死んだ目をしたプロデューサー 作:勇気に満ちし者
新たに評価してくださった、HOOLさん、はむまさん、sarutonyさん、きゅうりにやさん、ねむみにうむさん、弱!中二病の作者さん、Neo宇宙さん、ありがとうございます!
評価数が50人に達したら何かしたいですね。
なにか案があればお聞かせください!
登録者500人突破!お気に入り登録してくださったみなさんありがとうございます!
相変わらず話のスピードがのろまですがお付き合い願います。
それでは本編どうぞ!
お昼時、俺は事務所に戻っていた。
『SyngUp!』再結成の手伝いをすることとなったのはいいが、そのことを佑芽さんに話していない。
隠すべきことでもないことだから、佑芽さんには話があるからお昼休憩時、事務所に来るようにと伝えた。
高等部のお昼休みの時間になったからそろそろ来るはず───。
そう思ってた時、廊下の奥からリズミカルな足音が聞こえてきた。
その足音は事務所前で止まり、次の瞬間、ドアが勢いよく開かれた。
「プロデューサーさん!こんにちはっ!」
学生鞄を肩に下げた佑芽さんが元気よく現れた。
「こんにちは、佑芽さん。急に呼び出してすみません」
「全然大丈夫です!プロデューサーさんとお昼が食べれて嬉しいです!!」
お話だけするのもあれだから、よければ昼食を一緒にどうだと提案したら乗ってくれたのだ。
断られてたら…俺は泣いていただろう。
「プロデューサーさんはお昼ご飯何を食べるんですか?」
「俺ですか。こだわりはないですけどサラダ系が多いですね」
事務所の冷蔵庫から通学中に買っておいたサラダを取り出す。
「むむ、サラダですか。何か意図があったりするんですか?」
「お昼を取りすぎると眠くなるんですよ。お昼は少なめ派です」
サラダにドレッシングをかけながら説明した。簡単に食物繊維を摂取できるから重宝している。
「佑芽さんは……。咲季さんが用意してるんでしたね」
「はいっ!今日もお姉ちゃんの弁当です!」
佑芽さんは鞄から弁当とSSDを取り出した。
SSDは相変わらず発光していた。
「ずっとこれを食べてあたしは成長したんですっ!」
そう言って弁当を見せられた。サラダチキンにブロッコリー、何かしらをペースト状にした料理とサプリメント、減量中のボクサーですかと問いたくなるほどの減量食だった。
いや、健康的でいいんだろうけども。
ペースト状の料理は何処かで見たような近親感があったがあれだ。
新劇場版エヴァンゲリオンQでシンジ君がNERV本部で食べてたあのプレート弁当だ。
あれとほぼ一緒だ。
「まずはSSDを飲んでっと───」
佑芽さんは苦しい表情なんか一切せず、なんならにこやかな表情でSSDを完飲した。
「次は弁当!いっただっきまーすっー!───ん〜!やっぱりお姉ちゃんの料理は美味しい〜〜〜♪♪♪」
ペースト状の何かを食べながら佑芽さんは美味しいと唸っていた。
咲季さんのことだから身体に良くないものなど入れてないだろうし、佑芽さんが美味しいと思っているのなら良しとするか。
「あっ!忘れてました!お話ってなんですか?」
佑芽さんがここに呼び出した理由を聞いてきた。
「実は秦谷さんから相談を受けまして……。」
「美鈴ちゃんから?───なんのですか?」
俺は割り箸を置いて続きを話す。
「『SyngUp!』再結成の手伝いをして欲しいと相談を受けてます」
「『SyngUp!』って美鈴ちゃんが所属してたユニットですよね?───確か、うちわでファンを叩いてたって聞いた覚えがあります!」
調べたら確かにそんなこともしてたらしいが…今はひとまず置いといてだ。
「でも解散したんですよね?」
「ええ、解散しましたが秦谷さんは再結成したいとのことです」
「んー再結成したいと思うことはいいですけど……なんでプロデューサーさんに相談したんだろう?」
佑芽さんは腕を組み考える仕草をする。
「俺が月村さんと親しい仲だからだそうです」
「ぷ、プロデューサーさんと、て、手毬ちゃんが親しい仲……?それってお付き合いしてるってことですかっ!?」
相変わらず少女漫画みたいな脳内をしてて何よりだって思ってしまった。
「プロデューサーと生徒が付き合うことはないかと。普通に考えて成人している俺が未成年とそうゆう関係になったら即逮捕です」
初星から犯罪者を出す訳にはいかない。
