装甲騎兵ボトムズ 惑星デゲンの奇跡   作:黒猫アプロ

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第11話 秘密

ひとまずステーション全体とAT関連の部署で分かれ、

順番に案内。

ダニエルは両方を同時並行で処理できるので、両方に現れて案内する。

 

ひとまず医療施設の方はフィアナとダニエルが担当して、

フォークト中佐を案内。

 

「・・・すごい技術だな。

 どちらの陣営も絶対に欲しがるだろう。

 秘匿しておきたいのもわかるよ」

 

“私がいた時代でも、本来、病気の克服のために考え出されたものだけど”

“いつの間にか死なない兵士を作るものに成り代わった”

“現代に至っては、それが劣化しているの”

“それが、パーフェクト・ソルジャーや強化人間”

ダニエルは悲しそうに言う。

 

“でも役に立つ場合もある。”

“フォークト中佐、その膝、治した方がいいんじゃない?”

“治療の安全と予後は保証するわ”

 

「私も保証します。」フィアナも言う。

 

「・・・AT乗りはあきらめたつもりだったが・・・

 お願いできるか。

 どのくらいの時間が必要なんだ。」

“あなたの身体から正常な細胞を少しいただいて、それを改変”

“膝に注入して定着させるのだけど、ここで必要な治療は1日で済む”

“あとは地上に戻っていただいて大丈夫。”

 

「わかった。お願いする」

 

[ATハンガー・整備場]

こちらはキリコが案内。

 

「始めに断っておくが、俺は一介のAT乗りだ。

 それほど技術に詳しいわけじゃない。

 自分が経験したことは答えられるが、それ以上はダニエルに

 直接聞いた方がいいな。」

 

主に開発者の視点からボルク少佐が尋ねる。

「わかった。

 では、知っている限りでいいが、君が使った機体について

 教えてほしい。あれは、メルキア軍の標準装備か。」

「・・・以前、似た機体があるとは聞いたが、俺が現役だった頃は

 なかった機種だ。俺が前にクエントで使ったのは、

 ワイズマンがこことは別のステーションで渡してきたものだ」

「と、すると、古代クエント由来なのは間違いないのか・・・」

「奴が言ったことが正しいならそうなるな。」

「操縦系はギルガメスの機体と共通か?」

「同じだな。やや大きいので余裕はあるが。」

「反応速度がやたら高いが、機体の性能なのか」

「・・・どうだろうな。案外自分の操縦ぶりはわからないものだ」

 

そこまで聞いてゴッペル曹長が言う。

「だったら、ミッションディスクを見せてもらえばわかるんじゃないですかい?」

「ああ、構わない。そこの装置で中身は確認できる。」

そう言ってキリコはコクピットに入り、ミッションディスクを取り出して

ゴッペルに渡す。

 

「以前、参考にバトリング用ATの機体を研究していたことがあってね。

 手に大型クローをつけたのは見たことがあるが、こっちは材料から随分上物だな」

「あぁ、そうだろうな。

 この前の連中の機体を随分脆く感じたくらいだ。」

 

端末でミッションディスクを確認していたゴッペルも唸っている。

「・・・おい、これ本当に機体のバランスとれるのか。

 こんなトルクのかけ方したら、2,3回でバランサーが狂っちまうぞ。」

「この機体なら可能だ。」

 

「ダニエルさんよ、こいつは一回、バラして中身を確認するか、

 構造図を見せてもらわないと、理解が追いつかねぇ。」

“そう。じゃ、構造図を見てみる?”

「頼まぁ」

 

構造図を見ているゴッペルが「おい・・・」「ウソだろ・・」とずっと驚愕の声を

挙げている中で、ボルク少佐は別の提案をする。

 

「我々もそれなりのAT乗りだと自覚しているのだが、

 載せてもらって構わないかね」

「・・・テストする場はないな。

 一度乗った後、シミュレーターということでどうだ。」

「わかった。」

 

ボルク少佐は、バイザーだけつけて、降着姿勢から立ち上がりまで行う。

モニタするデータの種類は普通のATと変わらない。

だが、パワーゲイン、応答速度は段違いに見える。

 

戦闘はできないので、慎重にその場から2、3歩動かし、

くるりと回ってハンガーにもどし、再び降着姿勢に。

 

「キリコ、シミュレーションは不要だ。

 ・・・・コイツが普通の機体じゃないことは十分わかった。」

「そいつに乗れそうか?」

「・・・どうだろうな。

 うちの隊だと、特殊機体のボックメッサー大尉とゼトラ大尉以外なら

 完熟訓練次第かな。」

「・・・それはすごいな。

 ムーザやバイマンのような腕利きというわけか」

「誰だ?」

「昔の仲間さ。」

 

「ボルク少佐、それじゃコイツに乗れそうなアンタに頼みがある。

 ここの工廠の場所を探ってくれないか。」

「・・・ここに工廠があるのか?」

「まだわからない。だが、この位置はフィアナがダニエルから聞き出して

 見つけた。おそらくどこかにコイツを作る装置がある。」

 

「俺もそう思うね。」ゴッペルも構造図から顔を上げていう。

「見ていて気づいたが、このクローに使っている素材は、おそらく独特なものだ。

 クエント産か、どこかの高級品だよ。」

「俺も興味があるな。協力しよう」

 

三人はミッションを終え、ひとまず必要な装備をとりにデゲンへ戻る。

帰りはキリコが上陸用舟艇を操縦。

しかし、コンテナにはいつもの3機が同乗していた。

 

客席でフォークトは「安静にして」と言われたため、ベッドに寝かせて移動。

他の2名は普通に客席。

 

「コイツはなかなか骨が折れる仕事だ。若い奴らを鍛えるにはちょうどいい」

ゴッペルは意外にご満悦だった。

ボルク少佐は今後の計画のため、手持ちのノートにいろいろと書き付けている。

 

操縦席からキリコが言う。

「まもなく到着だ。中佐の固定状態を確認したら、

 あんたらもベルトをしてくれ」

 

そこに思わぬ声がする。

“安全は大事だよぅ”

“宇宙移動でシートベルトは必須。これ大事”

“僕たちもきちんと固定しよう”

 

「おい、キリコさんよ、ありゃなんだ!」

「アルフィア、ベティア、ガンミアだ。」

「名前を聞いてるんじゃねぇ!何でATがしゃべってるんだ」

「・・・・そういう機体なんだ」

「ンなわけあるか!」

 

ゴッペルの叫びが宇宙空間に響いた気がした。




<次回予告>
バララントに見捨てられたモラニア。
しかし、強化人間部隊は撤退を拒否。
モラニアに残留。ヒュロスを征服しようと動き出す。
次回 <強襲>
白髪の魔女がヒュロスを覗う。
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