勇気の翼   作:ハーメルン很勇

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モナティアムからの誘い

エルフィン「ねぇリニュア、ディアナに助けてくれたお礼と私の民が追い返しちゃった事を謝りに行きたいの」

 

エルフィン「一緒に来てくれる?」

 

リニュア「ええ!勿論です!」

 

 

 

 

 

ディアナ「女王様。無事だったのですね」

 

エルフィン「支援ありがとうディアナ、それと…」

 

エルフィン「私の民があなたを追い返しちゃってごめんなさい。」

 

ディアナ「良いんですよ。女王様が居なくなり皆さんも不安だったのでしょう」

 

エルフィン「あ、ありがとう…」

 

エルフィン「それでね!ディアナにお返しに来たの!」

 

ディアナ「?」

 

エルフィン「教団の畑で農具達が育ててる野菜と、パンを持ってきたわ!」

 

エルフィン「野菜は食べないし…あっ、パンは砂糖を少なめにしたやつよ!」

 

ディアナ「まぁ…」

 

 

 

ディアナに事情を説明した

 

 

 

ディアナ「エルフ達に助けを求めに行っていたんですね」

 

リニュア「はい、少し遅れてしまいましたが…」

 

ディアナ「事情を知っていればお助け出来たかもしれませんでしたね」

 

エルフィン「…ごめんね。まずあなた達に協力を仰ぐべきだったかも」

 

ディアナ「気にしないで下さい。エルフ達とこれ以上の軋轢を産まなくて良かったですよ」

 

ディアナ「お隣さん同士皆で協力しあって行きましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エルフィン「リニュア、今日は付き合ってくれてありがとね」

 

リニュア「良かったですね。ディアナ村長と色々お話が出来て」

 

ティグ「あっ、お前ら何しに来たんだ?」

 

エルフィン「ティグじゃない」

 

ティグ「ちょうどよかった、お前に用があったんだよ」

 

エルフィン「私に?何かあったの?」

 

ティグ「お前に用はない、用があるのはそっちのエルフだ」

 

リニュア「私…ですか?」

 

ティグ「お前、俺と一戦交えろ」

 

 

 

 

 

リニュア「きゅ、急に何を」

 

ティグ「お前が強い奴だって事は分かる。お前のエルフ達との戦い振りも、俺様を止めた爆弾の攻撃も」

 

ティグ「俺はいずれエーリアス最強になるつもりだ。お前は俺の視界に入った 視界に入った強い奴はぶっ倒して俺の方が強いって証明しなきゃ気がすまない」

 

エルフィン「急に何変な事言ってるのよー私たちは忙しいんだから後にしてよねー」

 

ティグ「うるせぇ!お前に用はないんだよ!」

 

ティグ「さぁやるぞエルフ」

 

リニュア「…お誘いはありがたいのですが女王様の言う通り帰ってから復興作業の手伝いがあるので…」

 

ティグ「問答無用!」

 

リニュア「うわぁっ!いきなり攻撃してこないで下さいよ!」

 

ティグ「どうした?爆弾は使わないのか?」

 

リニュア「女王様!逃げましょう!」

 

エルフィン「え?あっ、うん」

 

ティグ「待て!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ティグ「お前程の戦士が戦わずに逃げるつもりか!?」

 

エルフィン「しつこいわねあいつ、どこまで追ってくるのよ!」

 

リニュア「うーん…こうなったら“これ”を使うしかないかな…」

 

リニュアはスプレーを取り出した

 

リニュア「えいっ!」

 

ティグ「うわぁぁぁっ!!目が痛い!それに臭ぇぇぇぇ!!!」

 

リニュア「今のうちに!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リニュア「はぁ…はぁ…ここまでくれば…」

 

エルフィン「お腹すいたわ…こんなに運動するハメになるなんて…」

 

リニュア「パンなら一つあるので渡しますね」

 

エルフィン「モグモグ…さっき使ってたの、あれなに?」

 

