オーボエに音を乗せて   作:桜紅月音

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4話 課題曲と自由曲

サンフェスを終え、次はいよいよコンクールに向けての練習が始まる。

 

 

「今年の課題曲は『マーチ・スカイブルー・ドリーム』自由曲は『リズと青い鳥』です」

 

 

滝先生の言葉によって、コンクール用の曲が発表された。

 

 

「オーボエとフルートの掛け合い…良いですね。みぞれ先輩、ファイトです」

 

 

自由曲である『リズと青い鳥』に、なんとオーボエのソロがあった。

そして、フルートの掛け合いという。フルートは傘木先輩が吹くだろう。

 

 

「えっと…伏見君も頑張って」

 

 

「もちろんです」

 

 

そんな感じで練習が始まっていき、今日の練習を終わった時に、ふと思った事をファゴットの二人に聞いた。

りりりんは、みぞれ先輩に付いていった。友達大作戦決行中だった。

 

 

「中間もあるし、頑張らないだね」

 

 

「辞めて…ー」

 

 

籠手山が頭を抱えていた。

 

 

「2人はテスト大丈夫そう?」

 

 

「私はそれなりって感じ」

 

 

「……赤点取らなかったらいいなって」

 

 

「そっか。練習に影響がないようにね」

 

 

北宇治ってそこそこの進学校だから、偏差値が高い高校。

入学できているから、二人も勉強は出来る筈。

 

 

「伏見君は?」

 

 

「僕?」

 

 

「そう」

 

 

「数学はそれなりだけど、それ以外は学年10位以内には入ってるよ」

 

 

「凄っ!!」

 

 

僕がそう答えると、兜谷が驚きながらもそう言った。

 

 

「数学は苦手な感じなの?」

 

 

「そんな事はないけど、数学はね…最大のライバルが居るから…」

 

 

「ライバル?」

 

 

そのタイミングでりりりんが帰ってきた。

 

 

「失敗した~」

 

 

りりりんはそう言って、頭から机に突っ込んだ。

 

 

「先輩にダブルリードの会しませんかって聞いたら、また断られた~」

 

 

ああ…またか…兜谷と籠手山の二人も落ち込んでいる

因みに、ダブルリードの会って言うのは、ここにいる四人でお茶会をしたりする会なのだ。りりりんが作り上げた物。

 

 

「鎧塚先輩…そういうの苦手そうだもんね…」

 

 

「崩せそうにないか…」

 

 

「うん…」

 

 

中々、みぞれ先輩の壁はまだまだ高そうだ。

話はしてても、完璧に打ち解けてはない。りりりんの方が打ち解ける早そうだけど。

 

 

「そうだ、ゆう」

 

 

「ん?何?」

 

 

「今日、家行ってもいい?」

 

 

「なんで?」

 

 

「勉強会~数学教えてあげるから、それ以外をお願いっ!」

 

 

「はいはい、いつものね」

 

 

「前から思ってたんだけど、二人って付き合ってるの?」

 

 

「あーそれ思った!」

 

 

僕とりりりんが話していると、二人がそう言ってきた。

りりりんとお互いに顔を見合わせる。

 

 

「ううん、付き合ってないよ」

 

 

「私は付き合ってもいいって思ってるよ~」

 

 

「りりりんには、もっといいやつがいるって」

 

 

「もうっ!」

 

 

りりりんはそう言って、僕の事を叩いてくる。

 

 

「それじゃあ、僕はそろそろ帰るね。鍵頼んでもいい?」

 

 

「え~もう帰るの~」

 

 

りりりんからそう言われたけど、

 

 

「猫の定期検査があるの。そろそろ帰らないと間に合わないの」

 

 

「そっか~うん、分かった。鍵は私たちがしとくよ~」

 

 

「へぇ~伏見君、猫飼ってるんだ~」

 

 

「また明日、写真で良かったら見せてあげるよ」

 

 

「本当!?楽しみ!」

 

 

兜谷と籠手山は物凄く楽しみにしていた。

 

 

 

 

 

 

 

*********

 

 

「伏見君」

 

 

校門を出ようとした時だった。久石に声を掛けられた。

 

 

「久石。そっちの練習も終わったの?」

 

 

「そんな感じです。伏見君こそ梨々花と一緒じゃないんですね」

 

 

「常に一緒に居る訳じゃないよ?」

 

 

「そうだったんですね。てっきり常に居るものだと」

 

 

「僕と梨々花は一心同体かなんかだと思ってる?」

 

 

「そんな事はないですよ」

 

 

「怪しい…」

 

 

久石の言葉に怪しさが匂っていたが、ここは放置しておくことにした。

 

 

「それで何の用があって話しかけてきたの?」

 

 

「そんな所です」

 

 

「へぇ~」

 

 

「なんですか。その返事は」

 

 

僕の返事に不満を持った久石がそう返してきた。

 

 

「そんな嫌な返事だった?」

 

 

「はい、とっても不快です」

 

 

「それはごめん…」

 

 

「いいですよ。アイスを奢って貰えば」

 

 

「絶対、本音それでしょ…」

 

 

久石の言葉に、僕は呆れた。

 

 

「いいじゃないですかー可愛い女の子に奢れるんですよ。可愛い私に」

 

 

「はいはい。そうですねー」

 

 

「棒読みやめてください」

 

 

その後、久石にアイスを奢る事になるのだが、それはまた違う話。

 

 

 

 

 

 

「ただいま~」

 

 

「おかえりって言いたい所だけど、ここはりりりんの家じゃないよ」

 

 

「知ってるよ~」

 

 

猫の病院を済まして、ゆったりとしているとりりりんが僕の家に帰ってきた。

りりりんの家は隣なんだけど

 

 

「これまた…随分とお疲れですね~梨々花様」

 

 

「そうなんですよ~先輩と打ち解けないんですよ~」

 

 

傍から見れば、何をやってるんだと言わんばかりの茶番を彼女とする。

 

 

「ご飯は食べた?」

 

 

「まだ~でも、帰りに寄り道して、チョコまん食べた」

 

 

「チョコまん…?」

 

 

聞きなれない食べ物に聞き返した。

 

 

「甘すぎたけど、美味しかったよ~」

 

 

「マジか…」

 

 

感想を聞いて、そんな言葉が漏れる。

 

 

「今度買ってきてあげるよ~」

 

 

「いいって、それよりもいつものゆで卵買わなかったん?」

 

 

「それはですね~」

 

 

りりりんはそう言って。鞄をガサガサと漁りだし、

 

 

「買ってあるんですよ~」

 

 

そう言いながら、手にはりりりんが好きなゆで卵があった。

 

 

「買ってるんかい」

 

 

「えへへ~」

 

 

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