装甲騎兵ボトムズ 惑星デゲンの奇跡   作:黒猫アプロ

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金属の名前でおやっと思ったあなたは、きっと特撮好きです・・・。


第17話 宇宙軍

惑星デゲンはもともと植民惑星であった。

近隣の複数の惑星から開拓者を受け入れ、気候が安定している赤道付近から

開拓を始めている。

ヒュロスとモラニアは中心部で対面する形になっており、

農業や工業に適した土地の多いモラニアが大きく発展している。

 

こうした惑星の歴史から、惑星内部で争いがあっても、宇宙ステーションは衛星軌道上に

両国のものが並立して存在している。

 

現在、ヒュロス側のステーションでは、宇宙で活動するATの整備を

継続中である。

 

若い女性の整備兵がスコープドッグの宇宙用整備を調整している。

慎重でかつ大胆に、手際よく作業は進んでいる。

バーニア装備の背面パネルをボルト止めして作業は終了。

そこに呼び出しがかかる。

“ルッカ曹長、至急ステーション管制室まで。”

 

(あれ~、何かやっちゃったかな・・・)

慌てて、整備室から“飛び上がって”管制室へ向かう。

しかしその懸念はよい方向で裏切られた。

 

「ルッカ曹長、転属辞令が出ている。

 ・・・いや、転属なのか?」

ステーション長も怪訝な顔。

 

手渡された辞令は以下の通り。

“ヒュロス宇宙軍 整備兵長 カリン=ルッカ曹長

”第501AT実験旅団整備兵との兼務を命ずる“

 

「兼務とのことですが、私はどうしたらよろしいでしょうか。」

「・・・指示によると、まず、旅団本部に出頭するようにとのことだ。

「・・・承知しました」

敬礼して退出しようとすると、

「次の定期便は1500だ。

 身の回りの荷物だけもって移動したまえ。

 何、緊張しなくてもよい。君の古巣、コマンド・フォークトなのだから」

 

地表に到着すると、そこにはフォークト中佐とゼトラ大尉が待っていた。

「カリン=ルッカ曹長、ただいま着任いたしました」

降りるやいなや敬礼して挨拶。

 

が、フォークトは答礼した後、

「ご苦労。では早速、任務だ。

 ゼトラ大尉とともに、シャトルへ乗り、任地に向かってくれたまえ。

 ・・・健闘を祈る。」

フォークトが微笑んでいたので、悪い場所ではないのだろう。

だが、横にいるゼトラ大尉は緊張気味。

 

乗ってきたものと別のシャトルで「任地」に向かう。

「あの・・ゼトラ大尉、任地ってどこなんです・・・?」

「機密事項になっている。すまん。」

(えぇぇ・・・、なんかまずいことになってない?)

内心でルッカは動揺するが、どうせやる仕事は変わらないだろう。

そう思うと、妙に安心し、疲れているのか寝てしまった。

 

ダニエルの宇宙ステーション

 

シャトル、実はダニエルの宇宙ステーションで発見された2機目の

上陸用舟艇は衛星軌道を脱出後、短期ワープ。

ステーションに到着。

 

“到着だよぅ”

モニタに映るアルフィアは、まさにAT。

ライト級ATを見たことがないゼトラ大尉は驚く。

そして、隣で安心して寝ていたルッカを起こす。

「・・・あ、すみません。

 完全に寝落ちしていました・・・。」

「・・・到着だ。出るぞ。」

 

ハッチの外では、エア・シャワー/光消毒/手指消毒と靴の底の洗浄と

徹底的に衛生管理され、ようやく内部への移動を許可される。

 

内部はステーションの数十倍は広い格納庫+ATハンガー。

入口にはボルク少佐とゴッペル曹長が待っていた。

 

「兵長!ここは何ですか?」

早速ゴッペル曹長にもの問いたげなルッカ。

「・・・・いろいろあるんだが、とりあえずは学んでほしいヤツとして

 お前さんを呼んでもらったんだ。

 ここの装置や技術を学べ。

 それから、『宇宙用』の装備やATについて、俺と一緒に整備してほしい。

 これは宇宙軍の仕事でもあるんで、お前さんは今の所属のまんまだ。」

「はい。・・・・ありがとうございます。

 ところで、ここ、どこなんですか?」

 

“ようこそ。ゼトラ大尉、ルッカ曹長”

 ゴッペルとしゃべっていたルッカの真後ろにダニエルの立体像が現れる。

 雰囲気を感じて、「!!」となるルッカ。

 

「ダニエルさんよぅ。普通の娘にゃ心臓に悪い出方だぜ。」

“あぁ、ごめんなさい。ちょっと位置がずれちゃった”

今度はゴッペルから少し後ろに出現。

 

「すごい技術ですね!」案外にこにこして受け入れているルッカ。

“そ、そう?”

