サンフェスを終え、次はいよいよコンクールに向けての練習が始まる。
「今年の課題曲は『マーチ・スカイブルー・ドリーム』自由曲は『リズと青い鳥』です」
滝先生の言葉によって、コンクール用の曲が発表された。
「オーボエとフルートの掛け合い…良いですね。みぞれ先輩、ファイトです」
自由曲である『リズと青い鳥』に、なんとオーボエのソロがあった。
そして、フルートの掛け合いという。フルートは傘木先輩が吹くだろう。
「えっと…伏見君も頑張って」
「もちろんです」
そんな感じで練習が始まっていき、今日の練習を終わった時に、ふと思った事をファゴットの二人に聞いた。
りりりんは、みぞれ先輩に付いていった。友達大作戦決行中だった。
「中間もあるし、頑張らないだね」
「辞めて…ー」
籠手山が頭を抱えていた。
「2人はテスト大丈夫そう?」
「私はそれなりって感じ」
「……赤点取らなかったらいいなって」
「そっか。練習に影響がないようにね」
北宇治ってそこそこの進学校だから、偏差値が高い高校。
入学できているから、二人も勉強は出来る筈。
「伏見君は?」
「僕?」
「そう」
「数学はそれなりだけど、それ以外は学年10位以内には入ってるよ」
「凄っ!!」
僕がそう答えると、兜谷が驚きながらもそう言った。
「数学は苦手な感じなの?」
「そんな事はないけど、数学はね…最大のライバルが居るから…」
「ライバル?」
そのタイミングでりりりんが帰ってきた。
「失敗した~」
りりりんはそう言って、頭から机に突っ込んだ。
「先輩にダブルリードの会しませんかって聞いたら、また断られた~」
ああ…またか…兜谷と籠手山の二人も落ち込んでいる
因みに、ダブルリードの会って言うのは、ここにいる四人でお茶会をしたりする会なのだ。りりりんが作り上げた物。
「鎧塚先輩…そういうの苦手そうだもんね…」
「崩せそうにないか…」
「うん…」
中々、みぞれ先輩の壁はまだまだ高そうだ。
話はしてても、完璧に打ち解けてはない。りりりんの方が打ち解ける早そうだけど。
「そうだ、ゆう」
「ん?何?」
「今日、家行ってもいい?」
「なんで?」
「勉強会~数学教えてあげるから、それ以外をお願いっ!」
「はいはい、いつものね」
「前から思ってたんだけど、二人って付き合ってるの?」
「あーそれ思った!」
僕とりりりんが話していると、二人がそう言ってきた。
りりりんとお互いに顔を見合わせる。
「ううん、付き合ってないよ」
「私は付き合ってもいいって思ってるよ~」
「りりりんには、もっといいやつがいるって」
「もうっ!」
りりりんはそう言って、僕の事を叩いてくる。
「それじゃあ、僕はそろそろ帰るね。鍵頼んでもいい?」
「え~もう帰るの~」
りりりんからそう言われたけど、
「猫の定期検査があるの。そろそろ帰らないと間に合わないの」
「そっか~うん、分かった。鍵は私たちがしとくよ~」
「へぇ~伏見君、猫飼ってるんだ~」
「また明日、写真で良かったら見せてあげるよ」
「本当!?楽しみ!」
兜谷と籠手山は物凄く楽しみにしていた。
*********
「伏見君」
校門を出ようとした時だった。久石に声を掛けられた。
「久石。そっちの練習も終わったの?」
「そんな感じです。伏見君こそ梨々花と一緒じゃないんですね」
「常に一緒に居る訳じゃないよ?」
「そうだったんですね。てっきり常に居るものだと」
「僕と梨々花は一心同体かなんかだと思ってる?」
「そんな事はないですよ」
「怪しい…」
久石の言葉に怪しさが匂っていたが、ここは放置しておくことにした。
「それで何の用があって話しかけてきたの?」
「そんな所です」
「へぇ~」
「なんですか。その返事は」
僕の返事に不満を持った久石がそう返してきた。
「そんな嫌な返事だった?」
「はい、とっても不快です」
「それはごめん…」
「いいですよ。アイスを奢って貰えば」
「絶対、本音それでしょ…」
久石の言葉に、僕は呆れた。
「いいじゃないですかー可愛い女の子に奢れるんですよ。可愛い私に」
「はいはい。そうですねー」
「棒読みやめてください」
その後、久石にアイスを奢る事になるのだが、それはまた違う話。
「ただいま~」
「おかえりって言いたい所だけど、ここはりりりんの家じゃないよ」
「知ってるよ~」
猫の病院を済まして、ゆったりとしているとりりりんが僕の家に帰ってきた。
りりりんの家は隣なんだけど
「これまた…随分とお疲れですね~梨々花様」
「そうなんですよ~先輩と打ち解けないんですよ~」
傍から見れば、何をやってるんだと言わんばかりの茶番を彼女とする。
「ご飯は食べた?」
「まだ~でも、帰りに寄り道して、チョコまん食べた」
「チョコまん…?」
聞きなれない食べ物に聞き返した。
「甘すぎたけど、美味しかったよ~」
「マジか…」
感想を聞いて、そんな言葉が漏れる。
「今度買ってきてあげるよ~」
「いいって、それよりもいつものゆで卵買わなかったん?」
「それはですね~」
りりりんはそう言って。鞄をガサガサと漁りだし、
「買ってあるんですよ~」
そう言いながら、手にはりりりんが好きなゆで卵があった。
「買ってるんかい」
「えへへ~」