伏黒恵に転生したから魔虚羅をブン殴る 作:鈍い
その二次創作の一部表現や発想を今作に流用しています。
影の中から取り出したのはレミントンM870。
映画やゲームでもお馴染みのポンプアクション式散弾銃だ。
日本では自衛隊などで採用例がある。
つまり政府が横流ししてくれるので入手が容易だ。
禪院真依がリボルバーを使っていたように呪術師は銃火器を扱うことが認められている。
そして銃火器は普通に強い。
羂索も『術師相手であれば近代兵器も積極的に取り入れるべきだと思うよ』と言っていたしな。
通常兵器が呪霊にも有効だと仮定するなら2級呪霊は散弾銃でギリだ。
玉犬、蝦蟇、大蛇、鵺。
複数の式神を扱える本来の伏黒が2級術師だったことを考えれば、その構成要素の1つに過ぎない鵺は単体なら2級呪霊くらいの強さだろう。
つまり呪力で強化した散弾銃なら十分に通用する。
「せいっ!」
俺は迫り来る鵺へ銃口を向ける。
そして引き金を引くと散弾が放たれた。
轟音と共に無数の弾丸が鵺へ襲い掛かり、その身体を大きく弾き飛ばす。
やはり通常兵器でも呪力を込めれば、呪霊や式神に対して十分な攻撃手段になる。
「おっと!」
銃を撃った反動で俺の身体が後ろへ持っていかれる。
呪力で身体を強化しているとはいえ子供の身体で扱うには少々無理があったか。
やはり今は拳銃辺りで満足しておくべきだったかもしれない。
「ん?」
ふと妙な考えが頭を過ぎる。
核兵器に呪力を籠めれば魔虚羅だって倒せるんじゃないか?
……流石に無理か。
そもそも個人で用意できる代物ではない。
仮に何らかの方法で使えたとしても、爆発と同時に呪力が霧散して効果ナシになる可能性もある。
そんなことを考えていると満象から弱々しい声が聞こえてきた。
「ぱおお……」
傷口から黒い影が流れ落ちて巨体が今にも崩れ落ちそうになっている。
もはや虫の息だ。
どうやら玉犬と蝦蟇のコンビが上手くやってくれたらしい。
……とはいえ少しだけ可哀そうだな。
これまで調伏してきたのは両生類の蝦蟇、爬虫類の大蛇。
一方で満象は哺乳類だ。
人間と同じ分類だから親近感でも湧いたのかもしれない。
まあ玉犬・白を破壊しておいて今更だな。
それはともかくとして残るは鵺だけ。
こちらは俺と玉犬と蝦蟇の1人と2匹。
数の上では圧倒的に有利だ。
後は全員で一気に畳み掛ける。
「蝦蟇、鵺を拘束しろ!」
「ゲロゲロリ!」
蝦蟇が大きく跳び上がり舌を伸ばす。
長い舌が鵺の身体へ巻き付き、その動きを封じ込めた。
「クェーッ!」
鵺が激しく身を捩る。
身体から電撃が迸り蝦蟇の舌を伝っていく。
しかし蝦蟇は痺れる様子を見せない。
油は電気を通しにくい。
実際、電気機器の絶縁や変圧器の冷却にも油が使われている。
蝦蟇に付与した油の性質は水だけでなく電撃への対策としても機能するらしい。
……思った以上に便利な呪力特性だな。
とはいえ蝦蟇だけでは決定打に欠ける。
動きを封じることは出来ても相手を倒せるわけではない。
だからこそ次の行動が重要になる。
「トドメッ!」
俺は影からサバイバルナイフを取り出して鵺の頭部目掛けて投擲した。
こいつは面接の時に使った物だ。
そして数多の戦いで呪霊の肉を切り裂き玉犬・白の破壊にも使った。
なので僅か1年で呪力が染みつき今では立派な呪具と化している。
今回は更なる曰くを付ける為に調伏の儀にも持ち込んだ。
「クぇ……」
どうやら式神にも頭部は有効らしい。
頭に刃物が突き刺さった鵺は、その身体を黒い影へと変えていく。
振り返ると既に満象の姿も消えていた。
これで敵を全て排除した。
「調伏成功です!」
「流石だね」
「ありがとうございます」
五条先生が拍手をしながら笑みを浮かべる。
それを受けて俺は軽く頭を下げた。
小学生の時点で原作開始時の伏黒よりも多くの式神を調伏できた。
数多の縛りを加味すれば実力差は更に広がるだろう。
おそらく俺は本来の伏黒恵よりも才能がある。
その理由は術式解釈の柔軟さだけではない。
呪力量が普通の術師よりも膨大なのだ。
おかげで小学生の身でありながら玉犬・渾を余裕で使役できる。
俺は前世の魂と伏黒恵の魂が融合して生まれた存在だ。
そして真人の『幾魂異性体』のように、融合した魂は強大なエネルギーを秘めている。
ある意味では両面宿儺に近い存在なのかもしれない。
これは完全な妄想になるのだが、宿儺は二卵性双生児として生まれ、片割れを取り込んだことで魂が融合した。
だからこそ、あれほど規格外の強さを手に入れたのではないだろうか?
ここで重要なのは魂が『複数ある』ことではなく『融合している』ことだ。
パンダのように複数の魂が独立したままでは純粋な強さには繋がらないと思う。
「他の式神は調伏しないの?」
「今の俺では勝てないのでしません。それに使える手札を増やし過ぎても混乱しますからね」
調伏の難易度的に次は脱兎と戦うことになる
あれを倒すには範囲攻撃が必要だ。
満象の水流なら何とかなるかもしれないが、調伏したばかりで運用にはまだ慣れていない。
確か伏黒は領域展開を習得した後に顕現させていたよな。
もしかすると脱兎の調伏には満象のような範囲攻撃だけでなく、領域展開による物量まで必要なのではないか?
「五条先生、新しい式神の実力を確かめたいです。手頃な任務を紹介してくれませんか?」
「いいよ。早速、伊地知に連絡しとく」
「ありがとうございます」
基本的に小学生が呪霊討伐へ同行することは許されない。
未熟な子供を実戦投入するなど自殺行為だからな。
というか大人ですら普通に命を落とすのが呪術師の世界である。
だが俺の場合は事情が異なる。
なぜなら監督役が現代最強の特級術師、五条悟だからだ。
どんなイレギュラーが発生しても対応できる。
とはいえ五条先生が俺の実戦訓練に付き合っている間、本来なら何件もの特級任務を片付けられるはずだ。
呪術界からすれば機会損失そのものである。
この借りは将来の働きで返すしかないな。
「恵、強くなってよ。僕に置いて行かれないくらい」
「そっちこそ追い抜かれて負け惜しみを言わないでくださいね」
「……生意気だね」
そう言って五条先生は嬉しそうに俺の頭をガシガシと撫で回す。
絶対的な強者、それ故の孤独。
貴方に愛を教えるのは俺だ。
「ちょっ、髪が乱れますって」
「元から乱れまくってるウニ頭だし構わないでしょ」
「そういうところが色んな人に嫌われる原因ですよ」
「あ?」
まだまだ俺は強くなれるはずだ。
具体的な強化プランも既に組み上がっている。
後は迷わずに突き進むだけだ。
最後まで読んでくれてありがとうございます!
この話が面白いと感じていただけたら【お気に入り登録】【評価】【感想】で応援してくれると私が嬉しくなります。