リニュア「害獣撃退スプレーです。唐辛子の成分が入ったモンスターとか獣避けなんですけど…」

 

エルフィン「ふーん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、エレナ市長からメッセージが私宛に届いた

 

リニュア「ん?エレナ市長からのメールね…」

 

あれから市長様が私と個人的にやり取り出来るように直接この年代のスマートフォンを契約した。

まだ色々話したい事や手伝って欲しい事があるらしい

どうせまた私のサンプルを取って量産するみたいな事だろうと断ったんだけど押し付けられてしまった

 

「リニュア、最近発電施設やエネルギー研究所周りの精霊が妙にうるさい 時折火の上位精霊が乗り込んでくることもあって対応しきれなくなっている 力を借りたい」

 

リニュア「精霊達を雇ってエネルギーを産み出す施設の事かしら…?」

 

 

 

 

妖精王国の復興が大方終わり内政に力を入れ始めた所、また問題が起こったらしい

砂糖を供給するという話だったが送られてきたのは化学甘味料のサッカリンだった

 

エルフィン「エルフの奴ら!また裏切ったのね!」

 

ネル「どうしましょうか…溜まってしまった書類の整理をしなくてはならないのにまたモナティアムに行かなければならないかもしれませんね…」

 

ネル「エシュールさん、女王様と共に行っていただけませんか?」

 

エシュール「私ですか!?でも今月も家賃を稼がないといけないので…」

 

ネル「それなら普段の一日の売上の二倍の手当をこちらから出しますので」

 

リニュア「待ってください、私が行きましょうか?」

 

リニュア「ちょうどエレナ市長に用があるのでついでにこの件について聞いてきます」

 

エルフィン「なにしにいくの?」

 

リニュア「それが…精霊と色々問題があったようで人手不足らしく個人的に助けて欲しいと」

 

エシュール「精霊…?」

 

エルフィン「なんだ、それならリニュアに任せるわね」

 

エルフィン「(わざわざ出向くの面倒だからラッキーね)」

 

ネル「女王様?行く必要がなくなったとは言え書類仕事は片付けなければなりませんよ?」

 

エルフィン「えっ!…あぁうん…」

 

ネル「またあなた任せになってしまいますが、よろしくお願いします」

 

リニュア「大丈夫です。行ってきますね!」

 

 

 

 

 

 

 

モナティアム・工場エリアー

 

 

エレナ「よく来たなリニュア、まぁ座ってくれ」

 

 

 

リニュア「精霊達がどうしたのですか?」

 

エレナ「あぁ、詳しく説明するよ」

 

エレナは説明を始めた

好待遇で雇いモナティアムでの労働環境に身を置く下級精霊達をよく思わない火の上位精霊イフリートが手下の下級精霊と共に工場から解放し精霊の山へ戻らせるようにとしつこく迫ってくると

 

毎回のように消防隊や鎮圧班を呼び出せばいらぬコストがかかりただでさえ忙しい時期なのでこれ以上無駄なことに労力を割けないという事

リニュアの力で奴等を追い払って欲しいと説明した

 

リニュア「…一応聞きますが下級精霊を拉致して…なんてことはしてませんよね?」

 

エレナ「さっきの話を聞いてなかったのか?正規の手段で雇い、好待遇で休暇も十分にある、勤務とは名ばかりの工場内アトラクションで遊ぶだけだ」

 

エレナ「イフリートは価値観のアップデートが出来ず自分の考えがずっと正しいと思っている典型的な老害でね、奴らのほうが下級精霊を“奉仕”なんて耳障りのいい言葉を使って過酷な労働を課している」

 

エレナ「簡潔に言えばイフリートの逆恨みだ。あいつを追い返してもこちらに非は無い」

 

 

 

カンナ「市長殿!イフリートが火力発電所に現れました!」

 

エレナ「早速やってきたな、行くぞリニュア」

 

 

 

 

イフリート「エルフ共!さっさと精霊達を解放しろ!!」

 

カンナ「性懲りもなくまた現れやがって!また消防隊を呼ばれたいのか!?」

 

