罪は許されました。
舞台装置以下の存在の末路
Qモツ(防御を...間に合わない!!何か...何か手は...!!だ、ダメだ!思考がまとまらな...)
タモツが思考を走らせる間に7発の銃弾はタモツの体を貫いた。
Qモツ「ーーーーーーーッ!!!」
タモツの体に鋭い痛みが走り、声にならない悲鳴をあげる。着弾したと同時にその体に緑色の炎が発生し、タモツの体を包み込む。
タモツ(体が...焼ける!なのに体に外傷がないッ...まだ終われないの...まだ償いきれてない!!)
タモツ「まだ...終われない...償いきれてないのに何故みんなは邪魔をするの...」
その身を炎に包まれながらタモツはヒヨリ達に語りかける。ヒヨリはそれを黙って聞いている。
ヒヨリ「.........」
タモツ「私は...のうのうと生きてる訳にはいかないの...多くの命を奪ってしまったのに...償わせて...償わせてよ...」
タモツは膝をつき子供の様に譫言を発し続ける。その姿はあの時見た大人びた生徒ではなく、年相応の女の子の様だった。
ヒヨリ「...それを先輩達は望んでいるんですか?」
タモツ「望んでいるに決まってる!!私の事も恨んでる!!いまだに声が聞こえてるんだ!!」
ヒヨリ「タモツさんは私に言いましたよね、『困ったことがあれば一度立ち止まって後ろを振り返ってごらん』って。今のタモツさんは出来てますか?」
タモツ「出来てるに決まって...!」
ヒヨリ「いえ、今のタモツさんは出来ていません。過去に縛られ、幻に囚われている...。」
ヒヨリ「私には貴女をどうこうする事は出来ません...、だから最後は彼女に任せます。」
ヒヨリは後ろを振り返り、一人の生徒に声をかける。
ヒヨリ「マルさん、頼めますか?」
マル「わかった、後は俺達に任せな。」
ヒヨリは下がり、代わりにマルがタモツの前に歩みを進める。
タモツ「マル...私は...」
(意識が...朦朧としてきた...あれ...?おかしいな...マルに重なって...見え...)
マルが目の前に来るまでに限界を迎えたタモツは気を失ってしまった。その時、タモツはマルに重なってかつての先輩の姿を見たのだった。
『ズズゥンッッ...!』
ついにタモツは倒れ、頭上のヘイローも消失した。辺りを静寂が包み、マルの足音のみが反響する。
先生「お、終わったの?」
マル「いや、まだ終わってはいない。これはまだ心を落ち着かせただけだ。後は肉体を戻すだけなんだが...」
倒れたタモツの前でマルは歩みを止める。そしてタモツの頭にマルは自らの手を乗せる。
マル「ここからは俺達がなんとかする。」
手を乗せたと同時にそこを中心に光が発せられ、至聖所を包み込んでいった。
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-タモツの心象世界-
光を通さない漆黒の世界にタモツは一人で佇んでいた。
タモツ「......」
その周囲には黒いモヤの様なモノが漂っており、タモツの身体に纏わり付いていた。
『まだ....生きたかった...』
『なんでお前が...』
『お前もこっちに来い...』
『許さない』
モヤはタモツに対し、恨みの言葉を投げ掛ける...それを聞き、タモツは耳を塞ぎ蹲る。
タモツ「やめて...私は...私は...!!」
???「はい!ちょいと黙っとけッ!!」
すると突然懐かしい声が聞こえ、周囲の黒いモヤを吹き飛ばした。
タモツ「え...?」
タモツはその声の主の姿を見て驚愕する。そこに居たのは短めの白色の髪を持つ褐色肌の女性だった。
???「ちょっと、先輩!早いですって!!シキちゃんが置いていかれてます!!」
シキ「だ、大丈夫ですよ、アイ先輩。慣れっこですから。」
白色の髪を持つ女性の背後から後に続くように水色髪にハートマークの髪飾りを付けた女性、青と黒のグラデーションが目立つ髪の女性が現れる。
???→アイ「シキちゃんもあの時から変わらないな〜。思ってる事はズバズバ言っていいんだよ?」
???「悪りぃ悪りぃ!だけど、俺の性格はアンタらもよく知ってるだろ?それよりもだ...」
白色の髪を持つ女性がタモツの方へ向き、声をかける。
タモツ「ユ、ユウキ先輩...?それに、アイちゃんとシキちゃん...?」
???→ユウキ「久しぶりだな、タモツ!元気...ではないか。あんな事があったもんなぁ。」
タモツ「なんで...貴女達は私が...」
ユウキ「ここはアンタの精神世界だからな、何が起きても不思議ではないだろ!」
タモツの質問に対してユウキと名乗る女性はカラカラとした態度で言葉を返す。
タモツ「そっか...私を恨んでるから化けて出たのか...」
三人『......』
タモツ「貴女達に殺されるなら...私は受け入れられそうです。だから...私を「ふんっ!!」痛っ!え?」
タモツは会話の途中に頭に痛みを感じ、頭を抑え、何が起きたのかを確認する。
目の前には拳を握りしめたユウキがいた。
ユウキ「あのなぁ、俺が...いや俺達がお前を恨んでるだぁ?んな訳ないだろ!だよな、お前ら!」
アイ「当然じゃん!タモツちゃんがいなきゃ私達早死にしてただろうし!」
シキ「はい...私もタモツさんのおかげで長く生きれました。」
タモツ「みんな...」
ユウキ「タモツ、アンタがいなけりゃ俺達は教育と称した拷問で命を散らせていたんだ。それをアンタが救ってくれた様なもんなんだ。アンタのためならこの命もはれるってもんよ!それに後ろ、見てみろ。」
タモツ「後ろ?」
