もう一回の約束 学園アイドルマスター×ペルソナ4   作:初めての冬

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第三話

「……清夏ちゃんここさっきも通った気がする……」

 「ほんとに?霧が濃くて全然……」

 

 二人は歩くのをやめて周りを見渡す。あたり一面が霧に包まれていて不鮮明だ。

 リーリヤは前方に指を指す。そこにはおぼろげながら建物の影のようなものが見える。

 

 「あの建物多分落ちてきたときにも見たの……」

 「じゃあ最初の場所までもどってきちゃったってこと!?そんな~……」

 リーリヤが落ち込んでる清夏の顔を覗き込むように見る。

 「……清夏ちゃん気分はどう?変だったりしない?」

 「え、?特に体を大丈夫だよ。てかその話ほんとなの~?私が無表情でテレビに落っこちてここに来たって。全然覚えてないし。ほら歩いて出口探そ」

 歩き出した清夏に少し遅れてリーリヤも早足で追いかけ隣に並ぶ。

 「ほんとだよ!じゃなきゃ今頃部屋にいるはずでしょ……」

 「部屋に戻ったとこまでは覚えてる………………」

 風が吹き急激にお互いが見えなくなるほどに霧が濃くなる。

「……っ!リーリヤ!!」

 「清夏ちゃん!!」

 霧が濃すぎてその場で立ち尽くしていると霧が少しずつ落ち着いてくる。霧は濃くなる前よりも少なくなり周りが見えるようになる。

 「大丈夫だった?リーリヤ」

 「うん、大丈夫。何が起きたんだろう。……霧がさっきよりも薄く……。あれ?ここって」

 「……初星学園?え、なんで急に?」

二人は校舎を模したと思われる建物の前にいた。今いる場所も遠くに見える建物も見覚えしかない。

 「どゆこと?初星に戻ってきちゃった?うーんそんなわけないか」

 二人はなんとなく歩き続け、野外広場に出た。この広場は初星のアイドル達が試験としてライブを行う場所で二人も立ったことがある。

 「あ、人がいるよ清夏ちゃん!ステージの上に!」

 「ほんとだ!なにか知っているかも!」

 二人は階段を駆け寄りステージに向かう。

 「すみませーん!」とステージの下からリーリヤが声をかけると、ステージの上の人物が二人の方に振り向く。

 「ここって……え……」言葉が止まりステージの上の人物と自身の隣にいる清夏を交互に見る。

 清夏は困惑して止まっている。

 そこには歪に光る目をした制服姿の清夏が立っていた。

 

 

 「……ど、どうこと?なんであたしが……」ステージ下にいる浴衣姿の清夏が何一つ理解できていない様子で呆然とつぶやく。リーリヤは二人の清夏を交互に見てオロオロしている。

 ステージ上の清夏はステージ下の清夏を見つめ、一瞬の間の後に口を開いた。

 「なんでそんなに頑張ろうとするの?もう諦めちゃえばいいのに」

「え、……な……」突如そう問われステージ下の清夏は理解が追いついていない。

「だ・か・ら、全部諦めちゃえばいいのにって。その足で何が出来るって言うの?もう踊れないのに初星に居たって無駄でしょ。初星もアイドルになることもやめて楽になろう?あんたは心の中でそう考えてるんだから早くリーリヤもアイドルも捨ててここからいなくなればいいのに」

「何言ってるの?……あたしはそんなこと考えてないし。……なに言ってるのか全然分かんない。……だいたいいきなり変なこと言ってきてあんたは一体なんなの?」

 絞り出すように喋る清夏はステージから無意識のうちに一歩下がった。その顔は恐怖に満ちていて、ステージ上の清夏の言葉が的を得ていることを物語っている。

 ステージ上の清夏は、表情を変化させることなく下の清夏を見たまま話す。

「あたしはあんたの心の声、あんたの本音。あたしが話したのはあんたが心の中で思ってることだよ。」

一呼吸置いてステージ上の清夏は芝居がかった声で続ける。

「あぁ、なんでこんな大変なことしなければならないの?なんでこの困難に立ち向かわなければならないの?なんでこんな目に合わなければならないの?……そうだ約束のせいだ。約束のせいで諦めるに諦められない。約束のせいでリーリヤは努力してる。約束のせいであたしは逃げられない。そうだよ、リーリヤが悪いんだよ。リーリヤと約束したから、リーリヤが約束に向けて努力するから!」

「〜っ!違う!あたしはそんなこと思ってない!勝手なこと言わないで!」ステージ下の清夏は怯えた顔で叫ぶ。

 ステージ上の清夏はニヤリと不気味に笑う。

「ふふ……「そんなこと思ってない」?……本当に?自分の行動を振り返ったら?レッスンはサボる。約束は忘れたフリをする。周りはどう思うかなぁ?リーリヤはどう思うかなぁ?周りも!自分も!諦めてるならさっさとそうすればいいのに。」

