死んだ目をしたプロデューサー 作:勇気に満ちし者
偶然ですが今回は美鈴メインの話になります。
上手く内容を伝えられているのか不安ですが執筆いたしました。
ご覧いただけますと幸いです。
評価をしてくださった、こうちゃちゃさん、プロデューサー科のものさん、銀赫さん、彫刻刀さん、えりんぎ男爵さん、バタ水さん、マルマルKさん、蒼暁さん、ライザヘッドさん、ありがとうございます!!皆さん高評価で感激です!
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それでは本編どうぞ!
憂鬱な月曜日。
少年ジャンプを読み終えた俺は早朝から自宅を出た。1限目に履修登録はしてないが、プロデューサーとしてやるべき仕事は沢山ある。
2時限目の講義までの時間を使って資料作成をするために事務所へ向かっていた。
『(視線を感じる)』
一人、いや二人の視線か?
こちとら死んだ目をしているんだ。
嫌な視線は死ぬほど向けられていたから過剰に反応してしまう。
『(俺に何の用だ……?)』
俺は気付いていない振りをする。
『(用があるなら事務所に来るか)』
止まらず一直線で事務所へ向かう。
事務所に着いて作業を開始するも誰かが来る気配はなかった。
『(気の所為か)』
自意識過剰過ぎたか。
誰かに見られている……。もとい、尾行されていると思ってたが気の所為だったか。
作業の合間でそう考えてた時───。
トントン
ドアが数回ノックされた。
「はい」
俺は返事をしてドアの元へ向かう。
「佑芽さんのプロデューサー、おはようございます」
ドア開けると秦谷さんが立っていた。
「秦谷さんでしたか」
「まあ、何がですか?」
「つけられてる様子でしたのでね。秦谷さんだったということで納得しました」
ただもう一人はどうなるんだろうか。
それこそ俺の勘違いだったという訳か?
「あの、なんのことでしょうか?───わたしは、先程までHRに出席してましたが……。」
秦谷さんではない、だと?
「佑芽さんのプロデューサーは誰かに尾行されてたのですか?」
「───いえ、気の所為です。昔から嫌な視線を浴びてたので過剰に反応してたみたいです」
「それは……お可哀想に」
親身に反応してくれて嬉しかった。
だが、本当に勘違いだったのだろうか?
一旦、この件は置いとくとして今は秦谷さんの相手をしなければ。
「事務所のご案内、ありがとうございます。ふふ、早速来てしまいました」
昨日のうちに事務所の場所は伝えていた。
まさか翌日の早朝から来るとは思ってなかったけど。
「来ることは構いませんと伝えましたが、授業をサボって来るのは関心しませんね」
「まあ、もしかしてお説教ですか?」
「いいえ、俺はあなたのプロデューサーではありません。説教する資格はありませんので、単純に思ったことを言ったまでですよ」
どうぞと最後に伝えて中央に設けているパイプ椅子まで案内する。
「わたし、こう見えて不良なんです。───授業をサボることなんて日常茶飯事なんです」
「自慢することではないかと」
「まあ……なんだか佑芽さんのプロデューサーは昨日と態度が違う気がします」
「……昨日は休日でしたからね。浮かれてたかもしれません」
少し浮かれていたとは思ってた。
秦谷さんには見透かされてたのだろうか。
「お茶を用意しますね。お待ちください」
お湯を沸かしてお茶をもてなす。
粗茶だが許して欲しい。
「──────どうぞ」
「ふふ、頂戴します」
秦谷さんは微笑み、湯呑みを持ち上げお茶を飲む。
「では、ここに来た理由を伺ってもいいですか?」
「そうですね。ですが、先にこちらから伺いたいことがあります」
「……月村さんとの件ですか?」
「ええ、お察しが良くて助かります」
ふふと笑うも目が笑ってなかった。
「まりちゃんが言ってた『酷いこと』について内容を伺ってもよろしいでしょうか?」
「であるなら先にお米の料金を払わないとですね。チナpayでよろしいでしょうか」
「ふふ、そういえばその流れで話す機会を取り付けましたね。忘れないうちに頂戴します」
チナpayでお金を送金する。
金額は秦谷さんと話して決めた額だ。
「さあ、これで話を妨げるものはなくなりました。───お聞かせください」
秦谷さんは目を細め強い声音でそう言った。
