伏黒恵に転生したから魔虚羅をブン殴る   作:鈍い

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 この話は私の妄想を詰め込みました。


姉妹校交流会①

 中学生(なお学校には通っていない模様)になった俺は五条先生の監督下を離れ、正規の呪術師として活動する資格を得た。

 もちろん日々を漫然と過ごしていたわけではなく、修行や実戦経験を通じて着実に強くなっている。

 

「それでは京都・東京姉妹校交流会を始める」

 

 楽巖寺学長の厳かな声と共に交流会の開催が宣言された。

 現在は2017年。

 俺が高専へ入学する1年前なので、今回は原作の1年前に行われた交流会だ。

 

 東京側の参加者はパチンカス秤金次、男の娘な星綺羅羅、数合わせの乙骨憂太。

 京都側はパイナップル東堂葵、魔女っ子な西宮桃、加茂家次期当主の加茂憲紀。

 

「質問いいですか?」

 

「……なにかの?」

 

「まだ呪術高専に入学していない俺が呼ばれた理由は何ですか?」

 

「五条から理由を聞かされていないのか?」

 

「逆に聞かされてるとでも?」

 

 そう返すと楽巖寺学長の皺が更に深くなった。

 なお当の本人は説明するどころか遅刻中である。

 

「伏黒の役目は式神を会場へ放ち、共有した視界を実況席のモニターへ映すことだ」

 

「分かりました。頑張ります!」

 

「……五条の愛弟子とは思えん素直さよな」

 

「反面教師にしてますから」

 

 おそらく俺が放つ式神とは圧倒的な物量を誇る脱兎のことだな。

 原作よりも早い段階で調伏したせいで、本来の歴史とは異なる流れになってしまった。

 そんなことを思っていると平安風の和服を着た細目の男子生徒が俺に近づいてくる。

 

「君が伏黒恵くんか」

 

「そういう貴方は加茂家次期当主の加茂憲紀さんですね」

 

「私のことを知っているとは光栄だ。君の噂は京都にも届いている。五条悟の秘蔵っ子だと。前々から話をしたいと思っていた」

 

「恐縮です」

 

「御三家は競い合う存在でもあるが同時に呪術界を支える柱でもある。次代を担う者同士、切磋琢磨していこう」

 

「はい!」

 

 そう言って俺たちは握手を硬く交わす。

 実際のところ俺が禪院家を継ぐことはないだろうな。

 原作通りなら滅んでいるし、滅ばなかったとしても直哉が黙っているとは思えない。

 まあ実力で捻じ伏せても構わないのだが労力に見合うかというと微妙だ。

 

「退屈な話は終わったか?」

 

 今度は頭がパイナップルのゴリラ、東堂葵が前に出て来た。

 うーわ。

 

「伏黒恵よ、どんな女がタイプだ?」

 

「東堂、やめろ。彼は交流会に参加するわけではない。それに高専生ですらない」

 

「だからこそだ。東京の連中は戦いの中で聞く。その方が本音も出やすいだろうしな」

 

「お前という男は……」

 

 加茂さんが間に入って制止するが東堂は意に介していない。

 気付けば周囲の視線が俺たちへ集まっていた。

 この状況で好みを口にするとか完全に公開処刑じゃないか。

 

 それはともかくとして選択肢は3つ。

 ① 原作通りに答える。

 ② 身長(タッパ)と尻(ケツ)がデカい女と答える。

 ③ 正直に答える。

 

 ①は却下だ。

 流石に交流会直前だから殴られはしないと思うが確実に侮辱される。

 というか本来の伏黒の答えは退屈すぎる。

 なーにが「その人に揺るがない人間性があれば、それ以上は何も求めません」だ。

 周りに女子がいる状況とはいえ、こんな返答をされたら冷めてしまうわ。

 例えるなら「今日の夕飯何がいい?」と聞かれて「美味しくて栄養があるなら何でもいい」と返すようなものだ。

 せめて「カレー」とか「ラーメン」とか具体例を出せ。

 

