(……リムル?)
「…………」
私は岩陰に身を潜めたまま、二人の様子を見ていた。
すると――
「……ん?」
ヴェルドラがこちらへ顔を向ける。
「…………」
私は動きを止めた。
『マスター』
「……なに」
『対象がこちらを向きました』
「……見つかった?」
『その可能性が高いです』
「…………」
ヴェルドラの赤い瞳が、岩陰にいる私を捉える。
「……誰かいるな?」
「え?」
リムルもヴェルドラの視線を追う。
「……本当だ。誰かいるのか?」
「…………」
二人に見られている。
隠れている意味は、もうなかった。
私はゆっくりと岩陰から姿を現す。
「……見つかった」
『はい』
「いや、そこは否定してくれないんだ……」
『事実ですので』
「…………」
リムルがこちらを見ながら尋ねる。
「君、そこで何してたの?」
「…………」
私は少し考えてから答えた。
「……迷子」
「迷子って……ここ洞窟だぞ?」
「……うん」
ヴェルドラが笑う。
「クハハハ! 随分と面白い奴が来たではないか!」
「……そう?」
「うん。というか、お前……人間じゃないよな?」
リムルが私の角を見る。
「……サルカズ」
「サルカズ?」
「……種族」
「へぇ……聞いたことないな」
「 ウム、我も聞いたことがない種族だな。」
この世界が物語だって、この世界のことはあまり話さないようにしよう。
「……私は、この世界のことはよく知らない」
「この世界?ほかの世界から来たのか?」
リムルが少し不思議そうな顔をする。
「……うん。さっき転生したばかりだから」
「転生!?」
リムルが驚いた声を上げる。
「……うん」
「じゃあ、君も異世界から?」
「……そう」
リムルが少し考える。
「そっか……俺と同じなのか」
「お前はどうして転生したんだ?」
私はその質問に答えるかどうかをドクターに聞こうとしただけど
『マスターが自分で考えることを勧めます。』
と、言われたどうしよう?
リムル視点、、、、、、、、、、、、、、、、、、、。、、、、、。。。。。。。。。。。、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
目の前の少女が黙り込んでしまった。
「…………」
……あれ?
もしかして、このことは話したくなかったか?
「もしかして……このこと、話したくなかったか?」
聞かない方がよかったかもしれない。
転生した理由なんて、人によっては話したくないこともある。
俺だって、前の世界でどうして死んだのか、初対面の相手に詳しく話したいかと言われたら微妙だ。
「……いや」
少女が小さく首を横に振った。
「……どう答えるか、考えてただけ」
「あ、そうなの?」
「……うん」
少し安心した。
すると少女は、しばらく考えてから口を開いた。
「……前の世界で」
「うん」
「……死んだ」
「……そっか」
それ以上は聞かなかった。
ただ、それだけで十分だった。
俺も同じだ。
前の世界で死んで、気がついたらこの世界にいた。
「……俺もだよ」
「……うん」
「前の世界で刺されて死んで、それでこの世界に転生した」
少女は少しだけ俺を見る。
「……同じ」
「そうだな」
すると、ヴェルドラが口を開いた。
「ふむ! つまり貴様ら二人は、死んだ後にこの世界へやって来たということか!」
「まあ、簡単に言えばそうなるな」
「……うん」
「クハハハ! 実に面白い!」
……この竜、本当に何でも面白がるな。
少女はヴェルドラを見ながら、少しだけ首を傾げていた。
ウィシャデル欲しいな~