死んだ目をしたプロデューサー 作:勇気に満ちし者
上記の方々!お気に入り登録ありがとうございます!!
初回投稿で数名からお気に入り登録をいただけて感無量です!!
今回は少し短めです。(というか前回が長すぎた)
急いで執筆したため誤字脱字はお許しください。
それでは本編どうぞ!
翌日、俺は花海トレーニングセンターへ足を運んだ。
佑芽さんのご両親への挨拶、及び佑芽さんのプロデュース計画について協議を行うためだ。
ご両親と初めて対面した時、2人とも俺の死んだ目を見て、一瞬驚いたもののアスリートとして鍛え上げられた精神力が活きたのか、数分後には俺の目を見て会話をしていた。
肝心なプロデュース計画はというと…。結構口論となった。主にご両親間でだが。
俺は2人を宥めつつ、限られた時間で計画が固まるよう、あれやこれやと話を切り出しては集約して、協議内容を見える化することで、後半は円滑に話が進み、時間内でケリをつけることができた。
決まった計画は花海家で使用しているフォーマットで資料を作成するよう指示を受け、持ち帰って出来上がり次第、提出することとなった。
帰るまでに時間があるということで、トレーニングセンターの施設見学、そして新設中のアイドル育成専用ルームについて少し会話した。
その後は花海姉妹のことについて色々と伺った。話の中で、花海姉妹が初星学園へ入学する前までに受賞した数々の表彰やトロフィーをご両親が誇らしげに語りながら見せてくれた。
どれもこれも咲季さんが優勝、佑芽さんが準優勝となってて本当に一度も勝てたことがないのだと改めて知れた。
だが…数多の表彰を見れたことで咲季さんの
帰り際、施設見学中、佑芽さんから祖父が作った野菜を貰ってきて欲しいと言われている旨を何気ない会話の中で混ぜていたことで、しっかりと覚えていた佑芽さんのご両親から大量に野菜を渡された。
ダンボール2つ分もある。流石に郵送でとお願いしたら「トレーニングの一環だ」なんて言いやがった。
こういったストイック部分に咲季さんを感じた。
やはり子供は親に似るようだ。
俺は本日の数多の対応に対して感謝の言葉を伝え、お昼過ぎ頃に花海トレーニングセンターを後にしたのであった。
◆◇◆◇
あれから数時間後、無事に初星学園へ戻って来た俺は教員へ戻って来た旨を報告するべく事務室へと向かっていた。勿論いただいた野菜が入ったダンボールを2つとも抱えた状態でだ。
向かう最中、数名、プロデュース科の学生と廊下ですれ違うが誰一人と手伝おうかと言ってくれる人はいなかった。
「(交友関係を怠ってたのが仇となったか…)」
教員との交流は積極的に行っていた。
同じ回生との交流は講義のグループディスカッション程度で、話す機会なかったしな…。
何かしら交流会的なのはしてるらしいが、科で浮いてる俺を誘うやつはいないか。
「(孤立することは慣れてるからどーでもいいけど)」
小学生の時からずっとそうだ。この目のせいで嫌われてたものだから、友達と呼べる存在なんてフィクションの世界にしかないと思ってたひねくれた子供だったぜ。
悲観してる中、背後からとある人物が声をかけてきた。
「あっ!圷くん、戻ってきてたんですね」
「───あさり先生?」
声が聞こえた方へ振り向くとあさり先生がいた。
「聞きましたよ!無事に担当生徒が決まったみたいですね!」
「すみません。本当はあさり先生にプロデュース契約書を提出したかったんですけど───ご多忙だったみたいで」
昨日、契約書を提出する時、あさり先生は不在だった。
不在だったもんだから後日会った時に担当アイドルが決まった旨を伝えようと思っていたところだ。
「1年間、教鞭を執ってた圷くんに担当アイドルが着くなんて…。先生、素直に嬉しいです」
「……………………………………………………」
あさり先生は笑顔でそう話した。
あさり先生は俺が一回生の時にお世話になった教員だ。あさり先生は今年も一回生の教鞭を主に取ることとなったため、俺達、二回生以上の生徒とは専門講義でしか交流がない。
「荷物、随分と重そうですね。よかったら先生が半分持ちますよ?」
「いえ。女性に力仕事を押し付けるほど俺は腐ってないですよ。───まあ目は腐ってますけどね。あはは」
俺は自虐ネタを混ぜながらあさり先生の救いの手を断った。
「全く…。何度も言ってますが、そういった自分の容姿をイジる自虐、先生好きじゃありませんね」
「おかしいですね。地元にいる時はこの自虐ウケてたんですけどね」
「圷くん、それはウケではなく冷笑です」
「……そうともいいますね」
心にクリティカルヒット。
早く佑芽さんと会話して心の傷を癒さなければ。
「圷くん、あなたの過ごした環境は良くなかったかもしれません。───ですが
「……………………………………………………」
うひょー嬉しすぎる評価ありがとうございます。
傷付いた心が一瞬にして癒えてしまった。
「ありがとうございます。───時にあさり先生」
「?はい、なんでしょうか」
「自慢の生徒ならば一回生の頃からプロデュース許可を出してくれてもよかったのでは?───聞くところによると、今年入学した一回生の学生にはプロデュース許可が降りてるんだとか」
「うっ、そのことでしたか…。やはり圷くんは気になっちゃいますか…。」
少し意地の悪い質問をしてしまった。
だが、気になって仕方ないのだ。俺と同じく現役で合格した学生と俺の違いが容姿以外で何があるのかと。
「実は圷くんも入学当初からプロデュース許可が降りるはずだったんです」
「……初耳ですね」
「ええ、そうでしょう。正式なプロデュース許可が降りるまで他言無用と
学園長が…?何故?
