▪ファイル1-3 遠野ハンナ殺人事件
日頃から推理小説を好んで読んでいましたが……
シェリーちゃんは思いついちゃいました!!
完全犯罪!!
高まりますねー!!
名探偵が犯人なんて!!
犯人:橘シェリー
◆
◆ ◇
今回、殺される被害者はハンナさん……!!
私たちの仲良しグループにいる友だちです……!!
殺人の舞台は牢屋敷屋外にあるゲストハウス!!
ハイ!
完成……!!
ハイ!
絞殺……!!
ハイ!
偽装……!!
バレないようにこっそりと……
ハイ!
脱出……!!
ハイ!
負傷……!!
ハイ!
怪力……!!
ハイ
ハイ!
ハイ!!
ハイ!
貫通……!!
ハイ!
アリバイトリックが完成……!!
これがシェリーちゃん考案の完全犯罪!!
高まりますねー。
…………
この小説って……これであってます?
――!?
――シェリー
――シェリー
――これだとあまりにもダイジェストすぎ……
――もう少し「やることが多い……」とか「やはり暴力……」などと宣いながらトリックを実行したり、裁判を行いませんか……?
なるほど~。
たしかにそう考えると、あっさりしすぎちゃったかもしれませんね。
それじゃあ、さっきの部分はやり直しちゃいましょう!!
――!?
名探偵……いえ……
――!?
◆ ◇ ◆
Take.2
うーんと、うーーんと、うーーーんと、考えて……
抗って! 抗って!! 抗ってみたんですけど……ムリでした……!!!
だから……友人であるハンナさん……彼女との約束のために……彼女を殺す完全なトリックを……
シェリーちゃんは思いついちゃいました!!
…………
完全犯罪……
高まりますねー……
名探偵が犯人なんて……
犯人:橘シェリー
◆ ◇ ◆ ◇
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
今回、頼まれて殺すことになったお相手はハンナさん……!!
私たちの仲良しグループにいる友だちです……!!
殺人の舞台は牢屋敷屋外にあるゲストハウス!!
ハンナさんと完全犯罪の約束をしちゃったので、事前に殺人計画を練り上げて……
ハイ!
完成……!!
夜中に準備をできたことを告げて、ハンナさんを呼び出して……
ハイ!
絞殺……!!
自殺に見せるために、ハンナさんを吊るして……
ハイ!
偽装……!!
マーゴさんたちが儀式をする話を聞いていたので、ハンナさんの死体の周囲に人形を吊るした……
ハイ!
ミスリード……!!
そのまま皆さんにバレずに抜け出した……
ハイ!
脱出……!!
……
でも、これだけでは完全犯罪が成立するとは言えません。
対策しなければならない人がいます……それは、ナノカさん!!
――アリサにケンカを売り、ほとんどの少女のアリバイを成立させ、犯人を捜査線上に浮かび上がらせたナノカ……
――入れ違いで部屋に入り、部屋に鍵をかけて密室を作り出し、犯人のアリバイを崩したナノカ……
……
アウト……ッ!!
ナノカさん……アリバイ……犯人の計画……破壊しすぎですよ……!!
ミステリー小説には……ナノカさんみたいな人がいてもいいのですが……
今の私は完全犯罪を目指す犯人さんなのでトリックに支障があってはいけません……
……仕方ありませんね……
やっちゃいましょうか……
襲撃……!!
――!?
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
――その後、シェリーはナノカのいる倉庫に向かい……
――物音に気づいて様子を見に来たナノカに……
ハイ!
バリツ……!!
これが名探偵シェリーちゃんの
――戻ってきて、建物の入れ替えも忘れない……
ハイ!
持ち上げ……!!
――地面に一度置いて……
ハイ!
移動……!!
ハイ!
怪力……!!
ハイ!
スワッピング……!!
これにてゲストハウスの入れ替えトリック完成です……!!
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
ハイ
ハイ!
ハイ!!
ハイ!
貫通……!!
ハイ!
アリバイトリックが完成……!!
本当は証拠など押さえたかったんですけど、メルルさんに止められちゃいました……
あーあ。行けると思ったのですが……
でも、犯人につながる決定的な証拠は残してきていません……!!
どうでしょう? これが名探偵シェリーちゃんによる完全犯罪!!
たとえ名探偵が現れても……
――シェリーは一度口を閉じる
シェリーちゃんが考えつく限りの完全犯罪を実行しましたが……
さぁ……どう推理します?
エマさん?
あなたは名探偵シェリーちゃんの繰り出す謎……すべて解き明かすことができますか?
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
3度目の魔女裁判が開廷……
……できたら犠牲が出ないようにハンナさんの自殺に持っていきたかったのですが、残念ながら難しそうですね……
これでは私を犯人と当てられませんよ……エマさん……
「建物みたいな大きな物を動かせるとしたら、【魔法】を使わなきゃ無理だ……。そして、この中でそれができるのは、【怪力】の魔法が使える、キミだけ……! ……橘シェリーちゃん! キミが、犯人だ!」
「……でも、エマさん? それらはすべて推論で……明確な証拠は何もないのですよ……?」
「石畳に無造作に置かれた花に気付かず潰してしまったのが入れ替えられた証拠だよ!」
「ちょっと待ってください! 【私にしか動かせないから、私が犯人】……エマさんの主張は、本当にその主張でいいんですか?」
「つまり、私は……ケガで重労働はできないんです」
「ちょっと待った。……弾痕には銃弾が残っていたままだったけど、その周りには血痕はなかった……シェリーちゃんが自分で傷つけたんだよ」
ああ……エマさんとの推理合戦が楽しかったので見落としていましたか……
――周囲にいる少女たちの眼はシェリーを犯人だと疑っている……
決定的な証拠がなくても、魔女として処刑される……
――これは疑わしきは罰しない刑事裁判ではなく、疑わしきは吊るし上げる【魔女】裁判……
もういいでしょう……
「名探偵シェリーちゃんの活躍は、ここでおしまいなのでしたー☆」
――謎はすべて解けずとも……魔女は処刑された……
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
裁判所内の処刑台に磔にされ、火あぶりで命が潰えそうなシェリーの元に声が聞こえてくる……
――シェリー。シェリー。火あぶりで息を引き取る直前のところ、すみません。ちょっと【テレパシー】であなたの心に声をかけさせて頂きました。
そういう魔法もあるんですね……
――時間がありませんので、手短に……今回の敗因は何だと思いますか?
「アリサさんの人形とか石畳の花に気付かなかったとかありますが……決定的なのは、普通の裁判じゃなく【魔女】裁判だったことでしょうか……。この裁判では犯人だと特定されるのではなく、疑われないのが大事だったんですね……」
――死体を発見させない方法とかあったんじゃないでしょうか? 遠くに飛ばしたり、原型も留めないほど破壊したり……。
……それに何の意味があるのですか。
――申し訳ありません。
――では魔女たちが勝つにはどうすればいいと思いますか?
「 裁判の結果に意味がない人ですかね。私たちは看守さんがいるせいで処刑に抵抗できませんが、彼女たちをまとめる人なら、裁判の勝ち負けなんて関係ないですから……」
――ありがとうございました……。最後に、何か言い残すことはありますか?
「どんな敵が来てもエマさんなら勝てますよ。信じてますから!」
……
――……よくできましたね。
魔女裁判はまだまだ続く。
撲滅……!!
私は魔女因子を持つ者を撲滅する……!!