「ねぇムイ、散歩にでも行かない?」
華ちゃんが急に聞いてきた。
「今は夜だよ?大丈夫なの?」
もう夜だ。こんな時間に外に出て警察に見つかったら…
「そうだったわね。なら認識阻害で行きましょう」
そっか華ちゃんは僕らと同じ阻害が使えるんだった。
あれ魔法少女には通用しないからね〜
使う機会少ないんだよ。
「よし、行きましょうか」
そうして玄関から外へ出た。
いつもは窓からだから何故か少し変な感じだ。
「いつもは窓からだけど普通は玄関よ」
……そうだった。
窓が慣れすぎて玄関に違和感を感じていたが、玄関が普通だった。
「今日は外で食べようかしら」
「あっそれいいね!僕はハンバーガーを食べたい!」
あの某有名チェーン店に一度行ってみたかったんだ。
「わかったわ、近くにあるとこに行きましょ」
そうして散歩の目的地が決まったことで華ちゃんは歩いていく。
僕は浮きながらついていっているけど…
「あ〜またいた〜!」
聞き覚えのある高い声が聞こえた。
急に気分が最悪になっている。
なんて悪い日だ。
そういえばあの魔法少女には認識阻害は効かないんだった。
「久しぶりだね〜白くまさん、とその契約者さん」
「えぇ…久しぶりね、どうしてこんな時間に」
「今日はね!お母さんとお父さんの誕生日プレゼント選んでいるの!」
思ったより普通のことだった。
「今日こそは名前聞かせてもらうよ〜!」
どうしよう…
あっ華ちゃんが諦めたようにため息を吐いた。
「白川華よ、よろしく。」
そうして華ちゃんは手を前に出す。
「改めて私は神崎モモ!こちらこそよろしくね!」
そうしてお互いに握手をした。
「ごめんねこのクマは人見知りだからちょっと無理に触らないあげて」
「うんわかった!」
それらしい理由をつけて僕の名前を聞かせるのを回避した。
華ちゃん思ったより話術あるね。
「どうしたの?モモ?」
向こうから早歩きできたのは神崎モモの似た人だ。
「あっ!お母さん!ごめんね知り合いがいたから」
そんな人に神崎モモが気づいて彼女をお母さんと呼んだ。
「モモさんのお母さんで、し……」
《どうしたの華ちゃん?》
モモの母を見た華ちゃんは目を見開いて固まった。
「あらそれはごめんなさい。気づかなかったわ。これからもモモをよろしくね」
「え、えぇわかりました。よろしければお名前を伺っても?」
華ちゃんが名前を尋ねた?
しかも少し動揺しているみたい。
「?わたしは神崎朱音、これからも娘を頼むわね」
「あ、かねさん…よろしくお願いします」
「じゃあまたね!華ちゃん!」
そう言ってモモは手を振って朱音さんと共に去っていった。
「ねぇ華ちゃん大丈夫?」
そしてずっと立ったままの華ちゃんに安否を尋ねる。
もしかして何か攻撃された?
「えぇ…大丈夫よ。ありがとうね、ムイ」
「本当に?」
今の華ちゃんは少しおかしい。
何かを驚いているような。
「ねぇ野暮なこと聞くかもだけど…神崎朱音って有名人とかじゃない?」
「急にどうしたの?聞いたこともないよ」
「そうよね」
また考えるように黙り込んだ。
これは待った方がいいかもしれない…
「ねぇ私あの人に会ったことあるかもしれない…」
「え?どういうこと向こうも初対面のような挨拶していたよ。」
「そうよね謎よね。私もわからないわ…」
どういうこと?
さっきから華ちゃんが変なこと言っている。
「でもあの人…何処かで…」
「もしかして前に言っていた記憶の中にいたのでは?」
「そうかもね…でも彼女も私を見て何も知らなそうだし…」
僕が見ても何もわからない…
なんだろう…気づかなかったけど僕の動悸が早くなっている?
どうして?
「あの朱音さんには何かあるわね…あの人に気をつけておきましょう。…神崎モモとは付き合いが長くなりそうね」
「そうだね…明日はどうするの?」
「活動でもしましょ」
「じゃあ明日のためにまずはハンバーガー食べよう」
そんな僕に華ちゃんは微笑みながら了承してくれた。