【完結】キラメキ・リンク!~煌めきの彼方へ~ 作:匿名女児
──一学期、終業式。
長かった一学期も終わりを迎えた。
校内には、夏休みを前にした生徒たちの明るい声が響いている。
そして──
放課後のアイドル研究部。
「終わったー!」
リカが机に突っ伏した。
「明日から夏休みだよ!」
中学校に入ってから初めての夏休みに浮かれているヒカリ。
「しばらく学校がないと思うと、ちょっと寂しい気もするけど」
そんなヒカリを見ながら、ユウヒが笑う。
「私は楽しみです」
カリンも微笑む。
「そういえば!みんな、夏休みの予定って決まってる?」
ヒカリが三人を見る。
「ウチは特にないかなぁ」
リカが答える。
「私も。ヒカリは?」
ユウヒが頷く。
「……ない……」
ヒカリも肩を落とす。
「でしたら……」
三人がカリンを見る。
カリンが少し遠慮がちに続ける。
「親戚から、海水浴場の手伝いをしてくれないかと頼まれてまして」
「海水浴場!?」
リカが顔を上げる。
「うん」
ヒカリも目を輝かせる。
「海!?」
「はい」
カリンは頷く。
「海水浴場の手伝いをする代わりに、空き時間は自由に使っていいとのことで」
カリンはゆっくりと三人を見渡す。
「……いかがでしょう?」
リカが即答した。
「行く!海、行こう!」
「私も行きたい!」
ヒカリが手を上げる。
「ユウヒさんは?」
「もちろん行くよ」
ユウヒも笑う。
「違う環境で、違うことするのも、いい刺激になるだろうし」
「……ありがとうございます」
カリンが嬉しそうに微笑む。
「では、決まりですね」
「海だー!」
リカが両手を上げる。
キャルも嬉しそうに飛び回った。
「海ネコー!」
◆
「海だー!!」
青い海。
白い砂浜。
夏の太陽。
絶好の海水浴日和。
四人が海水浴場へ到着すると、受付の近くに一人の男性が立っていた。
「カリン、来てくれたか」
「はい。今日からよろしくお願いします」
カリンが頭を下げる。
「この子たちが?」
「はい。私の友達です。アイドル研究部の仲間で、今回一緒に手伝ってくれる方たちです」
「そうか」
男性は三人を見て、笑顔になる。
「助かるよ。ただ、無理はしなくていいからな。危ないことや分からないことがあったら、必ず大人に確認するんだぞ」
「はい!」
三人が声を揃える。
「それじゃあ、今日は受付や呼び込みを手伝ってもらおうかな」
「分かりました!」
カリンが頷く。
──ただ、
「……あれ?」
ヒカリが周囲を見渡す。
「人、少なくない?」
リカが呟く。
砂浜には、ちらほらと人がいる程度。
「実は……」
カリンが説明する。
「少し前に、近くに新しい海水浴場ができたんです」
「それで、みんなそっちに行っちゃったんだ」
ユウヒが周囲を見る。
「そうなんです」
カリンが頷く。
「向こうは設備も新しくて、目新しさもありますから……」
「なるほど」
ヒカリが頷く。
「それじゃあ、私たちでお客さんを呼ばないと!」
「はい!」
四人はさっそく準備を始めた。
◆
「海水浴場はこちらでーす!」
リカが大きな声を出す。
「海がとっても綺麗ですよー!」
ヒカリも呼びかける。
「ぜひ遊びに来てください!」
ユウヒは案内板を整える。
カリンは受付を手伝いながら、通りかかった人たちに声をかけていく。
「よろしければ、こちらへどうぞ」
四人で一生懸命呼び込みをする。
けれど──
「……」
「……」
なかなか人は増えなかった。
昼を過ぎても、客は少ないまま。
「うーん……」
リカが腕を組む。
「全然来ないね」
「頑張って声を出してるんだけど……」
ヒカリも少し落ち込む。
「新しい海水浴場のほうが人気なのかな」
ユウヒが呟く。
「仕方ないですよ」
カリンが微笑む。
「私たちは、今日が初日ですから」
「カリン……」
「明日も頑張りましょう」
カリンは笑った。
◆
──その日の夜。