 ②も論外だ。

 あの東堂相手に見え透いた嘘など通用しない。

 下手をすれば交流会そのものが壊れるくらい暴れるだろう。

 

 つまり残る選択肢は③のみだ。

 上手くいくかは微妙だがやるしかない。

 

「さあ、どんな女がタイプだ?」

 

「言語化が難しいですね。とりあえず写真を見てくれませんか?」

 

 俺はスマホを取り出して津美紀の写真を表示する。

 可愛くて、優しくて、面倒見が良くて、料理も上手い。

 まさしく理想の女性だ。

 

「ほう! それがオマエの彼女か! 禍々しい呪力に反して悪くないセンスだ!」

 

「いえ、姉です」

 

「……は?」

 

「姉です」

 

「……は?」

 

 流石の東堂も無量空処を喰らったような表情になってしまった。

 まあ血は繋がっていないわけだが黙っていた方が面白そうだ。

 

「あー、LikeじゃなくてLoveだぞ」

 

「分かってます」

 

「……伏黒よ、それは色々とダメだと思うぞ」

 

「人の好きを否定するつもりですか?」

 

「そうじゃなくてだな……」

 

 確かに義理とはいえ姉に欲情するのは異常者だ

 案の定、周囲からはドン引きされている。

 だけど本心なんだから仕方ない。

 そして俺は頭を抱える東堂を尻目に西宮さんへ視線を向けた。

 仲間外れにするのも可哀想だしな。

 

「西宮さん」

 

「な、なに?」

 

 いきなり話を振られたことに驚いたのか彼女は身体を強張らせる。

 まあ東堂のテンションに順応していたから警戒されるのは当然か。

 ……それ以前に好みのタイプを聞かれて姉の写真を見せる人間なんて、東堂よりも怖いし気持ち悪いよな。

 

「彼らに挟まれて色々と大変ですね」

 

「後輩が可愛いから何とかやれてるわ」

 

 そう言って西宮さんは遠い目をする。

 どうやら俺が思っていた以上に苦労しているらしい。

 

 こうして顔合わせを終えた両校の生徒たちは持ち場へ散っていく。

 そして初日の種目『チキチキ呪骸討伐猛レース』が始まる。

 

 具体的なルールは指定された区画内に放たれた2級呪霊と同等の実力を持つ呪骸を先に倒したチームが勝利だ。

 また区画内には3級以下の呪骸も複数体おり、制限時間までに決着がつかなかった場合は討伐数の多いチームが勝利する。

 相手を殺したり再起不能の怪我さえ負わせなければ妨害行為も認められる残虐ファイトだ。

 

 それにしても今年は呪霊ではなく呪骸なのか。

 おそらく両校が対等だと示す為だな。

 京都開催で京都校が用意した相手と戦えば東京校の面目が潰れる。

 だから今年は東京校の夜蛾学長が製作した呪骸を使用しているわけだ。

 逆に東京開催なら京都側が対戦相手を用意するのだろう。

 

 楽巖寺学長が原作の交流会で使う呪霊を準1級に変更し、従える道具まで用意できたのも、そうした事情が関係していそうだ。

 

「じゃあ式神を放ちますね」

 

「承知しタ」

 

「脱兎、頼んだぞ」

 

「「「ウララララッ!」」」

 

 俺とメカ丸は脱兎と虫サイズの呪骸を会場へ送り込む。

 ちなみに彼が運営に協力しているのは東京校と京都校の公平性を保つ為だ。

 後は同じ傀儡操術を持つ術師として夜蛾学長の呪骸を観察したいらしい。

 

「開始1分前ということで歌姫先生のありがたーい激励のお言葉を頂きます」

 

「はぁ!? え……えーっと。あ、ある程度の怪我は仕方ないですが……同じ呪術師として助け合い的なアレが……」

 

「時間デース」

 

「ちょっ、五条! アンタねぇ!」

 

