もう一回の約束 学園アイドルマスター×ペルソナ4 作:初めての冬
3人が清夏の影を押しながら戦い続けるとき未だに状況を把握できていないリーリヤが,
眠る本物の清夏を抱きながら近くにいるりせに聞く。
「りせさん。偽物の清夏ちゃんがあれになったんですけど倒しちゃっていいんですか?清夏ちゃんは大丈夫なんですか?」
リーリヤから出た言葉は清夏を案じた言葉だった。りせは戦いを見守りながら質問に答える。
「うん、倒すってより弱らしてもう一回清夏ちゃんと話をさせるの。あれはシャドウといって、いわば抑圧されたもう一人の自分。普段は意識してなかったり、目をそらしてるコンプレックスや悩みが現れた存在なの。このテレビの中の世界はそういう心が形になる世界なの」
「……じゃあさっきの言葉は清夏ちゃんの悩み?……」
「私たちは聞いてないから分からないけどこうなってるってことは悩みがあるのは間違いないと思う…………」りせはリーリヤに気遣うように目を向ける。リーリヤは眠ったままの本物の清夏を抱きしめ見つめ口を開かない。
「……わたし清夏ちゃんが悩んでるってわかってたんです。」リーリヤはそう切り出す。
「初星学園に入って清夏ちゃんどんどん上手になってたんです。ダンスも歌も。わたしは全然だめで。しばらくしたら清夏ちゃんがさぼるようになったんです。なのにわたし、清夏ちゃんに、みんなに追いつくのに必死で理由、聞けなかったんです。清夏ちゃんの隣に立ててないのに約束の話なんてって思っちゃったんです。でもそれは違ったんです。相応しいとか相応しくないとかそんなの関係なかったんです!だって友達だから」
りせはリーリヤから聞こえる声に加え、自身のペルソナ能力によって見えるリーリヤの中の輝きに目を奪われる。
「だから決めました。もう一度約束します!二人でステージに立ちます!二人でステージを目指します!あの場所まで二人で歩いていきます!清夏ちゃん。だからわたしも一緒に悩ませて!」
途端に頭を押さえ苦しみだすリーリヤ。
「リーリヤちゃん!……これってペルソナ?」輝きが爆発する。りせは確証が持てない。自分が知っている現象とかけ離れているためだ。
「リーちゃん!大丈夫クマか?!」少し前方にいたクマが異変に気付き非常に慌てて駆け寄る。
——またいばらの道を歩くのですね——
「…………うん……」リーリヤが息を整えながら答える。
——あなたがその道を選ぶのなら私が旗を掲げましょう——
——再び覚悟したのなら今度は戦うすべとなりましょう——
目元に仮面が現れる。リーリヤは何をすればいいのか自然と理解した。仮面に手を伸ばし両手で持ち引き剝がす。顔は真っ赤になるが蒼炎がほとばしり、リーリヤを包み込む。
——我は汝、汝は我——
——約束の旗の下にわたしたちの道を行きましょう——
リーリヤの後ろに旗を持つ軍服の女性が現れた。次の瞬間女性の巨人が消え目元に仮面が現れる。リーリヤの服装がいつの間にか浴衣から変化していて帽子をかぶり白と黒の軍服のような服装になる。
「はぁはぁ……りせさん、わたしも助けたいです」
りせは自分の知らない現象に困惑しつつリーリヤのペルソナを見て思わず笑顔になる。
「……うん!まかせて!セットアップするから。おいでコウゼオン!」りせのペルソナが現れ、りせの頭にバイザーのようなものを被せる。
「花村先輩!リーリヤちゃんがペルソナに覚醒して弱点が突ける!」
「え、まじ⁈……よしりせ、クマはリーリヤちゃんのサポートだ。完二、天城隙を作る。まずは俺からだな」完二と共に清夏のシャドウを戦闘していた花村は、動きを止め指示を出す。完二は自身のペルソナ『タケジザイテン』で清夏の影と取っ組み合いをしている。