四人は海水浴場近くの宿泊先に泊まることになった。
四人一部屋の和室。
「広い!」
ヒカリが部屋を見回す。
「四人で一緒に寝るんだね!」
「修学旅行みたい!」
リカが布団に飛び込む。
「ちょっと、リカ」
ユウヒが苦笑する。
「まだ寝る時間じゃないよ」
「分かってるって!」
リカが起き上がる。
四人はちゃぶ台を囲んで座った。
「今日は、思ったより大変だったね」
ヒカリが言う。
「うん」
ユウヒも頷く。
「明日は、もう少しお客さんを増やしたい」
「でも、どうすればいいかな?」
リカが考え込む。
「呼び込みだけじゃ、なかなか難しいよね」
「……」
カリンは黙って考えていた。
「カリン?」
ヒカリが声をかける。
「何か思いついた?」
「いえ……」
カリンは首を横に振る。
「うーん……」
しばらく四人で考える。
その時。
「ライブはどう?」
ヒカリが顔を上げた。
「ライブ?」
リカが反応する。
「うん!」
ヒカリが頷く。
「私たち、アイドルなんだよ?」
ユウヒは考える。
「海水浴場でライブをすれば、興味を持ってくれる人がいるかもしれない」
「それなら!」
リカが拳を握る。
しかし、カリンは少し不安そうな顔をした。
「どうしたの?」
「私……まだ、みなさんと一緒にステージに立ったことがありません」
ヒカリが笑う。
「大丈夫だよ!」
「そっか。カリンは初ライブだもんね」
ユウヒも頷く。
「最初は緊張すると思うけど、私たちがいるから」
「……はい……!」
カリンが小さく頷く。
「やってみたいです」
「決まり!」
リカが笑った。
「明日はライブだ!」
◆
──翌日。
「まずはウチたちから!」
リカがステージへ駆け上がる。
「今日も元気にいこう!」
音楽が始まる。
リカが踊る。
続いてユウヒ。
そしてヒカリ。
三人はこれまで何度も経験してきたステージを、思いきり楽しんだ。
歌声が響く。
ステップが砂浜を彩る。
少しずつ。
海水浴場を歩いていた人たちが、足を止める。
「何かやってるよ」
「アイドル?」
「ちょっと見てみよう」
観客が増えていく。
そして──
「ありがとうございました!」
拍手が起こった。
人々の視線がステージへ集まっている。
「やった!」
リカが喜ぶ。
「お客さん、増えてる!」
「これなら……」
ユウヒが周囲を見る。
「次は四人でやろう」
ヒカリが頷く。
「うん!」
◆
──そして。
「カリンちゃん!」
ヒカリが声をかける。
「準備できた?」
「はい……!」
カリンはステージ袖に立っていた。
手が少し震えている。
「緊張してる?」
ユウヒが尋ねる。
「……少しだけ」
「大丈夫だよ」
ヒカリが手を握る。
「私たちが一緒だから」
「はい」
カリンが深呼吸する。
「行こう!」
リカが笑う。
四人がステージへ出る。
会場から拍手が起こった。
「こんにちは!」
ヒカリが笑顔で挨拶する。
「私たち、アイドル研究部です!」
カリンの緊張は治まらない。
脚も少し震えている。
けれど。
「よろしくお願いします!」
四人が頭を下げる。
音楽が始まった。
ヒカリが歌う。
ユウヒが続く。
リカがステップを踏む。
そして──
カリンが歌う。
「……!」
最初の一音を出した瞬間。
緊張していた身体が、少しだけ軽くなった。
観客がこちらを見ている。
怖い。
けれど──
今日は、初めて自分が着るために用意した衣装──
この衣装が背中を押してくれている気がした。
カリンは小さく笑った。
歌う。
踊る。
隣には三人がいる。
「カリン!」
リカが笑いかける。
「はい!」
カリンも笑う。
四人の動きが少しずつ重なっていく。
最後の振り付け。
四人が同時に手を伸ばす。
その瞬間。
四人の周囲に、煌めきが生まれた。
桃色。
青。
黄色。
そして──
緑色。
「……!」
カリンが目を見開く。
四つの煌めきが、ゆっくりと一つに集まっていく。
そして。
ぱぁっ!