俺達プロデューサーは節度を持った対応をしないとすーぐコンプライアンスがとかで首が飛んでしまう。
「それにこんな死んだ目をした人と付き合いたがる物好きなんてこの世にいませんよ。───とまあ、そんな感じですので勘違いはしないでいただきたいです」
「そ、そんなことないと思いますよ!?そんなに自分を過小評価しないで下さいよ!!!」
と、佑芽さんはお世辞で否定してくれた。
「事実ですから気にしないでください。───話が逸れました。俺は月村さんと親しい仲とは思ってませんが、秦谷さんからはそう見えたらしいです」
「だからプロデューサーさんを頼ったってとですか?」
「それもあります。あとは───そうですね。秦谷さんにご褒美として『なんでも言うことを聞く』約束をしてたので都合がいいと思われたのでしょう」
月村さんへ提供したとんかつの美味しさで勝負をした。負けた俺は『なんでも言うことを聞く』ことをご褒美として提案した。
その権利を使って相談してきたってのが少なくとも5割以上の理由だと思ってる。
真意かどうかは不明だが勝手にそう思ってる。
「ふーん、また『なんでも言うことを聞く』ですか」
佑芽さんがジト目でこっちを見る。
「何か気に障ることでもありましたか?」
「プロデューサーっていつもそれ言いますよね?なんだか、自己犠牲の塊だなってー、もっと自分を大切にしてもいいと思います!」
ふんすと鼻息を荒らげて対面で座ってた佑芽さんが前乗りになって顔を近付けてそう言った。
「はは、ありがとうございます」
「本当に思ってますー?」
佑芽さんは目を細めて問うがあえて無視した。
そもそも俺みたいなやつが自分を犠牲にせずに何を得られると言うのだろうか。
何事も必要な犠牲が伴う。
俺がその犠牲を補えるのなら甘んじて受け入れるさ。
「それで……その、プロデューサーさんは『SyngUp!』のプロデュースをされるんですか……?」
「ッ!……そう、ですね───」
思いもしない問いが佑芽さんから飛んできた。
そのことを問われるとは思ってなかったからすぐに答えれなかった。
「『SyngUp!』は元中等部ナンバーワンユニットです。彼女達が再結成すれば『HIF』のユニット部門で暴れることでしょう。───場合によっては優勝する可能性も十二分にある」
俺はあの時、思った馬鹿げた夢を語った。
「彼女達のプロデューサーになれれば、ソロの佑芽さん、ユニットの『SyngUp!』……。ソロとユニット部門で同時優勝できる。───そんな馬鹿げた夢が頭に過ぎったんです」
『HIF』は夏、冬と同年度に2回開催される。その同年度の『HIF』でソロ、ユニットでの総合優勝に導いたプロデューサーはいない。
そんな誰もが成し遂げたことがない偉業を……佑芽さんと『SyngUp!』となら実現できるのではないかと思ってしまった。
「それが───……プロデューサーさんの、夢、ですか?」
「そうですね。夢、と言うよりただの夢物語です」
事務所の窓から空を仰ぎながら答えた。
視線を空から佑芽さんに移すと俯きながら震えていた。
自分以外のアイドルに期待した俺に対して怒っているのだろうか。
握っているスプーンがミシミシと悲鳴をあげている。
スプーンがへし折れた次の瞬間───
「それ!すっっっっーーーごく!いい夢ですねっ!」
佑芽さんが目を輝かせながら言った。
「──────へ?」
我ながらマヌケた声を出したと思う。
「プロデューサーさん、プロデュースに関係ないことは話さない人じゃないですか!なのに……、ちゃんと自分の夢を語ってくれたんですよ!?あたし!嬉しいです!」
確かに───。
普段の俺なら自分の夢なんて語らない。佑芽さんのプロデュースに関係ないのだからもっぱらだ。
なのに……なんで俺は語ったんだろうか。
「プロデューサーさんを独占できないのは残念ですけど。───あれ、なんか口に出すと……!ぐぬぬぬっ!やっぱりいやです!とゆうか浮気ですよねっ!?ぷ、プロデューサさんにはあたしだけプロデュースして欲しかったのにぃぃぃぃぃいい!!!」
「え?あの、佑芽さん?」
ぐぬぬぬと呻きながら佑芽さんは言う。
別に『SyngUp!』のプロデュースをするかどうかは決定事項ではないんだが……。
「でも!……せっかくプロデューサーさんが欲を出してくれたんです!
