魔法少女ノ魔女裁判外伝 魔女たちの事件簿   作:ねこイヌ

7 / 9
※本作品は性質上、本編のネタバレが含まれますのでお気をつけください。


ファイル2-2  シャワールーム下だいたい15時の殺意

 やってしまった……

 

シャワールーム下だいたい15時の殺意

犯人:黒部ナノカ

 

 たまたま……

 沢渡ココに突き飛ばされた先がダストシュートで……

 

 たまたま……

 ダストシュートのフタが外れて落下して……

 

 たまたま……

 沢渡ココの声が聞こえ、運命的に手元に銃があり……撃ち殺してしまった……

 

 どんな言い訳をしたとしても、事実は何も変わらない……

 

 私が沢渡ココを殺した……

 

 魔女因子が私を生存させるためなのか、気づいたら体が自動で動いて死体を移動させていた……

 

 ただそれだけ……

 

 それが……魔女になった私の……物語……

 

 

 ◆

 

 

シャワールーム下だいたい15時の殺意……!!

 

ニッコニコのヒロちゃんと一緒に冷たいシャワーを浴びるよう誘われたエマは……

 

過去からの狙撃手(スナイパー)の罠にはまり、死体現場で銃を持っているところをヒロに見られ、沢渡ココ殺しの容疑をかけられていく……

 

はたして、ついでに有力な容疑者となったヒロはエマの化けの皮を剥がし……

 

【魔女】として処刑することができるのか……

 

お互いを犯人と考えるふたりの議論は白熱し……ついには遠野ハンナまで容疑をかけられていく……

 

 

 ◆ ◇

 

 

 今は冷静な自分でいる……

 

 あの時は、生き延びようと無我夢中で体が動いたけど……

 

 今は自分がしてしまったことに目を向けて……

 

 覚悟を決める……

 

 できることはただ一つ……

 

 誰も冤罪にならないよう、犯人は自分だと認めるだけ……

 

 大丈夫……何の問題もないわ……

 

 凶器は銃なのだから、裁判が始まったら最初に私が疑われる……

 

 その時に反論せず、罪を認める……

 

 桜羽エマも二階堂ヒロも推理力を先の裁判で示している……

 

 彼女たちなら私の自白を信じ……

 

 私だけが【魔女】として処刑される……

 

 何も問題はないわ……

 

 彼女たちがいる限りはね……!! 

 

 

 ◆ ◇ ◆

 

 

ふたたび開廷された【魔女裁判】……

 

少女たちの魔女を決める議論は白熱していく……

 

「現場で銃を手に取っていた犯人……それはエマだ」

 

「なら……ボクとしてもヒロちゃんが犯人の可能性が高いと言わざるを得ないかな」

 

 すごくダメそう……

 

 ――事件現場にいたエマとそれを目撃したヒロが、互いに相手が犯人だと言い争っている

 

 ……私……紫藤アリサの追及を肯定し……自白したわよね……?

 

「なら、私から説明させてもらおうか。エマしか犯行ができない……その理由を!」

 

「ボクだって……反論させてもらうよ!」

 

 私が言うのもなんだけど……もっと冷静に考えて……

 

 二階堂ヒロ……桜羽エマ……

 

 宝生マーゴのトリックを解いたあなたたちなら、わかるはずよ……

 

 ――ナノカの思いとは裏腹に議論は明後日の方向へ向かっていく……

 

 

 ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 ――エマを犯人と決めつけているヒロによる弁論が続く……

 

「私がシャワールームに行くとそこにはエマがいた」

 

 ――状況を報告……!! 

 

「ココの死体を探そうと廊下に出た……。中庭の前を通ってラウンジに入ったところで……後ろからエマの声がしたんだ」

 

 ――エマの元へバック……!!

 

「中庭に行くと……死体の前で拳銃を持ったエマがいた」

 

 ――ココの死体をルック……!!

 

「もしかしたら配信自体、ヒロちゃんが流した録画だったかもしれないよ」

 

「いや、あの配信はエマがしたに違いない……」

 

 ――ヒロちゃん思考をロック……!!

 

「エマ以外の犯人なんて存在しえない」

 

 ――ポンコツ具合にナノカはショック……

 

 ――ここでナノカ、ココロノイック……

 

 どうしよう 託した相手 間違えた

 

 

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 

 

ふたりのポンコツぶりに思考が止まったナノカ(真犯人)をよそに……議論が進んでいく……
 

 

死体は上から事件現場に運ばれたことになった……

 

その時、橘シェリーが閃く……!!

