1ヶ月って…やっぱり間飽きすぎですよね。
努力努力。
「まったく兄貴は…」
結局ぐだぐだのまま、俺は先に部屋に帰ってきた。ただし兄貴の部屋…まあ教員室である。
「いくら必要な装備でも、ネタがないと……あ、これって学園の資料だよな。どれどれ…」
ちょっと拝見っと…なになに、織斑先生の学年移動に? 体育祭の代わりのイベント内容か、これは?
…ったくこんなもんすぐに見つかるところにおくんじゃねぇよ。
はらり。はて、なんか一枚落ちたか。これはなに書いてんだろ?
目を通す。そして、俺は立ち尽くしてしまった。…書いてある内容の壮大さに―――
ガチャ。
「あ、聖摩。まだこんなとこいたのか。大して時間がたってないとはいっても暇してたろ?」
兄貴が帰ってきた。すぐさま胸ぐらをつかみ、問いかける。あの書類を見せながら。
「おい! これはどういうことだよ! なんでこんな…」
「それを見たのか…一番伏せておきたかったんだがな。」
俺の感情はもはや苛立ちしかない。…同時に寂しさも覚えるけれど。
「兄貴。俺はこっちのEOLS使って箒達専用機持ちを呼ぶ。だから兄貴はそっちのDILCを使って更識家の位置を特定しろ。」
ちなみにEOLSはケータイみたいに通信連絡ができる高性能機械、DILCはGPS、地図検索複合の上位互換のようなもの。
「人使い荒いな~、ま、こっちにも非はあるから文句はないけど。…はい、完了。」
やはりぶつくさいっても兄貴は仕事が早い。俺も早いとこ全員呼ばねぇとな…
3時間後、専用機持ち全員が兄貴の部屋に集結した。
祖国に帰っていた人たちにもなんとか話をつけてこっちに来てもらった。
「どうしたんだ、東郷。こんな時間に。」
これは箒である。まあそこまで距離はなかったから、二番目に来た。
「まったくですわ。それともそんなに重要な内容でして?」
セシリア。一番遅く来た(イギリスだからしょうがないよね。)
「重要なことと聞いて来たが、しょうもない事ならば帰らせてもらうぞ。」
ラウラ。若干呆れ気味だが、たぶんこの事を聞いたらすぐにでも切り替えるだろ。
内容が内容だからあまり口に出すのも辛い。けど、これはとくにこいつらにいっておかないとダメなことである。
…あ、シャルはあとちょっとでこっちにつくらしい。
「そんなことを言っていられるのも今のうちだ。今から俺たちは更織の屋敷に突撃する。たしかあそこには一夏がいるはずだ。」
「なんだと? 最近ようやく諦めがつきはじめたと言うのに、貴様はそれを」
俺はかつてのすさんでいた頃の目を向けて黙らせる。その威圧が効いたのか誰も口を出さなかった。
「一夏は今年で卒業という形で学園を出る。それでもそんなことを言ってられんのかよ。」
「なっ!?」
「嘘ですわよね…嘘っておっしゃってくださいまし!」
誰も動揺を隠すことができていない。織斑先生に至ってはよく見ないとわからないが目に涙を浮かべている。
「嘘だったらお前らをわざわざ呼ばねぇ。たぶん3月には大勢の女子が取り囲んでゆっくり会話もできない、楯無との交際はお前ら以外は発覚してないはずだからな。だから今日突撃して、言いたいこと全部言え。わかったな。」
そう、書類には織斑一夏の更織家での保護という形で、今年度で一夏を強制卒業させるという件だ。
ここIS学園にいるよりも安全であることから―――
書類の日付からみて一夏には既に伝えているはずである。
「阻止ーはできないとわかっているため、せめてゆっくりと話がしたいと思っての、俺の行動だ。ちっとは感謝してくれよ? シャルがこっちにつき次第出発するぞ。」
更織家。
俺は今日も剣道の練習をしていた。もう亡国機業は去年の12月で潰れ、俺自身にはもう被害はないはずだけど、それでも残党が残っているかも、ということで自衛のために剣道を再び続けている。
「一夏くん、頑張ってるわね。」
声のした方を見ると、俺の彼女―――刀奈がそこにたっていた。
「はい、これ。」
そういってタオルを差し出してくれる。
「ありがとう、刀奈。」
俺は縁側に腰かける。そしていつものようにぬるめのスポーツドリンクを飲む。
「それにしても、本当によかったの? みんなに伝えずに卒業してしまうなんて。」
「ああ。世界で唯一ISが使える男子とその専用機が狙われているわけだ。何もみんなのいるところを戦場にする必要はない。確かにみんなが俺の事を好きで、一緒にいたいと思っていたのは最近になってだけど分かった。……それでも、これは俺ができる最後の俺なりの''優しさ''なんだ。」
みんなから告白されたあの日、俺は今までの自分の行動がとても恥ずかしく、そしてなんて最低なんだと思った。
今までの俺への気持ちを無下にしてきたと考えると、とてもじゃないが嫌になってきたんだ――
「貴様のそれは、優しさなんかじゃない! エゴだよっ、それはっ!!」
ドォォォォォォォン!
次の瞬間、俺の目の前に叢雨を纏った聖摩、そして彼に抱えられた箒、セシリア、鈴、シャル、ラウラが現れた。
「皆、どうしてここに?」
「そんなことよりも、言わなきゃならない事があるんじゃないのか、一夏?」
うっ…それを言われると言い返せない。
「そうだぞ、嫁…一夏! 何も伝えずに出ていくとは!」
うっ。
「まったくですわ! あれほど優しくしてくださったのに!」
ううっ。
「まったく変なところを気を回す…」
うううっ。
「あれほど僕には頼ってくれって言ってた癖に…」
ううううっ。
「ほんっと、ビミョーに唐変木が治ってないわよね、あんた。」
……返す言葉がございません。やっぱり俺の唐変木は不治の病なのか…?
刀奈が声をかけてくれた。
「ゆっくり話してきたら? たぶん当日はごった返しになるはずだろうから。」
俺はその言葉に甘えて、自分の部屋でみんなと話すことにした―――
その夜はとても楽しく、賑やかなものだった。
今まで止まっていた時間が、
動き出したかのように―――――――――
次からは別作品のキャラも出していきます!
気合い入れてぇ~、ガッデム!