なんだかんだで男女ですので 作:タリーズさん
2026がオリンピック開催年
オリンピック時点でいのりちゃん(16)
ぴかるん(16)
で合ってるのかな?
時間の流れが早くなったり遅くなったりする。
小さい頃からあった変な感覚。大学に入っても治ることなく、あっという間に大学生活も後半戦。
そして、今年も全日本選手権が終わった。
あっさりと、淡々と、俺は銀メダルを受け取ってインタビューを受けて、あー疲れたって思った。
両親が来ていたようだが興味ない。
久しぶりに顔が見えたけど、気付いたら消えてからさっさと帰ったんだろう。
(今頃になって見に来られてもね……自分達が育てたとかインタビューに答えてたけど、ここぞとばかりにしゃしゃり出てくるのやめろ)
才能がないと言って強制引退させたくせに、現金な方々である。
中学三年生の年明けにいきなり辞めろと言われ、アメリカに連れていかれることが決まって、俺は散々な目に遭わされた。奇跡的にライリー先生に拾ってもらっていなければ、俺の競技人生は完全に終わってたよ。
当時は申し訳なく思ってたんだけどね、今は思考回路が復活したから罪悪感とかほとんどない。
怪我で高校一年生のシーズンは全休になって、
「両親の好きなところは見栄っ張りなところですね。あとは有名人に弱いところ。だから、ライリー先生みたいな人に誘ってもらえたのは本当に良かった。有名な金メダリストじゃなきゃ、首を縦には振らなかったでしょうからね」
「ピカるん〜、けい君がやさぐれてる〜」
「すいません、私ピカチュウを捕まえないといけないんで、少し静かにして貰えますか?」
「光ちゃんさぁ……人が真面目な話をしてるのに、ポケモンwithすんなし」
全日本選手権が終わったので神社に来た。初詣ではない。まだ年内だ。
やめといた方がいいと思うんだよね、こういうことは。丑三つ時に女子高生を連れ回すのはまずいと思うんだ。それも日本の宝を。保護者の許可は得ているとはいえ、やめといた方がいいと思う。
「うわっ……ピカチュウじゃなくてギャラドスが出てきた」
「神社でギャラドス……? バグってんじゃないのそのアプリ」
「雨取くん、久しぶりに今日泊めてよ。朝まで全日本の演技を見直そう」
「帰れ」
JK泊めるとかダメに決まってるだろ。バレたら大スキャンダルだ。引退の危機が訪れてしまうし、光ちゃんファンからは殺されるかもしれない。この子、カルト的人気を誇ってる女王だから。天才なだけじゃなくてアイドル的存在感も放ってるから。
「今年もいい年になりますように!」
「アハハ、なりますように!」
「もうすぐ今年は終わるから。寒いから早く帰りましょうよほんと」
神様にお願いするのはまだ早い。大人しく年始の訪れを待ってなさい。
「間違えた。いい年にしてくれてありがとうございますだった」
「いい年だったの? ファイナルでは負けたのに……」
「うん、見事に負けたけどね。最近の感じ的にいつかやっちゃうような気はしてたから、どうせなら早目にメチャクチャになっておいて良かったかなって」
ピカるんは透明感たっぷりに微笑んでいる。
たしかにファイナルはメチャクチャだったな。ピカるんにしては酷い出来だった。全日本選手権は
「それじゃ二人共、帰ろっか。家の前まで送るから〜」
シャリ、シャリと足元から音がする。ライリー先生の口からは白い息がふわふわ。先生だけじゃなくて俺達も。気温は氷点下。かなり冷え込んでいる。
街灯の光がきらきらしていて幻想的だ。来年も平和な年末を迎えられるといいな。
「先にうちに寄って貰えます? お着替え取ってくるんで」
「泊まりに来ようとするな。しかもこんな時間に……どうせすぐ寝落ちるんだから、大人しく自分の部屋に帰りなさいって」
「なんか来て欲しくない理由でもあるの?」
「君がJKだからだよ。俺は犯罪者にはなりたくない」
ピカるんが単独で泊まりに来たことはない。集団宿泊なら何回かあるけど、単独はない。あってはいけないのだが、今日はやたらと押しが強い。
変な事態になる前に走って帰ろうか。そうした方がいいような気がした。