 

 こういうところにいる自称名探偵はポンコツが多いというけれど……

 

 彼女は前回の裁判でも議論をまとめてくれたり、議論の叩き台を作ってくれた……

 

 彼女なら……2階から投げ捨てたことに気づいてくれるはず……

 

 賭けるしかない……この自称名探偵に……!! 

 

「つまり犯人は空中を浮いてココさんの死体を運んだということですね!」

 

 ――ナノカは困惑……!!

 

「そんなことができたのは──空を飛ぶ魔法が使えるハンナさん! あなたが犯人だったんですねー!」

 

「なんですってのー」

 

 ――ハンナは驚愕……!! 

 

 ――橘シェリーは……ノードウトク……!!

 

 ――議論がすごくダンサブル!! 

 

 

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 どうも、黒部ナノカです……犯人が自白しているのに……この子たち……全然気にせず、犯人捜しを続けています……

 

 もしかして……私の自白……忘れられている……? 

 

 いや……100歩譲って、このままでは魔女として吊られてしまう桜羽エマと二階堂ヒロはいい……

 

「か弱い……? とてもか弱いとは言えない、力自慢の人がいる気がしますわ?」

 

「そうそう! 重力を無視して空を飛べる人もいますよね!」

 

 なんで、あなたたちも殴り合ってるの……? 

 

 遠野ハンナは犯人と疑われたから反論をするのはいい……

 

 橘シェリー……あなたは……なんなの!? 

 

 前回も遠野ハンナを疑ってたけど……

 

 何があなたを突き動かしているの!? 

 

 ――議論は荒れに荒れていく……

 

 なに、この裁判……

 

 全員……シャb……森でキノコでも決めてるんじゃないかしら……!? 

 

 いえ……15歳の少女が食事が美味しくないからってカラフルなキノコを拾い食いなんて……

 

 ――その時、ナノカの脳裏に浮かぶ。

 

『睡眠薬の中身を舐めてみましたけど、結構強力なお薬みたいでちょっとボーっとしちゃいました!』

 

『のあもね、さっき医務室で見つけたときに甘い匂いがしたから舐めちゃった』

 

『その通りだ。だって、どんなものか気になるだろう?』

 

 ノーフューチャー……!! 

 

 少女たちの倫理観……

 

 ノーフューチャ~~~ッ……!!  

 

 ――出席者全員クレイジーで魔女裁判をお送りしています。

 

 

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 

 

その後……

 

なぜか……議論は……ダストシュートのロープのことが出てきてから……茶番が消え……スピーディーな推理で……

 

「他者からの目撃証言がない人物……それは……ナノカ。君だ」

 

 ――!?

 

犯人が暴かれる……

 

最初から……肯定していたのに……無視されて議論されたことへの意趣返しをするも……

 

「ええ。【ココはどこだ?】だったかしら……。それに桜羽エマは【何の話?】と聞き返していたわね。これで私が医務室にいたという証明になったかしら」

 

「──すまないナノカ。そもそも医務室にいてシャワールームの音が聞こえることはないんだ。なぜならシャワールームは──部屋の外の音が聞こえないんだ!」

 

 !?

 

「私は事前に調べて、あの部屋が高い防音性を持っていると確信していた……」

 

 !!??

 

「もし聞こえていたなら……それはおかしいことだからね」

 

 ま……まさか……

 

「どうやら君は、聞こえるはずのない声を聴いていたみたいだが」

 

 偽証……!! 

 

その後のことはだいたい【幻視】の魔法で説明され……

 

 ――謎はすべて解かれ……魔女は処刑された……

 

 

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 ──お疲れさまでした。

 

 はぁ……。黒部ナノカよ……

 

『シャワールーム下だいたい15時の殺意』。いかがでしたでしょうか……? 

 

 ──敗因は何だと思いますか? 

 

 そもそも、私は初めから勝とうと思っていなかったんだけど……

 

 それより……

 

 ──それより? 

 

 最初の議論、必要だった? 

 

 ──みなさん、凄くダンサブルでしたね……。

 

 まあ、後半では冷静を取り戻せていたみたいだし、力を合わせればあなたたちにも勝てるかもしれないわ……

 

 ──そうでしょうか? 

 

 ええ。彼女たちなら……きっと……

 

 ──最後に魔女が勝つにはどうすればいいんでしょう? 

 

 ……他者の計画に乗り、捜査線上にすら上がらない人物かしら……

 

 ──ありがとうございました。

 

 

 ……

 

 ――よくできましたね。

 

 

 魔女裁判はまだまだ続く。

 




少女たちの多くは15歳だぞ……
共犯者の皆さまは腕に『コンプラ』って彫りましょう。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。