「……月村さんからしてみては『酷い』と捉えるのも無理がないほどの出過ぎた発言をしてしまったんです」
「……………………………………………………」
秦谷さんは返事をせずに黙って俺を見つめる。
「話すこととなった経緯は省きますが……。しっかりと話し合わず、自分の意見だけ押し付けた結果が『SyngUp!』解散を招いた原因なのでは……と月村さんに言いました」
その言葉を聞いた秦谷さんはピクリと小さく震えた。
まるでその言葉の意味がわかったかのように。
「それは……お酷いですね」
「ええ、出過ぎた発言だったと月村さんにも謝罪しました」
「……ですが─────────。」
秦谷さんは一言、発したあとに長い溜めを挟む。
「それはごもっともなご意見だと思います」
彼女はそう言った。
「今でも思うんです。『SyngUp!』がばらばらにならないために、わたしはどうすればよかったのか。───そうですね。話し合う、至極簡単なことだったんですね……。」
秦谷さんが湯呑みに視線を落として数秒ほど事務所が沈黙に包まれる。
「……当時のまりちゃんは、中等部でナンバーワンになったのだから、もっと上を目指すべきだと言ってハードな練習を繰り返してました」
秦谷さんは思い出にふけるよう過去の話を始めた。
「わたしには背伸びをして、無理をして、たどり着いた場所を心地が良い場所とは思えないんです」
秦谷さんの発言の意味はわかる。
俺も似たような考えだが時には無茶をしなければならない時はある。
ようは線引きが大事ってわけだ。
「あのまま、まりちゃんが練習を続ければいつか自滅してしまう。───そう思ったわたしはまりちゃんに言ったんです」
まりちゃんは頑張りすぎなんです。
と、彼女は言ったようだ。
「でも前者の考えなんて伝えてません。───そうなんです。わたしは、わたしの意見を説明もせずに主張してたんです……。ちゃんと言葉で言えなかったんです……。」
その後も語った。
言葉で言っても伝わらないのだから、ライブ中、集中が高まると後先考えずに全力でパフォーマンスを発揮する月村さんが怪我や体力が尽きないよう抑制するためにアドリブを挟んだりした、と。
「これら全て何も言わずに勝手に……いい気になって行なってました……。その結果が───」
「解散、ですか」
「─────────はい」
彼女達の映像を見た時から思った。
月村手毬は賀陽燐羽、秦谷美鈴の2人がいたから最後までパフォーマンスを披露できたのだと。
周りから見れば2人が月村さんをフォローする形でライブを行われていた。
だが……本人はそれを良しとはしなかったのだ。単純に「邪魔される」と捉え嫌気を指したという訳か。
「燐羽もまりちゃんに言ったことがあるんです。───勝手なことしないで、と」
当然、月村さんはその発言に激怒したとのこと。
「(明らかな言葉不足が招いた結果だな)」
「あなたを支えたい」
と、本音を言えば月村さんも「邪魔してくるヤツら」から「支えてくれる仲間」と解釈が変わってたはずだ。
否、月村さんのことだ。例え自分のためだとわかっても、フォローされること自体を嫌っていた可能性もある。
もっと言うとフォローされないと最高のパフォーマンスを発揮でない自分自身を嫌いになる方が彼女の思考的に納得できる気がする。
ただ、それに関しても素直になって話し合いをすれば、月村さんが好むやり方を模索できたかもしれない。
「勿体ないですね」
「え?」
俺は口走っていた。
「お互いを尊重できるユニットであれば、『SyngUp!』は中等部のみならず、高等部でもナンバーワンユニットになれていたでしょう」
月村手毬の圧倒的な歌唱力。
賀陽燐羽の息を呑むほど美しい踊り。
秦谷美鈴の観客を魅了させる立ち振る舞い。
中等部から順当に成長して、高等部へと進学した彼女達が『HIF』で無双する様を見てみたかったと思ってしまった。
「……ここからが本題です」
前置きが長くなりましたと秦谷さんは軽く謝罪した。
湯呑みを持ち上げ、少しだけ喉を潤したあとに声帯を揺らした。
「わたしは……『SyngUp!』を再結成したいと思ってます」
その言葉を聞いて俺を目を見開く。
「……本気、ですか?」
「はい、本気です」
いきなりの告白で動揺した。
「あなたから見て、まりちゃんはソロアイドルとして活動できる見込みはありますか?」
正直な話し難しいと思う。
