと手持ちのライトもくれ」

 

サイドアームの規格にぴったり合うラピッドローダーが敵対組織提携店に売られているなんて、おかしな話。

いや…奪われた資料が設計図ならそれもおかしくないか?

…だが、こんなニッチな需要しかないものを開発するなんてジョウラクってのはバカなのか?

それとも…サイドアームすら生産しようとしてるのか?

もし、後者なら…スメラギが潰せという依頼を出すのも理解できる。

このサイドアームが量産できたら………考えたくもねぇ。

 

「お姉さんいい趣味してるね。手持ちライトはまだしも9連装スピードローダー自体あまり売れないのに、それのラピッドローダーなんてな。」

 

「携帯のしやすさならラピッドローダーが一番だろ。」

 

「ああ、だが、何故か売れないんだよ」

 

「っと、ジョウラクの話を聞きたいんだったな」

 

「ここだけの話、ジョウラクは経営が傾いてんだ。そのせいで夜の警備の人数が削減傾向。なんでもスメラギとの抗争で随分な打撃を受けたからだとか」

 

スメラギとの抗争……それが、今回の依頼の資料を盗まれた戦いのことか。

あいつら、ホテルの時も思ってたんだが実際は結構でかい企業なのか?

ビル一棟丸々持っているのが確定してるジョウラクがデカく見えるだけで、スメラギにもビル一棟以上の本社があるのかもな。

想像がつかないな。

 

あそこは企業の一部。工房は氷山の一角だったってのもあり得るか。

…警備の人数が削減傾向か。誘導されているような気がする。

まるで、夜にこいと言ってるようにも感じる。

だが、本当にただの噂なのかもしれない。一度工房に戻るか。

 

「ありがとな、ラピッドローダー。ちゃんと使うからな」

 

───スメラギ工房───

「なあ、聞きたいことがあるんだが」

 

工房に戻り、老人に話しかける。あの話が本当なら夜に決行する。

あの話が誘導なら、白昼堂々正面突破と行こうか。

あと単純にこことジョウラクの戦いってのは少し興味がある。

戦績ぐらいは聞きたいもんだな。

 

「もう潰したのか?」

 

「聞きたいことがある。ジョウラクとの抗争で経営を傾かせるほどの打撃を与えたか?」

 

「……ああ、多分な。」

 

「ジョウラクの遊撃部隊全滅。第二本隊半壊。第三本隊壊滅。これが戦績だ。」

 

「やつらの本隊は1〜4まである。遊撃部隊を含めて5部隊だな。」

 

「スメラギって強いんだな」

 

「そうだな…」

 

約半数の部隊を倒したのか。スメラギの戦力がどれほどかによるが、戦績だけで言えば勝ちと言えるな。

だがその半数以上の部隊を陽動に資料を手に入れようとしてたって可能性もあるのか。

だが、それでも約半数は経営を傾かせるほどの打撃を与えたと言えるんじゃねえか?部隊の半数だろ?抗争で…陽動で消し飛ぶには痛い。

それで手に入れたのは多分サイドアームの資料。

サイドアームを作るのは資料があったとしても時間がかかるんだろうな。

スメラギ最高の職人の一振りだ。簡単に量産してもらっちゃ困る。

…こうなると、あの話は本当の可能性が高いな。

 

「よし、明日は吉報を期待しておけ。夜に決行する、それまでは寝る。」

 

「寝ぼけて遅刻とかするなよ。」

 

「当たり前だ」

 

───スメラギ・客室───

「ふぅ……疲れたな。まだ18:00か。」

 

「…随分お人好しなんだな」

 

「はっ、あくまでゲヘナの調査を遂行するための行為だ。」

 

「おいおい照れ隠しかよ。スメラギの依頼は無視しても問題ないだろ」

 

「ははっ、かもな。」

 

ベットに横になる。あたまんなかのこいつともそろそろ一夜を過ごすことになるのか。

最初は最悪だが、対話する気がある間なら、まだマシだな。

それでも、追い出すつもりに代わりはないが。

 

「あたしゃ寝る。起こすなよ」

 

「モーニングコールしてやるよ」

 

