仮題-TSしたせいで女性にモテねぇんだけど。〜どんだけモテブームかましても男しか釣れない件〜 作:エッティパンティモンキー
「…っという条件でよろしいですよね。
どこか大人びた少女と枢機卿と呼ばれた三十代ほどの男性。二人の間に流れる空気はどこか歪んでいた。
だが、そんな空間で少女は向かいの男性に朗らかな笑みを浮かべ問う。まるでその空気を感じていないかのように。
それには少女らしい可愛さも純粋さもなく、ただ自分に都合の良いように物事を進ませたいという思惑だけしかなかった。
……………
………
…
その少女は生まれた時から、どの分野に関しても子供らしさというものが欠如していた。
無謀な夢を語ることも、気に食わないことに癇癪を起こすこともない。そんな少女がつけられたのは〝手のかからない子供〟というレッテル。
それは子供なのに子供らしい迷惑をかけない大人にとって都合の良い少女ということを暗に示していた。
それに気づいているのかいないのか。少女はずっと大人に好かれる子供で居続けた。
喜怒哀楽は他の子供ほど出るわけではないが、心配になるほどでないわけではない。
楽しいときは笑い、悲しいときは泣く。子供として正しく思える成長をしているのだ。
それに加え、勉学も
貴族だからと従者らを見下さず、変に遜ることもない。
そんな少女を心配する者も嫌う者も一部を除いていなかった。
そして、少女の前に座る彼もその一人。少女を純粋な子供として扱い、
……………
………
…
そんな笑みを浮かべる少女と一つ机を挟んで向かいに座る彼は同じく笑みを浮かべている。そうしてコクッと頷いた彼は話し始める。
「えぇ、もちろん。
「では契約は成立ですね!〝ノア〟、紙を」
だが、それも一瞬のことで表に出てしまった喜びは即座に霧散させる。そして冷静に従者へと呼びかけるのだ。
ノアと呼ばれた少年は契約についての決まり事などを書き写した紙を即座に少女へ渡す。
その動きはまるで何年も従者として経験を積んできたベテランの様であった。
そうしてそれぞれ紙を受け取った二人は紙に書かれた文言に間違いがないかを口に出して確認する。二人にとってはそれが契約でのルーティンでもあった。
「私、枢機卿が求めることは三つ。次の
枢機卿は第一王子の命を第一に考え、第一王子を狙う集団を捕えようとしないこと。
そして情報が漏れることを防ぐため、外部へ情報を漏らさないことを契約内容とした。
「わたし、〝ソフィア〟が求めることは三つ。力の代償として八年物の品と四年物の品をわたしに渡すこと。わたしのすることに言及しないこと。そして、わたしの力を外部の者へ漏らさないこと」
ソフィアという小さな令嬢は自身の力の代償を用意することと自身のすることに口出しをするなと暗に伝える。
そして自身の力を悪用されぬため、その力について漏らさないことを契約内容とした。
「「最後にどちらかが約束を破った場合、この契約を破棄し、以降契約を結ばないこと」」
教会はソフィアの持つ、その力を。
ソフィアは教会から提供される代償を。
どちらもが相手の力を利用し、対価を支払っている。それ故に絶大な効果の持つ条項であった。
「これで合っているように思いますが…」
「えぇ、私も間違いは特に見当たりませんでした」
声に出してから、もう一度契約書を隅々まで見返し、互いに相手の要求を飲んだ旨を伝える。それは——
「ではサインをいたします。ソフィア様は…」
「わたしはサインし終えましたよ。これで契約は成立です。…ふふっ今回もよろしくお願いしますね?」
「こちらこそ。ソフィア様の力は信頼しておりますのでね」
——契約成立を意味していた。
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