話を聞いた様子だと月村さんは集中がピークを達すると本来の実力以上のパフォーマンスを発揮してバテる傾向があると見解した。
そんな弱点をもつアイドルが一人で全てを賄うソロアイドルを行うのは難しいだろう。
「難しいとは思います。今のままでは確実に自滅します。───ですが、月村さんがソロアイドルを目指すというのであれば止めはしません」
「……それはまりちゃんのプロデューサーではないからですか?」
「それもありますが……。月村さんには言っても言うことを聞かないと思いますから」
「まあ、それは……そうですね。まりちゃんは常に全力で走ることが、彼女の目指すアイドル像ですから」
月村さんは常に全力疾走だ。
練習ですらストイックにこなして、常に自分を限界まで追い込むスタイルだ。
決して悪いことではない。
が、彼女には適してないやり方だと俺は思う。
「これは月村さんや俺の考えなど考慮せずに思ったことですが───」
考えていること全てを放棄して純粋に抱いた思いを語った。
「俺も……月村さんが自滅する姿を見たくないです」
「ッ!?」
このままソロアイドルを貫き通して、実力が実らずに自滅して、燻り続ける月村手毬を見たくない。
認めたくない。
絶対、認めたくないが───。
「俺は月村さんの歌声が好きです。そんな彼女が初星に名を残さず、卒業する未来なんて想像したくない」
あんなにうるさい人なのに。
あんなに面倒臭い人なのに。
あんなに生意気なのに。
なのに───俺は彼女の歌声に惚れている。
最近では仕事と称して月村さんのライブ映像ばかりを見ている。
我ながら変なやつだなと思うが…。
それほど彼女の歌声に魅了されている証拠か。
「やはりあなたしかいません……。───早速ですが、いただいたご褒美の権利を使わせてもらいます」
秦谷さんは俺の瞳を真っ直ぐに見つめて語り出した。
「まりちゃんにソロアイドルは向いてないと説得して欲しいんです。───叶うのなら、もう一度、まりちゃん、りんちゃんと『SyngUp!』として、ユニットを組んで同じ夢を見たいんです……。ご協力いただけませんか」
話の流れからして、『SyngUp!』再結成の協力依頼だろうと思っていたところだ。
「随分と難しい要望ですね」
「そのことは自覚してます。『SyngUp!』の再結成には幾つもの障害があります。───ですが、一番大切なのは───」
「月村さんと賀陽さんの意思、ですか」
「はい、おっしゃる通りです」
彼女達は解散するにあたって解散ライブを計画していた。しかし、賀陽燐羽が月村手毬を批判するアンチに対して、過激な対応をした結果、賀陽燐羽宛に脅迫状が届き解散ライブは中止となった。
数多の関係者達を巻き込んだ事件、当時の関係者含め、学園外内問わず『SyngUp!』が再結成するとなれば批判は必ずされるだろう。
だがそんなことはもっと先の話だ。
一番重要なのは本人達の意思だ。
秦谷さんがいくら『SyngUp!』を再結成したいと願っても、月村さん、賀陽さんがその思いを受け入れ『再結成したい』と同じ意志を持たないと再結成なんてできやしない。
仮にできたところで、それは今までと同じ歪な関係であって少しのすれ違いで再び崩壊するだろう。
「時に秦谷さん、あなたは生徒会執行部に所属しています。十王星南がプロデューサーかと思われますが……。彼女にはこの件を相談したのですか?」
俺に相談する前に自身のプロデューサーに相談すべきだと思って伺った。
「生徒会には籍を置いてますが、星南会長からのプロデュースのお誘いは保留とさせてもらってます。───もとより『SyngUp!』を再結成したいと思ってましたから」
『SyngUp!』を再結成させるのであれば擬似的なプロデュースを行う十王星南より、正式な権限を持つプロデューサー科の学生をプロデューサーとして起用した方がいいと思ったのだろうか。
それとも自分達にプロデューサーは不要と思ったか、もしくはプロデュースしたがる人がいなと思ったかのどちらかか。
「わかりました。───ですが……。何故、俺なのですか?俺はこんな見た目ですし、実績もない素人プロデューサーですよ?」
デジャブを感じる発言だったが最後まで言い切った。
「理由、ですか……。確かに不思議な瞳ですが、わたしは好きです。それと、まりちゃんがあなたに心を開いているからです」
月村さんが俺に心を開いてるだと?