ユウキに言われ、タモツは後ろを振り返る。そこに居たのはベアトリーチェの教育、実験により命を散らせたアリウス生達だった。
アリウス生「タモツさん!私達は貴女を恨んでなんかいません!むしろ感謝の気持ちしかありません!!」
アリウス生「私達を助けてくださり、ありがとうございます!だから自分を責めないでください!」
アリウス生達からの感謝の言葉を聞き、タモツの心が遂に決壊する。
タモツ「ご....ごめんなさい!私のせいで...ごめんなさい!!みんなの命を...人生を奪ってごめんなさい!!うわぁぁぁぁぁんッ!!!」
タモツは涙を流し、目の前にいたユウキに抱き付き、自らの心の内を吐露する。
ユウキ「タモツ...お疲れ様だ。だけどアンタは生きろ。生きてくれ、この世界で。そして幸せになってくれ。それが俺達の望みだ。」
漆黒の空間はもう存在しない。今ここにあるのは青く澄み渡る世界のみだった。
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アリウス自治区-バシリカ 至聖所
タモツを中心に発せられた光により先生達は目を塞ぐ。そして数分後、光が収まる。先程と変わらず異形と化し倒れているタモツとそのタモツに手を当てているマルの姿だった。
先生「終わったの...?」
マル「......どうやら上手くいった様だな。」
マルが言葉を返したと同じタイミングで異形と化したタモツにヒビが入る。そのヒビが全身に広がり、音を立てて崩れていく。崩れた残骸の中からタモツが姿を現す。マルは大切なものを扱う様に抱き抱え、先生達の方へ向き直る。
タモツ「.....あの時から、ずっとそばにいてくれたんだね...ありがとう、みんな...」
マル(ユウキ)「俺達は...アンタのそばにいるんだ。困った事があれば、これからは相談してくれよ?」
タモツ「ふふ、そうだね。ごめん...少し...寝るね...」
マルの腕の中でタモツは眠りにつく。眠ったのを確認したマルは先生達の元へ歩み始める。
ヒヨリ「戻ったんですね、タモツさん...」
マル「うん、今は眠っているみたいだし...ヒヨリちゃんだったよね?タモツの事、頼める?」
ヒヨリ「大丈夫ですけど...何か...?」
マル「まだやる事が残っていてね!はい、タモツの事、お願いね!!」
タモツをヒヨリに任せ、マルは至聖所の出口に向かい走り始めた。マルは暗がりの奥に消えたのをその場にいた者達は見ている事しか出来なかった。ただ一人を除いては。
マエストロ「......」
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暗がりを歩く影が一つ。そうタモツにより縛られていたベアトリーチェである。タモツが気を失ったと同時にベアトリーチェを縛っていた白い触手も消滅した事で目を覚まし、今に至る。
ベアトリーチェ「まだ...まだ終わっていませんよ...ミメシスの制御権もまだある...今はこの場を離れる事が最優先です...『しぶといね〜、かなり動いてるじゃん。』?!?!」
自らが進んできた廊下の背後から今最も聞きたくない声が聞こえてくる。
ベアトリーチェ「エ、Xゥ...!!」
マル「まだそんな名前で呼ぶの〜?私達にはマルって名前があるんだけど〜...ま、いっか。」
ベアトリーチェ(何故コイツがここにいる?!誰にも気づかれない様に移動した筈だ...!!とにかく今は時間を...)
「何故アナタがここに?サオリ達ならともかく、アナタは私に対して恨みなどないでしょう?」
マル「うん、そうだね。私達はアナタに対しては恨みはないよ。ただ...」
次の瞬間、マルの顔から笑顔が消え、ベアトリーチェを濃密な殺意が襲う。
マル「私達の中の一部がアナタに対して恨みがあるみたいなんだよね〜。」
ベアトリーチェ「?!ミメシスよ!私を守『ガオンッ!!』...は?」
ベアトリーチェがミメシスを召喚しようと右手を突き出した瞬間、ベアトリーチェの右手から右肩にかけて削り取られた様に消滅した。それと同時にいつのまに移動したのか目と鼻の先にマルがいた。
マル「うわ、まずっ。ここまで不味いの食べた事無いんだけど...」
ベアトリーチェ「え...私の腕...どこに...」
ベアトリーチェは自身に何が起きたのか理解できずに自らの右腕を探し始める。
マル「でも安心して!痕跡すら残さず、私達が食べてあげるから!」
突如、マルの髪が膨らみ始め、巨大な口が現れる。ベアトリーチェはこの先何が起きるのかを理解し、命乞いを始める。
ベアトリーチェ「ま、待ちなさい!私と手を組みませんか?!私とアナタが手を組めば...」
『グシャッ....!!』
ベアトリーチェの命乞いを全て聞くまでもなく、巨大な口はベアトリーチェを喰らい始める。
マル「見苦しいなぁ...そもそもタモツに手を出した時点で生かす気はないんだけどね!...これで満足かな?マエストロさん。」
マルは自身の背後の暗がりに声をかける。数秒後、背後の暗がりからマエストロが姿を現す。
マエストロ「ああ、元より生かす気もなかったからな。手を掛けさせてすまないな。」
マル「いいよ!あの赤いのずっと前から気に入らなかったし!さてと、みんなのとこに帰りますか〜。」
ベアトリーチェを完全に食べ終え、マルは来た道を戻り始める。その姿をマエストロは見つめる。
マエストロ「下手に抵抗せずに我らに手を下されていた方がまだマシだったかもしれんな。舞台装置以下の存在、ベアトリーチェよ。」
これで全てが大団円、お疲れ様でした。
感想、誤字脱字報告お待ちしています。