スイートプリキュア♪ -ArrangeScore-   作:おとともの

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スイートプリキュア♪ -ArrangeScore- あとがき

今の時代にスイートプリキュア♪の二次創作、それも本編無視のifストーリーなんて誰が読むねん!

って感じですが、もし小説を読んでくれてあとがきまで見て下さっている方がいるとしたら、心の底からの感謝の気持ちを伝えたいです。

 

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

 

 

思いつきで始めて結局最後まで続けられず投げ出したネタは他にも色々あったのですが、この「スイートプリキュア♪ -ArrangeScore-」に関しては自分の心の中でずっと引っかかりを感じていた部分があって、久しぶりに引っ張り出して読んでみたら、「ああ……やっぱりちゃんと完結させたいな」という気持ちが沸き上がって来ました。

 

当時も最終回までのプロット自体は完成させていたので、自分で書ききれなかった部分をAIに出力してもらおうかな、とも思っていたのですが、気分がノッて来たので結局自分で最後まで書く事にしました。

 

当時書き上げられなかった要因はいくつかありますが、そもそもこの小説を書き始めた段階では音楽についてぶっちゃけ何も知らない人間で、自分なりに調べながら内容を書いていたのですが、「描写としてこの内容は妥当かどうか?」「この表現はいいのか?」といった所で色々迷ってエネルギーを浪費してしまう部分があって、改めて書き始めるとなった時に、描写や表現の妥当性をAIに相談しながら書く事が出来たというのが大きくて、そういう意味ではAIがある今だからこそ完結させる事が出来た、という面はあります。

 

 

この小説を書く事になった大本の理由は「西島和音と東山聖歌の扱いに納得がいかない」、というものではあったのですが、実際小説でこの二人について書いてみて思ったのは、「本当に勿体ないキャラだったな」、という事です。

 

東西南北で名前が揃えられてるとか、キャラデザが妙に気合が入ってるとか、そんな話じゃないんですよ。

スイートプリキュア♪の初期コンセプトである「響と奏、喧嘩ばかりの二人が生み出すハーモニーに注目!」っていう部分。これって結局ストーリーの基本コンセプトとして描き続けるには限界があるし、やる事やり切ったらそれ以上発展性がないものなんです。

 

響と奏がわだかまりを解いていって仲良しの関係になったら、「喧嘩ばかりの二人が~」っていう部分はもう成立しなくなるし、そうなるとハーモニーパワーの設定も形だけのものになってしまう。しかし「喧嘩ばかりの~」っていうシナリオプロットをそのまま継続したらただ単に二人とも仲も性格も悪いだけの印象になってしまう。

 

そんな中で、「音楽との結びつきがない一方で、響と奏、二人の音楽とは別の面での繋がりがある」という和音と聖歌の二人って、響と奏の二人の間だけで閉じてしまいそうになるお話を、外に大きく広げる力がある存在だったんだ、というのを実際に小説で書いて気付いた訳です。

 

そういう意味で、本当に勿体ないキャラだったなあと思います。

 

 

この小説は単に和音や聖歌といったキャラの再利用、ってだけでなく、「ぶつかり合う心と心が、真のハーモニーを生み出す」というスイートプリキュアの♪の初期テーマを最後まで貫いたら?というのもコンセプトの一つです。

 

最後まで書き終えて……というか、当時最後までプロットを組んでみて思った事が一つあって、響って「マイナーランド寄り」の人間なんだな、という。

 

まあ原作だとマイナーランドの人間ってみんな「洗脳されてた被害者でした」ってオチで終わるんですけど、少なくともセイレーンに関しては「歌姫としての立場から転落した事で、音楽と向き合えなくなった」というような要素はあったはずなので。

 

「父親に音楽を奏でていないと言われた経験から音楽と向き合えなくなった響」と、「歌姫から転落した経験から、音楽を憎むようになってしまったセイレーン」って、本質的にすごく似ている存在なんだなと。

 