あと、俺の瞳が好き、なのか…。
「んんっ!それは勘違いですよ。月村さんは単純に……。───そうですね。都合のいい大人が手に入ったと思ってる程度かと」
動揺を隠すように咳払いをした。
とんかつ作れとか言い出すぐらいだ。秦谷さんに伝えた通り、俺は都合のいい存在であって心を開かれているとは思えない。
「いいえ、そう思われる時点でそうゆうことなんです。普段のまりちゃんであれば……あんなに元気よく、プロデューサーなんて言って話しかけません」
昨日のお食事会の時からそう思っていたらしい。本音を言うと仲が良すぎて少し嫉妬していたぐらいだと語っていた。
「あとは……そうですね。あなたがわたしと同じぐらいまりちゃんを好いているから、でしょうか?」
「……好いてません」
「まあ、真剣な面持ちで好きだとおっしゃっていたのは……どこのどなたでしょうか」
認めたくないが俺だな。
言っとくが歌声が好きだって話だからな。
一番は佑芽さんだからな。
「すみません。質問が多かったですね」
要望の返答ををせずに一方的に質問をする形となっていたことに謝罪した。
「いいえ、構いません。こちらはお願いしている立場ですから」
普段の彼女ならふふと笑って答えていただろう。
その様子が見受けられないということはそれほど真剣ということか。
「ありがとうございます。では、まずは───」
俺は一息ついて話し出した。
「……長い間、ひとりで悩んでいたことをお察しします。───秦谷さん、頑張りましたね」
「──────!!」
秦谷さんは驚き、いつもの冷静な表情が一瞬にして崩れる。
俺はプロデューサーである前に、秦谷さんにとって手本にならないといけない大人なんだ。
ずっと一人で抱えていた思いを他者に打ち明け、相談してきたことに敬意を評して、そして労うために『頑張りましたね』と言葉を送った。
「………………えぇ?」
秦谷さんは抜けた声で呟く。
秦谷さんの目尻からすーっと涙が落ちた。
無自覚の涙に驚き言葉を漏らしたのだろう。
「いえ、違うんです……!これは、目に、ゴミが───!」
秦谷さんは溢れ出る涙が止まらずにその場で慌てる。
「……気持ちは分かります。今の言葉は恩師が俺に送ってくれた言葉です」
この言葉はあさり先生が俺に送ってくれた言葉だ。
初星に入学したてで、周りの人達に馴染めてない俺を気にかけて面談をしてくれた時だ。
地元での扱いの話をした時、彼女は言ってくれた。
『頑張りましたね。偉いです』
と、その言葉を聞いた俺は思わず泣いた。
いや、号泣だな。秦谷さんとは比較にならないほど泣きじゃくった覚えがある。
「俺はプロデューサーだとか、先輩だと、それ以前にあなたの手本になるべき大人です。頑張った人を労うのは当然ですよ」
「──────ッ!!!そんな……あんまりです……!こんな、大人の対応なんて、嬉しく、ありません……!」
「お気に召さなかったですか?」
「当たり前、です───!子供扱い、しないでください……!」
泣きじゃくりながら秦谷さんは怒りを顕にした。
俺は静かにハンカチを渡すと彼女は受け取り、目尻にハンカチを押し付けた。
口元を抑え、必死に声を押し殺して泣く様子は子供が無茶をしているように見える。
数秒程で秦谷さんは泣き止んだが……。
「……あなたのこと、嫌いになりました」
泣き止んだ秦谷さんがいつもの声音でそう言ってきた。
「それは申し訳ないです。では……『SyngUp!』再結成のお手伝いはいかがなさいますか?」
「……そんな意地悪な質問をする人の声は聞き取れません」
ぷいとそっぽを向いて答えた。
可愛い仕草だが表情は至極真剣であった。
「ご要望の件、協力しますよ」
俺は秦谷さんの要望に答えることにした。
俺も個人的に『SyngUp!』のライブをもっと見てみたいと思ってしまったからだ。
大人の事情だとか、学園の事情だとか、そんなこと知ったもんか。
彼女達が話し合って再結成することを望むのであれば俺は協力すると誓おう。
大切なのは本人達がどうしたいかだ。
話し合った結果、再結成しない選択をするのであればその意思も尊重する。
再結成を望むのであれば、手を差し伸べで導くのが大人として取るべき対応だ。
あとは───頼ってくれて嬉しかったからだな。
勿論、佑芽さんのプロデュースに支障をきたさないように最前の注意を払いながらするつもりだ。
「!─────────ぷいっ!」
俺の返答を聞き、秦谷さんは一瞬驚くも今度は頬を膨らませながらぷいっとそっぽを向く。
なんだこれ。
可愛すぎるんだが。
「……確認ですが、ようは月村さんにソロ
俺は拗ねてる秦谷さんを無視して話し出す。
