▪ファイル1-5 黒部ナノカ殺人事件
私の前からいなくなってしまった大魔女様を……見つけたい……
でも……アリサさんも大魔女様ではありませんでした……
だから……残りの皆さんも魔女化させて確かめなければ……!!
犯人:氷上メルル
『そんな時に……現れる……』
『黒部ナノカは……現れる……!!』
――!?
◆
◆ ◇
牢屋敷にいる多くの少女たち(一部例外あり)にストレスを与え、魔女化させていった
いけます……!!
辛いし、長いし、苦しいけれど……このまま諦めなければ大魔女様を探し出せる確率100%……!!
!?
なんで来ているんですかナノカさん……!?
ちょっと待ってください。私、ナノカさんのやっかいさはよく知っています。
けれど……まだ大魔女様かどうか判別できていないナノカさんを……殺したくないです……
――ナノカ帰らず、資料を漁る……
ナノカさん……帰らないかな……
こういうのは一度戻って、皆さんと調査しますよね!!
皆さんで取り組めば調査効率は確実に上がります……!!
そうですよね!?
――それでもナノカは1人で調査を続け、冷凍室への扉を調べ始める。
だ……大丈夫です。大事な資料は冷凍室にあります。扉には鍵がかかっていますから、私以外誰も入ることができません……!!
シェリーさんのように牢屋敷の設備を破壊しない限りは……です……!!
――通気口に向かったナノカは銃を構え……
!?
――銃声が響き渡り、通気口のフタが落ちる……
!?
ナノカさん……止められません……!!
このままでは通気口から冷凍室に入られて、保管している資料を【幻視】の魔法で見られてしまいます。そんなことになったら牢屋敷の秘密が全部ばれてしまいます……!!
牢屋敷の犯人は……
私、人生賭けて大魔女様を探しているんです……
ここで邪魔されるわけにはいかないんです……!!
やるしかありません……!!
ナノカさんを……殺すしか……ないんです……!!
◆ ◇ ◆
――操作室の壁に立てかけられていたナノカの銃を拾い……
――気配を悟られないよう、様子を窺う……
――魔法で金庫の開け方を知り、中にある資料を読み解いているナノカに
――背後からゆっくりと近づき……狙いを定める……
大魔女様……あれから私……いろんなことを学びました……
ストレスの知識や処刑具の作り方も……
魔女だからって魔法だけじゃないんです……
これは呪いでも……魔法でもありません……
技術です……
人間の知識って凄いんです……
――!?
今までいっぱい……頑張ってきました……
牢屋敷の管理方法も銃の扱いも……必要なのは……
魔法でも魔女因子でもありません……
知識と努力です……
そうやって私は……計画を進めてきました!!
――放たれた弾丸がナノカの背中を貫通する……
◆ ◇ ◆ ◇
一発で死ななかったので……その場で少しお話し……
――ナノカの死を確認したので、隠ぺいを開始……
えっ
なんで隠すのか、ですか……
死体が発見されたら調査が開始始するんです。
そして、この牢屋敷には多くの謎を解いてきたエマさんがいます……
シェリーさんの件もあり……エマさんは友だちだろうとトリックを解き、処刑ボタンを押してきます……
油断は禁物なんです!!
ナノカの死体を処刑台のユニットの方へ隠そうと――
ガッガッ
――覗き窓にナノカの身体が引っかかる
ナノカ……通れず……
!?
お……おしまいです……
誰かが来たら私が殺したってすぐにバレてしまいます……
……
なんてことはありません!!
――!?
ひとやすみ、ひとやすみ!
真の魔女はあわてないんです
――近くにあった斧を手に取り
皆さんにはなじみのない斧も……頑張ってたくさん素振りをして完璧に扱えるようになりました……
M・S! M・S!
いきます……!!
無事、ナノカの死体を解体――……!!
バラバラになったパーツを覗き窓から処刑台へ移動……!!
そして使われる……真の魔女の魔法!!
