装甲騎兵ボトムズ 惑星デゲンの奇跡   作:黒猫アプロ

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前にも書きましたが、ここでの科学は現実とは一致しません・・・。
この作品世界のご都合主義です。


第4話 治療

フィアナのカプセルは蓋を閉じられ、各種のモニタリングを行うセンサや

コード類があちこちに突き出している。

まるで厳重にコーティングされた蝶のさなぎのような状態だ。

 

その横でキリコは血液を採取される。

こちらは目を閉じ、無言。

 

ダニエルは立体映像を消して作業にかかる。

 

(フィアナは現段階で安定化させないといけない。)

(同時並行で、切り札を作らないと・・・)

 

キリコから抽出された血液は、彼らがいるフロアの下にある大型プラントで

分離・処理される。

 

(遺伝子の抽出・・・確認・・・間違いない。これ、私の作業・・・)

(・・・思い出した。この遺伝子、すごい数の試行錯誤の成果。)

(・・実は万能の遺伝子。増殖能力も高い)

 

ダニエルはプラントに指示し、フィアナに投与する細胞群を製作する。

 

(そしてフィアナの血液・・・この遺伝子・・・こっちも知っている。)

(これ、事実上、キリコの女性版・・・なんでわざわざデチューンしたのかしら)

(ともかくも、この2つの細胞の相性はいいはず。)

(まずはテスト)

 

プラントの端の方、得られたキリコからの抽出物と、フィアナの細胞を比較。

細胞の性質を改変する実験を開始。

(遺伝子注入・・・生体反応促進・・・細胞改変完了、結果は・・・)

(問題なし。やっぱり、行ける!)

 

ダニエルがシステム内で、半ば自問自答しながら作業を進める。

上のフロアでは、キリコが目を覚ます。

 

「ダニエル、どうなんだ」

“作業の進行という点なら順調よ。フィアナへの治療開始はもう少し待って頂戴”

 

キリコは2L近く血液を採られたはずなのだが、しばらく経つと平然としている。

いつものAT搭乗用スーツでなく、ごく薄い貫頭衣のようなものをまとっている。

 

プラント内での作業が完了する。

“キリコ、ここからあなたの出番よ”

 

「何をすればいい。」

 

“これからの治療中、フィアナの支えになって頂戴。”

“具体的には、治療薬を注入している間、フィアナの手を握っていて”

“この治療の成否は、フィアナが「生きよう」とする意思に依存するの”

 

「わかった」

 

薬液の注入と体内からの不要物排出プロセスが始まる。

相性がよいとは言え、他人由来の生体物質。

拒否反応が始まるのは怖い。

 

カプセルから解放されたフィアナの左手をキリコが両手でしっかり握る。

始めはやや冷たかったフィアナの手は、握っている間にどんどん人肌の温度に近づく。

しかし、それ以上は上がらず、安定している。

 

フィアナの顔も平穏そのもので、苦しそうではない。

 

そのまま数時間が経過。

“キリコ、峠は越えたみたい。”

「そうか」

短く一言。しかし、手はずっと離さない。

 

ダニエルも注意深くモニタリングしながらフィアナを観察。

 

ほぼ24時間経過後、治療は終了した。

 

“キリコ。間もなくフィアナが目覚める。声をかけてあげて。”

 

「フィアナ。大丈夫か」

「・・・キリコ。」

万感を込めて二人は抱き合う。

 

「ダニエル。感謝する.治療は成功したようだ。」

“よかった。本当に、よかった。”

 




<次回予告>
愛の奇跡か、超古代テクノロジーの成果か。
フィアナは蘇った。
戦争の申し子たちの新たな物語が始まる。
次回「惑星デゲン」
触れ得ざるものは、この世界に何をもたらすのか。
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