Kindleでも読める小説が2巻でているので、興味のある方は読んでみてくださいね。
(紙媒体の方は最近みかけないですね・・・)
銀河を二分した、いわゆる百年戦争は、ギルガメスとバララントの間にある宇宙全てを巻き込んで未だに継続中である。
その中で、惑星デゲンは、主要国家がバララント寄りの思想で運営されていたため、
惑星の植民可能区域の2/3を瞬く間に制圧。
全体主義に反対する者は自然とギルガメスの協力を得ることになり、抵抗している。
しかし、どうしても数の力には及ばない。
次第にギルガメス側は圧倒され、現在は半島国家ヒュロスの一部に押し込められている。
バララント側はその周囲のモラニアに進駐。
惑星の完全制圧を狙っていた。
【ヒュロス共和国 首都ブラヴェ】
もはや数少なくなった、主力ATのスコープドックが10機ほど、
工廠の中で整備されている。
そこにあちこちに傷を受けたカスタムタイプのスコープドッグが
ローラーダッシュで駆け込んでくる。
そのATは入口で急制動をかけると、専用ハンガーまではゆっくりと歩いて
向かってくる。
ハンガーの前でハッチを開け、ヘルメットを取る。
ハンガーの前では整備兵長が仁王立ち。
「おい、ギグ、『傷一つつけない』って言ってたよな?」
「・・・そうだったか?」
同じく腕組みしてこちらをにらんでいる女性整備兵
「確かに言ってたわ!」
整備兵長は太いため息
「・・・まぁ、大切な兵がみな無事で帰ってきたからいいが。
お前が無事でよかったよ。」
ギグことルート・レーン大尉。
AT乗りの中で、100機以上撃破した実績のあるものが名乗れる「エース」。
その中の一人で、最も若い大尉。
ヒュロス共和国のエースを選抜した部隊、「コマンド・フォークト」の一員である。
「言いたいことはわかるが、この機体の腕も足も大きな損傷はない。
最低限、弾薬さえ用意してくれれば、まだ戦える。」
整備兵長は仏頂面。
「・・・その件は隊長とよく話してくれ。」
工廠の奥にある小さなスペース
AT指揮所兼ATパイロット待機所兼個室がある。
そこの小さなデスクの後ろに杖をついた男が佇んでいる。
「隊長。帰還しました。
北部の拠点にいた狙撃兵部隊も回収済みです。」
「ご苦労だった。
暫時休みたまえ。」
レーン大尉はその場から動かない。
「隊長、この戦いはもう、敗北なのでしょうか。」
「・・・・そうだな。数に抗するのは難しい。援軍もない。
極めて厳しい状況だろう。
予定通り、君らは友好関係のある他の惑星か、ギルガメス軍へ
移籍してもらう。
後は私の仕事だ。」
フォークト中佐は悲しげな顔で笑う。
「君らは私が信頼し、任せることができる軍人たちだ。
どうかその誇りを胸に、生き抜いてほしい。
・・・私の家族も頼んだぞ。」
信頼する隊長、優れた仲間達、優秀な整備兵。
レーン大尉はこの環境を愛していた。
せめてもう少しでも、この状況を押し返すことができたら!
そう思いつつ、退室しようとしたところで、
ゼトラ大尉が飛び込んできた。
「・・・どうした?大尉。」
「隊長、驚かないで聞いてください。
我が軍北側のモラニア部隊が、なんらかの原因で壊滅したようです。」
「・・・衛星画像は?」
ゼトラ大尉は指揮官卓のスイッチを操作する。
そこにあるのは、50機にも達しようかという陸戦型ファッティーとチャビィー、
赤い指揮官機のチャビィーが、一方的に嬲られたかのように、
壊滅している様子が映し出されていた。
<次回予告>
そこに現れたのは青紫色の暴風。
奔る、撃つ、破壊する。
圧倒的な暴威に恐れ戦け!
次回「思惑」
惑星クエントの修羅が再来する。