仮題-TSしたせいで女性にモテねぇんだけど。〜どんだけモテブームかましても男しか釣れない件〜 作:エッティパンティモンキー
目覚めた時、俺は自身の性別が変わっていて絶望した。それは前世からの夢を叶えられないと悟ったから。
体は女性でも心は男の俺からしたら、今世の体は最悪としか表しようがなかった。
モテるモテないの前にこの世界には同性愛が存在していないのだ。男は女に恋をし、女は男を恋する。そんな世界で俺という
だから俺は生まれ変わっても、誰にもモテず独り身で死んでいくと思っていた。
でも初めて着飾られて鏡を見た時、ビビッときた。その容姿は幼いながらも未来が保障されるほど可愛かったのだ。
そして一つの可能性に辿り着いた。この俺の美少女フェイスがあれば性別の壁を突破できる可能性を!
それからは女性も惚れるような完璧な淑女を目指し、コソッと一人で紳士的な動きも猛練習した。
そうしてやっと…やっとモテる道が開いたというのに…!
「ソフィア嬢は
目の前の
「そんなことはどうでもいいん…です。そうだ!
俺が男にモテるキャラでも女性にモテないわけではない…はず。
女性同士で友達関係から恋愛関係に発展するかどうかは分からないが、相手の好みが分かる立場だからこそ他より落としやすい可能性がある…多分。
兎に角、身近に落とせるかもしれない女性がいることが大切なのだ。
正直不確定要素しかないが、今の俺はこれに賭けるしかない。
そんの必死な俺に少し引きながらも、アホは口を開いた。
「そういうキャラはいなかったよ?ソフィア嬢は
『
代わりに俺の目の前は真っ暗な闇が広がっていて、俺はその闇に身体を預けようと…いや、俺。落ち着いて考えろ。
良く考えれば、俺が生きているここはゲームでもなく現実のこと。なら今の状況は悲観するほどのことでもない。ゲーム内で周囲に女性がいなかったとしても、現実でそうならなければいいだけ。
はぁ…焦って損したぜ。危うく闇堕ちすることろだった。
そうして俺がふぅっと息を吐くと、ハッとしたようにアホがこちらに詰め寄ってきた。
「あのさ、それで兄上のことは守ってくれるの?あと他に話したいことがあるんだけど…」
「そんなこと後回しいいでしょう。それにずっと第三王子殿下を独り占めするのは良くないでしょうから。でも最後に聞きたいことが…」
「そんなこと?人の命を何と思って——っ」
勝手にヒートアップして俺の話を遮った目の前のアホ。放置しても良いが、さらにヒートアップしたら面倒臭いので同じように話を遮ってやる。
「——《枢機卿》。彼を知っていますか?」
俺がそういうと顔を真っ赤にしていたアホが面白いぐらいに目を見開いて、鯉みたいに口をパクパクさせていた。
こんだけの反応をくれるなら、俺の
こればっかりは、アホのアホな態度に感謝だな。
「ご返答ありがとうございます。ではそろそろダンスが始まりますので、失礼いたします」
「ちょ、ちょっと…!?」
「あぁ、そうだ。最後に。第三王子殿下っ、第一王子殿下のことはわたしに任せといてください!それじゃっ!」
驚きながら俺に手を伸ばすアホを横目に、俺はダンス相手の第一王子の元へと向かう…前に、途中で突っ掛かれても面倒なので一言伝えてやる。
オマケに可愛い俺からのウィンクを一つ。この美少女フェイスなら、イタイと思われないんだから凄いよな。
因みにこれぐらいなら契約違反にならない。まぁ別に?契約違反しても
…あぁっと、一応伝えておくと後ろからは、戸惑った声が聞こえてきてます。でもそれに反応する俺ではないので、無難に無視だね無視。
だってね?第一王子とのダンスに遅れるわけにはいかないからさ。しょうがない。
それにしても有意義…とまではいかないが、一つ抱えていたモヤモヤを晴らせた会話だったと言える。
今からのダンスは憂鬱だが、このモヤモヤが晴らせたならプラマイゼロかな。美味しいお菓子もゲットしたしね。
…あれ?てか俺、何でアホ相手に
「——もうほんっとに…誰なんだよ、
▼△▼△▼
煌びやかなパーティーの裏。
暗闇に包まれたそこに彼はいた。
その一瞬。瞬きをすれば気付かないほどの一瞬、闇は一つの眩い光によって白に染められた。
ただ指を組んだだけで。
最後には男を包み込む様にして、闇はまた戻る。
彼の組んだ指も。
小さく上がった口角も。
——ある教会関係者のみが着る紅い服も。
光と共に、全てが闇に溶けて消えたのだった。
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