「詳しい話は学園長に直接伺った方がいいかと。この件は何時でも聞いていいとおっしゃってたので今度伺ってみてください」
「そうですか。まあ俺はいいですけど。───入学早々プロデュース許可が降りてる新入生に対して、未だにプロデュース許可が降りてない二回生や三回生の学生達がいたたまれないと思いますけどね」
プロデュース許可が降りてない学生は多く在籍している。現役プロデューサーや俺と同じく現役で入学した生徒といい、幅広い年齢層の学科となっているものの、実力が叶わず燻ってる学生は多い。
とゆうかこの学園、アイドル科の生徒数に対してプロデュース科の学生が足りてないんだよな。
そしてプロデュースできない学生もいると来た、もう少しバランス調整を取るべきだ。
初星学園さん、バランス調整願います。
「彼は優秀ですからね。なんせ学園長のお墨付きです。何やらその実力を評してとある生徒さんのプロデュースを行うよう持ちかけたとか。───結果としては断った様子ですけど」
俺らのボス、学園長のお誘いを断っただと!?
「なんでもどうしても担当したい生徒さんがいるんだとか」
「……なるほど。であるなら断った理由に合点がいきました」
担当したい生徒がいたのなら断るのも納得だ。
例え学園長からのお誘いであれな。
俺の場合は例外なので参考にならないので割愛する。
あさり先生と会話していたらあっという間に事務室へと着いた。
「ドア開けますね」
「ありがとうございます。助かります」
あさり先生は俺が事務室に向かっていたことを察していたようだ。
事務室の前に着くとドアを開けてくれた。
担当教員へ出張から戻って来た旨の報告と名古屋で買ったお土産を渡す。
あさり先生にもお土産を渡すために席へ向かう。
「あさり先生、先程は手が塞がっていたのは渡しそびれました。こちら名古屋のお土産になります」
「わざわざありがとうございます♪」
あさり先生は丁寧にお礼を言ってくれた。
「よければこちらもどうぞ。担当生徒のお爺様が育てた野菜です」
「いいんですか?圷くん用で渡されたのでは?」
「気にしなくて結構ですよ。いつぞや、料理を教えてくださったときにいただいた材料のお返しと思っていただければ」
「そんなこともありましたね。では遠慮なくいただきます」
上京した時、あさり先生は一人暮らしの能力が圧倒的に低かった俺に料理を教えてくれたのだ。
その時に使った材料のお返しということであさり先生へいただいた野菜をお裾分けした。
いただいた物を誰かに渡すのは失礼だって?
