装甲騎兵ボトムズ 惑星デゲンの奇跡   作:黒猫アプロ

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ダニエルがペンギン帽をかぶって叫ぶわけではありません・・・・。


第8話 生存戦略

惑星デゲンから目的の植物を持ち帰ったキリコ一行。

帰路、モラニアから邪魔が入るかと思われたが、あっさりと衛星軌道へ離脱。

さらにはそこからステーションへ帰還した。

 

ATハンガーにはフィアナが待ち構えていた。

「キリコ。あんなに無茶して・・・」非難がましい目つき。

「・・・まぁ、大したことはない。5分で片付けただろう。」

 

“キリコなら当然よね!”とダニエル。

 

それを機に、キリコはガンミアを呼び寄せる。

「もってきた植物はこれだ。妨害が入ったので、今日はこれだけだが。」

 

ガンミアはマニュピレータでサンプルが入ったケースを運ぶ。

そのままダニエルが指定した機械の上にケースを移動。

 

立体映像のダニエルは機械を操作しつつ、結果をモニタ。

“・・・目的の植物は確かにこれ。”

“だけど、これはサンプルにはいいけど、肝心のモノを作るには足りない。”

 

「今回はサンプル程度だったからいいが、量をとるには、邪魔されないように

 しないとな。場合によっては、採取に協力してもらうか、取引した方が

 いいんじゃないか」

“そうね。いちいち戦闘していたのでは無理そうね。”

「今回の敵はモラニア側だったな。

 ヒュロスに声をかけてみるか。」

“その方がよさそうだけど・・・たぶん、向こうがこっちに興味をもつと

 思うわよ”

「どうだろうな。こっちはお尋ね者だぞ。」

“困っているなら、あまりそれは関係ないかもよ。”

 

「ところで、ダニエル、食料や水はあるのかしら」

“・・・じつはヒト用だと足りないかも。

 マウス程度ならなんとかなるけど。

 日頃は遺伝子と受精卵でしか用意していないので

 あまり人間のことは考えていなかったわ”

 

それを聞いたフィアナは端末に向かい、関連データを出す。

「・・・水は合成のようだけど、それなりにありそうね。

 ただ、食料はこころもとないみたい。」

「それじゃ交渉条件に食料を入れないといけないな。」

 

“その他に部品もいるよぅ”アルフィア。

“サンプルを維持するための土壌も必要。”ベティア

“・・・できれば人もほしい”とガンミア

 

「人?」

「せっかく整備工場やAT工場があるなら稼働させるべきね。」とフィアナ

「どんなのがいいんだ?」

“機械に詳しい人。生物や医学以外の分野がいいわ。”

 

以前のワイズマンは全知全能という感じだったが、

こちらは知識に多少抜けがあるものの、随分人間っぽい。

案外、交渉もうまくいくかもしれないとキリコは考えていた。

 

 

同時刻 惑星デゲン衛星軌道上のバララント駐留艦隊

 

バララント本星から派遣されている駐留艦隊。

デゲンには希少鉱物があることから、攻略には本腰をいれており、

巡洋艦隊からなる大規模な艦隊と、バララント製PSともいう強化人間を

投入。これをモラニアの戦場で実地試験することまで含め、

かなりの兵力を投入している。

 

指揮官も本星の参謀本部から派遣されているドミンゲス少将。

クエント事変では別の星系にいたため、事情は知りつつ、生き延びた人物である。

 

「・・・強化人間率いる部隊が5分で全滅だと?」

「はっ!事実であります。」

報告した士官は、ヒュロス側の衛星とは別視点から撮影した映像を表示。

 

「・・・・!これは!」

「いかがされましたか?」旗艦の艦長が顔色を窺う。

 

「現地派遣のサポー大佐を呼び出せ」

すぐに回線はモラニアに隣接したバララントの派遣部隊に繋がる。

「閣下。お呼びでしょうか。」

「例の映像は見たか。」

「はい。至急対策が必要ですな。このままではモラニアの勝利も危うい。

 是非、本国に援軍を求めたいところです。」

ある程度勝ちが見えた状態であり、参謀本部に「後一押し」させて、手柄を挙げさせ、

出世の糸口を作る。それが彼の狙いだった。が・・・

「いや、その必要はない。絶対に【あのATとあの部隊】には触れるな。

 これは本星も同様の認識だ。」

「本気でありますか!!」

「ああ、本気だとも。・・・・あぁ、貴官は『クエント事変』は知らんのだったな。

 では、このレポートを参照したまえ。」

ドミンゲスから暗号文書が送付される。

慌てて一読するサポー。

 

「・・・命令受領いたしました。

 しかして、モラニアにはどう伝えましょうや。」

「奴らは知らんでよいことだ。

 『本方面は安定した戦線であり、本星の支援は不要となった』とでも

 伝えておけばよい。」

「・・・強化人間どもが反抗するのでは」

「かまわん。どうしても抗命するなら、モラニアに放置してよい。

 何、あの程度なら脳改造とサイボーグ技術で作っても大差ない。」

「拝承しました。」

 

この方針は直ちにモラニアへ伝達された。

 

モラニアの指導者、クフォルツォは報告は受け入れたものの、

全面撤退には異を唱えた。

「あと一押しでヒュロスを完全制圧可能なのです。どうか、もうしばらくご支援を!」

「大統領、残念だが・・・」

「強化部隊の士気も高い!せめて彼らは残していただけませんか」

「・・・・もし、貴殿らが彼らを説得し得るなら、残していこう。」

 

こうしてそれぞれの陣営は、それぞれの事情で動き、

それぞれの事情で散っていくのだった。

 




<次回予告>
種は芽吹く。内に秘めた生命が喜ぶかのごとく。
花は咲く。美しさを誇示するかのごとく。
惑星デゲンに咲く小さく赤い花はこの惑星に何をもたらすのか。
次回<交渉>
ダニエルはこの花に何を見るのか
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