目の前にいる拘束衣に身を包んだ女性に突拍子もない事をお願いされ、私は困惑していた。
???「つうじてる?まちがってない、はずなんだけど」
タモツ「あ、ごめん。通じているよ、って言うか喋れたんだね...」
???「よかった、しゃべれる、なったの、さいきんだけど」
タモツ「最近?でもどうやって言葉を学んだの?その収容室の中には何もないよね?」
???「うん、ないよ、だから、あなた、あかいひと、から、まなんだの」
私は驚愕した。マダムと私の会話、私の独り言からここまで学習したのかと。
???「どうする、おはなし、してくれる?」
私は悩んだ。マダムからは過度な接触は避けられている。でも私は
タモツ「いいよ、話し相手になってあげる。私も暇だし、これからよろしくね。」
???「ありがとう、よろしく、ね」
タモツ「そういえばアンタ、名前はあるの?」
???「ナマエ?なにそれ、わかんないな、あなたには、あるの?」
タモツ「え、アンタ名前もないの?そういえばマダムも名前は言って無かったな...さて、どうしたモノか...」
???「ねえ、ナマエってなに?ねえねえ」
思考の海に沈んでいるとガラス越しで彼女が私に名前について尋ねてくる。
タモツ「あぁ、ごめん。少し考え事してた。名前かぁ、簡単に言えば人を区別するためのモノかな。」
???「なら、あなた、ナマエ、ある?」
タモツ「勿論あるよ、私には『確容タモツ』って名前がね。」
???「タモツ...、いいな、ナマエ...」
タモツ(あ、今コイツ...名前がなくて落ち込んでるのか?仮面付けてるから分かり難いと思ってたけど、思ったよりも感情豊かなの...?)
「...名前、付けてあげようか?」
???「え、いいの?」
タモツ「なんだ...名前がないと話すのも難しいだろ?アンタさえ良ければだが...「ほしい!ナマエ、ほしい!」うぉ、すごい食いつき...わかったよ、でも今すぐは無理、もう少し情報が欲しいからね。」
???「わかった!タモツ、ありがとう!」
タモツ(これは喜んでいるのか...相変わらず表情が見えないが)
???「ナマエ♪ナマエ♪たのしみだな〜♪」
タモツの自室
タモツ「う〜〜〜ん...名前、か...」
自室にてタモツは悩む。収容室にいる存在に名前を付けると言ったものの候補が中々上がらない状態にあった。
タモツ「マダムは『X』って呼んでたけど、マダムの言っていた事をそのまま使うのは癪に触る...
よし、ちょっと賭けてみるか」
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ベアトリーチェ「それで、話とはなんですか?くだらない事ならばそれ相応の罰を与えますが」
タモツ「いえ、収容室にいる存在の事を私に教えてもらいたいのですが...」
ベアトリーチェ「何故一生徒の貴女に教えなければならないのですか?貴女は何も知らなくていいのです。」
タモツ(やっぱりそう来るよねぇ...だったら)
「収容室の観察、監視の作業は現在は私が行なっている状態です。ですので緊急時等の事があった場合に備えて情報が欲しいのです。駄目でしょうか?」
ベアトリーチェ「..........」
ベアトリーチェはタモツの事をジッと見つめる、そして考えるような素振りを見せる。
ベアトリーチェ「わかりました、貴女には『X』の情報を与えます。ですが、知る必要のない部分を添削させていただきます。少し待っていなさい。」カツッカツッカツッ
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ベアトリーチェ「これがその情報です。渡すのはコレキリですので失くさぬように。」
タモツ「ありがとうございます、私は収容室の観察、監視に戻らせていただきます。」
ガチャッ、バタン
タモツの自室ー
タモツ「情報をとりあえずざっと見てみたけど...これでも難しいなぁ」
タモツは自室でベアトリーチェから渡された情報とにらめっこをしていた。
タモツ「死体の保管場所から見つかったって...死んでいると勘違いされて運ばれたのかな...これといってめぼしいモノはないなぁ」
そこでタモツは思いついた、雰囲気等は使えないかと。
タモツ「雰囲気と言えばアイツ、コロコロ変わったりしてたよね、コロコロ...丸い...まる...マル?お、いい感じの出てきたかも。下の名前はマルでいこうかな。」
次は名字なのだが、ここでタモツの悪い癖が出てしまう。彼女は極度のめんどくさがり屋なのだ。
タモツ「後は名字か〜、めんどくさくなってきたし、パパッと決めようかな。死体って確かnecro(ネクロ)って読めるよな... 涅黎...いいんじゃないかな?ヨシ、これで次会うときに約束は果たせるね。」
一方その頃
???「…………………………」ガン、ガン、ガン...
収容室内で彼女は部屋の角を見ながら拘束衣の金具を壁に打ち付けていた...
3→2
ベアトリーチェの思惑と名付けの時
ベアトリーチェ「...さて、どうしたモノでしょうか。今の段階で計画の変更はかなり厄介な事に...」
ベアトリーチェの前には写真が2枚。1枚は確容タモツのモノ、もう1枚は『X』と呼ばれる少女のモノだった。
ベアトリーチェ「確容タモツに『X』の管理を一任しているのもまた事実、しかし彼女ほどの戦力を管理だけに回すのも宝の持ち腐れ...仕方がありません、彼女も例の襲撃のメンバーに加えましょう。その間『X』の管理は別の者に回しましょう。」
:
:
収容室ー
タモツ「という訳で名前、考えてきたよ。」
???「本当?!ありがとう、タモツ!!どんなの?どんなの?!」
収容室内の彼女はガラスに張り付きタモツに詰め寄る。
タモツ「焦るなって...ん?喋り方流暢になってるな、以前よりも聞き取りやすいよ。」
???「ん?そんな事いいじゃん!早く!名前!名前!」
タモツ「わかった、わかった!じゃあ言うよ...貴女の名前は『涅黎マル』、これからはマルって呼ぶからね。」
???→マル「涅黎マル...マル...マル!マル!!私は涅黎マル!これから宜しくね、タモツ!」
『X』改め涅黎マルは収容室内でクルクルと踊り始めた。
タモツ「随分と嬉しそうな事で...」
(苗字の由来は...言わない方がいいか。でも...本当に心から喜んでいるんだろうなぁ...)
マル「そうだ!タモツにコレ、あげるね!名前をくれたお礼!」
タモツ「ん?あげるって、どうやって渡す...『カランカランカラカラ』って何これ、仮面?」
収容室の扉の前に落ちていたのはマルが着けているモノと同じ仮面だった。
マル「こういうのって『お揃い』って言うんでしょ?喜んでくれたら嬉しいなって!」
タモツ「まあ、受け取っておくよ。ありがとうね、マル」
マル「どういたしまして!」
2→3
今回はここまで、ではまた〜!