───深夜0:15───

街が寝静まった深夜。人影一つ見えない深夜。

それでも大通りでは夜に耽っているやつらの騒ぎ声が聞こえる。

裏通りを抜けて、ジョウラクの本社に向かう。

 

警備とは結局戦うことになるが…先に資料の場所を把握しておきたい。

あの老人の話じゃ、地下の保管庫の可能性が高いってことだが。

 

その保管庫へ行く道と、鍵を探さないといけない。

4階に社員用の保管庫含めた全体地図があるとの事だ。

まずはそれを探す。見つけるまでは、接敵は避けよう。

 

「この非常階段。登れんじゃないか?」

 

「…行けるな」

 

踊り場のフェンスに手をかける。

力を入れて…跳ぶ。

……ギリギリ2階に手が届く。

これを繰り返せば難なく4階に行けそうだな。

 

「ははっ、猿かお前は」

 

「これぐらいできて普通だ。」

 

ヨシ、4階についた。

扉…は流石に施錠しているか。

ぶち破るか?いや、始めるには早いな。

っと、扉の隣に窓があるじゃねえか。

 

ガラスに肘打ちを入れて、鍵を開ける。

音は、まぁ出たが…バレなかったようだな。

ここは……

 

「廊下か?」

 

「だな、んでもって…全体地図はどこにあるかだな。」

 

T字路…部屋は3つか。

窓付きで秘匿性の低そうな部屋が2つ。

逆に1つは窓なく鉄扉…ここは秘密の情報が詰まってるとでも言いたげだ。

 

「どう思う?」

 

「そうだな。とりあえず…」

 

「入ればわかる」

 

非常階段に出て、そこから窓枠に飛び移る。

出っ張りは薄いが掴むには問題ない。

そのまま厳重な部屋がある窓枠まで移動する。造作も無いな。

窓を蹴破って中に入る。

…資料保管庫か?デカいスチールラックと箱が置かれている。

そして、壁に設計図が貼られている。

 

地下一階…入口は1階受付の下か。

…目的の資料は。地下2階重要文書保管室……多分ここだな。

 

「受付の下が入口って、随分ザルなんだな。」

 

「ある意味最も目につかない場所…灯台下暗しってやつだ」

 

大体の構造を記憶する。

入り口を降りてすぐにあるのは…データベースセンタールーム。

ジョウラクのデータベースが全て管理されている場所か。

その奥にはまたすぐ階段で2階。そこには重要文書保管室と……塗りつぶされて読めねぇな。

…入口は受付以外に無いが。換気口や水管は地上と合流して外に出るらしい。

ここからの脱出も可能ってことだ。

 

もうここにいる理由もないな。

窓から外に出て下へ降りていく。

窓の出っ張りに1個1個足を付けていき、ゆっくり、ゆっくりと……1階に向かう。

非常階段に向かえば良かったかな。

 

「よし、行くか。」

 

1階正面玄関…こういうのは正面から正々堂々行ってなんぼだ。

どうせ、ぶっ潰せ。っていう依頼なんだからステルスする理由はもうない。

 

サイドアームを手に持ち。構える。

連続9発。扉に向けて弾丸を放つ。

ガラスが砕ける。扉が入れるようになった…が。

 

「警報がなったぞ。」

 

「すぐに受付行くから関係ねえよ」

 

穴の空いた扉から中に入る。

警備ドローンが3機に、オートマタ兵士が2体。

可哀想に…今日にシフトを入れたのがお前らの運命のツキだ。

 

「止まれ!」

 

「止まらねぇよ!」

 

銃がこちらに向いたのを確認する。

正当防衛の理由は必要だからな……この場合、正当防衛は適応されるのか?

 

オートマタが引き金に指を置く。

それを確認したからには───

 

「後ろだオラァ!」

 

瞬時、後ろに回り込む。

ツイン・ドラゴンの鎖を首に絡ませて、そのままぶっ壊す。

…っと、反動で頭が吹っ飛んだか。

 

「うわぁぁ!!!」

 

「兵士が情けない声出してるんじゃねえよ!」

 

地面を蹴って、吹っ飛んだ頭をもう一人の兵士に蹴り飛ばす。

勢い余ったか。腹に当たった頭がそのまま抉り取る。

兵士2体は対処完了。あとは警備ドローンだけだな。

 

「ピー、ピーッ…脅威度を確認。脅威度ランクA最高ランク。非常戒厳発れ……」

 

「うるせぇ」

 

サイドアームの特殊弾を装填し、そのままドローンを穿つ。

流石のHELIOS弾。まだ反動制御が難しいが…一撃で警備ドローンを破壊するか…

 

それにしても、非常戒厳だ?