ちょっと待て、正妻ってなんだ?
「…………………………………………」フンス!
胸を張って堂々としている……。
カタコトで言ってたから意味を理解していないことは分かる。
分かるけど……!この流れではツッコミずらい。
「えっと、とりあえずありがとうございます(?)、ですがその発言は俺の前だけにしてください」
「?はいっ!」
「それと……『SyngUp!』のプロデュースについてはまだ決まってません。彼女達の意見を聞かずに勝手に決めることはできませんし、再結成するかどうかもわかりません」
そのセリフを聞いた佑芽さんは目を丸くする。
「そ、それはー!た、確かに……!あはは、なんか一人で勝手に盛り上がってました……!」
「いえ、誤解を招く発言でした。すみません」
佑芽さんの顔がどんどん赤くなっていく。
せっかく想いを語ってくれたのにこのような形となって罪悪感が俺の中に芽生える。
「でも、そうですね……佑芽さんの時と同じく、彼女達から頼られるようなことがあれば、俺は間違いなく応えるでしょうね」
「え、もしかして堂々と浮気宣言しましたか?」
うぐ、ま、まあ別の女性にうつつを抜かしている以上、浮気ってことにはなるのか。
「なーんて、冗談言ってみたり!えへへ、少しはあたしのこと意識してくれましたか?」
「いえ、事実なので否定しません。───ですが、佑芽さんが一番好きなことに変わりはありません」
説得力はないだろうけど心から思ってることだ。
「!!!ありがとうございます!でも……プロデューサーさんは『SyngUp!』のプロデュースをすると思います!」
佑芽さんはわかりきったようにそう言った。
「プロデューサーさんも知ってますよね?あたしの勘、当たるんですよ〜?───それに、もとよりプロデューサーさんにはプロデュースしたかった人がいたはずです」
佑芽さんはそのまま続きを話す。
「なのにプロデューサーさんはあたしの我儘を聞いて、あたしのプロデューサーになってくれました。───なので!今度はあたしがプロデューサーさんの我儘を聞く番ですよねっ!」
佑芽さんはそう言ってくれた。
無理をさせているのはわかってる。
俺が佑芽さんをプロデュースすると決めたのは俺の意思だ。彼女の我儘に付き合ったわけではない。
「(佑芽さんのためにも……自らプロデュースを誘うことは控えよう)」
あくまで受け身の立場を取るとしよう。
こちらから切り出せばそれこそ本当に浮気だと詰められるからな。
「もしも…『SyngUp!』をプロデュースすることになった時は……先輩としてよろしく頼みす」
「任されました!セイサイの座は譲りませんよっ!」
「はは、そうですか」
否定することを忘れた俺はいつものくせで笑って流した。
「あ!そういえば午後の1組との合同レッスン!プロデューサー科の学生も参加できるって聞きました!プロデューサーさんも来るんですかっ!?」
佑芽さんがわかりやすく話を変えてくれた。
「ええ、もちろん参加します」
事前に通達されてたしもとより行く気であった。
「プロデューサーさんにいいところ見せれるように頑張ります!あ、あとお姉ちゃんと勝負できるなら勝負しようっと!」
「最近、勝負できてませんでしたからね。ダンスレッスンを通して佑芽さんは確実に成長しました。───早く咲季さんを倒しちゃいましょう」
「はい!早くお姉ちゃんを倒すことがあたしの成長に繋がるんでしたよね!」
「ええ、その通りです」
佑芽さんとプロデュース計画を話した時、彼女にあることを伝えた。
この先、花海佑芽が飛躍的な大きな成長をするには花海咲季に勝つ必要があると。
花海咲季に勝ち、成功体験を経た花海佑芽は確実に成長できる……。と佑芽さんに伝えたのだ。
「よぉぉぉぉし!!今日こそお姉ちゃんに勝つぞぉー!!!」
佑芽さんは拳を上げて気合い十分の様子で発言した。
