【急募】高育のAクラスで快適に過ごす方法   作:人生谷あり罠あり

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見切り発車です。


【急募】魔窟で生き残る方法

 

 

 

──────人生って、正直大体は『運』で決まってるものだと俺は常々思っている。生まれた国、生まれた地域、親の金、才能、外見的特徴 ,etc.

 

生まれた国が違えば、人類史に名前を刻むことができた人が、きっと今までには何人もいたことだろう。それら全ては、『運』が悪かったから起こったわけだ。その観点から言えば、俺は恐らく誰よりも『運』を持っていることになると思う。

 

──────『転生(・・)』、誰もが一度は聞いたことがあるはずだ。死んだと思ったら違う世界に飛ばされてしまうやつ。俺も、実はそれの経験者だったりする。

 

 

 

「──────ようやく着いたか」

 

 

 

長考している間に、俺の乗っていたバスは目的地に到着した。東京都に位置し、尚且つほぼ全ての中学生の憧れの象徴であろう高校。名を、『高度育成高等学校』と言う。

 

これだけ言ってしまえば、恐らく俺が転生することになってしまった世界の原作を察することができるだろう。つまりまぁ、【ようこそ実力至上主義の教室へ】だ。

 

 

 

 

いわゆる『転生者』、それが俺だ。ここが通称【よう実】の世界であると気付いたのは割と昔になる。小学校入学前、特に意味もなく眺めていたニュースに鬼島首相が映ったからだ。この人こそ、物語の舞台となる高育と作った張本人である。

 

ここで俺が下した判断は、高育に行ってみようという酷く楽観的なものだった。実際転生したなら舞台に立ちたいと思うのは恐らく万国共通ではないだろうか。そうじゃなくても、俺はそう思ったのだから仕方ない。

 

それからは結構努力をした。生憎と勉強や身体能力の才能は欠片もなかったが、凡人の中では中間層から上位層の間くらいには位置できてるんじゃないだろうか。そう思いたいくらいには努力をした。

 

 

 

 

 

 

──────が、これは話が違う。違うぞ、高育さん。違うよ、坂柳理事長?

 

俺は張り出されたクラス表を見ながら、心の中で必死に問いかける。が、当然返事はない。当然と言えば当然だが、すごく何とも言えない。いや、言える。まずい、まずい。

 

 

【Aクラス】と書かれた組の最初に俺の名前である『秋月(あきづき)緋彩(ひいろ)』という文字があったからだ。おかしいな、こんなはずじゃなかったんだけど。

 

俺はBクラスを狙ってたのに。なんでこうなるんだ、CクラスでもDクラスでもなく、何故Aクラスなんだ。ほぼ胃痛確定なんだけど、どうするよこれ。

 

 

 

 

 

とりあえず、監視カメラの位置を気にしながら、校舎の中に入りAクラスを目指す。なんで俺がここまで焦っているかというと、それは原作を参照して欲しいけど、高育の理念とシステムが大きく関係してる。

 

 

【ようこそ実力至上主義の教室へ】っていう作品は、高育という閉ざされた箱庭(言ってなかったけど、ここは完全寮制で入学したら卒業まで敷地から出れない)の中で、高校生たちがクラス別に別れてあの手この手で他クラスを蹴落としながらAクラスの地位を目指す学園黙示録だ。

 

なんでAクラスを目指すかと言うと、高育が受験生や世間に謳っている『卒業したら希望する進路に進める』や『進学率・就職率共に約100%』という報酬はAクラスで卒業した生徒にしか与えられないから。クラスはA~Dまであって、上に行くほど基本的には優秀な人材が配属される。その上で、『特別試験』というイベントでクラスの上下があるのだ。

 

これだけ聞けば「Aクラスとか最高じゃん」「何が不満なん?」とか思うと思うけど、それは地位の話であって、俺がしてるのはクラス運営の話だ。なんとこのクラス、葛城康平と坂柳有栖という2人の生徒がクラスリーダーの座をかけて政戦が勃発します。

 

 

 