小説をここまで読んでくださった方ならビックリすると思うんですけど、ep4.「トントン! 響と聖歌の進む道ニャ!」の初期プロットにおいて、「えれなはセイレーンが化けた姿だった」なんて展開一切無かったんですよ。

 

あの話はあくまで「自分と似たような境遇の女の子との出会いを経て、響が再びピアノと真剣に向き合うようになる」というだけの内容で、セイレーンも特に重要人物ではなかったのですが、えれなが登場するシーンまで書き進めた所で、「あれ? これってセイレーンが化けてるって設定でも成立するんじゃ?」って急に思ってあのような展開になりました。えれな登場以後の内容はほぼ全部アドリブです。

 

あの話で、響とセイレーンは内面に抱えているものが非常に似通っている、鏡像のような関係であり、響は本質的にマイナーランドの人間と近い所があるのだという事に気付いた訳です。

 

元々、「悪い奴を叩きのめして終わり」というような作品ではない、というのははっきりしていたので、この事に気付けたのは非常に重要な事でした。

本質的にマイナーランドに近い人間だからこそ、響はマイナーランドの音楽の意味という核心的な部分を理解出来たし、マイナーランドの人間と同じものを抱えている響が音楽に対して真っすぐ向き合えるようになる事が、マイナーランド側の者達にとってまた別の形の救いにもなるという。

 

あの話は小説全体において大きな基点となった内容で、小説全体の方向性を決定付けたお話でもあります。

 

 

 

-オリジナル設定について

 

・キュアビート

 

原作のキュアビートから能力設定はほぼそのまま引用。音楽をテーマにした作品でギター型武器っていうのは分かりやすいし、「中近距離で味方のサポートを行いながら戦う」っていう能力設定はこの小説での和音のキャラとも合致していますからね。

 

ただ、「爪弾くは魂の調べ」という口上については、他といまいち揃いが悪いな、と思いましたし、クレッシェンドキュアメロディの口上が「爪弾くは心の調べ」なんですけど、魂って心の上位互換みたいなイメージも結構あるから、その点でも微妙だなあと思ったので口上だけは変更しました(クレッシェンドキュアメロディについては逆に特別感が生まれると思ったので口上はそのままに)。

 

キュアビートって他にも揃いが悪い部分が一つあって、使用する武器について、メロディのミラクルベルティエやリズムのファンタスティックベルティエなんかはどちらも、

 

ミラクルベルティエ→ミラクル、ミリーのミ

ファンタスティックベルティエ→ファンタスティック、ファリーのファ

 

と、武器名、口上、技名と全て武器用フェアリートーンの象徴する単語と揃えた者になっているのですが、キュアビートの場合、

 

ラブギターロッド→ラブ、ラリーのラ

ソウルロッド→ソウル、ソリーのソ

 

と、変身用フェアリートーン(ラリー)と武器用フェアリートーン(ソリー)二つの要素が混じっていて規則がズレてるんですよね。なんでこうなってるかっていうと、ラリーとソリーのDX版がラブギターロッドとセット売りになっていて、キュアモジューレがなくとも二つのフェアリートーンを使った遊びが楽しめるように、という玩具的な都合から(だと思われる)。

 

ここについても要素を纏めようかな、と思ったりもしたのですが、能力が同じなのに名前だけズレてるのは読んでて混乱するよな~と思ったのでここはそのままにしておきました。

 

 

・キュアシンフォニー

 

ビートの武器がギターって事で、じゃあこっちの使う武器アイテムは……と考えた時に、これまでの登場アイテムとのバランスを考え、差別化できるようなものとして、管楽器で代表的なトランペットを選択。なんか仮面ライダー響鬼に引っ張られている気もしますが、特徴的で差別化がしやすいからこそモチーフに選ばれやすいという理由もありますので。

 

