設定です。
ダニエルでも治せるかは・・・・。
ヒュロスの首都を陥落させようとした部隊は、都市の内部、あるいは都市のごく近郊に
到達させる目論見であったが、宇宙から侵入できた部隊が到達したのは、首都防衛線の
遙か東、あるいは遙か北東で、距離としては100kmを超えていた。
マーティアル軍は、大気圏突入時の気流の影響程度に甘く考えていたが、
これこそが偽情報による誘導であった。
主力となっているうちの一つ、ギルガメスFS部隊はコア戦力のAT隊を2分割した。
「ホワイトバイザー」を北部から、
「トライアルゴリラ」を東部の廃墟都市群を経由して進めようとしている。
「ホワイトバイザー」には随伴機を5機ほどつけていた。
まず迎え撃つのは、フォークト隊のボルク少佐である。
「各員、コアとなっているホワイトバイザーは捨て置いてよい。
我々は随伴している機体を足止め、可能ならここで撃破する。」
普段ステーション詰めで、あまりATに登場しないボルク少佐は、
フォークト隊での専用スコープドッグではない。
レーン大尉の「メタルバック」、その2号機である。
ただし、レーン機と異なり、荒地走破性を高めるため、かかと部分は無限軌道を採用。
さらに左腕にはパイルバンカー、右手の武装はラビドリードック(改)の標準装備、
小型ソリッドシューターである。
後続機はトータスMk.Ⅲ。今回はどの機体も遠距離射撃に特化した機体である。
後続機は適宜遮蔽物を探し、敵随伴機のブラッドサッカーへ誘導ミサイル、
大型ソリッドシューターで前進を阻むように攻撃している。
敵側はなんらかの系統立った命令があるのか、
あまり反撃せず、前進と護衛を優先している。
(不気味な連中だな・・・だが、数は減らす!)
ボルク少佐が躍り出て、敵5番機の脚部を破損。
倒れたところを左手のパイルバンカーでコクピットを破壊。
続いて3番機が腰部にソリッドシューターをくらい、ポリマーリンゲル液に引火。
爆散する。
(あと3機!)
先頭のホワイトバイザーは妨害がないことから、どんどん護衛を置き去って
先に進んでいく。
すると突然、残り3機のうち、1機が停止。
護衛機に追従しようとする残る2機を狙撃。
恐ろしいほどの腕前で、両方ともバックパックのポリマーリンゲル系に引火。
2機を爆散させる。
その機体はおもむろにこちらに向くと、
武器を捨て、まるで人間のように、両手を挙げる。
「降参だ。投降する」
驚いたボルク少佐だが、武器の射撃レーザー照準をあてて
ハッチを開けるよう求める。
中のパイロットも言う。
「ボルト・クライス。ギルガメス軍メルキア方面軍特殊任務班X-1に所属していて
今は傭兵だ。」
通称レッドショルダーのAT乗りだった。
ホワイトバイザーはひたすら、指示通りに進んでいる。
次第に都市の建物群が近づいているのがわかるが、その行き先に
赤い異形のドック系ATが立ち塞がる。
アズライト・フィクスが各種バトリングで用いる「ライトニングドック」であった。
ホワイトバイザーは前方のATをただの障害物であるかのように、
有無を言わさず射撃を開始。
ライトニングドックもブラッティライフル改で応射。
だが、機体の性能か、パイロットの腕か、際どい弾も全て回避される。
アズライトもホワイトバイザーの正確な射撃を回避。
接近戦を挑もうと肉薄する。
だが、ホワイトバイザーはライトニングドックのジャイアントクローの範囲外に逃れ、
射撃で牽制。
ライトニングドックの動きが一瞬止まったところで、肉薄。
左腕装備のダブルパイルバンカーでコクピットを狙う。
刹那、ATの半身をひねったため、外装の一部が剥がれるが
危ういところを逃れる。
ライトニングドックは急速後退。
しかし、ホワイトバイザーを見据えて、ターレットレンズから信号を送る。
瞬時だけ、ホワイトバイザーは足を止めるが、すぐに復帰。
再び猛射を加える。
(このままではこちらが潰される・・・)
アズライトはパイロットがティア・ハミルトンであることに賭けているが、
どうにも意思疎通ができていない。
<アズライト、聞こえるか>
ATの整備を引き受けているタネン・ボッタからだ。
「聞こえている。・・が手短に頼むよ。」
<護衛機はヒュロス軍が片付けた。その中の一人だけ、こちらに寝返って
重要な情報を伝えてきた>
通信の間もホワイトバイザーの攻撃は止まない。
<やはり、あのホワイトバイザーのパイロットは、ティアだ。
ただ、今はナーヴコネクタの影響で通信には反応しない>
「そのようだな!」
ライトニングドックが回避一方と見るや、ホワイトバイザーは再度接近。
しかし、アズライトはうまく立ち回り、ダブルパイルバンカーのムダ打ちをさせる。
<友軍がナーヴコネクタの信号を一瞬だけ止めることができると連絡がきた。
その一瞬にかけて、ティアをコクピットから放り出すんだ!>
「簡単に言ってくれるよ・・・」
しかし、次の瞬間、多数打ち上げられた照明弾のように、周囲が急激に明るくなる。
と、同時に、通信全体に障害。
その瞬間、ホワイトバイザーは急停止し、身動きが取れなくなっている。
「今だ!」
ライトニングドックは急加速し、ジャイアントクローでコクピットハッチをこじ開ける。
アズライトもハッチを開けて、相手のコクピットまで跳躍。
ヘルメットと機体をつなぐラインを全て抜き去る。
そのまま、ティアを抱え上げ、ハッチを開けたまま、ライトニングドックは
急速後退。
それから間もなく、ホワイトバイザーはコクピットから火花を出し、
制御系が壊れたか、機体は立っていることができず、崩れ落ちた。
北部戦線は敵の中核となるAT全機が破壊、あるいは停止することで
決着を見た。
<次回予告>
操り人形だった戦乙女は糸を絶たれ、解放された。
しかし荒野に吹きすさぶ青い暴風は未だ止まない。
その時、遍歴の戦士が現れ、知恵をもって状況を覆す。
次回 <機甲猟兵>
荒地におけるジャイアントキリングを刮目して見よ!