時間が戻ったかのようにバラバラになったナノカの四肢がつながっていき……
ハイ
元通り……!!
この中ならば、誰も入って見つけることはできません……
死体が見つからなければ、【魔女裁判】は始まりません!!
ゴクチョーさんが処刑ユニットを適当に選んで裁判所に死体が出て来ない限りは……です……!!
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「――それでは、投票をどうぞ」
――4度目の魔女裁判が終わり、投票によって【魔女】に選出されたのはエマだった……
「はい、処刑ボタンも皆さん押されましたね! これより、魔女の処刑を執行します~!」
――ゴクチョーの言葉を受け、恐怖で立っていられなくなったエマの体を看守が抱え、処刑台まで引きずっていく……
エマさん、ごめんなさい。
本当はエマさんがアリサさんを殺していないって知っています……でも……エマさんがいるとその推理力で私の計画がハードモードなんです。だから……ごめんなさい……
大丈夫……。エマさんの犠牲はムダにはしません。必ず、大魔女様を見つけます!!
その時はエマさんのこともいっぱいお話ししますから……
どうか……
「桜羽エマさん、桜羽エマさん……。ちょっと忘れてしまったので、この処刑台にしますか――」
事前に皆さんに合う処刑台を決めていたのに……ゴクチョーさんは気まぐれです……
でも……これで今回の計画を脅かす人はいなくなります。あとは、残った皆さんも魔女にして確認すればおしまいです。ナノカさんの死体が見つからない限りは……です!!
――ゴクチョーがボタンを押すと中央の台座が動き、処刑台が上がってくる
「ぎゃああああああっ」
「これは一体どういうことなの!?」
「あ、あ、ああああぁっ」
――少女たちの目の前に現れたのは……ナノカの死体だった。
!?
ゴクチョーさん!?
こんなこと言いたくないのですけれど私たち主従関係ですよ?
ちゃんと仕事をしてくださいよ!!
看守さんみたいに……!!
牢屋敷の管理を一部任せているんですから……エマさん用に準備していたギロチンを出してください……!!
それだったらナノカさんの死体が見つからなかったのに……
ゴクチョーさん……適当すぎ……!!
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「キミが、この事件の犯人で……そして、一連の事件の【黒幕】だ! ……氷上メルルちゃん」
「無駄な努力だったね」
「死ね」
――謎は解かれ……魔女はすべて……殺された……
――よくできましたね。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
何もない真っ暗な空間で、頭に天使の輪をつけたメルルは泣いている。その傍らにゴクチョーもいる。
「ううっ……エマさん……ひどいです……。私たち友だち……って言ったじゃないですか……ずっと、だって……。
なのに、友だちを熱々の釜の中に入れるなんて……ひどすぎます……」
「あのー……メルル様。もうカメラ回っちゃってますよ」
──お疲れさまでした……。
「はわわ……牢屋敷の【黒幕】の氷上メルルと……」
「その使い魔でゴクチョーとお呼びください」
「みなさん、紫藤アリサ殺人事件と黒部ナノカ殺人事件、いかがでしたか?」
「あの……これ……私もやらなければいけないのでしょうか?」
──敗因は何だと思いますか?
「ナノカさんの根性です……あと、ゴクチョーさんが適当に処刑台を選んだことですかね……」
「報連相をしない上司の方にも責任があると思うんですけどねぇ……」
──ナノカ。すごかったですね。
「牢屋敷の事件……ほとんどキーパーソンになってますしね……」
「彼女がいなければ魔女が勝てた未来もありえたかもしれません」
──どうすれば魔女が勝てると思いますか?
「魔女裁判は……疑わしい人が投票されます……。容疑者に仕立て上げる……それも一つの手かもしれません……」
「即死させることができなかったからダイイングメッセージとか書かれてしまいましたから、毒などで抵抗の機会を奪えば……ですかね」
――ありがとうございました。
魔女裁判はまだまだ続く
M・S