作中における最強の合体技は四人のプリキュアと八体のフェアリートーン全員が協力するものにしたい、というのがあって(スイートは他のシリーズと比べても「力の源がフェアリートーン」というのがはっきりしているという部分があるから)、でもラブギターロッドってフェアリートーンが合体できる場所一か所しかないんだよな……というのが問題だったのですが、トランペットのピストン部分にフェアリートーンが合体するというアイディアを思いついて、1~3番ピストンのどの位置にセットするかで発動する効果が代わり、最強技では三体のフェアリートーンが全てのピストン部に合体するという設定にしました。

 

完全に後方支援型の能力設定で、追加戦士が二人ともサポート寄りの能力って普通に考えてあり得ないんですが(追加戦士はストーリー・演出的にも商品展開的にもテコ入れのための存在だから)、まあそこらへんはどうでもいいかなって。

 

ブラストトランパー:基本の攻撃方法は普通に攻撃名として設定。ただ、管楽器の吹き方にブラストというものがあるらしい。

 

アレグロ・コン・ブリオ:「活力を持って速く」という意味の音楽用語。身体能力を強化する、という設定ですが、メロディとリズムって決め技以外だとどちらも格闘攻撃しか出来ないので、戦闘シーンの演出に変化を入れたいという都合があったり。

 

ブリルランテ・チャージ:ブリルランテは「輝きを持って」という意味の音楽用語。シリーの象徴する単語であるシャイニング、シャイニングトランパーと重なるような意図のネーミングです。身体能力を強化するアレグロ・コン・ブリオに対して、フェアリートーンを強化して必殺技の力を高めるといった技。

 

シンフォニックレインボー・ファンファーレ:「トーンのリング」の技は全員が使える、って設定にしたかったのでシンフォニーにも設定。ファンファーレは言わずもがなで、シンフォニックレインボーの部分はシャイニングトランパーの光のイメージと、シンフォニー=交響曲で無数の楽器の音が組み合わさる彩りを意識したネーミングですが、レインボーとか七色って色とりどりのフェアリートーンが揃った時、プリキュアの皆の力が集った時、みたいな所とイメージが重なるからちょっとネーミングに失敗したかもしれない。

 

 

 

-各話数振り返り

 

・ep1.「ギャギャーン! 黒いプリキュア現るニャ!」

・ep2.「ガッチリ! 絆を繋ぐ友情のクロスロッドニャ!」

 

一番最初に考えた時はこの前後編だけで終わるような感じに想定していたっけなあ?

 

「追加戦士が最初は悪堕ちした状態で登場する」っていう、自分の悪堕ち趣味が大本のアイディア元ではありますが、信頼関係を取り戻し、ハーモニーパワーも揺るぎないものとなり、敵なしとなっていた響と奏の前に、これまでとは違う角度の脅威と障害が現れ、それを乗り越える、という王道展開的な構成でもあります。

 

自分の中での「悪堕ちストーリー」って、「主人公に大きな試練を課すためのもの」「通常とは違う角度からキャラクターの人格を掘り下げる」というものでもあるので、ある意味でこれも理想的な悪堕ちストーリー展開の一種とは考えています。

 

原作第7話からのifになっているのは、第8話からはもうセイレーンの敵内部での不信・揺らぎっていう内容が始まっちゃうからです。(原作エピソードとしては第8話が一番好きなんだけどね……)

 

この小説の中では、ミラクルベルティエとファンタスティックベルティエはセパレートまでが本来の使用法であり、クロスロッドは爆発的に高まったハーモニーパワーによって生み出された未知の形態という扱いで、キュアビートとキュアシンフォニーがツインビート・シンフォニアを使えるようになるまでは使用が出来なかった、というような扱いになっていたりします。

 

 

 

・ep3.「フレーフレー! 響と和音は最強コンビニャ!」

 

この話から響達四人でのアンサンブルの話が始まるのですが、

 

響→当然ピアノ

 

奏→DSのゲームのOPアニメでキュアリズムがドラム担当をしているシーンがあったのと、キュア”リズム”だし、リズムパートの担当にしたかった、という所もあってドラム

 