イフリート「なっ…!お前らがこの世界の為に働く精霊達の仕事を邪魔するからだろ!」

 

リニュア「あのー…イフリートさん?」

 

リニュア「下級精霊達は自分の意志でモナティアムに居ますし、精霊の山に残っている精霊達だけでも十分だと思いますよ…」

 

イフリート「何を言っているんだ!下級精霊は全てエーリアスの為に奉仕しなければならない存在だ!特にここに居る火の精霊達は俺の管轄だ!」

 

エレナ「心配するなイフリート、火の精霊達のエネルギーはモナティアムの為に利用させてもらっている。 モナティアムもエーリアスだ。広い目で見ればエーリアスの為に奉仕しているとも言えるだろう?」

 

イフリート「詭弁はよせ!お前らエーリアスの寄生虫どもに奉仕する精霊が居てたまるか!」

 

イフリート「俺達は世界樹の為だけに働くんだ!返さないのなら強硬手段に出るぞ!」

 

エレナ「話が通じないやつと話すと本当に疲れるよ。消防隊、あのバカを消し炭にしてやれ」

 

消防隊「はっ!」

 

いつも通り消防隊がホースでイフリートに水を噴射しようとすると後ろから出てきた風の下級精霊達が風を吹かせ始めた

 

消防隊「うわぁぁぁっ!!」

 

イフリート「また同じやり方で俺を追い払うつもりか?今回は風の精霊も連れてきたからな、その手は通じないぞ」

 

カンナ「対精霊弾、発射!」

 

イフリート「うわぁぁぁっ!!なんだこれは!力が抜けるぅ…」

 

エレナ「へっへっへ、外来種の攻撃に備えて様々なパターンの対処法を用意しているからな」

 

イフリート「くそっ!覚えてろ!!」

 

イフリートは逃げ出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エレナ「ふぅ、本来ならばあいつを本当に消し去ってやりたいが死のない世界でそれはできないのでね」

 

エレナ「カンナ隊長ご苦労、リニュアは呼び出して何もさせずこのまま帰らせるわけに行かないから少し今後について話をしてから帰ってもらおうか」

 

リニュア「はい」

 

 

 

エレナ「リニュア、君の事なんだが」

 

エルフ「大変です!市長様!」

 

エレナ「何だ!あたしは今大事な話をしているんだぞ」

 

エルフ「イフリートが一人で戻ってきました!さっきよりも火力が増しているようで熱くて近寄れません!」

 

エレナ「なんだって!?」

 

エレナ「まさか火力発電所の燃料を利用してパワーアップしたのか?」

 

エレナ「もう一度カンナ隊長を呼べ、リニュアもついてきてもらうぞ」

 

 

 

 

 

 

 

イフリート「さっきはよくもやってくれたな!!!この場所ごと消し炭にしてやる!!」

 

イフリートは激昂しているようで周りの金属すら溶け始めていた このままでは施設の原型がなくなってしまう

 

カンナ「対精霊弾発射!」

 

カンナ「…全く効いてない!」

 

何発か撃ち込むも全くダメージはなく水もイフリートに当たる前に蒸発してしまう

 

エレナ「まずいな、リニュア何か打開策はないか」

 

リニュア「消火器はありますか?」

 

エレナ「あるぞ」

 

リニュア「なら私がやってみましょう」

 

リニュアは消火器を二本背負いホースを腕の下にはめ込んだ

そしてイフリートへ突撃していった

 

イフリート「なんだお前は!消し炭になりたく無ければそこをどけ!」

 

イフリート「うわっ!なにをする!」

 

リニュアは消火器を噴射した

 

イフリート「そんなものが効くと思うか!」

 

イフリートは剣を振り回すがリニュアは上手く空中で避け続け攻撃の合間に消火器を噴射するのを繰り返した

イフリートが疲労した様子を見せると鎮圧班から受け取った対精霊弾を撃ち込み少しの間気絶させ消火器を噴射する。

息を呑むような美しい戦い方にエルフ達は釘付けになっていた

 