「気合いを入れてるところ申し訳ないです。少し話しすぎたみたいなので急いで昼食を食べましょう」
「わっ!もうこんな時間!?い、急いで食べちゃいます!」
佑芽さんは咲季さんお手製の弁当をへし折れたスプーンを使って物凄いスピードでかき込む。
「(佑芽さんのプロデュースと『SyngUp!』再結成の協力……。この二足の草鞋は大変そうだな)」
自分のことだが何処か他人事と思い、ご飯をかき込む佑芽さんを眺めながら、残ってる昼食を食べるのであった。
◆◇◆◇
佑芽さんと昼食を食べ終えた俺は午後の合同レッスンを見届けるためにレッスン室で待機していた。
周りを見れば同じくプロデューサー科の学生がちらほら。
担当アイドルらしき生徒と一緒にいる学生も見受けられた。
壁によりかかって残りの生徒、もとい佑芽さんが来るのを待っていた時だ。
「
声が聞こえた方へ視線を移すと十王星南がいた。
「こんにちは
「ええ、プロデューサーとしてね!」
意気揚々と彼女は答えた。
ちなみにお互い名前呼びだが、十王星南がお互い名前で呼びましょうと提案してきたから乗っただけだ。他意はない。
十王星南とは佑芽さんのプロデュースの件で数時間ほど口論した仲だ。
そのせいで見込まれたかなんか知らないがプロデューサーとしての先輩と敬われることになった。本当に何故だろうな。
「とゆうかなんで俺の元へ?」
「あなたしかプロデューサー科の中で知り合いがいないもの。それに佑芽について熱く語り合った仲でしょう?」
「……目立つからやめて欲しい。と言ったら離れていただけますか?」
既に他の学生からめっちゃ見られてる。
「相変わずの恥ずかしがり屋ね。講義室から出る時もオドオドしてたものね」
「別にしてませんが?何を根拠に発言しているのか見当つきませんね」
「強がらなくていいわよ。この十王星南、そんなあなたでも『先輩』として敬うって決めたもの!」
何を評価されたのかよくわからんがな。
「それより日曜日は参加できずに悪かったわ。莉波からお寿司をいただいのだけれど……凄く美味しかった」
「俺は調理しただけですよ。食材をご提供してくださった倉本さんに感謝の気持ちを伝えるべきかと」
「あら、謙遜かしら?」
「違いますよ。事実を言ったまでです」
「ふふ、そう?ならそうゆうことにしておくわ」
笑いながら十王星南は答えた。
くっ、ビジュが良すぎる。
助けて佑芽さん、俺、この人のこと好きになっちまう。
その後も十王星南とお互いのアイドルのプロデュースについて会話した。
秦谷さんに対してプロデュースの勧誘をしているが許可が降りないと嘆いていたりもした。
そんな中、秦谷さんは『SyngUp!』再結成のために動いてます、なんて言えなかった。
本人も十王星南には言ってないって話してた。俺が彼女の許可もなく話すのは違うと思って黙ることにした。
そして会話が丁度よく終わりかけた時。
ガチャ
レッスン室のドアが開かれ一気に生徒が入室してきた。
咲季さんを先頭に1組の生徒がズラズラと入ってくる。
「!」
咲季さんは俺に気付き、軽く手を上げて挨拶してきた。
「!」ビシ!
俺はベジータがトランスと別れ際にしていたポーズで挨拶を送る。
「????」
咲季さんには伝わってなかった。
そりゃ伝わらんか。
そんな様子を月村さんが睨むように眺めていた。
「今の子は佑芽のお姉さん……。花海咲季ね」
「はい、佑芽さんのライバルであり姉です。彼女を倒すことが佑芽さんの第一目標です」
「見たらわかるわ。ふふ、物凄いアイドルパワーを秘めているわね」
アイドルパワーってなんだよ。
と、ツッコミを入れたいがそろそろ授業の開始時間が迫ってる。
2組のメンツも入室してその中には佑芽さんもいた。
佑芽さんが周囲を見渡して、俺を見つけると一瞬で笑顔になって大きく手を振ってきた。
これまたチャンスだと思ってベジータのポーズを送る。
「!」ビシ!