一人で食べきれずにダメにするより、新鮮な内に食べられた方が野菜も佑芽さんの祖父さんも嬉しいでしょうが。
「んんっ!ところで圷くん、事務所の申請を行っていましたよね?」
咳払いをしてあさり先生は話を変えてきた。
「はい。昨日のうちに行ってましたがそれが何か?」
契約書の提出と合わせて事務所の使用申請を合わせて行っていたのだ。
「先生、圷くんへのちょっとしたお祝いも兼ねて事務所のお掃除をしておきましたよ」
「……本当ですか!?」
今日まで空いてる会議室を抑えて佑芽さんと今後の計画について話す予定だった。
だけど今日から使えるとなれば凄く助かる。
「はい。これぐらいしかできませんが───」
俺は嬉しさのあまりあさり先生の言葉を遮ってしまう。
「これぐらいなんかじゃありません!凄く、その、凄く助かります!」
興奮した俺は小学生並みの語彙力で喜びを顕にした。
「ふふ、相変わず興奮すると語彙力が低下するのは今後の課題ですね」
「あ、す、すみません。精進します───。」
いかんいかん。
あまり興奮することが無いものだからな。
興奮すると丁寧に話す意識がどこかへの飛んでいってしまう。
とゆうか目が死んでて語彙力無いやつってなんなんだ。本当に改めよう。
「事務所の場所は後ほどチャットで共有しておきますね」
「んんっ!何から何まで…改めて感謝を。ありがとうございます。───あさり先生が、一回生の時、俺の教員でよかったです」
「その言葉は少し早い気もしますが気持ちは受け取りました。───圷くん、君の今後に期待してますからね?」
うひょーあさり先生から期待のお言葉いただきました。
あさり先生は俺をどんだけ興奮させるんだ。
「ご期待に応えれるよう頑張ります。───では俺はこの辺で」
そう返答するとあさり先生は優しく微笑んで退室する俺に手を振ってくれた。
「(いつか…。改めて感謝の言葉を贈ろう)」
なにか成し遂げた時。あさり先生へもう一度、あなたが担当教員で良かったと伝える。
そんなことを考えながら俺は高等部一年、アイドル科の教室へ向かうのであった。
◇◆◇◆
教室へ向かう途中に携帯が鳴った。あさり先生が事務所の場所をチャットで共有してくれたのだろう。見ようにもダンボールを抱えているから見れないがな。
すぐにでも佑芽さんと合流して、新しい事務所に向かいたいところだが少し寄り道をしようか。
「失礼します。咲季さんいらっしゃいますか?」
俺は咲季さんが在籍している一年一組へと赴いた。
「───ここよ」
教室の奥側から咲季さんが返事をした。
一組の生徒が咲季さんと俺を交互に見ては頭上に疑問符を浮かべていた。
「なになに?咲季っちの担当プロデューサー?」
「違うわよ」
咲季さんさんに話しかけたのは山吹色の頭髪をした生徒だった。
編入生の紫雲清夏さん…。俺が目を付けていた生徒の1人だ。
本命は彼女と親しい───。
頭の中で彼女の名を述べようとした時。
「あ、あの───すみません。後ろ通ってもよろしい、でしょうか?」
「!これは…失礼しました」
後ろから声をかけられた。
出入口付近にいた俺は生徒達の通行の邪魔になっていた。
早く咲季さんの所へ向かうべきだったが、紫雲清夏さんの介入で少し考えてしまった。
「(葛城リーリヤさん…!)」
何を隠そう、彼女こそが俺がプロデュースを誘う予定だった第一本命の生徒だ。
「すみません。───失礼します」
避けた俺の後ろを通って葛城さんは紫雲さんの所へ向かった。
入試試験の成績は下の中辺りで、目立つような生徒ではない。
だが光るものがあると感じた俺は彼女をプロデュースするつもりで色々と考えていた。
それに留学生ということもあって生活面も不慣れだろうし、更にアイドルとしての学生生活を円満に送るためにもプロデューサーは必要不可欠だと思い、他の生徒と比べて誘えば乗ってくれそうな期待大の生徒でもあった。
端的に言うとちょろそうだったという訳だ。
「(我ながら屑だな)」
心の中であさり先生に謝罪した。
でも仕方がないじゃないか。
こんな死んだ目をした俺は少しでも可能性がある生徒を誘わないと勝ち目がなかったんだからさ。
許してくれ…!
余談だが、葛城さんは紫雲さんと親しい仲であることを知り、葛城さんの情報収集と合わせて紫雲さんのことも調べていた。
彼女も彼女で色々とあるらしいが
───今はもうそんなこと考える必要ないか。
俺には佑芽さんという担当アイドルがいる。
これ以上、彼女達を調べる必要はもうないのだから。
「?リーリヤがどうかしたのかしら?」
近寄ってきた咲季さんが話しかけてきた。
葛城さんを見つめていたのがバレたようだ。
「いえ、彼女は確か留学生でしたよね?───にしては流暢な日本語で驚いてたんです」
苦し紛れの言い訳を並べた。
単純に見とれてたなんて口が裂けても言えないな。
「父親が日本人なんですって。───ってなによ。あたしに用があったんじゃないの?」
「素朴な疑問なので適当にスルーしてください。ああ、これご両親からの渡し物です。両手が塞がってますので受け取っていただけると助かります」
俺は持っていたダンボールを受け取るように咲季さん伝えた。
「もしかしてうちの野菜?わざわざ有翔に渡さなくても送ってくれればいいのに」
「郵送でと伝えたらご両親からトレーニングの一環だと言われて…。大変でした」
「まああの二人なら言いそうなことね。持ってきてくれて助かるわ。これだけあれば1週間は野菜に困りそうにないわ」
空いてた机にダンボールを置いて、中身を見ながら顎に手を当て何か考えながらそう答えていた。
野菜を使ったメニューでも考えるってところか?
