マーティアルが動いたというニュースは、ギルガメス/バララントの両陣営で
把握された。
そして、これに伴って職を得ようとする者、よい商売の種としようとする者、
様々な者が動き出した。
そしてこのニュースはヒュロスを通じてダニエルたちにも届けられている。
“マーティアル、ねぇ・・・・”
“正直、そんなに脅威なの?”
「彼らはギルガメスとバララントの両方の『上に立つ』存在ということに
なっていますからね。
ただ、クエントが崩壊した今では、それほどの脅威ではないでしょう。」
新型AT開発と調整に専心しているボルグ少佐が言う。
「ただ、そうは言っても、彼らは権威ではある。
戦争をするなら、少なくとも物資については、両軍から補充があるとみて
間違いないんじゃないかしら」とフィアナ。
「全部がこのステーションに向けられるなら、以前と同じだが・・・
そうじゃないわけか。」とキリコ。
<あぁ。その通りだ。>亜空間通信でフォークトが答える。
<キリコが我々についてくれた反動で、マーティアルはモラニア側へ
つくしかなくなったわけだ。>
「つまり、ヒュロスが迷惑を被ったわけか。
すまない。」
キリコが頭を下げる。
<気にするな。キリコが加勢してくれなかったら、我々はとっくに滅亡していたよ>
「極地圏での戦いは膠着状態だが、赤道戦線は我々が優勢だ。」
「それに、あんたらが協力してくれなかったら、こんなご大層なATは
できなかったんだぜ? 胸を張りな。」とゴッペル曹長。
彼の後ろには、アルフィアたち3機と同じライト級ATがあり、
さらにはレーン大尉に渡したトータス級の最先端型「メタルバック」の2号機が
鎮座していた。
「いずれにせよ、デゲンとステーションの2方面で同時に戦う必要があるな。」
「ATと防衛装置はどうにかできると思うけど・・・・人が足りないわね」
“いっそ人を募集しましょうか”
「おもしろいが、どうやって」
“そこはフォークト総監のお知恵拝借というところだけど・・・”
<うまくいきそうなら、是非やってみてくれ。>
惑星内の紛争については、百年戦争で人が死にすぎた弊害から、
紛争の当事者はあちこちに傭兵の募集を出している。
今回もこれを利用して、腕利きのAT乗りを集めようとしていた。
“戦争再開が近いという話があるみたいなので、”
“バトリングに出ている有名選手には個別に声がかかっているみたいね。”
「まぁ、そうだろうな。
俺がウドの街から食い扶持を求めて結局、クメンに流れ着いたような
ものだろう」
「ステーションとヒュロス軍とはどうやって区分するの?」
“たぶん、今回も艦隊戦を挑んでくると思うけど”
“そっちはあまり人数はいらない。”
“問題はヒュロス軍の方だと思うわ”
「あとは集まるヤツの質次第だな」
1ヶ月後、かなりの人数が集まった。
目立つところでは
- もとギルガメス軍のAT乗りを中心として、多数のバトリング選手を
束ねているマッチメーカーがまるごと参加を希望。
- クエント人傭兵が数名
- 元レッドショルダーという触れ込みで、試作ATであるブラッドサッカーを
操る傭兵
変わったところでは、
- 機甲猟兵と流れ者のカードディーラー
という組み合わせ。
ちなみに、カードディーラーの方は、マネージャーと称しているが
見た目は若い夫婦にしか見えない。
(審査はフォークト総監のチームが行ったのだが、面接でのやりとりを見ていた
若手の女性整備士や軍医から黄色い声が上がっていたらしい)
そのうち、クエント人傭兵の一人が、是非ともキリコに会いたいという。
ステーションで待機していたキリコとフィアナの前に現れたのは
ル・シャッコだった。
<次回予告>
思わぬ旧友との再会。
苦楽をともにした仲間がいれば、新たなる苦難も克服できる。
それぞれの事情で集った人々が意外な事柄で結びつく。
次回 <共通目的>
キリコとヒュロス軍は人工の戦天使を打ち負かすことができるか。