佑芽さんは同じポーズをとった。
くーこれだよこれ。佑芽さんはこうでなくては。
何処ぞのサイボーグお姉ちゃんとは違うな。
「はーい、では皆さん集まった様子ですのでこれから1組、2組の合同レッスンを開始します」
ボーカルトレーナーが前に出てレッスン開始の挨拶をした。
「今日はボーカルレッスン中心になります。まずは───」
ボーカルトレーナーがレッスン内容を説明した。
今回はボーカルトレーナーが中心となること。そして上手い方を参考にして、真似るべきところを真似て、自分の歌い方を模索しましょうと、合同レッスンであることを活かした内容だった。
「皆さんの中から代表しておひとり、参考として1曲、歌っていただければと思ってます。───今回はプロデューサー科の学生さんも参加してますので……」
ボーカルトレーナーが後方で腕組み待機していたプロデューサー達へ視線を向ける。
俺は目が合わないようにそっと視線を逸らした。
「では視線を逸らした圷さん。1曲披露する生徒をお決めいただけますか?」
「…………………………はい」
やっぱり恥ずかしがり屋なのね。
と、隣にいる十王星南が笑う。
「圷さんは……確か花海佑芽さんの担当プロデューサーでしたね。では───」
「待ってください」
俺はボーカルトレーナーの話を遮るように話し出した。
「プロデューサーさん!あたし!行けますよっ!」
佑芽さんが元気よく立ち上がって俺に言ってきた。
だが───
「佑芽さん、ありがとうございます。───ボーカルトレーナー、担当アイドル以外の生徒を選定してもよろしいでしょうか?」
「?は、はい、構いません」
許可は降りた。
予想外の自体だがこれはいい機会だ。
あまり目立ちたくないが俺は後方から生徒達が座っている集団の近くまで移動する。
目的の生徒はたまたま集団の端にいた。
意図してそこに居たのか定かではないが。
「月村さん、あなたが歌っていただけますか?」
月村さんの隣に着くのと同時に声をかけた。
「──────は?私、ですか?」
「はい」
月村さんに1曲歌うようにお願いした。
彼女を推した理由は『SyngUp!』再結成に向けて彼女を知るためだ。
彼女がソロで歌っているシーンは映像として殆ど残ってない。
これは絶好の機会だ。こんなにも早く彼女のソロ曲を聞けるとは思ってなかった。
「えぇぇぇえええ!!ちょ、ちょっとプロデューサーさん!?あ、あたしじゃないんですかっ!?」
「佑芽さんの美声はいつでも聞けます。今回は休んでてください」
俺はそう答えた。
「だ、だけど〜!」
「佑芽、プロデューサーがそう言ってるのよ。何か考えがあるんじゃないかしら?」
「うぅー星南会長がそう言うなら……あとでちゃんと説明してくださいよねっ!」
「はい、約束します」
助けてくれた十王星南にその場で手を合わせて感謝の気持ちを送る。
「勝手に話をすすめないでください。───とゆうかなんであなたごときが十王星南と知り合いなんですか?」
「歌ってくれたら理由をお答えしますよ」
「なんでそっちが条件出してるんですか!?」
ごもっともな意見で確かにと頷いてしまった。
「純粋に月村さんの歌が聞きたくなりましてね。───それにあなたの実力を大勢の方に知らしめる絶好の機会かと」
「!!」
月村さんは周りの生徒と後方で見守るプロデューサー科の学生を見る。
「中等部のトップであったあなたの実力をお見せ下さい。───俺を失望させないでくださいね?」
「なっ!?」
俺はあえて煽るような言葉で挑発した。
ボーカルトレーナーとして推したのに下手な歌でも披露してみろ、失望するぞと言わんばかりにな。
言っとくがそんなこと思ってない。
こう言えば彼女の性格上、乗ってくるに違いないと思ったからだ。
「随分と大口叩きますね。───いいですよ。あなたのその意味のない挑発に乗ってあげます」
「素晴らしい。ではワンコーラスと言わずフルで歌いましょうか。ボーカルトレーナー、よろしいですか?」
「そうですね……。何やら月村さんもやる気みたいですしいいですよ♪」
『ありがとうございます』
何故か俺達はハモってお礼の言葉をトレーナーに送った。
「被せないでください」
「それは失礼しました」
月村さんは一呼吸置いて俺の目を見て言う。
「私の全力、ちゃんと見ててくださいね。一瞬でも目を逸らしたら───殺すから」
月村さんは腕を組みキメ顔をしながら言った。
んー別にいいんだが、殺すからなんて野蛮な言葉を言えばまた悪い噂が広まると思うんだが…。
月村さんが前に出て歌う準備をしてる隙に秦谷さんへメッセージを送る。
『合同レッスン、月村さん、フル、歌う』
秦谷さんの姿がないことは初めから確認していた。
きっと何処かでサボってるのだろう、だがこのメッセージを受け取れば彼女なら飛んで来るはずだ。
俺は元の位置に戻って後方から月村さんの歌う様子を見ることにした。
彼女の言う通り一瞬でも目を逸らさないように。
殺されないように。
星南会長とはしれっと仲良くなってます。お許しを。
最近は頑張って投稿してますが、11月ぐらいから投稿頻度が下がるかも?
他ゲームの大会が近いのでそっちの練習をするかもです。
下がったときはお許しください。
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※人物紹介は今回お休みです※