「諦めさせるために一方的に意見を押し付ける形は逆効果です。話し合わなかった結果が『解散』ですからね。───と、いう感じで難しい話ですが……ひとつだけ策があります」
「……まあ、本当ですか?」
秦谷さんが反応した。
「都合のいい言葉は聞き取れるようですね」
「はい。ふふ、都合がいい耳なので」
いつもの調子で答えてくれた。
この先からは普通に会話できそうだな。
「策とはなんですか?」
「今は言えません。意気揚々と語って万策尽きたらかっこ悪いので」
「……なるほど。自信がないのですね」
何故かニコニコと微笑みながら煽ってきた。
さっきのお返しのつもりだろうか。
「ええ、そうです。月村さんは読めない方なので提案を断られる可能性が高いです。───なので、まずは月村さんを『知る』ところから始めさせてください」
圧倒的な歌唱力を持ってることは知ってる。
面倒くさくて、毒舌で……言葉を選ばずにあえて言わせてもらうが、クソガキみたいな存在だと思えば手っ取り早いか。
「今、まりちゃんに対して失礼なことを考えませんでしたか?」
まずい。
「何がまずいんですか?」
無惨様かよ。
普通に怖いんだが。
「……いいえ?月村さんは美人でクールで最高の美貌を持ってて高嶺の花だなと思ってました」
嘘に嘘を重ねて答えた。
とは言ったが普通に面は好きな分類だ。
とゆうか『SyngUp!』のメンツだが……。
全体的に面が良すぎる。
なんだこれは(なんなんだこれは)
俺の中の『Campus_mode!!』が暴走する。
「まあ、やはりあなたはまりちゃんのことが大好きなんですね。───わたしの方が、大大、大好きですけど」
「はは、そうですか」
適当に肯定することにした。
誤解されたくないから言っておくが佑芽さんが一番可愛いからな。異論は認めない。
「(秦谷さんにも言った通り月村さんを知ることから始めよう)」
彼女がユニット解散に至った経緯の確認と抱えている何か見つけて、紐解いていかなければ再結成なんて叶うはずがないのだからな。
賀陽燐羽…に関してはそもそも交流がない。接したこともないから攻略難度は月村さん以上だと思ってた方がいいな。
いや、月村さんも高難度だと思うけども。
あれ、普通にこれきつくないか……?
「総じて思いました」
「?何がですか?」
再び湯呑みを持ち上げ、お茶を飲み終えた秦谷さんが口を開いた。
「あなたに頼ってよかったと。───泣かされたことは許しませんが」
「勘弁していただきたいですね。どうすれば許してくれますか?」
「ふふ、勿論『SyngUp!』が再結成できればお許しします」
「では許されるために頑張らないとですね」
テンポのいいやり取りを終えた後、ふと携帯で時間を確認する。
「すみません、そろそろ次の講義の時間なので離席します」
PCを閉じて携帯をポケットにしまう。
「秦谷さんもサボるのは結構ですが、『SyngUp!』が再結成した時、素行不良でアイドル活動に制限がかからないよう必要最低限、授業には出てた方がいいですよ」
「……まあ、早速、
「ッ!……違います……。───では」
俺は事務所から逃げるように立ち去った。
別にプロデューサー気取りをした自覚はない。
だけど……。そうか───。
「(プロデューサーになってください……。って言われることを期待してたのかもな)」
観客としてではなく、プロデューサーとして『SyngUp!』が『HIF』で活躍する様を見たいと思っていたのかもしれない。
「(ユニット、か)」
『HIF』にはソロ部門、ユニット部門、2つの部門が設けられているが、長い初星学園の歴史の中、同年度でソロ、ユニット、2つの部門で同時優勝を達成させたプロデューサーはいない。
「(……佑芽さんと『SyngUp!』ならそれが実現できるかもな)」
夢物語を考えながら俺は講義室へ向かうのであった。
有翔P、ここからマジで大変だぞ。(他人事)
どのような話の展開になるのか、ご想像の期待を超えれるよう僕も頑張ります。
……賀陽燐羽を本編に登場させたい。
面白いと思ったら感想と評価をお願いいたします!
特に感想いただけるとモチベ爆上がりです!ください!!
〈人物紹介〉
【
実は面食い。恋愛には興味がない、というか自分を好きになる人はいないと思っているから、恋愛感情とかはないが、面のいい女性は好きらしい。
アイドルが好きだから面のいい女性を好んで何が悪いと開き直っている。
【花海 佑芽】
日曜の食事会後、有翔に変なことを言った恥ずかしさのあまり、奇声を上げながら立ち去った。無我夢中で走ってたら隣声にたどり着き、河川敷で昼寝をして、起きたら有翔とのやり取りを忘れていた。なにか恥ずかしいことをした覚えはあるが思い出せず、また走って初星寮に帰っていった。