その音は低く、沈むような響きだ。
誰も泣かぬように、私が手を差し伸べよう。
くぼんだ心には闇がいっぱい溜まっている。
トリニティの路地裏に影が一つ、アリウススクワッドの錠前サオリは物陰で息を潜めていた。
サオリ(各々が逃げる事に必死でヒヨリ達とは離れ離れになってしまった...万全な状態なら戦闘は行えたが...クッ...)
コツッコツッコツッ
サオリ(!!もう追っ手が来たのか...聞こえる足音は1人分だけなら対処はできる!!)
足音がサオリの隠れている物陰に近づいてくる。そしてその目の前で足音が止まった。
サオリ(足音が止まった、今だ!)
サオリは物陰から飛び出し自身の愛銃をその相手に突き付けた。
???「おっと、随分とらしい目付きになったねサオリ。」
サオリ「タ、タモツ...?」
サオリが銃を向けた相手はエデン条約襲撃の際にアリウスから離反した確容タモツだった。
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タモツ「これで良し、怪我の処置はこれぐらいでいいか。もう動いてもいいよ。」
サオリ「すまない、タモツ。」
タモツは自身が持っていた応急キットでサオリの怪我の処置をしていた。
そして処置が終わったと同時に沈黙が支配する。
タモツ「さっき見たよ。アツコがアリウス兵に連れて行かれるの。」
サオリ「...なあ、タモツ。お前はこうなる事は知っていたのか?」
タモツ「全部では無いけど、まあ...ある程度はね。これからどうするんだい?恐らく時間の問題だと思うけど。」
サオリ「私には...頼れる人はもういない...」
サオリは俯きながら自身の本心を語る。
タモツ「まだ頼れる相手はいるんじゃない?例えば...シャーレの先生とか。」
サオリ「シャーレの先生か...だが私は彼に銃を向け、敵意を持ってしまっていた。そんな私に...」
タモツ「でも危害は与えていない。まだ助けてもらえるだろう。行くなら今のうちだよ。」
サオリ「なんだかんだ言って、お前は私を...私達を助けてくれるんだな。行ってみるよ、ありがとうタモツ。」
タモツ「見捨てたら目覚めが悪いから助けたに過ぎないよ。礼はいらないから早く行きな。あ、ある程度は追っ手は無力化しておいたからね。」
サオリ「やっぱりお前には頭が上がらないな...じゃあ行ってくる。」
サオリは立ち上がりそのまま走り出した。その目には先程のような諦めの感情はなかった。
とある廃墟街...
先生「ここか...」
発信元不明のメールに呼び出され、先生は寂れた町外れに赴いていた。
先生「来てみたはいいけど、護衛を連れてきた方が良かったかな...シッテムの箱だけだと少し心許ない...ボソッ」
アロナ『そんな先生?!私だって頑張ってるんですよ?!』
先生「冗談だよ、アロナ。頼りにしてるから。」
先生はアロナと喋りながら目的の場所へと足を進めていた。
目的地に到着した先生が見たものは、
先生「君は確か...」
サオリ「.......」
先生「錠前...サオリ...」
集合場所にいたのはアリウススクワッドのリーダー、錠前サオリだった。
先生「君がメールをくれたのか?」
サオリ「あぁ...来てくれてありがとう、先生。そして...」
サオリ「もう頼めるのは...先生しかいないんだ...助けて...ください...」
突然サオリが地に膝をつき、頭を垂れて先生に助けを求めてきた。
先生「何かあったんだね...何があったのか教えてもらえるかい?」
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先生はサオリから全てを聞いた。
エデン条約襲撃の真相、秤アツコの出生...
全てを話し終えたサオリは先生にヘイロー破壊爆弾の起爆装置を渡し、懇願する。
サオリ「どうか...アツコを助けて欲しい...お願いします...」
先生「...ふんっ!」バキャッ!!
先生はサオリから渡された起爆装置を破壊した。
サオリ「先生、何を...」
先生「サオリ、爆弾を全部出して。」
サオリ「わ、わかった。」
先生は爆弾を回収し、サオリに語りかける。
先生「生徒が危険物を持っているのを、見過ごすわけには行かないからね。それに困っているならいつでも頼って欲しい。」
先生「サオリのお願い、受け入れるよ。まずは他のメンバーを助けに行こう!」
サオリ「先生...ありがとう...」
その光景を離れたところから見守る影が一つ...
???「良かったね、サオリ。」
それから先生達は最初にヒヨリの救助に向かい、無事に救助することに成功した。
その後、ミサキの救助に向かったのだが問題が発生。
なんとミサキが高架橋から飛び降りようとしていたのだった。
しかしサオリがそれを許さなかった。
サオリと先生はなんとかしてミサキを説得、ミサキは観念してアツコ救出のメンバーに加わるのだった...
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アリウス自治区内
先生「そう言えば、襲撃の際に私の事を助けてくれた生徒...タモツって言ったかな?どんな生徒か教えてもらう事って出来る?」
サオリ「タモツについてか?」
ヒヨリ「タ、タモツさんですか?」
ミサキ「タモツさんか...」
先生の問いにサオリ達は各々に考え、それぞれ答えを出していく。
サオリ「タモツは...アリウス生らしからぬ生徒と言ったところか?アリウス内の生徒は大体がマダムの教育により思想が歪められているが彼女は歪む事なく、自身を貫き通しているからな。
後、彼女は周りをよく見ている。体調がすぐれなかったり怪我をしている者は彼女の世話になっていたからな。」
ヒヨリ「タモツさんは...優しいんですよね。私みたいなダメな人を見捨てる事なく手を差し伸べてくれて...多分アリウス生の大半はタモツさんにお世話になってるんじゃないですかね...」
ミサキ「強いて言えば世話焼き...かな。私も世話になった事あるし...後、めんどくさがり屋。」
先生「なるほど...」
ヒヨリ「あ、でも...」
先生「うん?ヒヨリどうしたの?」
ヒヨリ「初めは熱意に溢れてて...アリウスを良くしようとしていたんですよね。いつの間にか活動自体しなくなったんですけど...」
ヒヨリの言葉に先生は少し引っ掛かりを覚えた。
マダムとやらの教育で歪む事なく自信を貫ける精神力を持ちながら何故アリウスの改善活動をやめてしまったのか...
サオリ「考え事中にすまない、もう少しでカタコンベだ。ここから先何があるかわからない。気をつけてくれ。」
先生が考えている最中にサオリからカタコンベに近づいてきた事を知らされ、先生は思考の海から上がる。
先生(今は目の前の問題に集中しよう...)
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???「さてと、掻き回してくれよ?私はやり残した事をしに行くからね。」
誰も彼女の闇を理解することは出来ないでしょう。
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