「それでは姉妹校交流会……スタァートォ!」

 

「先輩を敬えッ!」

 

 歌姫先生の怒鳴り声が響く中、姉妹校交流会の幕が上がった。

 その直後、隣の席にいる五条先生がマイクを差し出してくる。

 

「解説の伏黒恵さん。どのような勝負が展開されると思いますか?」

 

「俺は解説じゃないんですけど」

 

「細かいことは気にしない!」

 

 断っても無駄だろう。

 俺は諦めてマイクを受け取った。

 

「京都校には空を飛べる西宮さんがいます。俯瞰して索敵できるので呪骸の発見は容易いでしょう。足りない火力は加茂さんが補えますし、連携に難があるものの東堂は圧倒的に強い。

 一方の東京校の秤さんはギアが上がるまで時間がかかる上に綺羅羅さんは火力に欠けます」

 

「じゃあ京都校が有利?」

 

「いえ、東京校には乙骨先輩がいます。不安定とはいえ特級の実力をフルに発揮できれば逆転できるはずです」

 

 確か原作では折本里香が出てきて東京校が圧勝したんだよな。

 そんなことを思っていると戦場に動きがあった。

 

 綺羅羅さんは自身の呪力に星を刻み、呪力を籠めたコインを上空へ放り投げると、意図的に自身の呪力出力を落とす。

 星間飛行(ラヴランデヴー)は呪力そのものへ星をマーキングする術式なのでコインにも同じ星が刻まれる。

 そして同じ星を持つ対象は呪力出力が高い方へ引き寄せられる性質を持つ。

 つまりコインよりも呪力出力が低くなっている彼女はコインへ向かって引き寄せられた。

 その勢いで一瞬だけ高所を確保して会場全体を見渡す。

 

「呪骸は複数いて動き回っています。空へ跳び続けて索敵するのは効率が悪い。だから東京校は先に京都校を潰しに行くはずです」

 

 予想通り東京勢は京都勢へ向かって走り出す。

 西宮さんは即座に仲間へ警告を飛ばすが東堂は止まる気配を見せない。

 結局、加茂さんたちも前へ出るしかなくなり両校は序盤から激突することになった。

 

『まずは秤からだ。どんな女がタイプだ?』

 

『もちろん私!』

 

 東堂の問いかけに秤さんではなく綺羅羅さんが答えた。

 脱兎は視覚だけでなく聴覚も共有できる。

 なぜなら元ネタのウサギは耳の良い動物だからだ。

 つまり戦場での会話は実況席に筒抜けである。

 

『……確か綺羅羅は男ではなかったか?』

 

『それがどうした。大切なのは性別じゃなくて熱だろ』

 

『金ちゃーん♡』

 

『すまなかった。どうやら俺は視野狭窄に陥っていたらしい』

 

 LGBT関連には触れないでおこう。

 下手に首を突っ込むと炎上する。

 

『次は乙骨だ。どんな女がタイプだ? 男でも構わないぞ』

 

『わぁぁたぁぁしぃぃ!』

 

 その問いに反応して乙骨先輩の背後から折本里香が姿を現した。

 次の瞬間、実況席のモニターは真っ黒になり討伐判定用の札が全て燃え尽きた。

 判定的には東京校の圧勝である。

 まあ戦いは無茶苦茶になったわけだが。

 ちなみに脱兎の本体は実況席にいたので無事だ。




 綺羅羅が上空に跳躍したのは、
 ①自分の呪力に星をマーキング。
 ②コインに呪力を籠める。
 ③星間飛行は呪力にマーキングする術式なので自動的にコインにもマーキングされる。
 ④自分の呪力出力を低下させる。
 ⑤コインを上空へ投擲。
 ⑥同じ星を付けられた対象は呪力出力が高い方へと引き寄せられる。
 ⑦自分よりも呪力出力の高いコインに引き寄せられて上空に移動。
 的な感じです。
 綺羅羅の術式は理解しきれてないので間違いがあったら指摘してください。
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