増援が来る前にさっさと目的を達成するか。

 

「おい、受付の下に扉があるぞ。」

 

「そんぐらい知ってるっての」

 

受付の机を蹴り飛ばして扉を見る。

鉄製の床下ハッチか。鍵は…ついてないのか。

普通に開けられそうだな。

 

「鍵すらないとはザルだな」

 

「んだな。企業としては慢心がすぎる。」

 

ハッチを開けて中に入る。

階段を下っていく…暗いな。

目が暗闇に慣れているとはいえ、光が1ミリもなきゃ意味がない。

…だが、それぐらい想定内だ。サイドアームを片手で構え、もう片手でライトを持つ。

光は敵に居場所を教えちまう。だから、最低限サイドアームですぐにでも応戦できるようにはしておく。

本当は暗視ゴーグルとかのほうがいいんだろうが……あれ邪魔なんだよな。

 

「……音の響きが変わった。奥に広い場所があるな」

 

「そこで待ち構えてると思うか?」

 

「人の音は聞こえないな。だが…戦うには適してるな」

 

戦うには適した広間…データベースが集まってる場所で戦うってどうなんだ?

企業を壊滅させるにはこれ以上ないほどやりやすいからいいか。

 

「着いたみたいだな。」

 

「データベースセンタールーム……手持ちのライトじゃ見ずらいな」

 

一歩、一歩と前へ進む。

今どこら辺なのか…全くもってわからねえ。

 

「っ!?」

 

多分、中央に立ったのだろうという時ぐらい。部屋の電気が一斉につく。

敵が来る…やはり迎撃体制だったのか。上等じゃねえかよ。

どこから来る?後ろか?前か?上か?

 

「…来るぞ。前だ」

 

前の扉が開くと同時にグレネードが投げ入れられる。

煙幕か…手慣れてるな。ここは正々堂々。中央で鎮座させてもらおうか。

何が来る?

 

「ハウンズ、現場到着。」

 

「侵入者は貴方ね」

 

「ごすはもう歳なの!深夜に起こさないで!」

 

「ん、Hounds4(ハウンズフォー)現着」

 

「……SRT2年生。ハウンズ小隊……存在してたのか」

 

全員に狼の鋭い、大きな耳がある。

それだけじゃない。タクティカルベストにグローブ。

全員がガチガチの武装だ。

 

一番手前、AR持ちは銀髪ショートヘアに長めのもみあげ…。それにヘッドホンか?こいつがリーダーってところか。

その左奥。盾持ち黒髪に緑のワンポイント入りロングウルフがポイントマンだな。

そいつの右側LMG、茶髪セミロングの内巻きワンカール…分隊支援火器射手(SAW射手)だな。

一番奥、SR持ち金髪ハーフアップ…こいつはわかりやすいマークスマンだな。

 

…なんかこいつら、髪型十人十色すぎね?

貧民街でまともなカットができるとは思えないんだが?

この会社に美容院があるとも思えない。自分たちで切ってたのか?

 

「……侵入者、今ならまだ引き返せる。戻って、そして2度と関わらないでくれ」

 

私が色々考えていると、奥からさらに声が聞こえる。

…指揮官だな。こいつらがまだ撃ってこないのは、攻撃命令が出てないからか。

軍隊の規律になぞるなら警告、威嚇、攻撃の段階は踏んでくるな。

 

「ごす、なんで出てきたの」

 

「俺は、ハウンズの指揮官だ。それで侵入者……引き返す気はあるか?」

 

「そうだな…無いと言った場合は?」

 

「即刻攻撃を開始する。」

 

「そうか。」

 

「もう一度聞く、引き返す気はあるか?」

 

「……ない。」

 

ハンドシグナル、1.10(攻撃開始)

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