「ねえ───そこ、私の席なんだけど?」
背後から話しかけてきたのは席の持ち主の生徒だった。
「あら手毬、てっきりレッスンに行ったのかと思ってたわ」
月村手毬…。中等部からの進学組の生徒。
中等部時代はあの有名なユニット『SyngUp!』のメンバーの1人、素行に問題があり、トラブルメーカーと聞いている。
確か解散するにあたって原因になった生徒…だったか。
「ちょっと離席してただけなんだけど?───とゆうか早くどかしてくれない?」
「悪かったわね。ほら、これでいいでしょ?」
咲季さんあのダンボールを軽々と持ち上げった。
「ところでそれ、なに?」
「実家で育てた野菜よ。手毬もよかったら食べる?」
「べ、別にいらない。ちょっと気になって聞いただけだから」
ちょっと食い気味に拒否ってたぞ。さては野菜嫌いな生徒か?
「それでこの人誰?咲季のプロデューサー?」
「違うわよ。この人は佑芽───わたしの妹のプロデューサーよ」
「咲季の妹…?」
どうやら咲季さんに妹がいるまでは知らなかったようだ。
とゆうか入学翌日から名前呼て、あんたらやっぱりコミュ力お化けだろ。
「ご紹介されました。花海佑芽さんの担当プロデューサー、圷有翔と申します」
俺は名刺を月村手毬さんに渡した。
「二回生の方、ですか?その───私のことは?」
「勿論、存じてます」
「!そうですか…。」
何故かムスッとした表情になった。俺、何か悪いことでもしただろうか?
「じゃあ私はこれからレッスンがあるので。失礼します」
「ええ、あまり一人で無茶したダメよ?」
「ほぼ初対面のくせに馴れ馴れしいね。
───言われなくてもわかってるから」
それじゃあ、と一言残して彼女は教室をあとにした。
「月村さんとは仲良くなれそうですか?」
「どうかしらね。向こうがその気になればすぐにでも仲良くなれる自信はあるわ」
流石、コミュ力お化け。咲季お姉ちゃん凄いな。
「長居させて悪かったわ。これから佑芽の所に行くのよね?」
「ええ、これから佑芽さんにご両親と考えたプロデュース計画を説明します。───あ、聞きたいと言っても無駄ですよ?」
「わかってるわよ。もう聞かないって決めたから。聞かずとも佑芽と有翔を倒せばいいだけだもの」
コミュ力お化け、兼、
倒せばいい、は少し違う気もするがな。
「一度倒されれば満足していただけますか?」
「何言ってんのよ。何度も叩き潰すに決まってるわ」
可愛い顔して物騒なこと言うなー怖いんだが。
「何度も佑芽さんに勝てると?」
「ええ、これまでも何度も勝負して勝ってきたもの」
それは今朝、花海さん達の実家に伺った際に数多の表彰を見て嫌でも知らされたよ。
だが、どれも競技は別だったがな。
「咲季さん言っときますけど
───ここでは
「!?」
先程まで平然であった咲季さんの目が見開いていた。
「有翔。───気付いたのね」
「はは、なんのことでしょうか。少し長居しすぎたので退室しますねー」
俺は乾いた作り笑いをしながら一組の教室から退室した。
咲季さんがずっと俺を見つめているのは何となく察した。
自分の弱点が一番の敵に知られて焦っているのか、それとも闘志を燃やしているのか…。
それは咲季さん本人にしか分からないことだ。
なんと佑芽さん未登場…。後半で登場させる予定でしたが次回にお預けです。
これ以上、執筆したら今週中に投稿できないと思ったので断念した次第です。
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作者のモチベが爆上がります。
〈人物紹介〉
【
あさり先生に料理を教わったことがある。
あさり先生の自宅で料理を教えるはずだったが、どこかで情報を仕入れた学園長が料理室の使用を許可したのであった。