オーボエに音を乗せて   作:桜紅月音

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11/3日 話の内容を修正済


6話 縣祭り

 

6月5日、ここ宇治には縣祭りという伝統な祭りがある。

「暗闇の奇祭」とも呼ばれているが、普通のお祭りと変わらない。

そんな中で、今年は…不運なのか…土砂降りとまではいかないけど、生憎の雨だった。

 

 

「ゆうーそろそろ行こー」

 

 

私服に身を包んでいるりりりんが、チャイムを鳴らす事も無く家の中に入ってきてそう言ってきた。

 

 

「はいはい、ちょっと待って」

 

 

先日、りりりんからお誘いを貰って、二人で行く事に。

去年もりりりんと行ったけど。

 

 

「お待たせ」

 

 

「うん、行こ~」

 

 

そう言って、手を差し出してくるりりりん。

そんな彼女の取る。

 

 

「はいよ」

 

 

「えへへ~」

 

 

彼女の手を取ると、彼女は嬉しそうに微笑んでいた。

 

 

「吹部の誰か来てるかな」

 

 

京阪宇治を出てすぐ、りりりんがそう聞いてきた。

 

 

「一年の一回のお祭りなんだし、来てるだろうね」

 

 

宇治橋を渡って、屋台を巡りながら、りりりんとそんな話をする。

実際、北宇治の制服を着た先輩方を見かけたし、居るには居るんじゃないかな。

 

 

「ゆう、あれ食べたい」

 

 

「はいはい。好きなだけどうぞー」

 

 

僕の祖父母から、りりりんと楽しんでおいでと言われてかなりのお金を渡してもらっている。こんなに要らないんだけどなと思いつつも、隣に居るりりりんと祭りをしっかりと楽しみたいと思う。

 

 

「今日は、たくさん食べるぞー」

 

 

「祭りってそういう物だったっけ…」

 

 

りりりんの発言に、僕は思わず困惑してそう返す。

祭りとは楽しむもの……食べる事も楽しむうちに入るか。そうなると……よく分かんないや 

 

 

「だって、ゆうと同じ高校に入って、同じ部活して、こうやって祭りにも来て、私めっちゃ嬉しい」

 

 

「僕も同じだけど、さっきの話と関係ある?」

 

 

「あるよ~」

 

 

「いや…無いと思う」

 

 

なんて会話をしていると、僕達に聞きなれた声で僕達の事を呼ぶ声がした。

 

 

「あっ、梨々花ちゃんと伏見君だ」

 

 

僕らに声を掛けてきたのは、黄前先輩と塚本先輩だった。

二人きりって事は、デートでもしてるのかな。付き合ってるとかそういう話は聞いた事ないけど。久石なら知ってるかもだけど。聞くことでもないか。

 

 

「黄前先輩と塚本先輩、お疲れ様です!」

 

 

「お疲れ様です~」

 

 

「うん、お疲れー」

 

 

「先輩方はデートですか~?」

 

 

「違うよ!?」

 

 

りりりんが先輩達にそう聞くと、黄前先輩から返ってきた反応は、僕の思っていた反応と違っていた。隣に居る塚本先輩の表情も気になった。

やっぱり、付き合ってるんじゃないかな先輩達。

 

 

「あれ~違いました?」

 

 

「ち、違わないんだけど…」

 

 

様子がおかしいな…なんかこう、関係がバレたくない…みたいな。

付き合ってる事を隠してるのかもしれない。

 

 

「そう言う二人もデートか?」

 

 

塚本先輩がそう聞いてきた。

 

 

「そんな所…ですかね?」

 

 

「え~私はそう思ってるけど~」

 

 

僕はあやふやに先輩に返すと、りりりんが隣からそうツッコんできた。

このやり取りを見て、塚本先輩がちょっとだけ微笑んでいた。

 

 

「です」

 

 

「お前らも複雑なんだな」

 

 

塚本先輩を困らせてしまった。

後日、何か美味しい物でも私に行こうと思う。

 

 

「先輩達も、デート楽しんでくださいね。行こりりりん」

 

 

「うん、ではでは~」

 

 

僕とりりりんは先輩達に手を振って、この場を後にする。

 

 

「うん、二人も楽しんでね」

 

 

黄前先輩からそう声を貰った。

 

 

「それでそれで久美子先輩と塚本先輩、付き合ってると思う?」

 

 

「僕はそうだと思うけどなー」

 

 

雨が上がり、橘橋を渡って、中洲にある雨粒が付いたベンチをタオルで拭いて座り、りりりんと先輩達の話題で盛り上がっていた。

先輩達が付き合ってるのかいないのかの話で。

 

 

「黄前先輩の様子がおかしかったのは気になったけどね」

 

 

「それは私も思った~」

 

 

「だよね」

 

 

りりりんも同じ事は思っていたようだ。

今度、友恵先輩にでも聞いてみようかな。何か知ってるかもしれないし…

でも、それを知った所で…意味ないしなと思いつつ。

 

 

「僕らに言えない事かもしれないし、この話は終わりでいいんじゃない?」

 

 

「そうだね~って事ではい」

 

 

りりりんはそう言って、リンゴ飴を出してきた。

というか、どこに隠し持っていたんだ。

 

 

「いつのまに買ってたの?」

 

 

「ゆうがトイレに行ってる間に~」

 

 

「あの時か」

 

 

「そうだよ~」

 

 

りりりんからリンゴ飴を貰って、一口舐める。

 

 

「うん、美味しい」

 

 

「ね~」

 

 

りりりんと過ごすこの時間はとても心地良かった。

そんな時間が30分程経っただろうか。腕時計を確認すると、良い時間になっていた。

 

 

「もうこんな時間だし、帰る?」

 

 

「私はもうちょっと夜空を見たい~」

 

 

「確かに綺麗な夜だからな」

 

 

りりりんが言う通り、雨がさっきまで振っていたのが嘘のように、綺麗な夜空が見えていた。

 

 

「ゆう」

 

 

「ん?何?」

 

 

「オーディション頑張ろうね」

 

 

「…もちろん」

 

 

来週に控えたオーディションの事を頭の隅に入れて、僕はそう返した。

 

 

「あっ、流れ星だ」

 

 

「何かお願いしなきゃ…!」

 

 

りりりんはそう言って、手を握って願い事を口に出していた。

 

 

「鎧塚先輩とゆうと三人でコンクールに出られますように…!」

 

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