【完結】キラメキ・リンク!~煌めきの彼方へ~   作:匿名女児

10 / 15
第9話 煌めく夏、四人の煌めき

──一学期、終業式。

 

長かった一学期も終わりを迎えた。

 

校内には、夏休みを前にした生徒たちの明るい声が響いている。

 

そして──

 

放課後のアイドル研究部。

 

「終わったー!」

 

リカが机に突っ伏した。

 

「明日から夏休みだよ!」

 

中学校に入ってから初めての夏休みに浮かれているヒカリ。

 

「しばらく学校がないと思うと、ちょっと寂しい気もするけど」

 

そんなヒカリを見ながら、ユウヒが笑う。

 

「私は楽しみです」

 

カリンも微笑む。

 

「そういえば!みんな、夏休みの予定って決まってる?」

 

ヒカリが三人を見る。

 

「ウチは特にないかなぁ」

 

リカが答える。

 

「私も。ヒカリは?」

 

ユウヒが頷く。

 

「……ない……」

 

ヒカリも肩を落とす。

 

「でしたら……」

 

三人がカリンを見る。

 

カリンが少し遠慮がちに続ける。

 

「親戚から、海水浴場の手伝いをしてくれないかと頼まれてまして」

 

「海水浴場!?」

 

リカが顔を上げる。

 

「うん」

 

ヒカリも目を輝かせる。

 

「海!?」

 

「はい」

 

カリンは頷く。

 

「海水浴場の手伝いをする代わりに、空き時間は自由に使っていいとのことで」

 

カリンはゆっくりと三人を見渡す。

 

「……いかがでしょう?」

 

リカが即答した。

 

「行く!海、行こう!」

 

「私も行きたい!」

 

ヒカリが手を上げる。

 

「ユウヒさんは?」

 

「もちろん行くよ」

 

ユウヒも笑う。

 

「違う環境で、違うことするのも、いい刺激になるだろうし」

 

「……ありがとうございます」

 

カリンが嬉しそうに微笑む。

 

「では、決まりですね」

 

「海だー!」

 

リカが両手を上げる。

 

キャルも嬉しそうに飛び回った。

 

「海ネコー!」

 

 

「海だー!!」

 

青い海。

 

白い砂浜。

 

夏の太陽。

 

絶好の海水浴日和。

 

四人が海水浴場へ到着すると、受付の近くに一人の男性が立っていた。

 

「カリン、来てくれたか」

 

「はい。今日からよろしくお願いします」

 

カリンが頭を下げる。

 

「この子たちが?」

 

「はい。私の友達です。アイドル研究部の仲間で、今回一緒に手伝ってくれる方たちです」

 

「そうか」

 

男性は三人を見て、笑顔になる。

 

「助かるよ。ただ、無理はしなくていいからな。危ないことや分からないことがあったら、必ず大人に確認するんだぞ」

 

「はい!」

 

三人が声を揃える。

 

「それじゃあ、今日は受付や呼び込みを手伝ってもらおうかな」

 

「分かりました!」

 

カリンが頷く。

 

──ただ、

 

「……あれ?」

 

ヒカリが周囲を見渡す。

 

「人、少なくない?」

 

リカが呟く。

 

砂浜には、ちらほらと人がいる程度。

 

「実は……」

 

カリンが説明する。

 

「少し前に、近くに新しい海水浴場ができたんです」

 

「それで、みんなそっちに行っちゃったんだ」

 

ユウヒが周囲を見る。

 

「そうなんです」

 

カリンが頷く。

 

「向こうは設備も新しくて、目新しさもありますから……」

 

「なるほど」

 

ヒカリが頷く。

 

「それじゃあ、私たちでお客さんを呼ばないと!」

 

「はい!」

 

四人はさっそく準備を始めた。

 

 

「海水浴場はこちらでーす!」

 

リカが大きな声を出す。

 

「海がとっても綺麗ですよー!」

 

ヒカリも呼びかける。

 

「ぜひ遊びに来てください!」

 

ユウヒは案内板を整える。

 

カリンは受付を手伝いながら、通りかかった人たちに声をかけていく。

 

「よろしければ、こちらへどうぞ」

 

四人で一生懸命呼び込みをする。

 

けれど──

 

「……」

 

「……」

 

なかなか人は増えなかった。

 

昼を過ぎても、客は少ないまま。

 

「うーん……」

 

リカが腕を組む。

 

「全然来ないね」

 

「頑張って声を出してるんだけど……」

 

ヒカリも少し落ち込む。

 

「新しい海水浴場のほうが人気なのかな」

 