「……違う違う!!あたしは!!そんなこと思ってない!!」ステージ下の清夏はもう一人の声にどんどんと取り乱していく。

「あんたはそう思ってる。あたしには分かる。……あんたは私で、私はあんたなんだから」

「……違う……違う……あんたなんかあたしじゃない。あんたなんてあたしじゃない!」

 そう言われたステージ上の清夏は高笑いと共に宣言をする。

「あは!あははは!あたしはあたし、もうあんたじゃない!」

 その言葉と共にステージの上は霧が吹き出し清夏が見えなくなり、霧に巨大な影が映る。リーリヤが逃げようと清夏の手を引くが、清夏はそのまま気を失い倒れる。

「我は影、真なる我」霧の向こうから低く響く。

「清夏ちゃん!清夏ちゃん!」倒れた清夏の上半身を持ち上げ逃げようとするリーリヤに霧の向こうの影が動き何かが空を切りながら高速で近づく。

「いけー!ジライヤ!」ステージの反対から別の何かが高速で近づき何かとリーリヤ達の間に入り受け止める。

「ふーあぶねー」「リーリヤちゃん!助けに来たよー」りせの声にリーリヤが振り向くとりせのほかに旅館の雪子を含む3人と一匹?の人たちが駆け寄ってくるのに気が付く。

 「りせさん!清夏ちゃんが……!」

 「うん、大丈夫すぐ助けるから、花村先輩」

 「おう、相棒の代わりに指示出すぞ。クマ。りせとふたりを守っとけ。完二と俺で前衛をやる。天城はサポートを頼む。りせはいつも通りバックアップ頼む」花村と呼ばれたヘッドホンをした長身の男がクナイを回しながら指示を出していく。

 「了解クマー!プリチーちゃん達はクマが守るクマよー」ド派手な色のクマと名乗る着ぐるみがリーリヤ達の前に立ちながらそう叫ぶ。

 「うん、任せて、燃やし尽くす」天城雪子が扇子を広げ言う。霧の向こうからドンドンと歩くような音が近づいてくる。

 「来るよ、花村先輩。弱点はまだ見えない」

 「おっしゃー!!行きますよ、先輩」完二と呼ばれた大柄の男が両こぶしを合わせて雄たけびをあげる。

「こいタケミカズチー!」完二の目の前に現れたカードを砕くとタケミカズチと呼ばれた黒い巨人が現れ霧の向こうの影と対峙する。影が徐々に濃くなり正体が露になる。軟体生物の足の様な髪の毛を地面に突き刺しながら霧から出てくる。一軒家ほどの大きさではあるがそのほとんどは増大した髪の毛であり、影の清夏は髪の毛にくるまれ宙ぶらりんになっている。気を失った清夏を狙った攻撃は鞭のようにしならせた髪の毛だったようだ。

「嘘つきのホンモノのアタシをなんでかばう?さっさとやらせて!!」清夏の影が凄み髪の鞭をふるうがタケミカズチが受け止める。「やらせるかよ」

 「そのまま掴んどけ完二。こいジライヤ!吹き飛ばせ」花村がそう叫ぶと赤いマフラーの巨人が現れ、強烈な風を清夏の影にぶつける。清夏の影を支える髪の足がほつれ体勢が崩れる。

 「深紅に染まれ!」二人の後ろから桜色の巨人と雪子が華麗に舞い、体勢の崩れた隙を突き周りで火花が散り大爆発し清夏の影に追撃する。大爆発の煙が晴れ姿が再び見えるが、ダメージがあまり見えない。そう判断した花村がりせに問う。

 「りせ、弱点は見えるか?俺たちの属性が弱点ならいいんだけどな」

 「おいでヒミコ。うーん、火炎、疾風、電撃、氷結は全部だめ耐性があるよ。弱点は……?かくねつ?知らない属性がなんか増えてる!」りせの背後に頭がアンテナで白いワンピースをした巨人が現れ、りせの頭に手に持ったディスプレイを被せる。りせはディスプレイを見て驚愕した。全く初めての属性があったからだ。花村はその言葉を聞き顔を顰めたがすぐに切り替えた。

 

 「…………りせ、物理はいけるか?」

 「……うん、耐性はないよ、弱点でもないけど」

 「なら物理で押し切るぞ。天城、回復主体で頼む。完二気合入れてやるぞ」

 「任せてくださいっす。タケジザイテン!」完二がより気合を入れた表情で叫ぶ。

 「タケハヤスサノオ!ブレイブザッパー!」花村もそれに続く。

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