聖歌→変身時の武器をトランペット型にしたのでトランペット

 

和音→同じく変身時の武器がギターなので、ギター……と見せかけてベース

 

という楽器構成。

 

和音のキャラをイチから描くとなった時に、原作における「響と一緒にスポーツをしているスポーツ万能の女の子」って要素だけだと、『響の劣化コピー』にしかならないんですよね。

 

とっかかりがあまりない中で和音のキャラをどう描いていくか?って考えた時に、逆に「今までずっと響のスポーツのサポートをして来た」っていう部分を一歩前に進めて、「和音はそもそも他人に合わせてその能力を引き出すのが非常に上手い」というのをそのまま和音の個性にする事を考えた訳です。

 

他人を支えて、土台となるような存在……というのを音楽の楽器におけるベースと重ねて描くという構成に。

 

和音って原作だと「過去回想とかでも一切存在せず、普段響と一緒にいる訳でもないのに響と親友という扱いで、響のピンチにすぐ駆けつける」とかいう訳の分からないキャラクターなんですけど、そこについても「中学入学の時に奏と仲違いした響が、その寂しさを埋めるために親友となった相手」というような形で再設定しました(これに関してはep2.で描写した内容ですが)。

 

個人的には、シナリオ進行上必要だったのでネームドキャラにしただけだったハルナ部長が思った以上にいいキャラになってくれた所が嬉しい所でした。

 

あと、やっぱり自分は初期のセイレーンさんのわちゃわちゃ感が好きなので、そこら辺も楽しく書いてます。

 

 

・ep4.「トントン! 響と聖歌の進む道ニャ!」

 

「響が再びピアノと真剣に向き合うようになる」という内容はメインプロットとして絶対にやらなくてはいけない部分だったので、聖歌と王子の関係性の伏線を張りつつ、響がピアニストへの道を志すまでを描いた内容。

 

しかし前述した通り、「えれながセイレーンの化けた姿だった」なんて話は初期プロットでは一切なく、えれな登場以降は完全にアドリブ。「セイレーンが自らの力をネガトーンに注ぎ込んでプリキュアが窮地に陥る」なんて展開も元は一切ありませんでした。

 

この段階では、響と和音、響と聖歌、奏と和音、奏と聖歌、それぞれの組み合わせの話をやる事しか決めてなくて、最終盤までの展開は特に考えていなかった……というか、この時点では「物語の完結までを描く」つもりはなくて、書きたい話を書いたら「響達の戦いはこれからだ!」みたいな感じで終わる予定でした。

 

しかしアドリブ展開の中で、響とセイレーンが鏡写しのような関係である事に気付き、「これはやっぱり結末までを描きたいなあ」と思って終盤までのプロットを練り直す事に。

 

後半の「音楽と仲直り」という団の台詞も執筆の流れの中で自然に出て来たものだったのですが、これって作品全体を象徴する言葉だなあとも思います。

「この作品は、響が音楽と仲直りするまでのお話なんだ」という明確な指針がここで出来上がったんですよね。

 

「スイートプリキュア♪ -ArrangeScore-」の小説のプロットを考えている時、実際に執筆している時、のだめカンタービレのアニメOP「Allegro Cantabile」をよく聞いていて、自分の中の脳内イメージソングみたいになっている部分があるのですが、2番の歌詞の「悲しみは積み上げられたエチュード」はかなり直接的にこの話数のシナリオ内容と重なる部分があります。

 

この話数は「登場人物が、作者である自分の想定を明確に上回った」内容なので、自分としても非常に思い出深い内容です。

 

 

・ep5.「ギ・ギ・ギ!? 不協和音は終焉の兆しニャ!」

 

ep4.が色々想定外の展開になり、終盤までのプロットを練り直した事もあり途中に挟む形にしたお話。

セイレーンが前回の戦いで疲労した流れからギガトーンの登場、響達の活動の影響でしらべの館に人が集まるようになり、音吉の口から「ホワイトスコア」について語られる……と結末までの流れを整えるような内容になりました。