ユウヒが呟く。

 

「仕方ないですよ」

 

カリンが微笑む。

 

「私たちは、今日が初日ですから」

 

「カリン……」

 

「明日も頑張りましょう」

 

カリンは笑った。

 

 

──その日の夜。

 

四人は海水浴場近くの宿泊先に泊まることになった。

 

四人一部屋の和室。

 

「広い!」

 

ヒカリが部屋を見回す。

 

「四人で一緒に寝るんだね!」

 

「修学旅行みたい!」

 

リカが布団に飛び込む。

 

「ちょっと、リカ」

 

ユウヒが苦笑する。

 

「まだ寝る時間じゃないよ」

 

「分かってるって!」

 

リカが起き上がる。

 

四人はちゃぶ台を囲んで座った。

 

「今日は、思ったより大変だったね」

 

ヒカリが言う。

 

「うん」

 

ユウヒも頷く。

 

「明日は、もう少しお客さんを増やしたい」

 

「でも、どうすればいいかな?」

 

リカが考え込む。

 

「呼び込みだけじゃ、なかなか難しいよね」

 

「……」

 

カリンは黙って考えていた。

 

「カリン?」

 

ヒカリが声をかける。

 

「何か思いついた?」

 

「いえ……」

 

カリンは首を横に振る。

 

「うーん……」

 

しばらく四人で考える。

 

その時。

 

「ライブはどう?」

 

ヒカリが顔を上げた。

 

「ライブ?」

 

リカが反応する。

 

「うん!」

 

ヒカリが頷く。

 

「私たち、アイドルなんだよ?」

 

ユウヒは考える。

 

「海水浴場でライブをすれば、興味を持ってくれる人がいるかもしれない」

 

「それなら!」

 

リカが拳を握る。

 

しかし、カリンは少し不安そうな顔をした。

 

「どうしたの?」

 

「私……まだ、みなさんと一緒にステージに立ったことがありません」

 

ヒカリが笑う。

 

「大丈夫だよ!」

 

「そっか。カリンは初ライブだもんね」

 

ユウヒも頷く。

 

「最初は緊張すると思うけど、私たちがいるから」

 

「……はい……!」

 

カリンが小さく頷く。

 

「やってみたいです」

 

「決まり!」

 

リカが笑った。

 

「明日はライブだ!」

 

 

──翌日。

 

「まずはウチたちから!」

 

リカがステージへ駆け上がる。

 

「今日も元気にいこう!」

 

音楽が始まる。

 

リカが踊る。

 

続いてユウヒ。

 

そしてヒカリ。

 

三人はこれまで何度も経験してきたステージを、思いきり楽しんだ。

 

歌声が響く。

 

ステップが砂浜を彩る。

 

少しずつ。

 

海水浴場を歩いていた人たちが、足を止める。

 

「何かやってるよ」

 

「アイドル?」

 

「ちょっと見てみよう」

 

観客が増えていく。

 

そして──

 

「ありがとうございました!」

 

拍手が起こった。

 

人々の視線がステージへ集まっている。

 

「やった!」

 

リカが喜ぶ。

 

「お客さん、増えてる!」

 

「これなら……」

 

ユウヒが周囲を見る。

 

「次は四人でやろう」

 

ヒカリが頷く。

 

「うん!」

 

 

──そして。

 

「カリンちゃん!」

 

ヒカリが声をかける。

 

「準備できた?」

 

「はい……!」

 

カリンはステージ袖に立っていた。

 

手が少し震えている。

 

「緊張してる?」

 

ユウヒが尋ねる。

 

「……少しだけ」

 

「大丈夫だよ」

 

ヒカリが手を握る。

 

「私たちが一緒だから」

 

「はい」

 

カリンが深呼吸する。

 

「行こう!」

 

リカが笑う。

 

四人がステージへ出る。

 

会場から拍手が起こった。

 

「こんにちは!」

 

ヒカリが笑顔で挨拶する。

 

「私たち、アイドル研究部です!」

 

カリンの緊張は治まらない。

 

脚も少し震えている。

 

けれど。

 

「よろしくお願いします!」

 

四人が頭を下げる。

 

音楽が始まった。

 

ヒカリが歌う。

 

ユウヒが続く。

 

リカがステップを踏む。

 

そして──

 

カリンが歌う。

 

「……!」

 

最初の一音を出した瞬間。

 

緊張していた身体が、少しだけ軽くなった。

 

観客がこちらを見ている。

 

怖い。

 

けれど──

 

今日は、初めて自分が着るために用意した衣装──

 