「よろしく」

 

「あ、えと………よろしく、お願いします」

 

 

とりあえず、隣の席になった山村さんに挨拶を済ませてから、本題に戻ろうか。この2人、前者は問題ないんだけど、後者が問題大ありだったりする。

 

先天性の持病で足を不自由にしてる子なんだけど、性格は攻撃的かつ陰湿かつ傍若無人。リーダーに拘るのも人の下につきたくないという理由だし、なんなら葛城の足を引っ張って他クラスに情報をリークしたりする始末だ。ホントに、暫くは救えない。

 

俺が嘆いていた理由は分かってくれただろう。この2人の政戦が原作通り勃発すれば胃痛は避けられないし、常に2派閥でギスギスした空気が漂うことになる。嫌だなぁ。Bクラスが良い。もしくはCクラスでも許すよ?

 

 

 

「よっ、後ろの席の戸塚だ。よろしくな?」

 

 

想い耽っていると、1個後ろの席の戸塚に話しかけられた。補足しておくと、彼の席は窓際最後尾という主人公席で、俺はその1つ手前だ。

 

 

「えと、秋月緋彩だ。よろしく戸塚」

 

「おう!」

 

 

原作だと葛城派に所属し、失墜した彼を最後まで慕い続け、最後には退学していったネタ枠扱いの彼だが、俺は結構彼を評価していたりする。

 

下のクラスを見下す発言はよろしくないが、忠誠心も高く協調性もあるからBクラス配属くらいが妥当なキャラだ。そのポジションをなんとか俺に譲って欲しい限りである。

 

と、そんなことは置いておいて、俺はこれから起こるであろうイベントで頭がいっぱいだ。なんとか原作改変が起きて坂柳が大人しくなったりしないかな。しないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──────説明は以上だ。何か質問のある生徒はいるか?」

 

 

最早二次創作で何十回も見たこの質問。真嶋先生、お勤めご苦労様です。よう実二次小説1話か2話のお約束であるSシステムと学校の説明を終えた我がクラスの担任・真嶋先生はそう問いかける。

 

 

「先生、質問いいでしょうか」

 

「1つ、お伺いしたいことが」

 

 

2人の生徒が、若干のタイムラグを生じて手を挙げた。言わずもがな、葛城と坂柳である。最早脳内で文字起こしされてしまうほど、見飽きた展開だ。生で見れるのは感慨深いものがあるけど。

 

 

「まずは葛城からだな。なんだ?」

 

「先ほど先生は『毎月1日にポイントが振り込まれる』と仰っていましたが、それは来月も10万ポイントが支給されるという意味で捉えていいのでしょうか」

 

「それについては現時点では答えることができない。坂柳の方はどうだ」 

 

「質問は葛城くんと同じものでした、ですので変えてから尋ねます。今の先生の言い方を鑑みれば、ポイント支給額は変動する、という捉え方もできるのですが。どうでしょうか?」

 

「………それについても、答えることは出来ない。以上なら、これにて終了とする」

 

 

思ったよりも坂柳が踏み込んだ質問をしたが、まあ些細な問題だ。どのみち、2人の対立が避けられないのであれば、結末も特に変わらないだろう。

 

正直高育のブランドと高卒の資格さえ取れれば他は自力でなんとかできるからクラス間戦争には興味がないんだけど、これからどうしようか。

 

ギスギスは好きじゃないから、あんまり関わらないようにしたい。それと、原作主人公(綾小路清隆)の将来の計画の邪魔になるかもしれないけど、救いたい人が何人かいる。

 

これに関しては完全にエゴだけど、俺が思考中である『Aクラスでぬくぬく大作戦』と並行して進めていこうかな。とりあえず、なったもんは仕方ないし、気を少し緩めてやっていこう。

 

 

えいえい、おー

 




オリ主くん。名前は秋月緋彩
入試成績
学力:B+
知性:B
判断力:C
身体能力:B+
協調性:C+

本人は良い感じの匙加減でBクラスに入ろうと画策した。結果Aクラスになった。


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