 

「破壊の音」ってあくまで「メロディとリズムが全く歯が立たない強敵の持つ能力」として考えたものでしかなくて、ネガトーンプリキュア登場時点ではメフィストの目的が「音と音楽を消し去る事」だなんて背景は一切考えてなく、お話の根幹の重要な設定として扱うつもりもありませんでした。

 

ただ、悪のプリキュアを失ったセイレーンがずっとネガトーンで戦い続けるのはきついものがあるな……とは以前から思っていたので、ここで破壊の音の設定を再利用してネガトーンの強化版のギガトーンを登場させ、終盤の展開への布石にも使う事に。

 

設定上は、「ドドリーを使って破壊の音を操るプリキュアを作り出す」→「破壊の音を使うギガトーンを作り出す」→「クレッシェンドトーンの力を使って破壊の音の精、デクレッシェンドトーンを生み出す」という具合に、メフィストは段階的に自身の目的のための開発を行っていた、という事になっています。

 

この話は和音と聖歌の関係を描いた話でもあり、「ぶつかり合う心と心が、真のハーモニーを生み出す」というのが全体のテーマなのに、和音と聖歌が『友達の友達』のままの関係で終わるのはあり得ないとは思っていたのですが、二人のわだかまりの理由が、「かつて悪のプリキュアとして二人を苦しめた事」に起因するというのは、分かりやすいと言えば分かりやすいものの、お話全体のテーマの趣旨からはちょっとズレてる部分はあるかな、とは思ってます。

 

ep4.からの流れで急遽考えた内容であるためにプロットが練り込み不足かなぁと感じる部分はある内容ですね。

 

 

・ep6.「ピ~ヒョロ~! 奏と和音の少年楽団ニャ!」

 

この小説においてアコの扱いをどうするのか、というのはすっごい悩んだポイントです。キュアミューズの存在は抹消しましたが、アコ自体は最初期から出てるキャラだし、奏の弟の奏太とも繋がりがあるキャラ。

アコの存在そのものを無視したり、脇に追いやるような事をするのも気持ちが悪いし嫌だな~とは思っていたのですが、(最初は結末まで描くつもりが無かった事もあり)扱いをどうするかは困りもの。

 

メフィストとアフロディテが夫婦、なんてのはあり得ないとして、アコが音吉の孫、っていう部分はズラせない(ズラしても意味がない)。音吉の全てを見透かしたキャラ付けからして、音吉もアコもどちらもメイジャーランド人にするのが妥当。そしてアコのあの捻じ曲がった性格が生まれた背景っていうのを考えると……まあ敵側の関係者だよなあ、って事で、メフィストの娘っていう部分はそのまま引き継ぐ事にしました。

 

奏が奏太の姉っていう事もあり、このタイミングでアコの話をしておこうって事でこの内容に。奏と和音の、とは言いますが実質的に和音とアコの話ですね。

 

この話でアコが抱える人間関係の不和、音楽と素直に向き合えない気持ちというのは、響が過去に解決した問題の後追いという形でもあり、そんな響の演奏がアコの気持ちを後押しするという流れになるのですが、響自体はお話にはほぼ登場しない、という形にしたのがプロットとして気に入っている部分です。

 

 

・ep7.「チリ~ン! 奏と聖歌の恋のトライアングルニャ!」

 

「う~ん、”王子”先輩にスイーツ”姫”……おっ! これってなんか、お似合いのカップルって感じ!」っていう和音の台詞があるのですが、聖歌と王子ってどっちも一学年上の先輩ポジションで、雰囲気的にも近い部分があるので、「聖歌と王子が近しい関係である」っていうのは原作の時点で想定された内容だったんじゃないかな~って思うんですよね。

 

スイーツ部で聖歌と接点のある奏が憧れている相手が王子、って事でもう完全にお膳立てがされている状態だったので、この話は最初からやる事は決まってました。

 