この衣装が背中を押してくれている気がした。

 

カリンは小さく笑った。

 

歌う。

 

踊る。

 

隣には三人がいる。

 

「カリン!」

 

リカが笑いかける。

 

「はい!」

 

カリンも笑う。

 

四人の動きが少しずつ重なっていく。

 

最後の振り付け。

 

四人が同時に手を伸ばす。

 

その瞬間。

 

四人の周囲に、煌めきが生まれた。

 

桃色。

 

青。

 

黄色。

 

そして──

 

緑色。

 

「……!」

 

カリンが目を見開く。

 

四つの煌めきが、ゆっくりと一つに集まっていく。

 

そして。

 

ぱぁっ!

 

四人を中心に、夏色の光が広がった。

 

青い空。

 

輝く太陽。

 

きらめく海。

 

四人の周囲を、光の波が走る。

 

煌めきは砂浜へ広がり、海面を照らしていく。

 

波が光を受けるたび、無数の煌めきが弾ける。

 

まるで夏そのものが、ステージを祝福しているようだった。

 

「わぁ……!」

 

観客から歓声が上がる。

 

カリンは驚きながらも、笑っていた。

 

「これが……私たちの煌めき……!」

 

光はしばらく四人の周囲で輝き続けた。

 

そして──

 

静かに消えていく。

 

最後のポーズ。

 

大きな拍手。

 

「すごい!」

 

「きれい!」

 

「すごくよかったぞー!」

 

海水浴場には、たくさんの人が集まっていた。

 

 

ライブが終わる頃には。

 

海水浴場は大勢の人で賑わっていた。

 

「すごい……」

 

ヒカリが周囲を見る。

 

「こんなに人が来てる!」

 

「ライブのおかげだね」

 

ユウヒが笑う。

 

「ウチたち、海水浴場を盛り上げられた!」

 

リカが拳を握る。

 

「ありがとうございました」

 

カリンも笑顔だった。

 

「私、一人だったら絶対にステージに立てませんでした」

 

三人がカリンを見つめる。

 

「でも、立ててよかったでしょ?」

 

「はい。とても!」

 

カリンが笑顔で頷いた。

 

 

──その日の夜。

 

宿泊先の和室。

 

四人は布団を並べて座っていた。

 

「今日は、すごかったね」

 

ヒカリが言う。

 

「うん」

 

ユウヒが頷く。

 

「カリンの初ライブも、大成功だった」

 

「ありがとうございます」

 

カリンが微笑む。

 

「私も、まだ信じられません」

 

「でも、ちゃんと煌めいてたよ!」

 

リカが笑う。

 

「しかも四人で!」

 

ヒカリが頷く。

 

「桃色、青、黄色、緑……」

 

それぞれの色。

 

四つの煌めき。

 

「……四人」

 

カリンが呟く。

 

「いろんな色の煌めき……」

 

「そういえば」

 

ユウヒが思い出したように言う。

 

「グループ名、まだ決めてなかったね」

 

「あっ!」

 

ヒカリが声を上げる。

 

「そうだった!」

 

「じゃあ、今日決めようよ」

 

リカが笑う。

 

「四人になったんだし!」

 

四人は顔を見合わせる。

 

「カリンが言ってたよね」

 

ヒカリが言う。

 

「いろんな色の煌めきを届けられる名前がいいって」

 

「はい」

 

カリンが頷く。

 

「だから……」

 

ヒカリが考える。

 

「いろんな色が集まって、一つの光になるなら……」

 

「それって、色と色がつながるってことだよね」

 

ユウヒが呟く。

 

「色がつながる……」

 

リカが目を輝かせる。

 

「いいじゃん!」

 

「私たちの色がつながって、一つの煌めきを届ける……」

 

カリンが小さく呟く。

 

「……Color☆Link」

 

「カラー、リンク?」

 

ヒカリが聞き返す。

 

「はい」

 

カリンが微笑む。

 

「それぞれの色がつながって、もっと大きな煌めきになるんです」

 

「いい!」

 

リカが即答する。

 

「ウチ、好き!」

 

「私もいいと思う」

 

ユウヒが頷く。

 

ヒカリも笑顔になる。

 

「うん。私たちにぴったりだよ!」

 

四人は顔を見合わせる。

 

「私たちのグループは──」

 

「Color☆Link!」

 

四人の声が重なった。

 

 

 

四人はまだ知りませんでした。

 

この名前が、いつかたくさんの人に知られるようになることを。

 

そして──

 

四人の煌めきが、もっと大きなステージへ続いていくことを。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。