「来いタケハヤスサノオ!吹け、青春の風よ」頭が太陽のような陽介のペルソナから全員を包み込む優しいかぜが吹く。
先ほどから清夏の影を見ていたリーリヤは動きが見やすくなるのを感じた。クマがリーリヤの隣に並ぶ。
「リーちゃんいいクマか?いまからクマ達がシャドウの動きを止めるクマ。そしたらペルソナー!てやって攻撃をしてほしいクマよ」
「え、あ、はい。ぜ、絶対当てます」リーリヤは少し冷静になりクマの存在を不可解に思うが、慌てて意識を前方に戻した。
そのとき「おいで。スメオオミカミ。華焔!」天城の黄金色の華やかなペルソナから火花が散り清夏の影の周りで花が咲くような大規模な爆発が起きる。爆風が広がりシャドウが見えなくなる。煙が晴れシャドウを確認できるようになるとりせが完二に合図する。「今だよ!完二!」
「いくぜ!タケジザイテン!これが男の生き様よ!」
刀を持つ白い大きなペルソナと完二が見栄を切ると清夏の影が大爆発からの起き上がりに直撃し、再び転倒する。
「今だよリーリヤちゃん!」「今クマー!」
二人が素早く合図する。
「お願いします!ジャンヌ!フレイラ!」
仮面が消え再びリーリヤのペルソナが現れる。ジャンヌが旗を振ると蒼炎が生まれリーリヤの狙い通りに飛んでいき、清夏の影に直撃する。爆発は雪子の攻撃に劣るのにシャドウの髪の毛がところどころ燃えダメージはこちらのが大きそうに見える。「リーリヤちゃん、もう一発。リーリヤちゃんが決めて」りせにそう促される。先程まで戦っていた雪子、完二、花村が警戒を解き、リーリヤを見ているのにリーリヤは気づいた。
「今助けるから清夏ちゃん。ペルソナ!」
再びジャンヌが現れ蒼炎を放つ。蒼炎はシャドウと共に大爆発を起こす。清夏の影は爆発の直後に溶けるように小さくなっていく。それと共にリーリヤの足元の本物の清夏が目を覚ました。
「ん、あたし……」身を起こす清夏は、小さくなり再び清夏の偽物の姿になったシャドウが目に入る。シャドウは何も発することなく清夏を見つめている。
「なんなの……急に……」
「清夏ちゃん」清夏が振り返ると服装が変化しているリーリヤが立っていて混乱が増す。
「え、リーリヤ!どうしたのその服?……じゃない、あたしはあんなこと思ってない、あたしは……」
「清夏ちゃんあのね、清夏ちゃんが悩んでることがあるってわかってたんだ。清夏ちゃんが嘘ついてるの分かりやすいから。でもわたしはわたしがみんなに追いつくのに必死で、気が配れなかった。ごめんね」
「リーリヤが謝ることじゃないよ!……あたしが、あたしが悪いんだよ……」
「わたし清夏ちゃんと一緒にアイドルになるって約束、もう一回したい。清夏ちゃんと一緒にアイドルになりたいの。だからわたしも清夏ちゃんと悩みたい。わたしも清夏ちゃんに頼るから清夏ちゃんも頼ってほしい」
「リーリヤ……」
りせが二人に近寄る。
「清夏ちゃんあれはね、清夏ちゃんが目をそらしたい悩みとか自身の側面が現れた姿なの。わたしにもあったんだよ」りせは苦笑しながら言う。
「だから大丈夫。みんな味方だから」りせに促され清夏は自らのシャドウと向き合う。
「痛いのはもう嫌だ……もうやめたい」
「痛いのは嫌だし、やめたいって何度も思った。悩んで悩んでリーリヤのせいとか、約束したからとか考えもした。でもまだ諦めたくない。あたしもリーリヤと同じ気持ちだから一緒にアイドルなりたいから。ありがとう、あたし。この機会をくれて」
清夏の影は清夏の言葉を聞いて微笑みながら光となり清夏に還る。