……最初から決まってた話を完成させるまでに15年かかった訳ですが。

 

「恋のトライアングル」と言いつつ実際には三角関係でもなんでも無かったのはご愛敬。

 

王子って「ヒロインに惚れさせるために用意されたイケメンキャラ」枠で、都合よく理想が詰め込まれたようなキャラではあるんですが、単純に滅茶苦茶好感度高いキャラでもあるんですよね。

 

「幼稚園児達を楽しませるためにゴリラの物まねを率先して行う」所なんかに人柄の良さがかなり出てます。

そういうのもあって、この小説内でもいい感じの役割を担ってもらったりしてます。

 

アヤとケイコに関しては、原作でスイーツ部のシーンがあると大抵奏と一緒に居て、聖歌以外で台詞があるスイーツ部員は基本この二人だったのでネームド扱いにしました(原作では名前なし)。

 

 

・ep8.「デデデン! 終曲を告げる悲しみの調べニャ!」

 

最終決戦までの流れの始まりの回。

 

終盤の流れ、最後の戦いを描く上で、原作のノイズを別の形で登場させる、というような事も考えられたとは思うんですよね。

例えばノイズが音楽に対する悲しみの感情から生まれた存在で、メフィストはノイズに洗脳されていた、って形でなくとも、メフィストがノイズの存在の影響を受けたとか、逆にメフィストが音楽に対する悲しみの感情からノイズを生み出すとか。

 

ただ、この小説のストーリーの流れでノイズを登場させても、「倒されるために出て来た怪物」にしかならなかったと思うので、スケール感が小さくなるのは承知の上でメフィストが大ボス、という部分はそのままにしました。

 

まあそもそも、スイートプリキュア♪って「音楽で人を悲しませる怪物を、喧嘩している二人が仲直りしながらやっつける」というのが基本の話なので、スケール感を大きくすりゃいいってもんじゃない、と私は思うんですけどね。

 

黒幕的存在が居た方が分かりやすく絵面的な盛り上がりはあるし、メフィストがあんな大それた事をしようとした理由にも納得しやすくなるとは思うんですけど、やっぱそういう方向で悪役をスライドさせちゃうと「音楽への悲しみ、音楽へのそれぞれの想い」っていう話の趣旨から外れちゃうかなとは思います。

 

 

・ep9.「ハミング! セイレーンは永遠の歌姫ニャ!」

 

長く続いたハミィとセイレーンの因縁に決着がつくお話。

 

「和音と聖歌を悪のプリキュアとして操っていたセイレーンが、今度は味方として二人と力を合わせる」って内容は、シチュエーションとしてやりたいな~とぼんやり考えていたものではあったので、最終決戦のこのタイミングで入れた形ではあるのですが、ep4.の内容があったからこそ意味合いが大きく変わった内容になったなぁと思います。

 

響とセイレーンは鏡像のような関係と書きましたが、この小説においてセイレーンはもう一人の主人公のような面があります。

自分がスイートプリキュア♪原作で一番好きなキャラが初期のセイレーンさんなのでひいきしている面もありますが、音楽の一つの面を象徴とするキャラでもありますし、響達以上に紆余曲折あって変化していったキャラでもあるので。

あと、単純にセイレーンさんのポジションだからこそできる事っていうのがかなり多いっていうのもありますしね。

 

メイジャー3に関しては、「メイジャーランドのイケメンアイドルユニット!?」とか映画の宣伝で妙にプッシュされていた割に、個性もクソもないやられ役怪人でしかなかったのがあまりにも哀れだったので違った形で登場させてみました。個人的には後半のいいアクセントになったかなと思ってます。

 

あと、明らかにトリオ・ザ・マイナーと合わせたキャラだったのに、そことも何の関係もなかったのがアレだったので、トリオとの対決シーンも作ってみたり。

 

 

