もう一回の約束 学園アイドルマスター×ペルソナ4 作:初めての冬
「もうすぐ着くよ八十稲羽」人の少ない電車の中でりせが清夏とリーリヤの二人に声をかける。
リーリヤは窓の外から目を戻す。「荷物は大丈夫です」とリュックを抱えながら言う。清夏は考え事をしているからか反応が無い。「清夏ちゃんどうかした?」リーリヤが肩に触る。
「ん?どうかした?」いま気が付いたような清夏にリーリヤが「もうすぐ着くって」と訝し気に応える。
「清夏ちゃんはイベントに出るの不安?」りせが優しい声で気遣うように声をかける。
「初めての外部のイベントで緊張はしてますけど、もうここまで来たらやるっきゃないです!今はちょっと……考え事をしてただけです」清夏は笑いながらそう言った。
「次は八十稲羽~八十稲羽~」
「お、もう着くね。今日はいい旅館を取ってあるから楽しみにしてて」
「ここが今日泊まる八十稲羽の名所天城屋旅館でーす。」「「すっごい~!綺麗~」」
ガイドのような手振りでりせがリーリヤ、清夏を先導する。立派で荘厳な雰囲気の外観を二人が眺めていると、入り口から従業員と思しき人が近づいてくる。
「りせちゃーん!」
「雪子先輩!久しぶり〜!元気だった?半年ぶりぐらい?」
りせは抱き着きそうな勢いで駆け寄り手を取りぶんぶんと振り回す。雪子は清夏とリーリヤを一目見たあと駆け寄ってきたりせに笑いかける。
「私も会いたかったよ、りせちゃん。今日はこっちに泊まるのね?後ろの方と一緒に」
「は……そうだった。くぅ〜〜失敗した。二人の前では先輩振ろうと思ってたのに〜」
りせは二人の前で今の行動をしてしまったことを悔しんでる。二人に向き合い咳払いをして先輩振りを再開する。
「二人に紹介するね。この人は、ここの若女将の天城雪子先輩。高校の先輩で、そのときに仲良くなったの」
「紫雲清夏です。今日はよろしくお願いします」
「葛城リーリヤです。日本の旅館初めて来ました。すっこく楽しみです」
ふたりはそれぞれ挨拶をし頭を下げる。
「天城雪子です。本日はご利用いただきありがとうございます。お部屋まで案内するね。」
雪子は完璧な所作で礼をする。雪子の案内で旅館に向けて歩き出す。
「雪子先輩温泉一緒にいこ~」りせは雪子に手を組み引っ張りながら言う。
「お仕事終わったらね」雪子は笑いながら答えた。
「ふう~。温泉気持ちよかったね~」宿泊する客室に浴場からいま戻ってきた二人は座椅子に腰を下ろす。清夏は机にもたれかかり、顔をつけ気持ちよさそうにしている。
「うんすごかった。露天風呂もすごく広くて、私日本の本格的な温泉初めてだったから新鮮で……すごく楽しかった」
「確かにそうだね~。ここ老舗旅館だからTHE・日本な雰囲気たっぷりで私も結構新鮮。初めて食べる日本料理もあってすっごく豪華だったな~夕ご飯」
「すっごくおいしかった~。あの料理って寮でも作れるのかな?雪子さんに聞いたらわかるかな?」
清夏は顔をあげ、旅館で食べた日本料理について考えているリーリヤの顔を見る。それから部屋を見渡しりせの荷物が無くなってることに気が付いた。
「そういえばりせさんは?温泉に行く前に荷物ここに置いてった気がしたけど」
「あ、清夏ちゃんは聞いてなかったっけ。りせさん雪子さんの部屋に泊まるってもう移ったよ。私が忘れ物取りに戻ったときにそう聞いたの」
「ふ~んそうだったんだ。…………なんか当たり前にりせさんといるみたいな会話してるけど、ちょっと前までテレビの人だったからなんか……有名人なったみたい」
「これからもっとなるんだよ清夏ちゃん」
リーリヤの力強い言葉に面を食らった清夏は目をそらす。
「…………うん、そうだね。」
立ち上がりながら言葉を続ける。
「もう日付も回るし今日はもう寝ようかリーリヤ。お布団はどっ………………」
リーリヤも立ち上がり一緒に寝る準備を始めようとする。急に言葉を止めた清夏を見る。ぎょっとした顔できょろきょろと周りを見る清夏に一瞬かける言葉を見失う。
「……す、清夏ちゃん?……どうかした?……」
返事がない。
間をあけてもう一度リーリヤが声を掛けようとした瞬間清夏が小さな声でつぶやく。
「…………声が……私の?…………どこから……い、行かなきゃ……まっててリーリヤ……」
「え、今からどこに行くの清夏ちゃん?ちょっと待って!……」
そう言うと清夏は客室の外へ向かう。リーリヤは清夏の手を取るが足取りは止まらない。二人はそのまま客室の外に出た。