「これだと、ATについてもすごいことをご存知なんでしょう?」

苦笑いするゴッペルとダニエル。

“え~っと、私も知らないことがあるから、手伝ってくれると嬉しいかなぁ”

「よろこんで!」

意外に相性がいい人選だったようだ。

 

「ボルク少佐、自分はなぜこちらに呼ばれたので?」

「半分はルッカ君の護衛、もう半分はシミュレーションデータの入手とテストだね」

ボルクはそう言うと、端末を操作

しばらくすると、奥の扉がスライドし、ATとATが操作できる

大きな銃座のような設備が登場した。

 

「このステーションでも防衛が必要なのでね。」

「・・・おもしろいおもちゃですね。AT乗りならみな、興味をもつでしょう」

機体は地上から運ばせたゼトラ大尉の機体と同じ仕様になっている。

 

「データはどこから入手できるのですか」

「このステーションの観測データとリンクしている。

 機械の上では正しいデータなんだが、長遠距離精密狙撃ができる、

 大尉の直感でズレがあったら教えてほしい。」

「わかりました。」

 

さらに別のAT整備区画。

ようやくここの装置や機械に慣れ始めたキリコ。

フィアナを助手として整備・機体の組み替えを検討中だった。

 

“この大きな子は、あなたが昔戦った、イプシロンの機体をベースにしている。”

“その時、あの組織がつけていた名称は『ストライクドッグ』”

“エンジンやマッスルシリンダー、ポリマーリンゲル系は同じで互換性があるの。”

ダニエルはそう言うと、2体を左右に並べて共通部分に色をつけて表示する。

 

「それはいいのだが、交換用のパーツがここにあるのか?」

“あるものと無いものがある。”

“無いものも材料さえあれば作ることは可能・・・みたい”

曖昧な表現だが、キリコは最早割り切っているのでコメントしない。

「ねぇ、ダニエル、もし、材料が必要となったら、どこから入手したらいいの?」

“そうねぇ・・・このペダニウムっていうのは、

近隣の未開惑星の表面に出ている岩石に含まれているわね。”

“それから、このチルソナイトっていうのは・・・”

“あぁ、これは無意味ね。ステルス性能はあるけど。”

“それから・・・”

ダニエルは何かの大きな辞典をめくるような仕草でしばらく黙り込む。

“ダイモード鉱石・・・エネルギー源としてはいいかも。”

 

「鉱石の採掘はATを使えば可能か?」

“ペダニウムがある惑星・・・仮にペダン星とするけど”

“今のところ住民はいないみたい”

“鉱石も惑星の表面にあるわね”

“たぶん大丈夫じゃないかしら”

 

「必要になったら採取に行くか。

 フォークト中佐が持ち込んだ現地の鉱石でも今のところ、

 ギルガメス製のATと同等のことはできそうだからな。」

 

再びキリコが画面を眺めていると、

- ストライクドッグ標準脚部ユニット

- 宇宙戦用バックパック

については、現存部品が1点残っており、現状の機体との組み替えで

宇宙戦カスタムは可能とわかった。

 

“当面はこの組みあわせの機体で試してみて”

“素材もそのうち探検隊でも出すわ”

早速、宇宙用機体への換装が始まった。

 

「なぁ、ダニエル」

“何、キリコ”

「このステーションが襲われる危険があるのか」

“今のところないけど、いい加減、ギルガメス陣営もバララント陣営も気づくでしょ”

“何か異常な事態が起きているって”

“その時に余計な下心をもった連中が大挙して押し寄せるとやっかいね”

“そういう意味では、防衛に手は抜けないわね”

「そうか。その時は戦うしかないな」

 

 

ステーション近隣の宙域

 

ギルガメス陣営の戦艦と巡洋艦が数隻、惑星間航行中である。

その時、センサはかすかな揺れを捉えた。

 

「艦長、近隣に何か大型の構造物があるようです」

「何かとは。具体的に述べよ」

「はい、衛星規模の金属塊か、それに類する物がセンサにかかっています」

「よし。AT隊を準備せよ。なんらかの資源なら入手しておきたいところだ」

「・・・しかしここは不可侵宙域ですが・・・。」

艦長はニヤリと微笑む。

「センサの不具合でわからなかった。それでどうだ。」

「! はっ!!」

「・・・これでバッテンタイン閣下によいみやげができよう・・・。」

 




<次回予告>
ステーションに迫るギルガメス軍
全宇宙を我が物に。暗く淀んだ野望。
触れてはならぬ。それは「神と称せし者」さえ滅したモノ
次回 <幻影>
過去の幻影がキリコを襲う。
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