・ep10.「ドレミファソラシド~♪ 空飛ぶ想いはクレッシェンドニャ!」

 

(表向きの)決着回。

 

デクレッシェンドキュアリズムの登場と設定に関しては、最後の最後でまた悪堕ち展開がやりたくなった、とかそういう事ではなく、「みんなの期待を背負って演奏する」というこれまでとはまた違った壁にぶつかった響が、奏の届かなかった言葉を聴き、再びピアノへと向き直る……という、響と奏の、響の音楽との物語の終着点として、これ以外には考えられないと思ったからこそのものです(まあクレッシェンドキュアメロディ登場のための前フリっていう面ももちろんありますが)。

ヒーリングチェストにピアノ要素があってよかった。

 

この小説はメインストーリーで必須の内容のみをピックアップして描いたような形になってますが、「ホワイトスコア」のような展開をする上ではやはり小さい話での積み重ねがあった方が心に響くものがあるよなぁとは思います。

 

小説内で描かれていないだけで、実際にはしらべの館の活動で様々な繋がりや物語があって……という形ではあるのですが、そういった小さなエピソードとかも本当はもっと描きたかった所ではあります。

 

 

・ep11.「フィニャーレ! 未来へ続くみんなの組曲ニャ!」

 

最終回。

 

シナリオ全体としてやるべき事は前回で大体終わっているので、ほぼエピローグのような内容です。

 

「楽譜は演奏の道標になるものだが、決して演奏者を縛るものではない」という作中での音吉の台詞がこの小説における基本スタンスで、私は伝説の楽譜や幸福のメロディの在り方そのものを否定する訳ではないんですけど、やっぱりこれまで描いていたストーリーの道筋から考えると「誰かに約束された幸せ」っていうのは物語の締めとしてしっくり来ないな~という所もあって、アフロディテとメフィストの関係の決着という面も踏まえてこういう内容にしました。

 

無限カノンは「カノン・ペルペトゥム」とも言い、アフロディテが伝説の楽譜をネガトーンとは逆の、天使のような存在「ペルペトーン」へと変えてプリキュアと戦わせる、というような案もあったのですが、展開的にプリキュアと殴り合うシーンを入れる必然性が無かったので没になりました。

 

結局小説である以上自分で考えたものではあるのですが、キュアモジューレが消えていくシーンは書いていて自分で切ない気持ちになる部分がありました。「ああ、この世界ではもうこの四人はプリキュアに変身する事はないのだなあ」と。

結末まで描く以上、「物語として完全に完結させる」というのははっきり決めていたので、響達が日常に還っていく上で、キュアモジューレ、プリキュアとの別れというのも決して外せない内容だと決めていました。

 

小説を書き始めた時は物語の完結までは考えてはいなかった、とは書きましたが、「もし完結まで描いたら?」と想定した時のラストシーンについては最初からイメージが定まっていました。

 

それが最後の「空港で奏達に別れを告げ、新たな道を歩き始める響」というシーンですね。

 

響は両親が世界的な音楽家で、響がピアニストへの道を本気で目指すのであれば海外留学というのは自然な流れではありますし、奏と喧嘩し合いながら積み重ねてきた絆、友情というのは、近くでべたべたとくっつき合うだけの関係ではないでしょう。

 

「ぶつかり合う心と心が、真のハーモニーを生み出す」というテーマの着地点としては、もうこれ以外には考えられないと自分の中では決まっていました。

 

海外というこれまでの常識が通じない世界で、響は異なる文化、異なる価値観とぶつかって、また新たな人々と出会い、喧嘩したり、仲直りしたりを繰り返して新しい繋がりを作っていくのだと思います。

 

同じように繰り返される、しかし一つとして同じではないもの……クレッシェンドトーンが言った「新たに楽譜が開かれ、始まる音楽(ものがたり)」というのはそういう事なのでしょう。

 

これがこのちょっとした物語における終着点となります。

 

ここまで読んでくださって、改めてありがとうございました。

 

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