四人を中心に、夏色の光が広がった。
青い空。
輝く太陽。
きらめく海。
四人の周囲を、光の波が走る。
煌めきは砂浜へ広がり、海面を照らしていく。
波が光を受けるたび、無数の煌めきが弾ける。
まるで夏そのものが、ステージを祝福しているようだった。
「わぁ……!」
観客から歓声が上がる。
カリンは驚きながらも、笑っていた。
「これが……私たちの煌めき……!」
光はしばらく四人の周囲で輝き続けた。
そして──
静かに消えていく。
最後のポーズ。
大きな拍手。
「すごい!」
「きれい!」
「すごくよかったぞー!」
海水浴場には、たくさんの人が集まっていた。
◆
ライブが終わる頃には。
海水浴場は大勢の人で賑わっていた。
「すごい……」
ヒカリが周囲を見る。
「こんなに人が来てる!」
「ライブのおかげだね」
ユウヒが笑う。
「ウチたち、海水浴場を盛り上げられた!」
リカが拳を握る。
「ありがとうございました」
カリンも笑顔だった。
「私、一人だったら絶対にステージに立てませんでした」
三人がカリンを見つめる。
「でも、立ててよかったでしょ?」
「はい。とても!」
カリンが笑顔で頷いた。
◆
──その日の夜。
宿泊先の和室。
四人は布団を並べて座っていた。
「今日は、すごかったね」
ヒカリが言う。
「うん」
ユウヒが頷く。
「カリンの初ライブも、大成功だった」
「ありがとうございます」
カリンが微笑む。
「私も、まだ信じられません」
「でも、ちゃんと煌めいてたよ!」
リカが笑う。
「しかも四人で!」
ヒカリが頷く。
「桃色、青、黄色、緑……」
それぞれの色。
四つの煌めき。
「……四人」
カリンが呟く。
「いろんな色の煌めき……」
「そういえば」
ユウヒが思い出したように言う。
「グループ名、まだ決めてなかったね」
「あっ!」
ヒカリが声を上げる。
「そうだった!」
「じゃあ、今日決めようよ」
リカが笑う。
「四人になったんだし!」
四人は顔を見合わせる。
「カリンが言ってたよね」
ヒカリが言う。
「いろんな色の煌めきを届けられる名前がいいって」
「はい」
カリンが頷く。
「だから……」
ヒカリが考える。
「いろんな色が集まって、一つの光になるなら……」
「それって、色と色がつながるってことだよね」
ユウヒが呟く。
「色がつながる……」
リカが目を輝かせる。
「いいじゃん!」
「私たちの色がつながって、一つの煌めきを届ける……」
カリンが小さく呟く。
「……Color☆Link」
「カラー、リンク?」
ヒカリが聞き返す。
「はい」
カリンが微笑む。
「それぞれの色がつながって、もっと大きな煌めきになるんです」
「いい!」
リカが即答する。
「ウチ、好き!」
「私もいいと思う」
ユウヒが頷く。
ヒカリも笑顔になる。
「うん。私たちにぴったりだよ!」
四人は顔を見合わせる。
「私たちのグループは──」
「Color☆Link!」
四人の声が重なった。
四人はまだ知りませんでした。
この名前が、いつかたくさんの人に知られるようになることを。
そして──
四人の煌めきが、もっと大きなステージへ続いていくことを。