仮題-TSしたせいで女性にモテねぇんだけど。〜どんだけモテブームかましても男しか釣れない件〜 作:エッティパンティモンキー
そんなことになる少し前。ソフィアたちクライン家は王族らに挨拶をしていた。
とはいえ、大体話すのは一家の主人たちだけで、ソフィアは早く終わらないかなと考えながらぼーっとしているだけ…なはずだった。
「父上」
自身の父と
この国の第三王子〝ユリウス・ルミエール〟。他に比べ早熟なだけの王子。
そんな彼は綺麗な金髪に碧眼の兄二人とは違う全てを見透かすような翠眼を持っていた。
少年は『全て知っているぞ』とでも言うように…その瞳を真っ直ぐ自身の父へと向ける。
「ユリウス、どうかしたか?」
「実は一つ、ソフィア嬢にお話ししたいことがありまして。二人で話す時間を頂けませんか?」
今まで一度も我儘を言ったことがない
…だが少ししたら諦めたように息を吐き、ソフィアらに顔を向ける。
「アレックス殿、ソフィア嬢。すまないが、息子の我儘を聞いてくれるかな?」
〝アレックス〟と呼ばれた彼は、ソフィアの父親でクライン侯爵家の当主。この場ではソフィアの保護者であった。
「そうですね…ソフィアはどうしたい?」
「えっ?わたし、ですか…?」
この場でソフィアのできることは
そんなアレックスも余程のことがなければ、国王からの頼みを断れない。そのためソフィアの中で王子と話すことは、ほぼ決定事項だった。
そんなソフィアからしたら予想外の話が回ってきた時、思わずぽかんとしたアホ面を晒してしまった。
だが他がそれを認知するその前に、先ほどの表情を一瞬にして上品な笑みに切り替えてみせた。伊達にノア以外には素を隠し切っているわけではないのだ。
「…もちろんお受け致します。第三王子殿下とお話しだなんて、とっても名誉なことですしっ」
ソフィアは王子と話せることを純粋に喜んでいる少女の様に話す。
「そうか。私はソフィアの判断に従うよ」
その様子に絆されたのか。アレックスは明るい声色でその判断を受け入れ…
「感謝するソフィア嬢、アレックス殿。当然、ソフィア嬢に迷惑は掛けさせん」
国王は先ほどより柔らかな笑顔を浮かべながら、そう言い切った。
「ありがとう。ソフィア嬢、アレックス殿」
そんな国王に続き、ユリウスも二人に感謝を述べる。
そんな様子の二人にソフィアは一言二言、言葉を交わしてから第三王子の背を追いかけ、会場の端へ移動する。
まるで他に知られてはいけない話をする様に。
……………
………
…
そうしてユリウスが目指していただろう場所に着くと先ほどまでの余裕な態度が崩れた。
その顔は切羽詰まった様な、最後の希望に縋る様な顔で…ソフィアは思わず、どこからか漂ってくる面倒な匂いに顔を顰めてしまった。
だがその顔も一瞬にして作られた困惑した表情に消し去られ、少しも理解の及んでいない少女となる。
「あの…第三王子殿下、どうされたのですか?」
その問いにユリウスは不器用な笑みを浮かべ、逆に問いかける。
「そうだな…。ソフィア嬢は自身の力について知っているか?」
「え、えっと。少しでしたら…?」
ユリウスから発せられるはずがない言葉にソフィアの表情が曇る。だが興奮した様子のユリウスはそのことに気づかない。
ただ、ソフィアから伝えられた言葉によって、小さな希望の光が目に宿った。それは先ほどの縋るような顔ではなく…
「それなら話は早い!」
「…はい?」
——希望を見つけたような顔だった。
▼△▼△▼
そうして今現在。俺は途轍もなく帰ってしまいたいです。
「あ、あのソフィア嬢?」
「…はぁ。すいません、少し情報整理の時間を頂けませんか?」
「あ、あぁ。もちろん」
第三王子が話してきた内容は第一王子の〝アトラス・ルミエール〟を守ることだった。
そして俺が枢機卿さんとしている契約は第一王子を守り、そのことを他に伝えないこと。
つまり…つまりだ。
——既に第一王子を守っていることを教えらんなくね?
というわけ。
別に契約を破ったら何か罰則がある…というわけではないのだが、一応教会とは信頼関係で成り立っている。
それを深い理由もないのに善意だけで破るのは王子相手とはいえ、リスキーすぎる。
それに俺が教会との仲を気にして依頼を受けたんだから、ここまできてぶっちゃけるのは普通に癪だ。
なので一つの可能性に賭けようじゃないか。
「第三王子殿下、一つ問うてもよろしいでしょうか?」
「う、うん。何かな?」
「——わたしの力をどこまで知っていますか?」
第三王子がこの力の汎用性を知らない可能性を!
「あぁっと…代償さえあれば基本
——はい、終了。
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