「さぁて、今日は何をしようかなぁ!」
「……聖摩君、何でわざわざ大声だしたの?」
「気にしたら負けだ。」
今日の授業もすべて終わったわけで、めくるめく放課後タイム。まー、することがないから(テストもまだまだ先の話だから…)、部屋でごろごろするだけだけど。
「穂香は今日はどうすんだ?」
「うーん、たぶん佳奈多ちゃんとかとISの特訓かなぁ……」
「そっか、まぁ頑張れよ。」
そう言って俺は部屋へと帰る。――――――今日も何もないといいんだけどな……
夏休みの時にタイプ『モルスク』が確認されてから、少しずつこっち―――ISの世界にもBCウイルスの気配が感じられる。
この学園に通っている生徒には対策…薬を与える…はしてあるために、感染する事はない。ただ、普通の一般人のやつらは別である。
感染者がこの学園に侵入すれば、たちまち混乱状態に陥るし、そもそも薬を飲む前に感染していたのであれば無意味である。
――――――そして、出来ることなら殺すなんてことはしたくなんてない。
…ったく、こんなこと考えていたら今日することができちまったな。俺もアリーナで特訓だな。
そして第一アリーナ。どうやら第二は先輩の何十人かが、第四は穂香たちや他の2年生が使っているそうだ。ちなみに他のは修理、舗装中だそうだ。
そして、ここ第一は誰もいないという情報を手に入れたので、わざわざ来たのだ。
第一アリーナに誰もいない理由は単純明快である。このアリーナは学園寮から一番遠く、しかも校舎からも一番遠いのである。
それだったら近場のアリーナを使うよね。俺だって特訓内容が内容じゃなかったら近くの使いたいよ。
そんな不満をもって俺は虚空から武器を取り出す。今回だしたのはダークリパルサー。とりあえず特訓するため、できるだけ重い武器が欲しかっただけなんだが。
とりあえず型を舞うことにした。何でも、兄貴によると、この武器のある本来の世界では専用の必殺技みたいなもんがあるらしいからなぁ。
1時間後。大分練習できたのでダークリパルサーを虚空へとしまう。
それにしても、ここってそんなに普段は人気のない場所なんだなー。一時間もしたのに誰一人来なかった。
まぁこんな何もないところから武器を取り出すような秘密なんて知られたくないからいいんだけど。
そんなことを考えていると――――――
耳をつんざくような奇声と、怒号、そしてひとつの連絡が入った。
『聖摩! 第四アリーナに奴が来た! 既に大地にも連絡は入れてある! 急いで援護に行け!』
「皆、こっちに!まだこっちから逃げることができる!」
アリーナにはいると、そんな大地の声が聞こえた。
「悪い大地、遅れた! まだ避難が終わっていないようなら俺がする。大地は敵の相手を!」
俺はそういいながらも敵の姿を確認する。どうやら叢雨から送られたデータによると、タイプ:フォートレス・バジリスクらしい。
バジリスク属の中でも一番装甲が固く、吐く火球の威力も高いタイプである。
「聖摩、避難は任せたぞ。―――いくぜ! ストライク!」
『お任せあれってんだ!』
そんな声が聞こえたかと思うと、次の瞬間大地は鎧を纏っていた。この姿を見るのは2回目にもなるが、やっぱり全身装甲は見慣れないな……おっと、避難させないと。
「早く移動してくれ、ここもそう安全じゃない。」
「とっとと決めるぞ、ストライク! いきなりだけど粒子開放、本気でいくぜ!」
『おっしゃあ!』
このモードは長時間することはできない。ただし、この状態になると、機体性能が格段に上がる。
気にしたことはなかったのだが、ストライクいわく、大体6倍ぐらい向上するとか。……どこから6なんて数字が出てきたんだか。
ちなみに前の世界ではこの状態を『ブループリズム』とか呼ばれていた。理由は簡単。辺り一面に蒼い光を撒き散らすからだ。
目の前の怪物が火の玉を吐いてくる。
『右から反時計回りに近づいていけ、そうすりゃあいつを殴れる!』
「了解!」
俺はストライクに言われた通りに動く。すると、やはりストライクの演算能力は優れているのだろう。すべての攻撃を避け、近付けた。
「おぉぉぉぉ!」
大きく拳を振りかざし、鋭く殴る。
ガキィッ、
しかしその拳はあまり効いていない、弾かれたような音を立てて反動でこっちが後ろに下がってしまった。
「格闘はダメっぽいな、フルパッケージ状態になるのにあと何分かかる?」
フルパッケージ状態になると、背中に大きなユニットが付き、高速移動、高出力エネルギー砲が2門追加される。
