転生悪魔の生きる転スラ   作:禍津真宙

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ヴェルドラのセリフちょっと合わないところあるかも


封印の洞窟Ⅲ

リムル【無ずけ前】視点

 

俺は目の前の少女を見る。

 

……でも。

 

俺とこの子が、本当に同じなのかは分からない。

 

この子は「さっき転生した」と言っていた。

 

俺も転生したばかりだけど、彼女の場合は少し違う気がする。

 

角がある。

 

聞いたことのない種族。

 

そして、《戦術演算》という意思を持つようなスキル。

 

「……なんか」

 

「ん?」

 

「……俺たち、結構似てるな」

 

「…………」

 

少女は少し考えてから。

 

「……うん」

 

と、小さく頷いた。

 

「クハハハ!」

 

突然、ヴェルドラが笑い出す。

 

「何だ?」

 

「いやな! 我から見れば、お主ら二人は実に似たようなものだと思っておったのでな!」

 

「……ヴェルドラもそう思う?」

 

「うむ!」

 

ヴェルドラは楽しそうに笑う。

 

「異世界から来た、二人の珍しい転生者!」

 

「…………」

 

「…………」

 

俺と少女は、少しだけ顔を見合わせた。

 

……珍しい。

 

そう言われると、何だか変な感じだ。

 

俺はただの会社員だった。

 

この子も、普通の世界から来たらしい。

 

そんな二人が。

 

まったく知らない世界で。

 

偶然、同じ洞窟にいる。

 

「……偶然って、すごいな」

 

俺がそう呟くと。

 

少女は少しだけ考えて。

 

「……うん」

 

と答えた。

 

「ところで、ヴェルドラさんは封印された……とか言ってましたよね?」

 

「む? まあな」

 

ヴェルドラが少しだけ胸を張る。

 

「ちょびっと相手を舐めていたのは間違いないが……途中から本気を出したぞ!」

 

「それで?」

 

「負けた!」

 

「…………」

 

なぜか誇らしげに言い切った。

 

いや。

 

負けたんだよな?

 

実際、魔法ならともかく。

 

剣や槍なんて、この竜に通用するとは思えない。

 

「……相手は、そんなに強かったんですか?」

 

「うむ!」

 

ヴェルドラは即答した。

 

こんな化け物より強い存在がいるのか?

 

外の世界は、思ったより危険がいっぱいなのかもしれない。

 

「ああ。強かったぞ」

 

ヴェルドラが楽しそうに笑う。

「ああ。強かったよ。“加護”持ちで、人間の“勇者”と呼ばれる存在だ。」

 

「……勇者」

 

少女が小さく呟いた。

 

勇者。

 

色々なゲームで馴染み深い存在だ。

 

最近は、かませみたいな勇者をモチーフにした作品も多かったから、そこまで圧倒的なイメージはなかった。

 

でも、この世界では違うらしい。

 

こんな化け物みたいな竜を封印できるほど、本当に強い存在。

 

「……すごいんですね」

 

少女がヴェルドラを見る。

 

「うむ!」

 

ヴェルドラは満足そうに頷いた。

 

「我を相手にして封印まで成し遂げたのだからな!」

 

……やっぱり、負けたことを少し誇らしげに言っている気がする。

 

「そういえば」

 

ヴェルドラが、何かを思い出したように言った。

 

「その勇者は、自分のことを“召喚者”だと言っておったぞ」

 

「召喚者?」

 

俺は首を傾げる。

 

「お前と同郷かもしれぬな」

 

「え?」

 

俺は思わず少女を見る。

 

同郷?

 

つまり、日本から来たってことか?

 

「いやいや、自分と同郷なら、そんなに強いはずないですよ?」

 

俺がそう言うと、少女も少しだけ首を傾げた。

 

「……日本から?」

 

「まあ、そういうことだ」

 

「この世界に来た“異世界人”は、特殊能力を持つことが多い」

 

ヴェルドラが説明を始める。

 

「世界を渡る際、その力が魂に刻まれるのだろう」

 

……特殊能力。

 

俺の《大賢者》や《捕食者》も、そうなのか?

 

「“召喚者”ならば、ほぼ確実に特殊能力を持つ」

 

「それも、世界で唯一つの“ユニークスキル”をな」

 

「ユニークスキル……」

 

少女が小さく呟く。

 

「召喚に耐えられるほど強い魂を持つからこそ、強大な力を得るのだろう」

 

「召喚というと……魔法か何かで呼び出した、とか?」

 

「その通りだ」

 

ヴェルドラが答える。

 

「多数の魔法使いが儀式を行い、異世界から人を呼び出す」

 

「成功率は非常に低い」

 

「だが、成功すれば強力な戦力を得られる」

 

「……戦力」

 

「兵器としての役割を期待されておるのだ」

 

「……は?」

 

思わず声が出た。

 

兵器?

 

人を?

 

「召喚された者は、召喚主に逆らえぬよう、魂に呪いを刻まれることもある」

 

「なんじゃそりゃ!?」

 

「召喚される人の意思は無視かよ!?」

 

思わず声を上げる。

 

その横で。

 

「…………」

 

少女が黙った。

 

「?」

 

俺は少女を見る。

 

俯いている。

 

「……どうした?」

 

「…………」

 

返事がない。

 

一瞬だけ。

 

何かを思い出しているように見えた。

 

「……何でもない」

 

「そうか?」

 

「……うん」

 

俺は少し気になった。

 

でも、初対面の相手にこれ以上踏み込むのもよくない。

 

「人権というものか?」

 

ヴェルドラが俺の言葉を拾った。

 

「……そう」

 

「異世界人が時折口にする言葉だな」

 

「だが、この世界では幻想に近い」

 

「弱肉強食こそ、この世界の理なのだからな」

 

……なるほど。

 

どうやら、この世界で召喚されるというのは。

 

俺の元いた世界の感覚からすれば、かなり受け入れがたいものらしい。

 

「じゃあ」

 

俺は尋ねる。

 

「異世界人も、奴隷みたいな扱いを受けるんですかね?」

 

「いや、人によるな」

 

ヴェルドラは首を振った。

 

「偶然こちらへ来た異世界人なら、普通に暮らしている者もいる」

 

「冒険者になった者もいるぞ」

 

「実際、我を討伐しに来た異世界人の冒険者も何度か撃退しておる!」

 

「フハハハハ!!!」

 

「……つまり」

 

俺は少し考える。

 

「召喚された場合だけ、強制的に働かされる可能性が高いってことか」

 

「労働ではないだろうが、まあ、そんな感じじゃないか?」

 

「我は人間に詳しい方だが、全てを知っているわけではないからな」

 

「それもそうか……竜ですもんね」

 

「うむ!」

 

「…………」

 

俺がヴェルドラと話している間も。

 

少女は、時々何かを考えるように黙っていた。

 

……さっきの反応。

 

少しだけ、気になるな。




変になるヨー(どうしよ〜
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