とんでもスキルで異世界ハンターメシ 作:鮮血ラーメン
「リタ、どうだった?」
「バッタの魔物がいた。なんなのよー… やばいくらいキモイんだけどぉー……」
リタは気持ち悪そうな顔で道案内した。
森の中の道に、大型犬くらいのサイズのバッタが数匹たむろしている。
ムコーダが「うげぇ」とうめき、ハンターも嫌そうな顔になる。
「カンタロスか」
「知ってるのか、ハンターさん」
「無駄に鬱陶しいモンスターさ。どうする? 素材を剥ぎ取るなら手はあるけど」
「えっ!? やだやだやだ! あたい、あの魔物を解体するとか大反対だからね!」
青ざめて言うリタに、フランカが表情で同意する。
「そうだな、不快感以前に見たことのない魔物には手を出さないのが吉だ。…しかしあの様子だとあそこを離れるつもりはなさそうだな」
ラモンは冷静に意見した。フェルはそもそも興味が無さそうで、退屈そうにあくびをしている。
「それじゃ、俺が行ってくるよ」
「助かる。気を付けるんだぞ」
そう言うヴェルナーに見送られ、ハンターは歩き出した。
近づいてくる人間に、カンタロスがキチキチキチと耳障りな鳴き声を上げて翅を震わせる。
ハンターは片手剣──ソルズコアを抜いて、飛び掛かって来た一匹へ振り下ろした。
無造作な一撃はカンタロスを一撃で粉砕し、焼けてバラバラになった肉体が飛び散る。
「よっ、ほっ」
向かってくる残りのカンタロスも粉々にして、粉みじんになった虫の脚や翅を見下ろして首をかしげる。
「なんだか最近、体の調子がいいな」
ハンターたるものベストコンディションは保っていてしかるべきだが、それにしても一撃じゃ死なないカンタロスをワンパンできるなんて今日の自分はついている。
なんだかムコーダさんの料理を食べるようになってからだ、まるでアイルーたちの料理を食べた時みたいだと思いながら、死骸を道の脇に避けておく。それから剣の血を拭って戻った。
「終わったぞ」
見守っていたヴェルナーたちは口々に感謝しながら立ち上がった。けっこう嬉しい。
「うええ……」
「あんた、虫が苦手なんだな」
「当たり前ですよー…」
「嫌なら見なければいいのに」
「嫌でも目が吸い寄せられるんですぅー」
そう言いつつ、ムコーダはカンタロスの残骸から全力で距離を置いていた。
そういうものなのか?
カンタロスでここまで嫌そうにしてるなら、ランゴスタを見たら白目を剥くんじゃないのか。
そう思いつつも、ハンターは俺にとってのフルフルみたいなものかと勝手に納得して、その考えを口に出すことはしなかった。
「それにしてもこの前は驚いたぞ、あんなにたくさんの生肉を出すなんて。ハンターさんはアイテムボックス持ちだったんだな」
昼食時。
香味スパイスを振った肉の串焼きを堪能していたハンターに、ヴェルナーが声を掛ける。
「ん? ああ、あれね。寧ろ少ないくらいだったけどよかったのか?」
「フェル様がいらっしゃられるからな、どんなに出しても足りないということはない」
この人はどうしてアイテム
それにしても、と、ハンターの疑念をよそに話題は別の事に移った。
「最近見たことのない魔物にばかり出会うな。ほら、草原地帯を渡った時頭からコブみたいな角の生えた魔物がいただろう? フェル様が味見だって捕まえてたが、あれでムコーダさんが作ってくれたステーキは格別だったな」
「アプトノスのことか」
あれは岩塩で焼くだけでもとろけるような味わいだが、ムコーダが食材にすると魔法にでもかけられたかのように極上の美味になる。
「ハンターさんが採って来たキノコもめちゃくちゃウマかったっスよねー。あれなんて名前なんスか?」
「特産キノコだよ」
たまたま見かけた特産キノコに昔ユクモの里で食べたキノコ汁を思い出してムコーダにねだったところ、記憶と寸分たがわぬ美味しいキノコ汁を作ってくれた。みんなも大喜びしてたし、採ってきた自分の鼻も高いというものだ。
「俺がみんなに配った携帯食料の味はどうだった?」
ふと思いつき、からかい半分に聞いてみると全員うつろな顔をして笑った。
あの時も、「失敗して血生臭くなった干し肉よりはマシ」という素晴らしい評価を受けたっけとハンターは口の端を歪める。
「いろいろ知ってるんだな、ハンターさんは。なんだか疑ってたのが申し訳ないくらいだ」
「なんだ、しょうがないだろそんなこと」
あっさりと片付けて、ハンターは肉を咀嚼し飲み込んだ。
『おい、もっと肉をよこせ』
「まだ食うのかよ!?」
山盛りの焼き肉を平らげ、まだ催促するフェルにムコーダが目をむいた。すでにそのそばには、使い切ったスパイスの瓶がうずたかく積まれている。
『まだまだ足りぬぞ。それから、あのコクのある汁物も欲しい』
「フェルさんや、いつ国に着くかもわからないんだから自分の食い扶持くらい自分で取ってきてくださいよ」
『ふむ、そうか』
フェルはうなずき、一っ飛びで草原へと走っていった。
「む、ムコーダさん。レッドボアの肉とか全部使ってもいいからな?」
冷や汗をかきながら進言するヴェルナーを、ムコーダは笑い飛ばした。
「いやいや、甘やかしちゃだめですよ。自分の食い扶持くらい自分で賄ってもらわないと、私、破産しちゃいますって! ハハハ」
ごもっともだ。あれもこれも人にたかっていたらバチが当たる。伝説の魔獣と呼ばれるくらいなら、それくらいはできるだろう。
そしてハンターは、このあとフェルが