装甲騎兵ボトムズ 惑星デゲンの奇跡   作:黒猫アプロ

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治療は上手くいったのか・・・


第20話 再生

早いものでフィアナの治療から6ヶ月経過した。

目的の定着酵素はその性能を遺憾なく発揮し、フィアナの健康状態に問題は見られない。

 

“フィアナ、明日1日、時間をとれない?”

“検査して治療効果を確かめたいの”

 

「えぇ、いいわよ」

「・・・どんな検査なんだ」とキリコ。

 

“心配しなくてもいいわよ。”

“血液検査と画像診断。その他問診ね。”

“あ、それから体力測定もしたいわね”

 

「・・・このラボにそんな場所があったか?」

“なければ作るけど?”

 

キリコは自分のことだと危険に無頓着だが、フィアナが対象の場合は

異様に敏感になってしまう。

 

“あとね。気持ちはわかるけど、検査はフィアナ一人ね。”

“キリコはいつもの作業を進めて頂戴”

「・・・心配だな」

“女性の検査に男性は同席できないの!”

「キリコ、大丈夫だから。ね?」

 

フィアナに諭される始末である。

 

翌日、フィアナはダニエルとマンツーマンで健康診断的な確認を行う。

 

(血液検査結果・・・異常なし。健康体と判断)

(血液の遺伝子:当初組み替え通り定着。)

 

(全体立体スキャン画像:当初あった不要な臓器は消滅。)

(これで完全に人間体と言える)

 

(後は情緒かしら)

 

 

後半は検査というより、普通に会話して反応を見るだけの検査。

“そういえば治療して以来、ちゃんと睡眠時間をとってる?”

「えぇ、そういえばこんなに長い時間寝ていたことはなかったわね。」

(PSは兵器扱いだから、あまり眠らなくてもいいようになっていた。

 でも、今はそういう身体じゃないから、これでいい。)

 

“食べ物の味はわかるかしら”

こればかりは困ったらしい。

「えーっと・・・。もともと食べていたものがレーションだから・・・。」

“あ、ごめんなさい。比較できないわよね・・・・”

「でも、キリコが奪ってきた代替コーヒーがひどい味なのはわかったわ」

“うん。それは私でもわかるかも”

 

情緒は正常なようであった。

もともとフィアナは落ち着いた女性で、キリコといる限り、安定しているし、

軍人がどういうものか理解しているので、そういう点では普通ではない。

 

“よし。半年で特に異常は見つかっていないわ。”

“後は運動能力を確認させて”

 

まず「走る」能力。

短距離走は単純にラボの端から端まで。

およそ100mあるが、あっという間に駆け抜けた。

(あれ?特に強化なんかしてないけど・・・)

“フィアナ、軽くでいいわよ?”

「大丈夫、全力じゃないわ」

・・・なんどやっても10秒ジャスト近辺である。

 

次、長距離走。

“息が苦しくなったらそこで終了ね。”

“モニタしているから、無理しないでね”

・・・

これも無理していないのだが、大体10km、全力で走っても

息があがらない。

(えーっと、やっちゃったかな・・・)

 

最後は壁のぼり。

宇宙空間なので、必要に応じて無重力にできるので、特に命綱はなし。

・・・これも難なくこなしている。

(・・・これは・・・)

立体映像のダニエルは少し青くなって、頭を抱え始めた。

 

“ど、どうしよ・・・キリコに怒られる!!”

「どうしたの?」フィアナの方が驚いている。

“えーっと実はね・・・・”

 

しばらく無音になっている。

どうやらフィアナがダニエルをなだめているようだ。

 

1日かけて検査が終わった。

キリコがダニエルに問う。

「それでどうだったんだ?」

“・・・問題なしよ”

妙によそよそしいダニエルをみてキリコが明らかに疑っている。

「・・・本当か?フィアナ」

フィアナは特に表情を変えていない。

「えぇ、本当よ。問題ないわ。むしろこれでよかったのよ」

キリコが目線で続きを促す。

「本来、ダニエルは、私を普通の人間にもどそうとしたの。

 だけど、材料がキリコの細胞だったから、その因子が強く生きて、

 大体、あなたと同じ身体能力と寿命になったみたい。」

“じゅ、寿命は想定通りなの!だけど身体能力がここまでになるとは”

“正直、わからなかったわ”

それまでフィアナの後ろに隠れていたダニエルは

“ご、ごめんなさい。ウソついて。”

 

キリコも無表情。

「別に怒っていないから安心しろ。

 俺も、ずっと、フィアナと生きていたいと思っていた。

 それで何も問題ない。

 ありがとう。ダニエル」

“そ、そう。よかったぁ~”

立体映像がへなへなと崩れ落ちる。

 

フィアナも改めていう。

「私からもありがとう。

 (約束は守るわね)」

 

後の一言は、小声で、キリコには聞こえなかった。




<次回予告>

惑星デゲン。古代からの植民惑星。
ヒュロスとモラニアの抗争の第二ステージは開拓競争
新たなる乳と蜜の流れる土地を得るのはどちらの国か
次回 <開拓者>
この戦争に都合のよいデウスエクスマキナは存在しない。
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