『ダメだっ! 14分……聖摩の奴と代わった方がいい――――――しまった! 1発逃した!』
「危ない! 聖摩、カバー入って!」
「ちいっ、このまんまじゃぁ全員脱出に間に合わねぇ……そもそもアリーナ内側にいた穂香とかは……」
ふと視線をアリーナに再び戻すと、ピット内に穂香、佳奈多の姿が、さらにその近くには戻りかけていたひながいた。
「危ない! 聖摩、カバー入って!」
その声を聞き、顔を向けると、火球が1発こちら側に来ていた。――――――まずい! このままじゃひながっ―――
佳奈多の叫ぶ声が聞こえる。
「避けてっ、シン――――――!!」
「(シン…? いや、まずはひなを助けなきゃ!)来い! 叢雨、疾風! コール、カレトヴルッフ!」
俺の体を緑色のUSがつつむ。そして、両サイドの特徴的なウイングを開き、全速力で火球とひなの間にはいる。
「そこまでだ、届けぇーっ、叢雨!」
刹那、爆風と光が差し込む。続けざまに黒煙が俺の機体から上がっていく。
……シールドエネルギー、残り23。耐えてくれたんだな、叢雨。
「大丈夫? ひな。」
「う、うん。でもまさかまた襲われるなんてね……」
とりあえず今は『ひな』と呼んでおくことにした。『シン』については後から佳奈多やひな自身に直接聞いた方がいいだろう。
「聞こえているか、大地。俺はもうシールドエネルギーが無い。あとは頼んだぞ。あと、こいつを使えっ!」
俺はパッケージ『不知火』の鬼徹を大地に向かって投げる。たぶんあいつにはこれが一番効果的だろう――――――
俺は投げられたブレードを受け取った。その武器は見た目のわりに重く、しかしより斬れそうな刀であった。
「ストライク、こいつで決めるぞ!」
『おぅけぃ。フルパッケージは間に合わねぇが、こっちはいけた。腕のモードをフルアームドに!!』
とたんに両腕の重量が異常に重くなった。見れば、両方に仰々しいバーニアが2門ずつ、そのうえに粒子の結晶体が埋め込まれている。
俺は短く息を吸い、目の前の化け物向かって加速する。
奴の吐いた火の玉が飛んでくる。俺はストライクのコース演算と本能にしたがってそれらを避けていく。
「グギャオォォォォアア!!」
俺に攻撃が当たらないのが苛立ったのか、ここいちばんの咆哮をあげる。そして―――どうやら本気で俺を殺しにきたのだろうか、それまで固定していた足を地から放し、飛びかかってきた。
「うぉぉぉぉお!」
俺は聖摩から投げられたブレードを振りかざす。そしてブレードの刃と怪物の牙がぶつかり合う。
つばぜり合いの状態だ。しかし圧倒的に俺の方が不利な状態である。じわじわ押されてきているのが自分でもわかる。
すると、奴が急に一回転をし、ブレードが弾かれた。
しまった、このままじゃ、死ぬ―――――――――
ズガァッ
「C.C.C.(クライ・クライ・クライ)…こいつの一撃は重いぜ。遅れちまったな、大地、いや……ベストタイミングか?」
そんな頼りがいのある声のした方を見ると、人間の身長の倍は余裕である狙撃銃を持った聖摩が笑ってたっていた。
恐る恐る目を怪物の方に向けると、そこにさっきまでいた化け物の姿はなく、地面に横たわっている少女の姿があったのだ。
「何があったかわかんねぇだろ。説明してやる。まず、さっきまで戦っていたのはウイルスに感染したこいつだ。」
そう言って聖摩は倒れていた少女を指した。……なんだって、俺はさっきまでこの子と殺し合いを…?
「そして、こいつがもとにもどったのは、俺が結晶をこの銃で打ち壊したからだ。まー、次からは結晶を狙って攻撃してくれよ?」
「……聖摩はずっとこんな命の削りあいみたいなもんをしてきたのか……?」
この事を聞かずにはいられなかった。
「……お互い様だよ。あんただって同じような世界で生きてきたんだろう?」
俺はポカンとしてしまった。俺は確かにこいつの心配をしたはずなのに、なんか俺が慰められてることに。
……なんだよ。そんなこと言われたらどうしようもねぇな。
「……そうだな。」
大地と話をして、そのあとにアリーナのピットに向かった。
「穂香、それに皆…大丈夫か? あんなことになってしまって……」
「う、うん。大丈夫だよ。心配しないで。」
そうか、だったらよかった。じゃあ、あの事を聞かねぇとな……
「なぁ、ひな。それに佳奈多。」
俺は表情を固くする。
―――――――――お前ら、一体何者だ?
はい。今回は特に連絡事項はありません。……あ、いや、そろそろオーバーラップさんの方でIS新刊小説出ますね。楽しみだなぁ……