エレナ「………」

 

イフリート「このっ…」

 

イフリートは少しずつ小さくなっていった

数十分の攻防の末大火の様に燃え盛っていた炎の身体は種火ほどの小ささになってしまった

 

イフリート「くそっ…俺がこんな奴らに…!」

 

イフリートは今度こそ精霊の山の方向へ逃げ出した

イフリートを撃退したのであった

 

 

リニュア「ふぅ…熱かったわ。髪と服がちょっと焼け焦げちゃったかも…」

 

エレナ「凄い…凄いぞリニュア!!!」

 

エレナはリニュアの手を握った

 

エレナ「なんてかっこいい戦いぶりなんだ!!!あたしが造ったというのを本当の意味で確信した!あの動きはあたしが好きなロボット対戦ゲームの動きにそっくりなんだ!!」

 

リニュア「え、えーと…」

 

エレナ「よくやったぞリニュア!褒美は何でもくれてやる!あたしの貴重な時間に見合ういいものを見せてもらったしな!」

 

リニュア「………ありがとうございます?」

 

 

 

 

 

 

 

エレナ「それでリニュア、話というのはな」

 

エレナ「君はどうしてこのエーリアスにやってきたんだ?」

 

リニュア「いままでいろんな次元を渡り歩いて来たんです。ずっと極力世界に干渉しないようにしてきたんですけど…」

 

リニュア「その結果はいつも悲惨なものでした。守るものを守れず…」

 

リニュア「だからこの次元は傍観することなくこのエーリアスを守る一員として働く事に決めたんです。居場所が出来るのを待つんじゃなくて、居場所を自分で作らなきゃって」

 

エレナ「…そうか」

 

エレナ「それで、どうだ?自分から動いてみて何か変わったことはあったか?」

 

リニュア「そうですね。あまり関わり合いが無かった方とも話せましたし、こんなにエルフィン女王様と親密になれたのは初めてです」

 

エレナ「それは結構な事だ」

 

エレナ「ここで本題に移るんだが」

 

 

 

 

エレナ「リニュア、あたしの協力者になってくれないか?」

 

リニュア「え?」

 

エレナ「今お前は女王の所に身を寄せているだろう。」

 

エレナ「あの女王は馬鹿だが悪いやつではないし優しい所もある。あいつが化ければ、それこそ妖精達を牽引、もしかしたらエーリアス全体を良い方向に導くのかもしれん いずれこの地を去る我々には関係ない事だがね」

 

エレナ「女王を補佐し妖精王国を寄って立つ地にする…確かにそれも良いかもしれん」

 

エレナ「だがリニュア、お前はエルフだ。エルフの事はエルフが一番わかっているし お前の望むものを与えてからこの地を去っても構わない」

 

エレナ「それに…お前が側にいればわざわざ量産なんてしなくても一人で十分な働きをする事をお前自身が証明したからな。」

 

エレナ「お前を無理に実験台にする必要も当分はないわけだ」

 

エレナ「まぁ…なんだそのつまりは」

 

エレナ「君はここに居て良いんだ、作ったのが別のあたしで考え方が違っていたとしても根っこの部分は変わらないはずだ」

 

エレナ「良ければあたしの元で力を振るってほしい」

 

 

 

 

私は驚いていた

まさかこんなに早い段階からエレナ市長様がこの地と共生する事を選び私が望むならこの地を害することはしないと言ってのけるなんて

少しだけ私を造った市長様と重なって見えた

 

リニュア「ありがとうございます。」

 

リニュア「しばらくの間は女王様や市長様だけでなく、色んな方と交流をするつもりです」

 

リニュア「その後どうするかは…私自身で決めたいと思います」

 

エレナ「あぁ構わんよ、気が向いたらいつでもくるがいい」

 

 

 

 

 

 

未だに不安だった“私が介入する事で発生する歪み”は杞憂で、良い方向に導いていけるのかも知れないと…希望が見えた出来事でもあった

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