オーボエに音を乗せて   作:桜紅月音

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3話 サンフェス

 

サンフェスに向けての練習が始まった。

 

僕とりりりんは、ダブルリードは楽器を持って演奏はしない。

フラッグという旗を振る演技に回る。北宇治には謎ステップという伝統的な物があるが、僕達はしないらしい。

 

 

「こんな感じです」

 

 

「すご~い」

 

 

「凄いです!緑先輩!」

 

 

低音パートの川島緑輝先輩にフラッグの振り方を教えて貰っていた。

りりりんと同じパートの月永が先輩の事を褒め称えていた。

 

 

「みぞれ先輩はあれしないんですか?」

 

 

「私は、こっちだから…」

 

 

みぞれ先輩の手には、ポンポンを持っていた。

先輩に似合っていた。

 

 

「ゆいがポンポンを持って踊る姿見たかったな~」

 

 

「りりりん…想像したら吐きそうになるんだけど…」

 

 

りりりんが発した言葉を聞いて、想像したが…やっぱり無理だった。

 

 

「え~可愛いじゃん~」

 

 

「そういう問題なのかな…」

 

 

「鎧塚先輩、似合いますよね」

 

 

「えっと…」

 

 

りりりんの問いに、みぞれ先輩は困っていた。

りりりんなりに、みぞれ先輩と仲良くしようと思っての行動なので、僕は見守る事にする。

 

 

「鎧塚先輩、どう踊ったらいいんですか?」

 

 

その時だった。ファゴットの兜谷がみぞれ先輩に声を掛けた。

ファゴットの二人はポンポン係なので、みぞれ先輩に教えて貰う事になっていた。

 

 

「うん、分かった」

 

 

……みぞれ先輩は、彼女達の元に向かった。

 

 

「むぅ…上手く行かなかった…」

 

 

落ち込んでいるりりりん。

そんな彼女の頭に手を乗せて、慰める事に

 

 

「よしよし…りりりんなりに頑張ってるのは分かってるよ」

 

 

「ゆい~」

 

 

りりりんはそう言って抱き着いてきた。

学校ではやめような…うん。

 

 

「緑先輩~続きもお願いします!」

 

 

月永も月永で変わらんなぁ…

多分だけど…こいつ、緑先輩の事好きだろ。知らんけど

 

 

「求君だけに教える訳にもいきませんからね」

 

 

「はい!緑先輩!もちろんです!」

 

 

いや…なんだこいつ…緑先輩信者か。

久石…これを毎日見てると思うと、同情する…

 

 

なんて思っていると、副部長の夏紀先輩の声が響く。

 

 

「は~い、一旦全体練習するよ!」

 

 

『はい!』

 

 

夏紀先輩の声に部員達の声もグラウンドに響いた。

 

 

 

 

 

 

「疲れた~」

 

 

「だからってもたれかかってこないでよー」

 

 

「いいじゃんこれぐらい~」

 

 

電車内にもかかわらず、りりりんが僕にもたれかかってきた。

周りには誰も居ないからいいけど、居たら注目の的だなとか思っていた。

 

 

「そうだ。ゆいは身長伸びた~?」

 

 

「なんでいきなり」

 

 

「身体測定あったじゃん今日」

 

 

りりりんが言うのも、今日の午前中に身体測定があった。

男子も女子も盛り上がっていたのを思い出す。

 

 

「あーりりりんはどうだったのよ」

 

 

「ふふん、私はなんと2センチ伸びましたー!」

 

 

「おおーこれで僕にちょっとは近づいたね」

 

 

「私は成長中なのです〜」

 

 

胸を張って言うりりりん。

 

 

「それで僕の話だっけ?」

 

 

「うん、どれぐらい伸びたの?」

 

 

「5センチだったかな。だから今で175センチ」

 

 

「おお~」

 

 

「大分伸びた方だと思う」

 

 

「そうだね~その内、私が見上げないといけないね~」

 

 

「今でも見上げてるじゃん…」

 

 

りりりんの身長は、160センチ。

 

 

「15センチ差は大きいかぁ~」

 

 

「だねぇ」

 

 

りりりんの言葉に、僕はそう言って同意した。

 

 

「それでいつまでくっ付いてるつもり?」

 

 

「え?最寄り駅までだけど」

 

 

「暑いんだけど…」

 

 

「私とゆいの関係だから、気にしないの~」

 

 

「そういう問題じゃ……もういいや、諦めた…」

 

 

学校でも抱き着いてきたし、もう今更の話かと思い、諦めた。

 

 

 

 

********

 

 

「は~い、サンフェスの衣装配るから、取りに来て」

 

 

サンフェスまで一週間。そんな日、サンフェス当日に着る衣装の試着を行う。

 

 

「どうです」

 

 

「似合ってんな久石」

 

 

「私、可愛いので」

 

 

サンフェスの衣装は、全体的にオレンジ色をまとった衣装だった。

久石は、真っ先に見せに来た。

 

 

「あっ、居た~ゆい、どう?」

 

 

「りりりんは、何着ても似合うに決まってるでしょ」

 

 

「えへへ~」

 

 

「むぅ…」

 

 

喜ぶりりりんと違い、久石は不満そうな表情をしていた。

 

 

「奏~どうしたの?」

 

 

「私と梨々花で反応が違う…」

 

 

「幼馴染と知り合いだと違うのは当たり前では…」

 

 

「そういう訳じゃなくて……もういいです」

 

 

久石はそう言って、僕とりりりんの前から立ち去っていく。

 

 

「怒らせてしまったかな…」

 

 

「大丈夫だと思うよ~私がフォローしとくね~」

 

 

「ごめんなりりりん」

 

 

「うん、大丈夫だよ~」

 

 

りりりんはそう言って、久石の後を追っていった。

 

 

「伏見、ちょっといいか?」

 

 

「月永、どしたん」

 

 

「その呼び方辞めてって」

 

 

「面倒くさ…」

 

 

 

 

 

*********

 

サンフェス当日がやってきた。

 

 

「北宇治の演奏を楽しみにして この場所に足を運んでいる観客もたくさんいる 決して気を抜かないようにしろ」

 

 

松本先生の言葉で、気合が入る。

 

 

「楽しみだなぁ」

 

 

この場に立てるのもそうだけど、立華や洛秋といった強豪校の演奏を聴けるのだ。

楽しんだもん勝ちだ。

 

 

「ゆいは緊張しないんだ~」

 

 

「今日は楽しんだもん勝ちだよ」

 

 

「ゆいらしいね~」

 

 

「今日は全力で楽しむよ」

 

 

「お~!」

 

 

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